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文京区立湯島図書館

文京区立湯島図書館 訪問記

last visit:2012/12/01

文京区立湯島図書館は、御茶ノ水駅からサッカー通りを上った先にある小さな図書館。サッカーコーナー、ビジネスコーナー、湯島観光情報コーナーなどなど、特設コーナーがたくさんあり、書架を巡るのが楽しい図書館です。

§ 図書館の場所

湯島図書館の最寄り駅は御茶ノ水駅。JRの御茶ノ水駅だったら御茶ノ水橋口から右へ進んで御茶ノ水橋を渡り、突き当りで交差している外堀通りを、向こう側の歩道に渡ってから左折します。丸ノ内線の御茶ノ水駅だったら2番出口を出た目の前が外堀通りで、右方向へ進みます。こうしてどちらの駅から来た場合でも東京医科歯科大学の敷地に沿って外堀通りを西へ進んで、順天堂大学の手前で右折し、上り坂になっているサッカー通りを上って行きます。上りきった「サッカーミュージアム入口」交差点が本郷通りと蔵前橋通りという大きな2つの通りが合流する地点となっていますが、横断歩道を渡って更にサッカー通りを直進します。交差点の1区画先の左側に湯島幼稚園が見え、その建物「湯島総合センター」の4階が湯島図書館です。湯島図書館へと通じる入口は敷地の対角線の向こう側にあり、湯島幼稚園の手前で左折し、シルバー人材センターの入口で右折すると建物3階以上に行ける入口に辿りつきます。

東京医科歯科大学や順天堂大学のある通りがなぜにサッカー通り?と思った方もいると思いますが、湯島総合センターの隣に日本サッカーミュージアムがあるんです。3フロアあるうちの2フロアは無料で入れるし、有料フロアも大人500円小中学生300円なので、お時間のあるときにはぜひ。私は無料フロアしか入ったことがないのですが、土曜日に行くとJリーグの試合が流れていたり(テレビモニタが何台も並んでいて複数の試合が同時に流れているので目移りしてしまうかも)、今は解説やコーチをしている人の懐かしい現役時代の写真があったり、大人も子どもも楽しめる空間です。

§ 図書館内の様子

児童館、幼稚園、福祉センターなどが入っている湯島総合センターの4階全体が湯島図書館です。階段・エレベーターからみて左に図書館エリアが広がるほか、階段・エレベーターからみて右に「えほんのへや」が独立しています。フロア内の配置は、図書館エリア入って右手前にカウンターがあり、カウンターの右の窓際と正面の柱の周りにCD、カウンターの前に広がる書架のうち手前側が児童向けの本で、奥側が一般書架、新聞・雑誌は右奥の一画にあります。

文京区には「~図書館」という名の図書館が8館と「~図書室」という名の図書館が3館ありますが、湯島図書館は8つの「~図書館」の中で一番蔵書数が少なく、面積も小さいです。大人用の机席も14席とかなり少ない。でも後述するように特設コーナーがいろいろあって、小さいからこそ隅々まで目を行き届かせて、読書の楽しみを伝えてくれる工夫をしてくれているんです。小さなフロアで、広い読書の世界を楽しめる図書館です。

§ 一般書架

一般書架は、見出しが大きくて本を探しやすいです。料理や裁縫の棚などは本が薄くてタイトルが見づらいけど利用が多いので、分類を細かくしてくれている図書館は多いのですが、湯島図書館ではそうした棚はもちろんのこと、それ以外の棚も細かく分類してくれています。たとえば、「社会福祉」に該当する本は「児童福祉」「介護」「介護保険」「老人ホーム」「障害者福祉」等々分けてくれていて、湯島図書館より本が多いのに「社会福祉」でひとまとめにして著者名五十音順などで並べてしまう図書館も少なくないことを考えると、利用者が本を探すときのことを考えて工夫してくれているんだなと感じます。

日本人の書いた読みものは、小説も随筆も一緒にして、著者姓名の五十音順に並んでいます。アンソロジーなど複数の著者による小説・随筆集は、多機能トイレ向かって右の世界文学全集の棚の左端にまとめてあります。外国人の書いた小説は、「中国文学」「英米文学」「ドイツ文学」等の国・地域別に分類された上で、著者姓名の五十音順に並んでいます。

小説・随筆の棚での嬉しい工夫は、YAコーナー(=ヤングアダルト、つまり、中高生コーナー)にも作品が置いてある作家のところには「川上弘美作品はYAコーナーにもあります」などのガイドがあること。図書館のほうでは内容に応じて本を一般・YAなどと振り分けているわけですが、利用者の方では図書館の判断に関わらず「川上弘美を読みたい」と思っていたりするわけですよね。で、小説・随筆の川上弘美のところにいけば全て揃っているだろうと思っているけど、実はそうではない。図書館が中高生向けだと判断して別置きしたために読む機会が失われるとしたらとてももったいないですが、湯島図書館ではそうした取りこぼしがないよう工夫してくれています。

