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新宿区立中町図書館

新宿区立中町図書館 訪問記

last visit:2013/02/05

新宿区立中町図書館は、牛込神楽坂駅から歩いて5分程度の、複合施設の地下にある図書館です。狭いエリアに高い書棚が並ぶ一般書架では、“本に囲まれている”感が味わえます。

§ 図書館の場所

中町図書館は都営大江戸線の牛込神楽坂駅から少し歩いたところにあります。駅からの位置関係としては、A2出口を出たときの向きと逆に2区画進んだ通りになりますね。右回りで行っても左回りで行っても同じくらいの距離かな。

微妙に短いと思われる右回りの道を書いておくと、A2出口を出て右のいい感じにくねっている坂をのぼり、二つ目の十字路を右折、270mほど進むと、道の右側に1階があいじつ子ども園の白い建物があります。中町図書館はこの地下にあり、その他には2階にことぶき館(シニア向け施設)、3階に児童館が入っています。

もう一つの最寄り駅、東京メトロ東西線神楽坂駅から行く場合は、2番出口を出て右先に伸びている牛込中央通りをひたすら真っ直ぐ進み、6つ目の信号(距離にすると630m)を左に行くと100mもいかないうちに道の左側に複合施設が現れます。このルートだと新潮社の本館と別館の前を通ることになり、講談社などは本社ビルの周囲で自社の出版物を大いに宣伝していますが、新潮社はそうした宣伝物もなく重厚な雰囲気の建物で、社風の違いなのかなとあれこれ考えながら見てしまいます。

この辺は「箪笥町」「納戸町」「細工町」「二十騎町」といった昔ながらの面白い名前の町名が残っています。名前も面白いけど、「町」を「まち」と読むか「ちょう」と読むかも町によって結構分かれていて、面白いことに「中町図書館」は「なかまちとしょかん」と読むのですが、町名としては「中町」は「なかちょう」なんです。どうしてこうなったのか、いつかぜひ調べてみたいです。

§ 図書館内の様子

上に書いたように図書館・子ども園・児童館・シニア施設と一緒になった建物なのですが、建てられたのが古いせいかエレベーターもなく階段も急でバリアフリー面では難ありです。図書館を利用したい人で階段の昇り降りが難しい方は他の図書館を利用したほうがいいかも。といっても、中町図書館から近い新宿区立図書館である鶴巻図書館戸山図書館もエレベーターはないのですが…。戸山図書館は2階につながるスロープがあるので車椅子の方などは戸山図書館をご利用ください。

館内の配置は、図書館エリアに入った目の前が新聞・雑誌コーナー。そこから左へと区画が伸びていて、手前からカウンター、一般書架、一番奥が児童コーナーといった順に並んでいます。狭い区画に背の高い本棚がぎっしりと並んでおり、「本に囲まれている」という雰囲気が味わえます。

§ 一般書架

一般書架の本棚は、ジャンルの境目に挟まれる見出しに幅があり、本が揃っている面から大きく迫り出しているので、本が探しやすいです。新宿区立図書館では、本の背に貼る分類ラベルを、100番台は灰色、200番台は緑、300番台は青…と色分けしているのですが、中町図書館ではその分類ラベルの色と棚の見出しの色が統一して、探しやすくしています。また、本棚の側面にも、配架図がたくさん貼られています。こうやってあちこちに配架図があると、ある棚を見ていて急に違うジャンルの棚を見たくなったときにすぐわかるし、狭い図書館だと本棚を見るときにも他の人の邪魔にならないように気を遣わないといけませんが、何がどこにあるかわかりやすくしてくれるので迷ってうろうろすることもありません。

日本の小説は、著者の姓名の五十音順。複数の作家による作品集の場合、奥付に著者として複数の作家名が並んでいる書籍は、その書かれた作家達の一番先頭の著者名をとって、五十音順の並びに入れられ、奥付に著者名がない(著者名ではなく編者が記載されている)書籍は、本のタイトルで五十音順の並びに入れられています。外国の小説は、英米文学・ドイツ文学・フランス文学…と国別に分類された上で、日本の小説と同様に並んでいます。

一般書架の中でぜひ見て欲しいのは地域資料コーナー。神楽坂に最も近い図書館なので、神楽坂のガイド本、神楽坂に関連するエッセイ本、雑誌「東京人」で神楽坂が特集になったときのバックナンバーなど、神楽坂に関する本がたくさんあります。「神楽坂まちの手帖」「神楽坂ニュース」「ここは牛込、神楽坂」などの廃刊になったタウン誌のバックナンバーは、おそらくほかではなかなか見ることができない資料だと思います。神楽坂出身の竹田真砂子さんについては、著書はもちろん、ご本人の色紙もあったり、牛込神楽坂駅からの道のりに記念館がある宮城道雄さんに関する本もある。地域資料コーナーの上には「あなたの知らない神楽坂がここにある」という大きな看板があるのですが、まさにその通りの充実したコーナーです。

