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練馬区立関町図書館

練馬区立関町図書館 訪問記

last visit:2016/05/29

練馬区立関町図書館は、練馬区立関町図書館は、西武新宿線の武蔵関駅の南にある図書館です。練馬区立図書館の中で一番布絵本が多い図書館で、おそらく23区の中でも一番です。新旧の教科書も揃っています。

関町図書館は、2016年6月20日から2017年4月5日まで、改修工事のために休館していました。この訪問記は、改修工事前に行ったときのものです。改修後は、全体的な配置はあまり変わっていませんが、設備がいろいろきれいです。まだ、ざっとしか改修後の図書館内を回っていないので、いつか時間を作って訪問記も更新します。
§ 図書館の場所

関町図書館の最寄り駅は西武新宿線の武蔵関駅です(駅からの道のりはこちら)。練馬区にとって西武新宿線は西南の端をかすめているかたちなので、練馬区立図書館で唯一西武新宿線の南に位置する関町図書館は、練馬区立図書館で最も南にある図書館ということになります。青梅街道が走る関町図書館周辺は、「武蔵野の住宅地」といった趣きです。

関町図書館自体も、道路からやや奥まったところにある2階建ての建物で、広めの敷地に余裕を持って建てられた様子が「のんびりできる空間」という雰囲気を醸し出しています。建物が道から奥まっているとはいえ、壁面に「関町図書館」と大きく文字が描かれているので、初めて行ってもすぐに見つけられます。

§ 図書館内の様子

図書館のフロア構成としては、図書・雑誌などの所蔵資料はほとんど1階にあり、2階に談話室と視聴覚室。談話室といっても話す雰囲気ではなく、自習もできる閲覧席といった様子です。また、視聴覚室の利用がないときには、臨時閲覧室として机を並べて開放しています。1階にも閲覧席があるので、1階には図書館にある本を読みたい人が、2階には勉強をしに来た人が多くいるように見えます。

1階の様子は、建物入口を入ると、壁沿いにソファが並ぶロビーがあり、そこを右に入ると書架エリアです。新聞ラックがロビーにあるので、ソファに新聞を広げて読んでいる人も多いです。書架エリアを入ると、正面に雑誌があり、その右が児童エリア。雑誌コーナーの左には、CDコーナー、ネット閲覧PCコーナー、青少年コーナー、一般書架が順に配置されています。カウンターは青少年コーナーの手前あたりにあり、一般書架エリアからカウンターを回り込んだところが参考調査室で、事典類や地域資料などが揃っています。

雑誌コーナーから青少年コーナーにかけては2階までの吹き抜けになっており、収納量より開放的な過ごしやすさを優先させているのを感じます。関町図書館は1982(昭和57)年9月1日に開設された図書館で、練馬区立図書館の中でも古いほうなのですが、開館時に発行された『開館記念 練馬区立関町図書館』(関町図書館の蔵書になっています)によると、この当時から誰でも気軽に過ごせることを念頭に置いて設計されたようです。

§ 児童エリア

児童エリアに入ろうとすると、まず目に付くのは入口付近にあるたくさんの布絵本。練馬区は23区の中でも各館の布絵本の所蔵が多いのですが、関町図書館はその練馬区立図書館の中でも一番布絵本の所蔵数が多い図書館で、2016(平成28)年5月30日現在、練馬区立図書館全体の布絵本所蔵数が414点、うち107点を関町図書館で所蔵しています。部品を取り外したりして楽しめる布絵本が好きなお子さんにはぜひいろいろ見て欲しいし、布絵本を作る方にとっても100点もの布絵本を見ることができる貴重な場所です。

ちなみに、布絵本の所蔵数を書きましたが、練馬区立図書館HP内の所蔵一覧ページで練馬区立図書館全体や特定の館が所蔵している布絵本の一覧を表示することができます。予約もできるようなので、タイトルからの推測でお子さんの好きそうなものを最寄りの館で借りるのもいいと思います。

児童エリアの奥へ進むと、手前に児童読み物、奥に絵本があり、壁沿いの棚にちしきの本が並んでいます。右奥には靴脱ぎを脱いで絵本を広げられるスペースがあり、外国語絵本などもあります。外国語絵本は英語が160冊ほど、また、紙芝居にも数点英語のものがあります。靴脱ぎスペースのすぐ横に児童トイレがあるので、急にトイレに行きたがるお子さんも安心して過ごせます。

