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ジャケ買いをもじって・・・ジャケ借り!

―2012年11月16日から2013年1月16日までの展示
visit:2012/11/27

三田図書館の新聞・雑誌コーナーのそばにある特設展示コーナーは、覗いていく人も多い人気のコーナー。2012年11月16日から2013年1月16日までのテーマは「ジャケ買いをもじって・・・ジャケ借り!」ということで、私も行ってみました。

ジャケ買いとは、CD、DVD、本などのメディア商品を内容を全く知らない状態で、店頭などで見かけたパッケージデザインから好印象を受けたということを動機として購入すること。実は、この説明、Wikipediaの「ジャケ買い」というページから引用してきました。ちなみに同じページに「ジャケ借り」(同様の過程で借りること)という言葉も説明されています。言葉があるということは、それだけジャケ買い・ジャケ借りする人がいるという証拠ですよね。

§ 6つのセクション

特設展示コーナーは<「大きさ」で借りる><「薄さ」で借りる><「デザイン」で借りる><「形」で借りる><「タイトル」で借りる><ブックデザインの世界>という6つのセクションに分かれており、下の段には本家の「ジャケ」もということでジャケットが特徴的なCDも並んでいます。五木ひろしのCD『おんなの絵本』なんかは大人だけど可憐な女性を思わせるジャケットで、思わず手が伸びてしまいました。

ジャケ買い・借りというと人目を引くパッケージを思い浮かべがちですが、「大きさ」「薄さ」を持ってきたところに三田図書館の特徴を感じます。<「薄さ」で借りる>はもちろん薄い本を集めたコーナーだし、<「大きさ」で借りる>も、大きいのをよしとするよりはむしろ持ち運びやすさ重視でコンパクトな新書をずらっと並べたコーナー。三田図書館は場所柄から、周辺の住民よりは通勤・通学で三田や田町を利用している人の割合が高いだろうから、薄くてかさばらないことは借りるかどうかの大きな要素のはず。まさに三田図書館利用者のためのセレクトですね。

<「タイトル」で借りる>を見ると、この頃は気を惹くタイトルの本が多いよなあと実感します。最近の本の中には、興味を惹くこと重視でタイトルと中身が合っていない本もありますよね(笑)。思わぬ出会いも楽しいけど、目次くらいはざっと見てみてタイトルとかけ離れていないか見た方がいいかもしれません。このセクションでは、『降水確率50%は五分五分か』などを手に取って、なるほどと感心してしまいました。このタイトルの問い、答えは何だと思いますか。言われてみれば納得なのですが、降水確率は1ミリ以上の雨が降る確率であり、1ミリ未満の雨も含めると確率はそれ以上になる。どの程度の「雨」を考えるかで数字が変わってくる。こうやって、タイトルで投げかけた問いに納得すると、他の部分も読みたくなってきます。

<「形」で借りる>には、判型が珍しい本がいろいろ並んでいます。このコーナーはやはり、文字だけで構成された本より、写真やイラストが入る本が多いですね。例えば、『地球を救う365の方法』という本は、365日分の環境メッセージと写真が見開きで並ぶ、横長の分厚い本。日めくりカレンダーみたいに、その日のページを見開いて部屋の中においておくのにもよさそう。欧米向けのメッセージをそのまま訳しているようで、日本にはあてはまらないことも書いてありますが、細かいことより趣旨を受け取るつもりで読むのがいい本です。

<「デザイン」で借りる>には、ユニークな表紙の本やブックデザイン賞を受賞した本など。『ゼロの王国』はトランプの0の札としてデザインされた装丁で、シンプルなのに韻書に残るデザインです。この本、分厚いのにとっても軽くて、紙選びも工夫しているみたいです。『ぞりん』というお遊び本も、タイトルだけみたら何だかわからないと思いますが、表紙を見ればどんなお遊び本かすぐわかります(Amazonのページで表紙を見てみてください)。

<ブックデザインの世界>には、装丁家の著作やブックデザインを取り上げた本。画家であり本の装丁も多く手掛けたヨゼフ・チャペックの作品集『チャペックの本棚』などはもう、立ち読みしながら心の中で可愛い~とつぶやいてしまうくらい。ページをめくりながら思わず微笑んでしまいます。『しかけのあるブックデザイン』という、工夫の凝らされたデザインの書籍を次々紹介してくれる本も楽しかったな。

でも、こうした工夫あるデザインの本は、図書館で楽しめるかというとなかなか難しいところもあるんですよね。例えば、三崎亜記さんの『失われた町』の単行本は、表紙の地の紙に町並みが印刷されていて、透ける素材の表紙カバーに人が描かれていて、カバーをかけると人のいる町、それがカバーを外すと一転して誰もいない町に変わってしまう仕掛けなのですが、図書館では本の保護のためにブッカー(透明のコーティング材)でくるむので、そうした工夫は楽しめません。実は、『しかけのあるブックデザイン』自体も表紙カバーの裏側に印刷したものを透けさせるデザインなのですが、図書館の本だとカバーを取ることができないので裏をじっくりみたりもできないんですよね。

逆に図書館ならではの特徴があるとすれば、港区立図書館の場合は帯を取った状態でブッカーをかけるので、宣伝文句に惑わされず本そのもののデザイン勝負というとこになるのが面白いところかも。そういう意味では、ジャケ買い・借りをするにしても、帯がかけている書店と帯を外した図書館では、気になる本が違ってくるかもしれませんね。

§ 図書館なら直感での選書も気楽に

ジャケ買いで購入して中身がよかった場合、とても気持ちがいいですが、実際にお金を出すとなるとパッケージだけではちょっと不安なのも事実。その点、図書館でのジャケ借りの方がハードルは低いですよね。このテーマ、図書館の得意分野と言えるのではないでしょうか。三田図書館のこの特設展示も、いっそ本を開くことを禁じて直感で選ぶと楽しめるかもしれません。

私も実際、この特設コーナーで片っ端から本を取り出して表紙見て、次の本を取り出して表紙見て…と表紙だけを次々見て行ったのですが、普通の書架でもそういう選び方をしても面白いかもしれませんよね。私はついつい同じ小説家の本ばかり読んでしまうので、新しい小説家に出会うために小説の棚で片っ端から表紙を見て表紙だけで選ぶとかしてみようかな。もし、図書館で表紙ばかり次々見ている人を見かけたら、私かもしれません(笑)。