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文京区立目白台図書館

文京区立目白台図書館 訪問記

last visit:2015/12/02

文京区立目白台図書館は、日本女子大学や独協中学・高校などが近い住宅地のなかにある図書館です。机席が少ないので長時間の読書には向いていませんが、小さな空間に多くの資料をコンパクトに所蔵しています。子ども向けおはなし会も、いろんなタイプのものを開催しています。

§ 図書館の場所

目白台図書館は文京区立図書館の中では一番西に位置します。最寄駅でいうと護国寺駅で、こちらから行くと閑静な住宅地の中にある図書館という様子ですが、すぐ南西を目白通りが通っており、西へ400m進めば日本女子大学。護国寺駅近くにもお茶の水女子大学や筑波大学附属中学・高校がありますし、区の名前の通り、文京地域という趣きの町のなかにある図書館です。

護国寺駅のある音羽通りは、講談社や光文社など音羽グループの出版社が集まる通りで、駅から目白台図書館へ向かいときに使う6番出口が、ちょうど講談社の本社の前に出るかたちになっています。6番出口のすぐそばに、講談社から出版された新刊本が展示されているケースがあるので、通勤や通学でこの道を通る方は展示ケースで新刊本をチェックしているのではないでしょうか。地元の人間ではなく外から目白台図書館に行く私のような者にとっては、駅を出たときから本の世界が始まっている気分になる町です。

§ 図書館内の様子

目白台図書館は2階建ての建物です。1階が新聞・雑誌コーナーとCD、一般書架。但し、語学・芸術・スポーツの本は2階にあります。2階にはそのほかに、ジュニアコーナーと児童コーナーもあります。地下は事務室と閉架なので利用者は入れません。一般用の机席は8つだけ。敷地も小さく、狭い場所に本がぎっしり並んでいるといった様子です。

§ 1階の様子

1階は入口入ってすぐ右にレファレンスカウンターがあり、その更に右が新聞・雑誌コーナー。また、入口入って左先に貸出・返却カウンターがあり、その先左右に一般書架が広がっています。CDは一般書架の中央に、辞典類は一般書架の左手前付近にあります。上で狭さを強調してしまいましたが、館内を回っていると、圧迫感などよりもむしろ、施設規模が小さいにも関わらず資料が豊富であることの方を感じます。

本がぎっしり詰まった一般書架は、全体的に棚見出しが多く、とても本が探しやすい。特に、料理や手芸の棚は、分類が細かいです。日本の小説は、著者姓名の五十音順二ならんでいますが、アンソロジーなど複数の著者による小説は、「合集」というラベルをつけて五十音の並びの最後にまとめて置いてあります。外国小説は、「中国文学」「英米文学」「ドイツ文学」等の国・地域別に分類そた上で、著者姓名の五十音順に並んでいます。

一般書架を歩いていると、複数巻にわたる本の場合、1巻だけを書架に置いて「2巻以降は書庫にあるので職員に声を掛けてください」としていることが多いのに気が付きます。同じ文京区の大塚公園みどりの図書室も、下巻や2巻目以降を閉架に置くスタイルを取っていますが、蔵書数2万冊程度の大塚公園みどりの図書室に対して、目白台図書館は10万冊規模。よって文学全集なども所蔵しているのですが、そうした文学全集は総目次のコピーを開架に置いて、どの作品が何巻に収録されているのかわかるようにしてくれています。機械的に「1巻目を開架、それ以降を閉架」と収納するのではなく、空間が限られたなかで利用者が多くの本にきちんと辿りつけるよう工夫してくれているのがわかります。

CDも図書館の規模にしては所蔵数が多いです。CDのほとんどはカウンターの正面に集まっていますが、新聞・雑誌に近いところなどにもあるので、見逃さないように注意が必要です。CDに限らず全ての資料にいえることですが、限られた空間に収納している分、同じカテゴリのものが離れた棚に入っている場合もあるので、探しているものが見つからないときは気軽に職員さんに聞いてみるのがいいと思います。