実際、中高生コーナーには大人にとっても軽く読める小説・エッセイが多いので、言葉に惑わされず大人にも活用して欲しいコーナーです。気になる作家の本を探しに中高生コーナーを見に行く際には、目当ての本だけでなく中高生コーナー全体を眺めて、新たな本と出会ってくださいね。

§ 児童資料

児童資料のうち、絵本や紙芝居は「えほんのへや」、もっと成長した子どもが読む読みものやちしきの本はカウンター前へと分かれています。

えほんのへやは入口で靴を脱いで上がるようになっています。正面の窓から陽が差し込む明るい部屋で、中央と正面に乳幼児向けの小さい絵本があり、手前に紙芝居、左右の壁に絵本がたくさんあります。絵本は、日本のおはなしも外国のおはなしも一緒にして、出版社の五十音順に並んでいます。同じ出版社の中では、概ねタイトルの五十音順で、シリーズものを各出版社での末尾にまとめているかたちです。月1回のえほん会のときも、この部屋で行うのかな。

カウンター前の児童エリアは図書館の規模を考えるとけっこう広いです。実は、多くの図書館では規模に関わらず子どもの資料を一定以上揃えるものなので、図書館規模が小さいほど全体における児童資料の割合は高くなるんですよね。湯島図書館も、『ぶんきょうの図書館 平成24年度版』に掲載されている2012年3年31日時点の数字を基にすると、一般書架48,481冊に対し、児童資料21,706冊と、図書・雑誌のうち31%が児童資料です(ちなみに文京区立図書館全体の児童資料比率は23%)。

児童向け読みものは、日本人作家の作品も外国人作家のものも一緒にして、タイトルの五十音順に並んでいます。窓際には、図書館が選んだお薦めの読み物も並んでいます。文字の褪せ具合から察するに昔から続くお薦め本コーナーのようで、並んでいる本を見ると1971年生まれの私が子どもだった頃からの定番物語がいろいろ揃っています。大人にとっても懐かしいおはなしだと思うので、親子で一緒に読むのもいいかもしれませんね。

§ 特設コーナーがたくさんあって、書架を巡るのが楽しい!

湯島図書館は、特設コーナーがフロアのあちこちにあり、いろんな本を紹介してくれると同時に、本を通じてさまざまな世界を見せてくれる感じで、フロアを回るのがとても楽しいんです。

入口に近い方から紹介すると、図書館エリア入ってすぐ左に「湯島観光情報コーナー」があります。壁に貼られた地図上で森鴎外ゆかりの地や弥生美術館、六義園などが紹介されているんですが、これらの観光スポットが飛び出すかたちで紹介されているんです。「飛び出す絵本」ならぬ「飛び出す観光マップ」みたいで楽しい!しかも、単に施設を紹介するだけでなく開催中のイベントのポスターを縮小して飛び出させていて、今の見どころがわかるマップになっているんです。

マップの下には、「文京区の歴史散歩」「地域のタウン誌」「文京の坂道」「文京ふるさと歴史館」といった分類で本もたくさん並んでいます。美術館や庭園のように人間が作った施設もあれば、地形が織りなす坂も楽しめる、味わいのある町も多いし、文京区は歩きたくなる地域ですよね。湯島図書館から本郷通りを下れば湯島聖堂や神田明神、北の方に行くと湯島天神もあるので、神社巡りが好きな方にもいい場所です。

カウンター近くには、期間でテーマを入れ替える特集コーナーがあります。2012年12月に行ったときは詩の特集や2012年を振り返る特集などをしていて、詩のエリアにあった職員さんが描いたらしき絵が可愛いこと。上の「湯島観光情報コーナー」の飛び出す観光マップなどを見ていても、湯島図書館には図工や美術が得意な職員さんが多い気がするんですよね。本の紹介はもちろん、視覚的にも楽しい図書館です。

小さいけれど、CDの展示コーナーもあります。窓際のCDコーナーの真ん中にある検索機の前に立って左を向いてから目を下に向けると、小さな棚にテーマに沿ったCDが展示されています。ここは児童図書の棚の脇にあたるので、大人は見逃しがちかもしれませんが、こちらもぜひ。

また、児童コーナーの奥へ進むと「文学忌コーナー」があります。小説の棚からは離れていますが、天井から文学忌コーナーはこちらという矢印が下がっているので、すぐにわかると思います。12月に行ったときに白洲正子さんの特集をしていたので、命日がその月である作家や随筆家を紹介するコーナーのようですね。

