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渋谷区立臨川みんなの図書館

渋谷区立臨川みんなの図書館 訪問記

last visit:2015/04/10

渋谷区立臨川みんなの図書館は、恵比寿駅と広尾駅の間にある渋谷区立臨川小学校の一画を利用した図書館です。単に建物として校舎の一画を活用しているだけでなく、学校図書館と公共図書館が一体的に運営されています。

§ 図書館の場所

臨川みんなの図書館の位置は、恵比寿駅と広尾駅の真ん中付近。強いていえば、恵比寿駅の方が近いと思います。JR恵比寿駅からは西口を左、日比谷線の恵比寿駅からは1番出口を出て、恵比寿駅前交番向かって左のJR線路下をくぐります。200mほど進むと歩道橋がぐるりと囲む「渋谷橋」交差点で明治通りと交差するので、そこで右折します。そこから450mほど進んだ「恵比寿橋」交差点の次の信号で左折すると、右先に臨川みんなの図書館があります。

広尾駅から行くとしたら2番出口を右に出て、「広尾橋」交差点を更に右折して広尾商店街へと入ります。道がお寺の入口に突き当たる一つ手前の路地で右折し、その路地に沿って左折します。300mほど進んだところで左側に見える小学校が臨川小学校で、小学校の敷地の先で右折するとすぐに図書館入口があります。

§ 図書館内の様子

臨川みんなの図書館は、臨川小学校の校舎の端を図書館として改築した施設です。というと、空きスペースを利用した小さな図書館を想像するかもしれませんが、1,2階の2フロアを使用しているし、小学校の図書室部分とも連携しているので、わりと広いです。

フロアごとの配置は、1階に一般書架、新聞・雑誌、中高生コーナー。2階に児童(絵本)コーナーと学校図書室。臨川小学校が開いている時間帯に中学生以上の人が2階を利用する場合は、入館証が必要になります。

改築したとはいえ、館内の構造に校舎の名残が感じられて面白いです。日本の公立小学校の校舎って、細長い建物の片側に廊下があり、反対側に教室が並ぶ構造になっていますよね。臨川みんなの図書館の構造をざっくりいうと、その教室部を書架にして、教室と教室の間の壁に穴を開けて通路を作って図書館にしたような形なんです。館内を回っていると校舎の構造の名残を感じるのは、最初から図書館として設計されたのではない施設の面白さですね。

§ 1階の配置

1階の入口を入ると、右にカウンターがあり、左右に書架が広がっています。入口左が中高生コーナー・地域資料・辞典類・大活字本・総記・哲学・語学。それ以外の一般書架は入口右のエリアです。所蔵資料としてはCDなどはなく、図書・雑誌・新聞などだけですね。

机席は、元教室エリアの書架の窓際に閲覧机が並んでいるかたち。入口から見て右のエリアにも左のエリアにも閲覧席がありますが、左のエリアの机のみ1席ずつデスクライトが設置されているタイプになっています。

1階の検索機脇には紙袋が置いてあり、たくさんの本を借りるときなどは自由に使えます。また、2階に行かない人には気付きにくいですが、入口から見て左奥のエレベーター手前左の壁に、図書館の除籍蔵書や利用者の古本が置いてあるリサイクル本コーナーがあり、自由に本をもらうことができます。

書棚をみると、小学校の一画だからといって親子向けの本が多いといった傾向はなく、それぞれのジャンルを満遍なく揃えています。臨川「みんなの」図書館という名前には、小学校の校舎を利用した施設だけど、特に児童向けではなく、あらゆる層に向けた図書館だという思いが込められているのかもしれません。

日本の小説はエッセイと一緒になって、著者名の五十音順に並んでいます。但し、複数の著者による作品集は、タイトル名を元に、五十音順の並びに入れられています。例えば、雫井脩介(シズクイ シュウスケ)が書いたの本の隣に、3人の作家による『シティ・マラソンズ』という本が並び、その隣に紫野貴李(シノ キリ)が書いた本がある、といった具合になります。外国の小説は、国や地域で分類することなく、外国の小説でひとまとまりにしたうえで、著者姓名の五十音順に並んでいます。

元廊下部の窓際には、窓に背を向ける形でソファが並んでいます。ソファの前には廊下部と教室部を隔てる壁をくりぬいて作った三角形の棚があり、テーマ展示をしています。ソファに座って前を見るとちょうどこのテーマ展示が目に入るという、とてもいい位置の展示コーナーで、職員さんも力が入るのでは。三角形の棚はきっちり本が入らなくて活用するのが難しそうですが、壁も使って楽しい展示をしてくれています。

§ 2階の児童コーナー

2階にあがると、1教室分ほどのスペースを占める大きな絵本コーナーで、ほぼ全体が靴を脱いであがるスペースです。絵本は、日本のおはなしも外国のおはなしも一緒にして、おはなしの作者の五十音順で並んでいます。これだけ広いと走り回ったりする子もいると思いますが、もとが小学校で造りがしっかりしているので、下に響いたりすることもないと思います。

