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新宿区立四谷図書館

新宿区立四谷図書館 訪問記

last visit:2013/08/21

新宿区立四谷図書館は、新宿御苑に隣接する四谷区民センター内の図書館です。23区立図書館の中で一番と言える外国語雑誌の点数の多さや、新宿区名誉区民のやなせたかしさんのコーナーなどが特徴。英語の多読にも力を入れており、多読イベントや関連資料が充実しています。

§ 図書館への道のり

新宿区立四谷図書館は新宿御苑の北東の角に隣接した四谷区民センターの中にある図書館です。「区民センター」というとそれほど大きくない公共施設をイメージするかもしれませんが、実際はコンサートなども開ける区民ホールや図書館・地域センターが入居している高層の白い複合施設。最寄り駅である新宿御苑前駅から行く場合は、2番出口を出て左へ進み、200mほど先の「新宿一丁目」交差点まで来たら、その右先にあるビルがそのビルです。

このビルには、図書館・区民ホール・地域センターといった新宿区の施設のほか、東京都水道局の営業所や民間会社も入居しています。区民センターの中に民間会社が入居しているというのは珍しいのですが、東京都水道局新宿営業所の住所を見ると「四谷区民センター 3階」となっているので、「このビル内の限られたフロアが区民センター」なのではなく「このビルが区民センターで、その中に新宿区以外のテナントが入居している」という状態なんでしょう。ちょっと珍しいタイプのビルです。

そして、やはりこの辺で一番存在感があるのは新宿御苑。図書館に行く前・行った後に新宿御苑内に入って楽しむのもいいし、四谷区民センターの8階のテラスで上からの眺めを楽しむこともできます。方向的には図書館の窓からも新宿御苑を見下ろすことができますが、南側にあたるので本を日焼けから守るために常時ブラインドが降りており、隙間から覗けるというかたち。桜の季節に名所新宿御苑を上から眺めるのもいいかも…いや、図書館を出て花見したくなっちゃうかな(笑)?

§ 図書館内の配置

四谷図書館は建物の7階全体を占めています。7階にあがって図書館エリア入口を入ると、左手前にカウンターがあり、カウンターの更に左が児童コーナー、カウンター正面付近にCD・ビデオ・DVDとや試聴機・ネット閲覧PCがあり、そこから右に向かって、新聞・雑誌コーナーや外国語図書コーナー、一般書架と続いています。

何せホールが入居している建物ですから、ワンフロアの面積も広い。新宿御苑に面している窓際付近は天井が高くて開放的です。一般書架の閲覧席は、その窓に向かうかたちで机席が並ぶほか、北側の壁沿いには両側から向かい合って座るタイプの大きな机席もあります。

§ 児童コーナー

児童コーナーで存在感を示すのは、カウンター向かって右方にあるアンパンマンのコーナー。そばの柱には、何人ものアンパンマンややなせさんの他のキャラクターが描かれた大きな色紙が飾られています。というのも、やなせさんは長年新宿区にお住いの新宿名誉区民で、新宿区のキャラクター「新宿シンちゃん」や、この建物の10~12階にある四谷地域センターのキャラクター「ハット君」もやなせさんが作ったキャラクターなんです。全国で人気のアンパンマンの絵本とご当地キャラ・新宿シンちゃんの広報DVDが一緒に並ぶ棚は、日本中を探しても四谷図書館のみ!お子さん連れの方はぜひ覗いてみてください。

児童コーナー奥には小さい台が一つと丸椅子がたくさん置かれた広いスペースがあり、普段は自由に絵本を読んだりできるし、おはなし会を開催するときにはきっとここで行うんだろうな。このスペースの角にある柱には、絵本作家とよたかずひこさんやよしながこうたくさんの色紙が飾ってあります。おそらく四谷図書館のイベントに来てくださったのでしょう。自分の利用している図書館宛に描いてくれた色紙を見ると、親近感が湧きますね。