そうそう、忘れてはいけないのがカウンターから見て左先にあるサッカーコーナー。サッカー選手が書いた本やサッカーに関する読み物から、ルールブックやコーチ法などサッカーをする人・指導する人向けの本までいろいろ。雑誌「サッカーダイジェスト」のバックナンバーも並んでいるし、入替式の日本代表選手名鑑(選手の紹介を印刷してファイルしたもの)は、サムライブルー版・U-23日本代表版・なでしこジャパン版と3種類取り揃えています。棚上にも、日本代表の試合日程や直近の試合結果など、まだ本にはなっていない最新情報があるので、サッカーに関心がない人も湯島図書館を利用しているうちに興味が湧いてくるかもしれませんね。

そして、一番大きな特設コーナーは、図書館エリア奥のビジネスコーナーです。最近はビジネス支援に力を入れる図書館が増えてきましたが、湯島図書館は文京区で最初にビジネス支援コーナーを設置した図書館とのこと。「起業・経営」「営業」「ビジネス文書」「マーケティング」「就業規則」などの項目で、実際の業務にすぐに役立つ本をたくさん所蔵しています。

単にビジネス関連の情報を集めたコーナーであるだけでなく、文京区の記録を集めたコーナーでもあり、エーザイ(本社が小石川4丁目)、五洋建設(本社が後楽2丁目)、椿山荘(関口2丁目)を抱える藤田観光など、文京区にある企業の社史もたくさんあります。ただ、トヨタ自動車や味の素の社史などもあるので、本社が文京区にある企業だけでなく、営業所などがある企業も含めて、広く収集しているみたいです。

業界紙・業界誌も一般的なビジネス関連というよりは、区内に存在する企業・事務所に関連する業界のものを集めていて、「病院新聞」「日本文具新聞」「問屋連盟通信」「マンション管理新聞」「コンビニエンスストア新聞」といった業界紙が揃っています。自分の業界の最新情報を知りたい人はもちろん、その業界を顧客とする仕事をしている人、その業界に就職しようとしている人なども活用できる資料だと思います。

こうした様子で、2012年12月に行ったときには既に働いている人にとって有益な情報を集めるコーナーという色合いが強かったですが、就職支援関連資料も収集中とのことです。また、ビジネスコーナー本体とは少し離れていますが、新聞・雑誌コーナー手前の柱の足元にビジネス特集コーナーがあり、そのときどきのテーマで選んだビジネス関連本を展示しているので、そちらも必見です。

冒頭にも書きましたが、湯島図書館は小さいのに、いや、小さいからこそ隅々まで目を行き届かせて、いろいろな工夫で利用者と本をつなげてくれています。この本が読みたい、この情報が知りたいと明確な目的があるときにも、わかりやすい分類や見出しで見つけやすいし、何かいい本ないかなあと気の向くままに巡りたいときも、たくさんの特集コーナーでいろんな本を紹介してくれる。小粒でもぴりりと辛いという言葉がぴったりの図書館です。

文京区立湯島図書館 データ

住所東京都文京区本郷3-10-18 湯島総合センター4階 →Google Mapで見る
Tel03-3814-9242
開館時間
月~土曜9:00~21:00
日曜・祝日、12月29日9:00~19:00
定休日第3月曜(祝日の場合は開館し、翌日を休館)
12月30日~1月4日
最寄駅 東京メトロ丸ノ内線 御茶ノ水駅から徒歩8分
JR中央線総武線 御茶ノ水駅から徒歩9分
東京メトロ丸ノ内線都営大江戸線 本郷三丁目駅から徒歩12分
東京メトロ銀座線 末広町駅から徒歩13分
東京メトロ千代田線 湯島駅から徒歩14分
東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅から徒歩15分
都営三田線 水道橋駅から徒歩15分
駐輪場建物西側(サッカー通りの反対側)に駐輪場あり
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数68,870冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
ありなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト図書館フロアに行ける入口向かって左手前の壁にブックポストあり
自動貸出機なし
音声試聴設備CDコーナーにCD試聴機1台あり。利用の際は要申込。
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCネット閲覧PC1台あり。利用は1回1時間、次に待っている人がいなければ30分のみ延長可能。
持参PC利用図書館エリア右奥に持参PC使用可能席2席あり。電源なし。
LAN接続
  • 文京区公衆無線LAN「Bunkyo_Library_Free_Wi-Fi」の利用可能。利用は1回2時間、開館時間内は何回でも利用可能。利用の際は、メールまたはSNSアカウント(Google、Facebook、LINEのいずれか)での認証が必要。利用方法の詳細はこちらをどうぞ。
  • 館内に「docomo wifi」「ソフトバンクwifi」「au wifi」のアクセスポイントあり
飲食設備等着席時の蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)からの飲料摂取はOK。飲むとき以外は、机の上に置かず、鞄の中へしまってください。