棚をみると、絵本は日本人作家の作品と外国人作家の作品に分けたうえで、絵を描いた人の頭文字で分類しています。児童読み物は、対象年齢によって「幼年童話」と「創作童話」に分け、更に日本人作家と外国人作家に分けて、著者姓名五十音順に並んでいます。ちしきの本のうち、しゃかいの本(3類)だけが壁沿いではない児童エリア中央の棚にあるので、ご利用の際にはご注意ください。

§ 一般書架

一般書架はシンプルに棚が並ぶなか、少しだけ机や椅子があります。机は4人掛けが1つと1人掛けが3つあるのですが、1人掛けの机が上から見ると長方形ではなく左右の線が平行の台形になっているんです。人が座る側が斜めになっていて、利き手側が広い机に座れば読書しながらメモしたりするときに便利といえなくもないけど、たぶん便利さよりデザイン的な遊びでしょう。すごく特徴的というわけでなく、ちょっと変わっているというちょうどいいデザインで、座ってみたい気にさせられます。

一般書架の本の並びかたは、0類(総記)の次に9類(文学)があったり、8類(言語)の次に7類(芸術)など、数字通りではない並びになっていて、検索機で本を見つけて請求記号から場所を探すときなどに戸惑いそう。場所がわからなかったら遠慮なく職員さんに聞きましょう。

日本の小説とエッセイは一緒にして、著者名の五十音順に並んでいます。但し、複数作家による作品集は、著者名ではなくタイトルの頭文字で分類され、頭文字分類の先頭に配架されています。つまり、小説の「ア」の棚に行くと、まず、書名が「ア」で始まる複数作家の作品集が並び、その次に、著者名が「ア」で始まる小説が著者名の五十音順に並ぶという方式です。外国の小説は、国や地域別に分けることなく「外国の小説」でひとまとめにして、著者姓名の五十音順に並んでいます。

一般書架で他の棚より少し目立つのが鉄道の棚。鉄道も請求記号の数字の並びとは別の場所にあり、おそらく、鉄道(請求記号686)を除くとちょうど6類がひとまとまりの棚におさまるという収納上の都合からそうしていると思うのですが、それを逆手にとって棚側面に蒸気機関車や特急列車の写真を貼るなどデコレーションしているんです。私、ここの写真で初めて特急「あそぼーい」号の存在を知りました。この棚が鉄道で隣の棚が大活字本であることをJRの駅名標っぽく表示していたりして、鉄道を楽しみたくなる気分にさせられます。

参考調査コーナーは26席の机があり、1階で一番の机席はほとんどこの場所になります。この場所は堅苦しい雰囲気なので、青少年コーナーが空いてたら大人が座ることもあるし、雑誌コーナーのソファに図書を持って読む人もいます。

参考調査コーナーには、布絵本の多さに加えてもう一つの関町図書館の特徴である「教科書コーナー」があります。その自治体が採用している教科書を揃えたり、同じ年度の他の出版社の教科書を揃えている図書館だったら他にもありますが、関町図書館は出版社の幅広さだけでなく、尋常小学校・高等小学校のものから現在という時間軸でも幅広く教科書を集めています。

古いものは復刻版で、明治のもの、大正2年、4年、9年、10年、、、とさまざまな年度の教科書があります。戦後に国家主義などの内容を塗りつぶした黒塗り教科書の復刻版もあり、これはうまく印刷されていて墨塗りされた部分も何が書いてあるか読めるようになっています。

平成以降の教科書では、高校教科書は少しだけで小学校・中学校の教科書が中心です。いろいろな出版社の教科書の現行の版と前の検定の版があり、出版社による違いと検定年度による違いを比較することができます。教科書そのものだけでなく、歴史教科書問題など教科書に関する本も一緒にあり、ちょっとした研究もできるコーナーとなっています。

§ 2階の様子

2階はほとんど図書がなく、閲覧用の空間です。ただ、「談話室」という名の場所も“部屋”というよりは通路の延長上の空いている空間に机を並べたような印象。開設した頃のものがそのまま残っているのであろう、壁に掲げられた説明には「利用者の皆さんが談話をしたり、くつろいだりするスペースです」とありますが、現在は静かに勉強・読書する閲覧席という雰囲気です。ここには電源があり持参したパソコンを使える席もあります。