お二人の絵本を見たくなったときのために、四谷図書館の絵本の並び方を書いておきますと、日本人作家の作品と外国人作家の作品が交互になるかたちで、タイトルの頭文字順に整理されています。つまり、書名が「ア」で始まる日本のおはなし→書名が「ア」で始まる外国のおはなし→書名が「イ」で始まる日本のおはなし→書名が「イ」で始まる外国のおはなし…というかたち。作家の名前順ではないので、「○○さんの絵本が見たい」というときには検索機で書名を調べるなどする必要がありますが、とよたさんようにたくさんのシリーズを手掛けている作家さんの場合は、いっぽくんシリーズは「イ」、バルボンさんシリーズは「バ」にまとまるかたちになるので、シリーズごとに読んでいくのもいいと思います。

四谷図書館は外国語雑誌・図書が充実していますが、外国語絵本は他館と同程度といったところかな。開架の棚を見る限り、英語・ハングルの絵本がそれぞれ100冊強、中国語絵本が約30冊、フランス語・ドイツ語・スペイン語絵本が10冊弱ずつあり、あとはそれ以外の言語が1~数冊ずつあるという状態です。これとは別に、一般書架の多読コーナーにも簡単に読める英語絵本があるので、英語の絵本・児童読み物を読みたい方はそちらもぜひご覧ください。

絵本が児童コーナー奥にあるのに対し、児童読み物やちしきの本は手前側にあります。児童読み物は、日本人作家の作品と外国人作家の作品を分けたうえで、著者姓名の五十音順に並んでいます。児童エリア向かって左側中ほどの壁際には、ひっそりとした「つなぐコーナー」があり、何だろうと覗いてみたら、机の上に今やこれからのことを考える本がちょこっと集められた10代向けのコーナー。児童や中高生向けのコーナーって目を惹く賑やかな雰囲気にしているところが多いけど、今のことや将来のことを冷静な目で見つめ直すには、こうしたひっそりとした雰囲気のほうがいい面もあるよなあ。中高生の皆さん、ちょっと落ち着いた雰囲気て考えたいときには、ぜひこの「つなぐコーナー」へ。

§ 一般書架

一般書架の棚を巡ると、棚側面を利用してあちこちでミニ展示をしているのが楽しいです。四谷図書館では、図書館エリアに入って右の辺りやカウンター前に大きめの特集コーナーがあり、こちらもつい足を止めたくなるのですが、書架内のミニ展示もそれぞれ心に留まるキーワードで本をピックアップしていたりして、通り過ぎた後また戻ってみたりしてしまいます(笑)。

地域資料の新宿区に関する棚は、四谷図書館に近い新宿東口や四谷に関する本が充実しています。例を挙げると『新宿末広亭のネタ帳』『ジャズ喫茶 四谷「いーぐる」の100枚』『「新宿コマ」座長たちの舞台裏』『英語で新宿二丁目を紹介する本』などなど。伊勢丹や歌舞伎町、四谷怪談の本などもあり、書物を通じてこの地域を読み解くのも面白そう。

日本の小説は、著者名の五十音順。複数の作家による作品集の場合、奥付に著者として複数の作家名が並んでいる書籍は、その書かれた作家達の一番先頭の著者名をとって、五十音順の並びに入れられ、奥付に編者が明記してある書籍は、本のタイトルで五十音順の並びに入れられています。外国の小説は、英米文学・ドイツ文学・フランス文学…と国・地域別に分類された上で、日本の小説と同様に並んでいます。

医学の棚は、図書館の棚の中でも工夫が問われるジャンルの一つ、というのも、素人にはどの病気が何科にあたるのかがわかりにくい、「医学」の中に他のジャンルにも増してさまざまな項目が含まれる、などの要素があるからなのですが、四谷図書館の医学の棚は工夫を凝らしてくれています。