もう一つ、資料とはちょっと違いますが見て欲しいものが、吉川英治と松本清張の全集の棚。児童コーナー手前にある回転棚にこの2つが一緒に納まっているのですが、棚の上に吉川英治と松本清張のイラストコラージュ作品があるんです。職員さんに聞いてみたところ、以前中町図書館に配属されていた絵の上手な職員さんが描いたものだそうで、作品世界を描いたイラストの中央に作家ご本人の似顔絵があり、私は中町図書館に来るたびに見入ってしまいます。

§ 児童コーナー

児童コーナーは一番奥のエリア。向かって左の方が絵本で、右の方が児童用読み物です。児童コーナーも面積としてはけっして広くはないですが、中央に大きな机があり、窓に面していることもあって、狭いながらも中町図書館の中では開放的なエリアです。

絵本の棚は、日本のおはなしも外国のおはなしも一緒にして、タイトルの頭文字で分類されています。児童読み物は、日本人作家のものと外国人作家のものを分けたうえで、著者姓名五十音順に並んでいます。絵本棚は下から4,5段目まで使っているので、小さい子どもさんが自分で読みたい本を取れないこともあると思いますが、図書館自体が狭いので仕方ない面もありますね。絵本を取りにくそうにしているお子さんを見かけたら、絵本をとってあげましょう。

その他にも、英語で書かれた絵本やフランス語で書かれた絵本もあったりして、小規模でもいろんな種類の資料があるっていいですね。児童コーナーと一般書架コーナーが区画としてはっきり分かれているわけではなく、一般書架のうち児童コーナーに近いところが中高生コーナーになっているので、高学年の児童が読む本を探しているうちに自然と一般書架にも手が伸びることもありそう。何かお薦めの本を知りたいというときには、児童雑誌の棚の上に年齢別にお薦め本を挙げた「このほんしってる?」や子ども達がお薦め本を投稿した「みんなのおすすめ本」というファイルがあるので、そちらもぜひ見てみてください。

§ 狭さを解消する工夫

中町図書館は小規模ながら多めの蔵書量を有している図書館なのですが、その狭さを解消する工夫が館内のあちこちに見られます。

書棚の壁際にある6つの閲覧机は、四角い板ではなく、人が入るところだけ丸くくぼんでいるという変わった形です。この形も、狭さを解消する技の一つでしょう。この机は狭いながらも一人ずつデスクライトがついています。

検索機も面白い置き方をしていて、付属の卓上タイプのプリンタを、卓上ではなく壁に掛けているのです。モニタの上の柱にプリンタの底をくっつけて、印刷用紙が横に出てくるような形で、ちょっと面白いです。

こうした工夫とともに、事務所の入口脇には突然雨が降ったときに貸出できる傘を用意しています。利用者の方がご好意で図書館に寄付したもののようですが、これも神楽坂の人情味溢れる様子の表れかもしれませんね。

最近の図書館は、車椅子でも不自由なく動けるよう棚と棚の間を広くとるところが多く、そうした図書館に慣れている人が中町図書館に来たら、少し圧迫感を感じると思います。私も、一番最初に行ったときはそう感じたのですが、何度も訪問した今は、むしろ本がたくさんある感じが気に入ってます(笑)。本がぎっしり並んだ中から本を探すのがお好きな方は、ぜひ中町図書館に行きましょう!

新宿区立中町図書館 データ

住所東京都新宿区中町25 地下1階 →Google Mapで見る
Tel03-3267-3121
開館時間
火曜~金曜9:00~19:00
土・日曜、祝日9:00~18:00
定休日月曜・第3木曜(祝休日と重なる場合は開館し、翌日を休館)
12月29日~1月4日
最寄駅 都営大江戸線 牛込神楽坂駅から徒歩6分
東京メトロ東西線 神楽坂駅から徒歩11分
都営大江戸線 牛込柳町駅から徒歩14分
東京メトロ有楽町線南北線 飯田橋駅から徒歩14分
JR総武線 飯田橋駅から徒歩16分
駐輪場なし。建物手前の駐輪場は中町保育園の駐輪場で、図書館としては駐輪場ではありません。徒歩で来てください。
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数62,923冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
なしなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物1階入口右(中町保育園入口の左)にブックポストあり
自動貸出機ICタグ式自動貸出機1台あり
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCネット閲覧PC1台あり。利用は1回30分。
持参PC利用不可
LAN接続館内用無線LANの利用可能
飲食設備等なし