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世田谷区立桜丘図書館

世田谷区立桜丘図書館 訪問記

last visit:2014/10/11

世田谷区立桜丘図書館は、千歳船橋駅の南西にある図書館です。千歳船橋ゆかりの「森繁久彌コーナー」があり、森繁久彌さんにまつわる本はもちろん、ポスターや演劇のパンフレットなども所蔵しています

§ 図書館の場所

桜丘図書館は千歳船橋駅から歩いて10分もかからない辺り、駅からみて南西にあたる桜丘区民センターの地下1階にあります。駅から桜丘区民センターへ歩いただけではわかりにくいですが、千歳船橋駅を中心に四方八方に商店街が伸びており、ぶらぶら歩くと面白そうな店・美味しそうなお店があって面白い。千歳船橋駅の両隣にあたる経堂駅・祖師ヶ谷大蔵駅も商店街が残っている地域です。

桜丘図書館が桜丘区民センターの地下1階だと書きましたが、道路から地下の桜丘図書館が見えるのが面白いところで、この建物は路面から階段を下りたところに入口があり、入った階が地下1階になっています。建物が斜面に建っており、建物裏手にあたる高い側の路面を1階としたために、低い側の入口を入ったところが地下1階というわけ。図書館を利用する分にはそれほど困りませんが、オムツ交換台が2階にあると聞いて行ってみたけど見当たらない…と思ったらそこは1階だったなどの勘違いをしがちな構造なので、ご注意ください。

§ 図書館内の様子

区民センター入口を入って右が図書館エリアです。建物入口のロビーにはリサイクル本コーナーがあり、図書館の除籍蔵書をもらうだけでなく、利用者同士が古本交換をできるようになっています。図書館エリアを入ると右にカウンターがあり、その奥が児童コーナー、更に奥が新聞・雑誌コーナー。入口から見て左側は、手前に地域資料・辞典類と机席が少々あり、その奥が一般書架です。

面積はそれほど広くはありませんが、棚と棚の間が広いので本が探しやすいです。児童コーナーや新聞・雑誌コーナーは、大きな窓に面していて開放的。この窓がある方が北ですし、半地下構造なので、まぶしくなるような陽の光は入ってきません。こじんまりとした「地域のための図書館」といった雰囲気です。

§ 児童コーナー

児童コーナーは、一般書架に近い側に児童読み物やちしきの本、窓側に絵本が配置されているかたち。ぬいぐるみや飾りつけはあまりなく、さっぱりしているのですが、時代を経ている備品が“昔ながらの図書館”という雰囲気で落ち着きます。一般書架もそうなのですが、木製の棚が並んでいるのが、落ち着いた雰囲気につながっているのかな。テーブル席の椅子も、よく見たら背もたれ部分がネコやクマ、ゾウなどをかたどった形になっていて可愛いです。

絵本は、本の大きさによって、小さい絵本は青ラベル、通常サイズかそれ以上の絵本は赤ラベルと分けて、どちらも絵を描いた人の苗字の頭文字で分類されています。棚の並び方をよく見ると、青ラベル絵本は日本人作家の絵本と外国人作家の絵本を混在させて並べていますが、赤ラベル絵本は日本人作家の絵本と外国人作家の絵本をわけたうえで、苗字の頭文字順に並べています。絵本コーナーの棚のうち、新聞・雑誌コーナーとの境目にある高い棚は、下3段が絵本で、その上2段が児童文学に関する本やブックガイド本という配置になっているので、大人は下の段を見るお子さんに気を付けながら本を見てください。

児童読み物は、低学年向けと高学年向けに分けたうえで、更に日本人作家の作品と外国人作家の作品に分けて、それぞれで著者姓名の五十音順に並んでいます。ちなみに、これはどの図書館でもそうですが、姓名の五十音順なので、「名・姓」という表記になる外国人も「姓・名」に直した上での五十音順になるのでご注意ください。

むかしばなし読み物の棚上には、「国語教科書でしょうかいされている本」というコーナーがあり、1から6までのシールが貼られた本が並んでいます。おそらく、1のシールが貼ってある本が1年生の教科書に出てくる本ということなのでしょう、具体的には、2年生で『ももたろう』、3年生で寺村輝夫の『ぼくは王様』、5年生で『野村萬斎の狂言』、6年生で『西遊記』などが出てくるようです。一部しか掲載されていない物語の全体を読むのも面白いし、一つ上の学年で登場する物語を先取りして読んでみるのもいいですね。