また、1階の書架の壁には、朝日・読売・日経・毎日・産経・東京の各新聞の書評欄コピーの掲示が点在しています。単に書評をコピーして貼っているだけでなく、文中に登場する書籍について、ISBNコード、図書館での請求記号、文京区立図書館での所蔵館を記入してくれているんです。文京区立図書館にない場合も、単にないのか、発注中なのかまで書いてくれるという丁寧さ。文京区立図書館は全館でこの新聞書評欄掲示をしているので、自分が購読している新聞以外の書評もぜひチェックしたいところです。

一方、雑誌コーナーは、棚に対して雑誌が多すぎて、ややカオス状態です。目白台図書館だけでなく他の図書館でもよく見ますが、古い雑誌ラックでB5版までしか入らないタイプのものには、A4サイズ雑誌などが入りません。最近はA4サイズの雑誌が多いので、開館当初の雑誌の状況でB5版用とA4版用の棚を揃えた図書館は、今となってはB5版用部分があまり、A4版用部分が足りないことになる。目白台図書館もまさにこのような状態になっています。

図書館の雑誌ラックは、最新号を表紙を見せる向きで置き、バックナンバーを棚に差すかたちで収納していることが多いですが、目白台図書館ではそのように置いているものより、収納の都合で最新号もバックナンバーと同様に棚に差しているものが多いです。ただ、最新号には透明の固い保護カバーがかかっているので、それが目印になります。また、そのような収納のばらつきにより、雑誌コーナーを一通り見てもどんな雑誌を所蔵しているのか把握しにくいのですが、雑誌コーナーとレファレンスカウンターの間の仕切りに、所蔵雑誌一覧が貼ってあるので、それを利用するといいと思います。

これは雑誌ラックのサイズ制限のいい副作用ともいえますが、小さい雑誌ラックを使って、岩波書店の「図書」、講談社の「本」、新潮社の「波」、みすず書房の「みすず」、有斐閣の「書斎の窓」、集英社の「青春と読書」など、出版社のPR誌がたくさん並んでいます。多くの図書館では、こうした出版社のPR誌は雑誌コーナーの片隅にひっそりと置かれているのですが、目白図書館ではかなり前に押し出している感じ。こうしたPR誌も、有名な作家さんの連載があったり、読み応えある記事があって、手に取ると面白いんですよね。

また、多くの図書館では、出版社のPR誌は財団法人などからの寄贈雑誌と同様に、閲覧はできるけど貸出はしていないのですが、文京区立図書館ではこれらのPR誌も通常の雑誌のように、一定期間を経てから貸出できるようになっています。講談社だけでなく、文京区は出版社が多い地域なので、図書館側もそれを意識して出版社の情報を利用できるようにしてくれているのかもしれません。

§ 2階の様子

2階は、階段を上がって右側に一般資料の一部(語学・芸術・スポーツ)と中高生コーナー、左側に児童コーナーがあり、両者をまたいでカウンターが配置されています。面積としては、児童コーナーが2階全体の2/3といったところでしょうか。特に中高生コーナーは小さく、倉庫の扉にも新刊案内がペタペタと貼られているくらい。一目見て中高生コーナーだとわかる2階カウンター対面だけでなく、カウンター向かって左に回り込んだ壁沿いにも中高生コーナーの棚があるので、このエリアの本を探す際にはご注意ください。

これも気付きにくいですが、中高生コーナーには1冊ずつ借りられる漫画と複数巻をセットで1冊として借りられるセット漫画があります。1冊ずつの漫画は、中高生コーナーそばの大型本用書棚の脇に、セット漫画はその大型本用書棚の上に漫画のタイトルと●巻~○巻と書かれたカードがあり、それをカウンターに持っていくとその巻が借りられるという仕組みです。

2階の一般書架奥には対面朗読室があり、文京区立図書館HPの目白台図書館のページによると、近隣には筑波大学付属盲学校があって、視覚障害者の利用者も多いそう。また、対面朗読室の隣には授乳室があり、文京区立図書館で専用の授乳室が設置されているのは目白台図書館だけです(2015年12月7日現在)。小規模図書館ながら資料や設備は充実、なかなか渋い図書館です。

