東葛西PRESS 春の大感謝特大号「ALL THAT THE 東葛西図書館」
visit:2010/03/26
東葛西図書館が発行している図書館だより、東葛西PRESS。2010年3月に発行された第15号の今号ですが、2010年4月から東葛西図書館の運営が指定管理業者に変わるので、おそらく今号が最終号です。最後まで東葛西図書館らしさ満載です。
1ページ目は、これまで東葛西PRESSを彩ったイラスト集。可愛いタッチのイラストから渋いイラストまで、集めてみるといろいろあるものですね~。私もずうずうしく似顔絵を描いていただいたくらいです(「管理人について」を参照)。東葛西図書館は、館内の特集コーナーのポスターなども、可愛いイラストだったり、職員の皆さん、絵が上手なんですよ~。
2ページ目から7ページ目までは、職員さんによる東葛西図書館の思い出がずらり。34人の職員さんによって語られたエピソードには、「これって私のことかも」と思う利用者さんもいるかもしれません。東葛西図書館の利用者さんは要チェックです(笑)。
東葛西PRESSのいいところは、「東葛西図書館一同」みたいな、実体がありそうで実はあやふやなものでなく、一人ひとりの職員さんの顔が見えてくるところだと思うんです。よく利用する図書館の職員さんって、顔を覚えていたりしませんか?たとえ特別話したことがなくても、道ですれ違ったらわかるくらいには覚えていることってありますよね。距離が近いような遠いような職員さんと利用者の距離が、ぐっと近くなるような図書館だよりです。
これは人によっては違う意見をお持ちかもしれませんが、図書館の職員さんって、それぞれの趣味もあるし、図書館職員以外の職務経験をお持ちの方も多いですよね。そういうのをもっと前面に出して、「落語に詳しい図書館職員」とか「販売員経験のある図書館職員」など、それを生かしたレファレンスなどをできるようにしたら、図書館がもっと使える、楽しい施設になるのではないかと思います。利用者の方から、「このジャンルの本についての質問だったら、あの人に聞いてみよう」とかしてみたり。
あるジャンルについて、その人しか答えられないというのは困りますが、平均的な対応を1としたら、特定のジャンルについて、1.5や2の回答をできる職員さんはいるはず。それをもっと活かしたら、面白い図書館になるのではないかと。
東葛西図書館は、図書館だよりでそれぞれの職員さんの顔は見えるのですが、残念ながらペンネームでの登場なんですよね。なので、誌面上のあの人が実際にどの職員さんかは、想像するのみ。あ、でも、今回の思い出話から、誌面上の人物と実際の職員さんが結び付けられるかもしれませんね(笑)。
あ、そうそう、この思い出特集で、職員の一人の「浬」さんが、
「東葛西PRESS掲載の「初心者のためのSF案内」、あれは誰か読んでくれていたのかな、あれで紹介した資料を楽しんでくれた人がもしいたらいいんだけどなあ、なんて思います。
と書いていらっしゃいますが、私がコニー・ウィリスを読むようになったのは、まさに「初心者のためのSF案内」のおかげです!他にも私のような方がたくさんいらっしゃると思いますよ~。
8,9ページは東葛西図書館写真館。普段は利用者がなかなか入ることのない、対面朗読室、作業室、閉架書庫の写真が掲載されています。私はこれらの場所にお邪魔したことがあるんですよ~、とちょっと自慢したりして(笑)。
へぇ~と思った写真は、ブックポストに本が入っている様子。考えてみれば、投函口からどんどん本が入れられるわけだから当然なのですが、写真でみるといかにもドサドサっと入っている印象です。本を傷めにくいブックポストへの投函の仕方とかあるのかなあ。私は最近は、ポストに投函するよりカウンターに返却する方が多いのですが、ポストに投函する際には、なるべくそっと入れようかなと、この写真を見て思いました。
名所として、利用者おなじみの場所の写真も掲載されています。私が好きなのは、やっぱり拡大された東葛西PRESSが掲示されている階段の踊り場かな。既にいただいているのに、通りかかると立ち止まって読むこともしばしば。広いので、立ち止まっても邪魔になりにくいですしね。
10~12ページは、お馴染みのゴロ合わせ小説。最終回は「ゴールデンスランパー」、ちょっとやそっとのスランプではない、相当なスランプに陥っている小説家の物語です。今回も、100%フィクションといいつつ、もしや実話では、と思いたくなるお話。
また、7ページには、これまたお馴染みの30歳男子のコラムが掲載されています。これまで、男性からみた女性誌を書いてきたこのコラム、今回はそんなコラムを担当したがゆえの一コマを語っていますね。30歳男子・カッキー、確実に私より女性誌に詳しいなあ(笑)。
そして、最後のページには高橋三千世さんの漫画。いつもは4コマ漫画ですが、今回は倍増の8コマ漫画です!いつもは、東葛西図書館の様子を高橋さんが描いていますが、今回は高橋さんから東葛西図書館へのメッセージという内容です。
職員さんの想いがたっぷりつまった第15号ですが、少し気になるのは、あまりにもさよならムードに満ち溢れていること。確かに、運営を指定管理業者に引き継いで、職員さんたちは東葛西図書館を去ることになるのでしょうが、東葛西図書館自体は存在し続けるのだし、後任者に気持ちよくバトンタッチしている最終号ならもっとよかったのに、と思います。
この「東葛西PRESS」は読者が大人なので、事情を察することもできましょうが、児童向け図書館だよりの「ひよこだより」の方は、同じくお別れムードに満ちた誌面に、子どもがとまどってしまいそうな気がします。これからも東葛西図書館を利用し続ける利用者のことより、去ってしまう自分達の気持ちを優先してしまった最終号となってしまっているのが残念。
でも、東葛西PRESSの6ページにわたる職員さんの思い出話が、結果的に東葛西図書館や利用者さんの様子を伝えることにもなっているのかな。私は、古今東西を問わない理想的な図書館のあり方があるわけではなく、それぞれの地域・利用者に応じた図書館であるのがいいと思うので、この東葛西PRESSも手掛かりの一つとして、後任の職員さんが東葛西のことを早く掴んでいただければと思います。そして、更にいい図書館へと発展してくれれば。
また、東葛西図書館を後にする職員さんの中には、違う図書館で働く方も多いでしょう。その新天地に東葛西図書館のよさを移植できたらいいですね。図書館巡りをしていて、「ここの図書館、何か面白いな~」と思ったら、元東葛西図書館の職員さんを発見!とか(笑)。いっそ図書館に限らず、「この書店、何か面白いな~」と思ったら、元東葛西図書館の職員さんを発見!も嬉しい(笑)。
佐野元春も昔歌っていたように(古い?)、「終わりは始まり」です。今後の東葛西図書館がどうなるか、また元東葛西図書館の職員さんをどこで発見できるか(って、発見するって決め付けてますけど 笑)、引き続き東葛西図書館を利用しつつ、期待しましょう!