児童のちしきの本は、分類名にちなんだイラスト入りの大きな見出しがついていて本が探しやすいです。そのうえ、図書館の分類についての関連ジャンルも示してくれているので、大人の利用者にも参考になること大です。どういうことかというと、「36 防災」の見出しには「ここも見て! 地震→45 原子力発電所→54」、「61 農業」の見出しには「ここも見て! くだもの・野菜→47 食品(味噌など)→59」などのように関連項目が書かれていて、もしその棚で目当ての本が見つからなかったら、関連する棚も見てみればそちらにあるかも、と探しに行けるわけです。児童の分類は2桁、一般書架の分類は末尾にもう1桁付け足して3桁となっていますが、基本的な分類は同じですから、この関連ジャンルは大人の本を探すときにも使えます。

児童コーナーで、私の一番のお気に入りは、紙芝居の台。児童コーナーの隅に、子ども用の鏡台といった風の小さい台の、こちら側と向こう側に1脚ずつ丸椅子が置いてあるんです。この台そのものは、1対多の紙芝居読み聞かせにも充分使えるものですが、読み手と聞き手が1対1になるこの椅子の置き方が可愛いんです(笑)。

§ 一般書架

上で、児童コーナーの見出しが充実していることを紹介しましたが、対して一般書架は見出しがほとんどなし。いや、棚の側面にその棚に入っているジャンルは書かれているのですが、棚に差すタイプの見出しがなく、何の本が棚のうちどこからどこまでかはわかりにくいです。

私、昔は桜丘図書館は所蔵数が少ないのでそれでもいいと思うと書いていましたが、児童コーナーの見出しが充実してくると、やはり一般書架も見出しをつけて欲しいと思ってしまいます。特に、料理や手芸は、本を探しやすいように分類を細かくしているのに、その分類説明が棚板に小さい字で貼ってあるだけで、しかも実際に本がある場所とはずれている位置に貼られていることもあるのがもったいない。一般書架の棚見出しは、今後期待したいところです。

そのように棚に差すタイプの見出しがないものの、自然科学や技術の棚などで必ずしも大型本を最下段にまとめず、分類記号通りに並べているのは探しやすさにつながっています。本を探すのに、検索機で分類記号を調べて該当の棚を見ても探してもない、よく探したら大きい本だったために下段に移されていた、ということがときどきありますが、そうした見逃しをしにくい並べ方になっています。

また、そうして分類記号通りに並べていることが多いために、他の図書館では目に入りにくい大型本が目に入ってくるのが面白い。書棚を万遍なく見ているつもりでも、やはり立っている時の目の高さに近い本に目が行きがちで、下段は見ているつもりでも目に入っていないこともあるんです。その点、桜丘図書館の書棚を回っていると、「へぇ~、こんな本があるんだ、面白そう」という本に出会えます。

日本の小説は著者名の姓名の五十音順で並んでおり、複数作家による作品集は「ん」に分類され、「わ」の後に並んでいます。外国の小説は、国別分類はせずに“外国文学”でひとまとめにして、日本の小説と同様に、著者姓名の五十音順です。複数作家による作品集も、日本の小説と同様に「ン」に分類されています。

桜丘図書館は2014(平成26)年に改修工事を行って長期休館したのですが、その機会に「英語資料コーナー」という棚を新設しました(一般書架7番の脇)。3段の小さな棚をみると、桐野夏生・東野圭吾・村上龍などの日本人作家の作品の英訳版やジェフリー・アーチャーなどの外国人作家の作品などが並んでいます。赤毛のアンシリーズ、不思議の国のアリスシリーズ、ロアルド・ダールやマーク・トゥエインの作品など、児童向け・中高生向けといえる作品が多いので、中級者の英語の勉強にも使えそうです。