まず、医学の棚の先頭に「病気 病院・医師 検査 薬 ここから調べる」というコーナーがあり、医学事典や病院ガイド、くすり事典、検査に関する事典など、医学関連の事典類を揃えています。罹ってしまった病気がどんなものなのか、もらった薬について調べたいなどのときは、これらの事典類で概要がつかめるでしょう。その上で、更にいろんな本にあたりたい人のために、「家庭の医学→598」「検査→492」といったかたちで、医学関連の図書館の分類記号を示しています。事典類の短い記事だけでは足りないと思ったら、これらの棚を探してみましょうというわけですね。

さらに、「内科」の棚の先頭には、「精神身体医学」「骨・関節・筋肉」「全身病」「循環器」「呼吸器」「消化器」「脳とこころ」「感染症」「小児科学」と項目一覧を表示してくれているので、その中から自分の知りたい病気がどれにあたるのかを見ればいい。図書館の棚って、その項目にあたる本が少ないと見出しもなくて見逃してしまうこともありますが、こうした一覧があればわかりやすいし、精神の病の情報だったら「精神身体医学」「脳とこころ」の両方を探してみることも思いつく。分類の全体像を示してくれるというのはとても助かります。

医学に限らず図書館でいろいろ調べたいときには、図書館エリア入った正面付近にあるレファレンスの冊子をご利用ください。図書館エリア入った正面に館内配置図が立てかけてあり、その裏のラックの向かって左側に、「企業・業界情報の調べ方」「地図の調べ方」「法律情報(法令・判例)の調べ方」「子育て情報の調べ方」など、いろんなケースの参考資料一覧を配布しています。

書籍以外の資料に目を向けると、視聴覚資料としてはCD、ビデオ、DVDを所蔵しています。DVDは中央図書館ではもっとたくさん所蔵しているので、四谷図書館の所蔵資料だけでなく、検索・予約を利用して新宿区の所蔵資料全体を楽しみたいところです。CD・ビデオの試聴(視聴)は1日1回1時間まで。よって、1時間以上のビデオは1日では見られず、何日かかけて見なければいけないというのは、ちょっと意地悪なような気が…(笑)。

§ 充実している外国語資料

四谷図書館の資料面の特徴といったら、何といっても外国語資料。まず、雑誌では、英語13誌、中国語4誌、ハングル2誌、フランス語4誌、ドイツ語1誌という品揃え(内訳は、四谷図書館データの「外国語雑誌」をどうぞ)。都内では東京都立図書館が外国語雑誌を多数所蔵していますが、都内の区市町村立図書館ではこの四谷図書館が外国語雑誌所蔵種数でトップではないかと思います。都立図書館の蔵書は貸し出しできませんが、区市町村立図書館の外国語雑誌は貸出できるので、いろんな外国語雑誌を借りて利用したいときは四谷図書館へ!

外国語図書も英語・ハングル・中国語と揃っており、中でも英語に関しては多読コーナーを設置して、多読法に関する本や多読に適した本を集めています。多読とは絵本などのやさしい本から始める学習法で、このコーナーの本には7段階に分けられた難易度を示すラベルがついており、自分のレベルに応じた本を選ぶことができます。さらに年に数回多読の講習会も開催しているので、多読とや何か知ることからその実践まで四谷図書館でできてしまうというかたち。もちろん、小説など一般の英語本も多数揃っているので、英語を身に付けた後の読み応えある作品の読書も四谷図書館で引き続き楽しめます。

また、外国語図書の脇の柱付近には「多文化情報コーナー」があり、新宿区の地域文化部多文化共生推進課発行の「新宿新聞」(言語は日本語・英語・中国語・ハングル)を配布していたり、ハングルのフリーマガジン「月刊グルトギ」を配布していたり、在日外国人向けの情報が集まっています。四谷図書館は館内にある「携帯電話使用禁止」といった注意事項も中国語・ハングルの表記があるくらい、外国人の利用が多いんでしょうね。こんなかたちで、日本にいる外国人も、外国語を勉強している日本人も活用できる資料が集まっています。

