ダイタンのちびっ子読書検定

―2010年からの企画
visit:2012/06/12
§ 物語を読んで解く読書検定

世田谷区立代田図書館は、2009年11月1日から改築工事のために長期休館しており、その期間は代田図書館仮事務所を開設しています。長期休館中の仮事務所は、基本的にカウンター機能のみでイベントを開催したりするケースはあまり見ないですが、代田図書館の仮事務所は小さい臨時施設にも関わらず読書検定企画「ダイタンのちびっ子読書検定」を行っています。

問題の形式は3択問題で、物語を読めばわかるような問題が12問出題されています。問題の例を挙げると、

「セロひきのゴーシュ」の家には、いろいろな動物がやってきますが、そのなかでやってくる鳥は何という鳥か。
 ①かっこう  ②はと  ③わし

「ぐりとぐら」が大きな卵で作るものは何でしょう。
 ①サンドイッチ  ②オムライス  ③カステラ

など。2010年の国民読書年を記念して発案されたこの読書検定、問題用紙は徐々に増えていて、今はNo.1からNo.10まで、特定テーマ問題も合わせると全部で11パターンあります(2013年3月10日現在)。1つの問題用紙に12問なので解きごたえも充分です。

問題用紙は、新しいものが代田図書館仮事務所に置いてあるほか、バックナンバーを世田谷区ホームページの代田図書館仮事務所のページで配布しており、見てみると「大人の人もチャレンジしてね」と書いてあるので、私もさっそくチャレンジしてみました。せっかくなので問題になっている本を読んでみたらこれまた面白く、すっかりハマってしまいました。

§ ダイタングッズももらえます

解答用紙を埋めたところで、さっそく代田図書館仮事務所へ。私は区のホームページで配布しているのを見てこの読書検定を知ったのですが、仮事務所の中では最新の読書検定の問題用紙を配っている横に、問題になっている本が置いてあります。仮事務所だから座席はないのですが、事務所の中で本を読んで問題を解くこともできるし、本を借りて家で読んで問題に答えることもできるというわけですね。

私の成績はというと、今のところNo.9まで解いて持っていたのですが、2問間違いが2枚、残りの8枚はパーフェクトです。どれも問題になっている本を読んで答えているのに間違えるなんて、相当すっとぼけてますが(笑)。採点だけでなく、各用紙の正答率に応じて「すごいぞ」「おしいぞ」といったハンコを押してもらえるのですが、「すごいぞ」でコンプリートできなかったのが悔しいです。

答え合わせだけでも充分楽しいのですが、参加すると代田図書館のキャラクター「ダイタン」に関するグッズをもらえます。ダイタングッズもその都度変わっているようで、私もこれまでブックカバー、しおり、缶バッジなどいただきました。グッズも楽しみにしている方は、一度に何枚も解いてまとめてカウンターに持っていくより、1枚ずつ間を空けて答え合わせしに行った方が、いろんなダイタングッズが集められるかもしれません。

§ 利用者の小学生も問題を出題しています

この「ダイタンのちびっ子読書検定」、ユニークな点は改築工事中の仮事務所で開催していることだけではありません。No.5からNo.7を見ると、小学生のお子さんやそのお母さんが作った問題だと書いてあります。お子さんが問題を解くだけでなく、お子さんが作った問題を図書館に来ている皆が解くなんて、ユニークな企画ですよね。

職員さんに話をお伺いしたところ、読書検定を配るようになって迎えた夏休みに、利用者の小学生が自由研究として自分で読書検定を作って、図書館にも持ってきたのだそうです。その問題を配布したのが問題用紙のNo.5で、その用紙に「みんなも本を読んで問題をつくってみよう!」と書いたところ、No.6では更に別のお子さんの問題も加わっています。問題を解く楽しみだけでなく、問題を作る楽しみも確実に広がっているんですね。素晴らしい!

この話聞いて、私すごく嬉しくなっちゃいました。まず、小学生が夏休みの自由研究で読書検定を作るというのが、読書好きにとって嬉しくなっちゃう話ですよね。単に読んだ本の感想を書くより、断然楽しそう!同級生の子ども達も解いて楽しんだのかななど、想像が膨らみますね。

また、それを図書館の職員さんが知っているということは、利用者の男の子にとっての図書館職員さんが、単なる「貸出返却手続の際に接する人」なのではなく、本にまつわる話をいろいろしたりする関係なんだろうと思います。仮事務所は守山小学校に隣接した場所にあるのですが、守山小学校の下校時間に事務所にいると、下校した子どもがどっと入ってきて大賑わい!ただ借りたり返したりするだけでなく、棚から本を取って選んだりしたい人は、下校時間は避けた方がいいかもしれません(笑)。

でも、最初からこんな大人気だったわけではなく、開設されたばかりの頃はせっかく小学校のそばにあるのに、小学生は素通りしていたそうです。そこをこの読書検定企画や図書館見学などで利用を盛り上げて、今のような大賑わいになったのだとか。単に子どもの利用に便利な場所に図書館関連施設を設置するだけでなく、図書館側から積極的に働きかけているんですね。利用者が問題の作り手になるというユニークな読書検定が生まれたのも、こうした普段の取り組みの結果なんだろうと思います。

§ いろんなおはなしを読むきっかけに

大人ながらに「ちびっ子読書検定」にチャレンジした感想は、予想以上に面白かったです。そもそも読んだことがない本もあるし、読んだことがある本でも意外と忘れてたり。私、ぐりとぐらが作ったものってオムレツだと思い込んでいましたよ。言い訳するわけじゃないけど、鍋から出てる部分だけ見たらオムレツにも見えますよね(笑)。

問題のほうも、特に図書館職員さんが作ったNo.1からNo.4までは、外国のおはなし、日本のおはなし、詩、ちしきの本など、出題本のジャンルが多岐に渡っています。問題内容からすると、小学校低学年にはNo.5以降がお薦めで、高学年以上ならぜひNo.1からチャレンジして欲しいところ。もちろん大人へもお薦めです!個人的には、モンゴルの昔話の「スーホの白い馬」や、難民キャンプの出来事を描いた絵本「ともだちのしるしだよ」などが読み応えありました。心にぐっとくる絵本って、ページがめくるのが遅くなるというか、1ページ1ページ想像が膨らんでいきますよね。

いろんな物語に出会うきっかけとなる読書検定、ぜひ皆さん参加してください。問題を解く側はもちろん、問題を作る側としてもぜひ。誰かと同じ本を読んでも、どこを問題にしたいかはお子さんによって違うだろし、自分の好きなシーンを問題にするのも面白そう。私もまだ解いていない問題が少しあるので、全問正解目指して頑張ります!