手前の机席はお絵かきができる席で、勢い余って紙から色鉛筆やクレヨンがはみだしてもいいように、机自体が紙で覆われています。これならまだ上手にお絵かきできない小さい子どもも安心ですね。机のそばの壁には、臨川みんなの図書館オリジナルの塗り絵「シブヤ戦隊リンセンジャー」や「きせかえリンちゃん」に皆が色を塗ったものがたくさん貼ってあります。たぶん、職員さんにお願いすれば塗り絵用紙をいただけるのではないかと思います。

靴脱ぎスペースの手前には「読み聞かせノート」という手作りのモコモコしたノートがあり、スタッフさんが読み聞かせしたうえでこれはお薦めという本をファイルしています。誰に読み聞かせしたか(対象年齢)やストーリーも書いてあるので、何かいい本ないかなと探す際にはぜひ活用してください。

絵本コーナーの先に児童書コーナーがありますが、ここからは臨川小学校の中になり、入るときもスリッパに履き替えます。こちらのエリアは完全に廊下と教室に分かれている「校舎」の構造になっています。

学校図書室と公立図書館が一体となっているので、臨川小学校の図書室の本も渋谷区立図書館のカードで貸出できるのだそうです。ただ、渋谷区のおすすめの図書など、いつも図書室にある状態にしておきたい本は館内閲覧のみとなっています。この辺の仕組みは一般の図書館と同じですね。学校図書室の中に渋谷区立図書館の検索機があるので、臨川小学校の生徒にとっては、学校図書室を通じて他の渋谷区立図書館にある本を取り寄せたりもできるんじゃないかな。

児童読みものは日本人作家のおはなしと外国人作家のおはなしを別にして、著者姓名の五十音順に並んでいます。ちしきの本も充実していますね。臨川小学校図書室エリアは、公共図書館だけを回っている私の感覚で平均的な図書館の児童コーナーと遜色ないように感じるので、学校図書室としてはかなり充実しているほうなのではないかと思います。考えてみれば、小学校それぞれで図書室作って本を買うってお金がかかるし、司書という人材を確保し、本の情報を集めるのも大変。その点でこうした学校図書室と公共図書館の一体的運営は、メリットも多いのではないかと思います。

ふと思ったのが、学校図書室と公立図書館が一緒に運営されているというのは、小学校に図書委員が要らないってこと?それとも、小学生の図書委員もいて運営の手伝いをするのかな。公立図書館の行事で、児童向けに「図書館職員体験」などをやることがよくありますが、小学校の委員会の一つで日常的に図書館職員体験ができたら、図書館職員さんになりたいという子どもも増えるかも?!

§ 名前の通り、「みんな」の図書館

臨川みんなの図書館のような区立図書館と学校図書室が連携している図書館は、小学校の生徒さんにとっては区立図書館と連携していることで本の選択肢が広がるし、大人にとっても住宅街の中に図書館が存在することになって便利ですよね。また、これから臨川小学校に入学するお子さんにとっても、図書館利用を通じて施設にちょっと馴染めるという効果があるのではないでしょうか。子どもって大人以上に新しい世界に踏み出すのに勇気が要ると思いますが、図書館利用で通学路や建物に馴染んでいればハードルは低くなりそう。

大人にとっては、久しぶりの校舎構造も面白いと思います。ぜひその辺も楽しんでくださいね。

渋谷区立臨川みんなの図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  本の福袋
―2015年4月10日から5月15日までの企画
子ども読書週間を中心に渋谷区立図書館各館で実施されている「春の図書館フェア」の一企画として、児童向けにテーマに沿った本を袋詰めにした状態で貸し出す「本の福袋」が行われています。中身は借りてからのお楽しみ。

渋谷区立臨川みんなの図書館 データ

住所東京都渋谷区広尾1-9-17 1階 →Google Mapで見る
Tel03-5793-9500
開館時間
火~土曜9:00~19:00
日・月曜、祝日9:00~17:00
定休日第2,4月曜・第1,3月曜の翌火曜・第2木曜(祝休日にあたる場合は開館し、直後の平日を休館)
12月29日~1月3日
最寄駅 東京メトロ日比谷線JR山手線埼京線湘南新宿ライン 恵比寿駅から徒歩12分
東京メトロ日比谷線 広尾駅から徒歩13分
駐輪場入口前のスロープ手前とスロープ奥に駐輪場あり
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数77,935冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
なしなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト図書館入口へ向かうスロープ手前左の壁にブックポストあり。開館中の使用は不可。
自動貸出機1階入口入った正面にICタグ式自動貸出機2台あり
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用1階机席(19席)で持参PCの使用可能。電源なし。
LAN接続館内や公式サイトには明記されていませんが、ソフトバンクWi-Fiスポットau Wi-Fi SPOTWi2 300ご利用可能エリアに臨川みんなの図書館が登録されており、1階にいると各Wi-Fiの電波が入ります
飲食設備等着席時の蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)からの飲料摂取はOK、それ以外の飲食は不可