一般書架で密度高く本が並んでいる一方、児童コーナーは空間的にゆったりした配置です。階段に近い辺りにある靴脱ぎスペースは、雲のようにもこもこしたかたちが可愛らしい。概ね、階段に近い方が絵本、その奥に児童読み物、一番奥がちしきの本という配置になっており、壁沿いの棚の最上段に児童文学など大人向けの児童書に関する本が並んでいます。

創作絵本は日本人作家の作品も外国人作家の作品も一緒にして、出版社の五十音順に並んでいます。また、ちしき絵本は「ことば・あそび」「かがく」「しょくぶつ いきもの」「しゃかい」「かず」「にんげんのからだ」と、ジャンルによって細かく分かれています。児童読み物は、日本人作家の作品も外国人作家の作品も一緒にして、タイトルの頭文字で分類されています。

目白台図書館は、児童向けのおはなし会がとても充実しているんです。対象年齢を設定したおはなし会があるほか、集まった子どもたちの年齢に合わせて行う絵本の読みきかせ、英語絵本の読み聞かせ、日本女子大学のボランティアによる絵本の読み聞かせと、回数が多いだけでなく、いろんなタイプのおはなし会があるのがいい。これらの行事は、子どもだけでなく、絵本が好きな大人や読み聞かせをする大人も参加できるそうですよ。

§ 小さいけれどサービス充実

住宅地の中にある小さな図書館ですが、大人向けにはぎっしりと収納した所蔵物や本の情報をいろいろ用意、子ども向けにはいろんなタイプのおはなし会を開催、視覚障害者向けサービスも実施と、規模に負けないサービスを提供してくれる目白台図書館。ホント、図書館って規模が大きければいいというものではなく、小さい方が隅々まで目が行き届いてサービスよかったりするんですよね。

私はこのサイト用の情報を確認するために、利用するわけでもないのに授乳室の中を覗いたりして、結構怪しい動きをしているのですが(笑)、図書館職員さんがしっかり私のことを見ていました。個人的には気まずかったけど、こうした怪しい人をきちんと見ているという点では安心できますね。また、別の日にはキョロキョロしていた私を見て、「何かお探しですか」と声を掛けていただいたり、職員さんが自分の作業をしつつも利用者のことをしっかり見ているのを感じました。どうしたら館内が便利になるかを知るには、利用者が館内でどんな動きをしているかを見てないと行けないと思うのですが、目白台図書館はその点でもしっかり見ていると思います。

図書館の南の方には椿山荘や新江戸川公園もあるので、そちらの方から散歩してきてもいいし、少し距離がありますが雑司が谷駅・鬼子母神前駅から歩くと見える日本女子大学の建物も素敵です。文京区で一番西の図書館ですので、新宿区や豊島区にお住いの方に近い場所です。図書館とともに、周辺の雰囲気もぜひ楽しんでください。

文京区立目白台図書館 データ

住所東京都文京区関口3-17-9 →Google Mapで見る
Tel03-3943-5641
開館時間
月~土曜9:00~21:00
日曜・祝日、12月29日9:00~19:00
定休日第4月曜(祝日の場合は開館し、翌日を休館)
12月30日~1月4日
最寄駅 東京メトロ有楽町線 護国寺駅から徒歩11分
都電荒川線 早稲田駅から徒歩13分
駐輪場建物入口向かって手前左に駐輪場あり
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数111,029冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
ありなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト図書館入口向かって右の壁面にブックポストあり。開館中の使用は不可。
自動貸出機なし
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備CD・カセット試聴機各1台あり。試聴は30分以内。
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCネット閲覧PC2台あり。利用は1回1時間、次に待っている人がいなければ30分のみ延長可能。
持参PC利用1階参考図書コーナーの机席8席で持参PC利用可能。電源なし。
LAN接続
  • 文京区公衆無線LAN「Bunkyo_Library_Free_Wi-Fi」の利用可能。利用は1回2時間、開館時間内は何回でも利用可能。利用の際は、メールまたはSNSアカウント(Google、Facebook、LINEのいずれか)での認証が必要。利用方法の詳細はこちらをどうぞ。
  • 館内に「docomo wifi」「ソフトバンクwifi」「au wifi」のアクセスポイントあり。
飲食設備等着席時の蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)からの飲料摂取はOK。飲むとき以外は、机の上に置かず、鞄の中へしまってください。