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改築中に設置されていた大田区立下丸子図書館仮庁舎

大田区立下丸子図書館を改修している期間のうち、2015(平成27)年5月1日から12月13日まで設置されていた仮施設です。資料は限られているものの、手狭な下丸子図書館より空間を贅沢に使っていて居心地よく、工事が終わった後も分館として存続して欲しいと思うほどです。
以下は、改築中に設置されていた大田区立下丸子図書館仮庁舎の訪問記です。

改築中に設置されていた大田区立下丸子図書館仮庁舎 訪問記

last visit:2015/05/04
§ 仮庁舎の場所

大田区立下丸子図書館は下丸子駅と武蔵新田駅の間にある図書館ですが、2015年に下丸子図書館が耐震工事のため長期休館するにあたり同年5月1日から設置された下丸子図書館仮庁舎は、下丸子駅と鵜の木駅の間にあります。以前障害者就労支援センターだった建物だと言えば、地元の人はわかるでしょうか。オリンピック下丸子店のガーデニングコーナーの前の信号の一区画先、と言うと、更に多くの人にわかってもらえそう。ちなみに、その障害者就労支援センターは、他の障害者支援施設と統合して、障がい者総合サポートセンターへ移転しています。

§ 仮庁舎の様子

この仮庁舎は、図書館の長期休館中も付近の皆さんの図書館利用を妨げないように、貸出・返却ができるようにカウンター業務を行う施設なので、私は実際に訪れる前、建物の一画を使った小さな施設を想像していました。が、行ってみたら3階建の建物全体をフルに使った施設で、下丸子図書館蔵書の一部を移動して閲覧もできるようになっていたのでびっくり。下丸子図書館は、1階の新聞・雑誌コーナー付近などが特に手狭で、他の利用者の邪魔にならないよう気にしながら読書しないといけないので、この仮庁舎の方が居心地がいいくらいです。

もちろん、仮庁舎なので移動させた蔵書は限られています。児童エリアからは絵本と紙芝居だけで、児童読み物やちしきの本はなし。あとは、新聞・雑誌、新着図書、都の点字広報物がある程度で、一般書架の本はほとんど無いに等しいです。ただ、大人の場合は、館内検索機やネット検索を使っての検索・予約を使って他館から取り寄せができますし、それができない雑誌の最新号や新聞は置いてある。館内検索機はもちろん、コピー機やネット閲覧PCもリサイクル本コーナーも設置されています。たまたま近くに空いた区の施設があったからこのような仮庁舎ができたのでしょうが、工事中の仮施設としてはかなりいい施設です。

中の様子をもう少し詳しく説明します。まず1階の部屋に入ると、右にカウンター、左が絵本・紙芝居フロアとなっています。完全に児童向け資料だけというわけではなく、カウンターに近い付近に、新着図書・CDや点字資料もあります。CDは、既存の所蔵物は仮庁舎には持ってきてませんが、新着CDだけはあるという状態です。

下丸子図書館の2階の絵本・紙芝居エリアも広いですが、あちらが絵本・紙芝居がある区画と靴を脱いであがって絵本を広げられる区画に分かれてしまっているところ、この仮庁舎は靴脱ぎスペースの周りに絵本や紙芝居が並んでいるかたちで、「好きな絵本を見つけて読む」という動作がしやすい構造です。カウンター前に児童エリアがあるという配置は安全面でもいいと思います。

絵本の並び方(日本人作家の作品も外国人作家の作品も一緒にして、タイトルの頭文字で分類)は、下丸子図書館と同じ方式です。下丸子図書館にたくさん所蔵している外国語絵本は仮庁舎には残念ながらありませんが、限られた仮庁舎なのでしょうがないですね。

2階は新聞・雑誌エリアで、ここにもカウンターがあります。2階全体を新聞・雑誌だけに絞ったからですが、空間の使い方に余裕があって、狭すぎる下丸子図書館の同エリアと比べて雲泥の差といっても大げさではありません。約7ヶ月半の間、この居心地いい仮庁舎の新聞・雑誌エリアを利用していた皆さんが、工事が終わった下丸子図書館の狭さに耐えられるのか心配になるくらいです。冗談抜きで、この仮庁舎を工事終了後も下丸子図書館の分館として使えないものかと考えてしまいます。

3階は上がりませんでしたが対面朗読室があるよう。下丸子図書館は対面朗読サービスや音訳ボランティア活動の部屋もしっかり備えていましたが、工事中もこうしたサービスを継続しているのでしょう。下丸子図書館も3階に対面朗読室がありますが、エレベーターがないので階段でいかないといけない。階段に馴れていらっしゃる視覚障害者の方はそれでも構わないかもしれませんが、人によってはエレベーターのある仮庁舎の方が使いやすいようにも思います。また、拡大読書機も1,2階それぞれに1台ずつあり、仮庁舎ながらハンディキャップサービスもしっかりしています。

§ 分館として継続利用したい

各階の紹介部分にも書きましたが、古い図書館を現在のニーズに合わせて変化させてきた下丸子図書館と比べて、使い勝手がいい点がいろいろあるこの仮庁舎、工事期間終了にともなって閉鎖するにはあまりにももったいない気がします。この土地の今後の使い道が決まっているのかどうかわかりませんが、できることなら図書館事業に使わせてもらえないかなあ。とはいえ、図書館事業以外にも自治体としてすべきサービスはたくさんあり、私は大田区の図書館事業以外のことは詳しく知らないので、この地域にもっと必要とされているサービスがあるのかもしれませんが。

このように、本来の施設以上に居心地いい仮施設ができると、居心地いい施設・使い勝手のいい施設とは何かをあらためて考えさせられます。古い施設の手直しだけで仮庁舎でできたこと全てを実現するのは難しいところもありますが、いくばくかでも工事後の図書館の配置などに反映されていたらと願います。