『開館記念 練馬区立関町図書館』によると、2階のエレベーター前ロビーも、昔はソファを並べてくつろぎながら読書できる空間だったようです。現在は使われていないロッカーやキャスター付き棚の置き場所となってしまっており、少しもったいない気がします。

談話室の奥には、外国語図書があります。2棚分並んでいる外国語図書の9割は英語で、その他には中国語、ハングル、フランス語が少しずつあります。一番数が多い英語本は、小説もあれば料理本や日本の武道を紹介する本、日本の漫画の英訳版など、種類もいろいろ。

読み比べという点では、鉄腕アトムのフランス語訳と中国語訳があり、更に1階の青少年コーナーに日本語の鉄腕アトムもあるので、照らし合わせて読むのも面白いです。「アトム」って人名(正確にはロボット名か)なので、作中ではそのまま呼んで欲しい気もしますが、意味をとって訳されているので、フランス語版(関町図書館にはないけど英語版でも)では「ASTRO」、中国語版では「小金剛」と呼ばれています。

§ 古くからのゆっくり過ごせる空間

広すぎてやや持て余し気味の印象もある入口ロビーや2階エレベーター前ロビー、収蔵量を増やすために後付けされたらしき棚など、ところどころで最近の図書館とは違う、「昔の図書館」らしさがある関町図書館ですが、なぜだか古さよりも懐かしさを感じます。おそらく、来館者が多くていつも座席が満席だったり、蔵書が増えすぎて棚が乱れていたりしたら、古さのせいだと感じると思うのですが、そうならないのは住宅地にあり地域の人が暮らしの中で利用する図書館としていいバランスがとれているからだと思います。

誰がどこで言ったのがはじまりなのかは知らないのですが、図書館を回っていると「暮らしの中に図書館を」という言葉を掲げているのをときどき見かけます。関町図書館はその言葉を体現したような雰囲気。全国の住宅地にこんな風に図書館が溶けこんでいたらいいなと空想してしまいます。

練馬区立関町図書館 データ

住所東京都練馬区関町南3-11-2 →Google Mapで見る
Tel03-3929-5391
開館時間
月~金曜9:00~20:00
土・日曜・祝日9:00~19:00
定休日第2,3,4,5月曜(祝日は開館し、翌日を休館)
12月29日~1月4日
最寄駅 西武新宿線 武蔵関駅から徒歩14分
駐輪場建物入口の手前右に駐輪場あり
駐車場一般用駐輪場はなし。建物入口手前に障害者用駐輪場1台分あり。
所蔵資料
図書所蔵数151,779冊(2023/03/31現在、出典『練馬区教育要覧 令和5年版』)
布絵本所蔵数241冊(2023/03/31現在、出典『練馬区教育要覧 令和5年版』)
CD所蔵数6,772点(2023/03/31現在、出典『練馬区教育要覧 令和5年版』)
カセット所蔵数51点(2023/03/31現在、出典『練馬区教育要覧 令和5年版』)
レコード所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『練馬区教育要覧 令和5年版』)
DVD所蔵数130点(2023/03/31現在、出典『練馬区教育要覧 令和5年版』)
ビデオ所蔵数105点(2023/03/31現在、出典『練馬区教育要覧 令和5年版』)
設備
ブックポスト建物入口手前右の壁面にブックポストあり。開館中の使用は不可。
自動貸出機バーコード式自動貸出機2台あり
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
図書の除菌1階入口入って右先(階段脇)に、LIVA図書除菌機1台あり
音声試聴設備CD試聴機3台あり。次に待っている人がいたら、1回60分まで。
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCネット閲覧PC3台あり。利用は1回30分、次に待っている人がいなければ延長可能。60分利用したら、次の利用申込は15分後から。
持参PC利用2階談話室にパソコン利用可能席4席あり。電源あり。
LAN接続
飲食設備等閲覧席での蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)からの飲料摂取もOK。ただし、容器は机の上に置かないこと。また、ネットPC席や検索機での飲料摂取は不可。