§ 四谷図書館自身の発信・活動にもご注目

上記のように、地域の特性に合わせた資料も実に充実しているのですが、更に四谷図書館が発行している図書館だよりや地域と連携して行っている活動も面白いんです。

まず紹介したいのは、四谷図書館の図書館だより「よつば」。四谷にまつわる文化・史跡・物語を紹介したり、外国語図書の紹介を英文で綴っていたり(この英文も多読に使える!)、ようちゃん・つーさん・やっくん(3人合わせると「よつや」)の4コマ漫画があったり、楽しみながら図書館のことや四谷のことがわかる読み応え充分の図書館だよりなんです。最新号はもちろん、バックナンバーも配布している(図書館エリア入った正面の館内配置図の裏側。ラックの片側にレファレンスチラシ、反対側に「よつば」バックナンバーがあります)ので、ぜひ遡って楽しんでください。

また、その「よつば」でも紹介されていますが、地域の江戸野菜である内藤とうがらしの栽培もおこなっています。内藤とうがらしという野菜、私は四谷図書館の活動で初めて知ったのですが、信州高遠藩主内藤氏の下屋敷(今の新宿御苑)で栽培されたのが発端の江戸野菜だそうで、新宿から農地がなくなるとともに栽培が減ったものの、現在は新宿区や高遠町で復活プロジェクトが行われているとのこと。建物の「新宿一丁目」交差点側の大きなプランターで栽培しているので、行き帰りに覗いて成長ぶりを見守りたいです。

公共図書館は、世にあふれる情報・資料(市販の書籍など)を収集するだけでなく、書籍になっていない地域の情報などをまとめることも大きな役割だと思うのですが、四谷図書館は掲示物や発行物を見ているだけでも「四谷ってこんな地域なんだ」ということがわかります。地域にちなんだイベントも面白そうで、ぜひとも行ってみたい!四谷に住む人、四谷で働く人、四谷が好きな人…あらゆる人にお薦めしたい図書館です。

新宿区立四谷図書館 データ

住所東京都新宿区内藤町87 四谷区民センター7階 →Google Mapで見る
Tel03-3341-0095
開館時間
月・水~土曜9:00~21:45
日曜、祝日9:00~18:00
定休日火曜(月曜か火曜が祝休日の場合は開館し、翌水曜を休館)
第2木曜
2,5,8,11月の第3日曜
12月29日~1月4日
最寄駅 東京メトロ丸ノ内線 新宿御苑前駅から徒歩4分
東京メトロ丸ノ内線 四谷三丁目駅から徒歩8分
都営新宿線 新宿三丁目駅から徒歩12分
東京メトロ丸ノ内線副都心線 新宿三丁目駅から徒歩14分
都営新宿線 曙橋駅から徒歩15分
駐輪場建物西側(新宿側)入口手前付近と南側(新宿御苑側)に駐輪場あり
バイク駐輪場は地下駐車場内にあり。駐車場入口は建物東端(四谷四丁目交差点側)。
駐車場四谷区民センター地下に駐車場あり。駐車場入口は建物東端(四谷四丁目交差点側)。
所蔵資料
図書所蔵数123,618冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
ありなしなし

映像資料
DVDビデオLD
ありありなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物西側(新宿側)の入口手前右にブックポストあり
自動貸出機カウンター前にICタグ式自動貸出機2台あり
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備CD試聴機2台あり。利用は1日1回1時間まで。
映像視聴設備ビデオ試聴機2台あり。利用は1日1回1時間まで。
ネット閲覧PCカウンター前のCD試聴機の左隣にネット閲覧PC1台あり。利用は1回30分。
持参PC利用入口入って右の壁際のパソコン優先席(9席)で持参PCの使用可能。電源あり。
LAN接続館内用無線LANの使用可能
飲食設備等
  • 建物1階に飲料自販機1台あり
  • 建物8階自販機コーナーに飲料自販機5台あり。自販機コーナー内は飲食可能(椅子あり)。
  • 建物9階にモスバーガーあり。営業時間10:00~18:00。
  • 建物11階に飲料自販機1台あり。11階地域センターの談話コーナーで飲物摂取可能(利用時間は9:00~20:00)。
その他設備建物南側と四谷区民センター8階テラスに喫煙所あり