もう一つ特色がある棚が、英語資料コーナーよりカウンター側にある「明治資料コーナー」。こちらは、改修工事よりずっと前に、ここにあった「サザエさんコーナー」が中央図書館に移設したときに、代わりにできたコーナーです。後述するように、桜丘図書館には地元ゆかりの森繁久弥コーナーがあるのに、それに飽き足らず第二の常設コーナーを作り続けるところに、図書館ウォッチャーとして惹かれてしまいます(笑)。

そんな明治資料コーナー、置いてある本はというと、明治の思想、明治の社会状況、明治の芸能の本、明治文学全集など、確かに文字びっしりの本が並んでいます。本を検索機で探したときに請求記号のお尻に「M」がついていたら、この明治資料コーナーに本があることになります。また、棚の周りを、浅草観音、帝国劇場、三越本店などを描いた明治の風景の絵葉書や、明治の広告ポスターの複製など、レトロ&モダンなイラストが彩っているのも楽しいです。現在の東京23区時代からみると、明治45年の東京市街略図(15区からなる東京市だった頃)の小ささにもびっくり。本を通じて、明治時代へトリップしたくなります。

§ 地域ゆかりの俳優・森繁久弥さんのコーナー

上にちらっと書いてしまいましたが、桜丘図書館の地域ゆかりの特設コーナーは「森繁久弥コーナー」。図書館エリアに入る前の地下1階ロビーからして、展示ケースに森繁久弥氏の劇場チラシや若かりし頃の写真がたくさんあるのです。というのも、生前の森繁さんは千歳船橋にお住まいの地元住民で、「森繁通り」という通りがあるくらい。桜丘区民センター地下入口入って右の展示ケースには、「森繁通り」の命名式の様子も詳しく紹介されています。

ちなみに、森繁通りの場所は千歳船橋駅の北側(桜丘図書館とは反対側)で、駅改札から右へ出て、線路沿いを町田方面に歩き、パチスロ店「マリオン」の先で右折、すぐ次の欧風菓子店「ナポリ」の先で右折した道がそれです。森繁さんがこの通りに住んでいたことから通称でそう呼ばれていたのが、森繁さんの没後、2010(平成22)年8月4日に通りの名前として正式に決まったのだそうです。

図書館の資料としては、カウンター前に森繁久彌コーナーがあり、森繁さん自身の著作や朗読CD・歌のCD、森繁さんについて書かれた本、森繁さんが出演した作品の原作本などが並んでいます。森繁さんについて書かれた本をみると、向田邦子や久世光彦といった脚本家・演出家の方から、小林桂樹・音羽信子といった俳優の方まで、実にさまざまな人が森繁さんについて書いていることがわかります。愛すべき方だったんだろうなあ。森繁さんが出演した映画や演劇のパンフレットも所蔵しており、それらは借りることはできませんが、カウンターで請求すれば館内で閲覧できます。

千歳船橋って縦横無尽に商店街が伸びていて、図書館の行き帰りに歩いていても楽しいのですが、森繁さんも同じ道を通ったのかなと思いながら歩くと更に楽しくなります。著名人って遠い存在のように思いますが、それがぐっと親しい存在に感じてしまう。地元ゆかりの大俳優の関連本をぜひ楽しんでください。

世田谷区立桜丘図書館 データ

住所東京都世田谷区桜丘5-14-1 桜丘区民センター地下1階 →Google Mapで見る
Tel03-3439-0741
開館時間
火~日曜9:00~19:00
祝休日、12月28日・1月4日9:00~17:00
定休日月曜(祝日は開館し、翌日を休館)
12月29日~1月3日
最寄駅 小田急小田原線 千歳船橋駅から徒歩7分
駐輪場建物東側と建物隣の広場の北と南に自転車用駐輪場あり
建物北側にバイク用駐輪場あり
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数87,599冊(2021/03/31現在、出典『世田谷のとしょかん 令和3年度版』※団体貸出センターの図書数は中央図書館の図書数に加算
音声資料
CDカセットレコード
ありなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物入口右の壁面にブックポストあり
自動貸出機自動貸出機あり
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用カウンター前の閲覧席エリア壁沿いにパソコン利用可能席(2席)あり。電源なし。
LAN接続館内に「docomo wifi」「ソフトバンク wifi」「フレッツスポット」のアクセスポイントあり
飲食設備等なし