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葛飾区立お花茶屋図書館

葛飾区立お花茶屋図書館 訪問記

last visit:2013/09/27

葛飾区立お花茶屋図書館は、お花茶屋駅の北西の、共栄学園の近くにある図書館。中高生からシニア向けまで、常設コーナーがたくさんあります。

§ 図書館への道

お花茶屋図書館の最寄り駅は、その名の通り京成本線お花茶屋駅。駅の改札を出たら、左手前に折り返す方向の階段を降り、右先にあるプロムナードお花茶屋商店街へ入ります。商店街入口から260mほど歩くと、1つ目の信号(右先に共栄学園がある信号)があるので左折、そこから1つ目の信号で右折、70mほど進んだ道の左側にお花茶屋図書館があります。淡い緑色の壁面が2,3階部分だけ白くなっている地味な建物なので、初めて行く際には見落とさないようご注意ください。

駅からの道のりで通るプロムナードお花茶屋商店街は、道幅が広くて買い物客が多い時間帯にも歩きやすいです。歩きやすい分、パン屋さんの商品や焼き鳥などが目に入り、ダイエット中の人には目の毒かも(笑)。私も先日、17時頃お花茶屋図書館へと向かった際、商店街を一通り端まで歩いて物色してからわざわざ引き返して一番気になったパンを買ってしまいました。

§ 図書館内の配置

お花茶屋図書館は3階まであり、1階が一般書架、2階が児童室・郷土資料室・第二閲覧室、3階が第一閲覧室・パソコンコーナーというフロア構成です。3階のパソコンコーナーは利用者の持参PCを使用できる席で、図書館に設置されているネット閲覧PCは1階にあります。2階の第二閲覧室は、名前こそ「閲覧室」ですが、パソコンがずらりと並ぶパソコン講習会の部屋なので、実質的には閲覧室ではありません。

地域館にしては大きく、葛飾区では中央図書館に次いで蔵書数が多い図書館です。といっても、中央図書館の蔵書35万冊に対して、お花茶屋図書館の蔵書は11万冊と、中央図書館の蔵書数が圧倒的ではありますが(数字は『葛飾の図書館 平成23年度事業報告』にある平成24年4月1日現在のもの)。学校や商店街からも近いですし、お花茶屋付近の皆さんの生活の中に溶け込んでいる図書館です。

§ 大人向けの主な資料・設備のある1階

1階の入口を入ると、正面左にカウンターがあり、そこから右へと書架エリアが広がっています。書架エリア内の配置は、カウンター前に雑誌コーナーがあり、その先にCD・カセットや事典類、さらに奥に一般書架。入口側の窓際には、ビジネスコーナー、新聞コーナー、ネット閲覧PCなどがあります。

1階の座席は椅子中心で、机席は参考図書コーナー(事典類)の4席のみ。こちらは調べもの専用席で、利用の際にはカウンターへの申込が必要です。事典類を利用するとき以外は、ちょっとした読書や次から次へと棚の本を取って戻すようなときには1階の椅子席で、じっくり読みたい場合は本を決めてから3階の閲覧室を使うのがいいですね。

日本の小説は著者姓名の五十音順に並んでいます。但し、複数作家の作品集は、小説の隣の棚(26番)にまとめられています。外国の小説は、「中国文学」「英米文学」「ドイツ文学」といったように国・地域別に分類した上で、著者姓名の五十音順に並んでいます。

小説の棚は一工夫されており、葛飾区にゆかりのある著者の見出しには、「在住」「出身」「過去に在住」など葛飾区との関係を示すマークが貼られています。私が見つけたところでは、栗本薫と曽野綾子に「出身」、落合信彦に「過去に在住」のマークが貼られていました。遠い存在の小説家も、葛飾区とのゆかりを知ると親近感が湧きますね。

小説の棚の隣にあるヤングコーナーは、本棚の棚板にオレンジの色紙を貼ることで、ヤングコーナーとそうでない棚の境目が一目でわかるようになっています。棚の側面の掲示板にも図書館のイベントや本の情報が掲載されており、中高生とは程遠い私も思わずチェックしてしまいます。ヤングコーナー隣の「楽譜コーナー」は、楽器を楽しむ中高生に向けてこの場所に配置したのでしょうが、大人にもお薦め。そもそも、「児童向け」「中高生向け」「一般」といった分類はあくまで「向け」であって、絵本が好きな大人もたくさんいますもんね。図書館の分類を横断して、いろいろな本に出会いたいです。

壁沿いの棚にある「パソコン関連の本」は、図書館の分類に詳しくない人にはやや誤解を招くかも。というのも、一般的な図書館の分類では、ExcelやWordの使い方などパソコン全般に関する本は「007 情報科学」、インターネット関連の本は「547 電気通信」と分かれてしまい、お花茶屋図書館の「パソコン関連の本」は「007 情報科学」が置いてある棚なんです。これだと、パソコン全般とインターネット関連が別の分類になると知らない人が、「パソコン関連の本」コーナーでネットに関する本を探し、見つけられずに終わってしまいそう。図書館の分類にはこうしたわかりにくい点がいくつかありますが、棚に注記を書くなどして利用者が目当ての本を探しやすいようにしてくれるといいなと思います。

館内で見つけて心遣いに嬉しくなったのが、調べもの優先席裏にある注意書き。「新聞をめくる音がうるさく感じる人もいます。申し訳ありませんが静かにめくってください」という注意書きのあとに、「おねがいばかりですみません」という文言が書いてあるんです。こうした注意は、利用者を縛るためにしているわけではなく、皆にとって居心地いい空間にするためですもんね。利用者と図書館側が一緒になって、皆が行きたくなるような雰囲気を作りたいものです。

§ 2階の児童室・郷土資料室・第二閲覧室

2階に上がると3室の部屋があり、まず一番手前が第二閲覧室。閲覧室といっても、パソコン講習会のために部屋というのが実際のところ。こちらの講習会はお花茶屋図書館ではなく、葛飾区の教育委員会などが運営しており、講習を受けたい場合は区の広報やホームページを通じて申し込むようになっています。図書館でこうした講習会があると、講習のついでに図書館を利用したりもできますね。

第二閲覧室の隣は郷土資料室。壁4面の棚の他は机一つと展示が少しで、がらんとした淋しい部屋です。というか、他館に配送する資料を入れた箱があったりするので、半ば倉庫になっている気もしなくもないですが、れっきとした資料室。郷土資料のほかに点字資料もありますよ。17時以降とIT講習会をやっている時には閉室してしまうそうですが、カウンターに言えば入らせてもらえるとのことです。

地域資料でちょっと目を惹くのは、青木正美氏に関する記事の切り抜きを掲示していること。堀切で古本屋を経営しながら、「二十歳の日記」「古本屋五十年」などの著作を出版した方です。青木氏が経営している青木書店は、お花茶屋駅のお隣の堀切菖蒲園駅なので、この図書館のついでに寄ってもいいですね。

2階の一番奥の部屋は児童室。こちらにもカウンターがあるし、図書館の裏側には階段を上がって直接児童室に入れる入口もあるので、児童用資料の利用だけならこの部屋だけで済ますこともできます。壁にはタペストリーや切り絵などが飾られた賑やかな雰囲気、読み聞かせコーナーにはぬいぐるみもあるので、集中力の足りない子どもさんでも、楽しみながら読書できるかも。

§ 3階のパソコンコーナー・第一閲覧室

3階にあがると、奥に机がずらっと並ぶ第一閲覧室があり、その手前のロビー風の空間にも机をいくつか並べてパソコンコーナーとしています。パソコンコーナーは、利用者が持参したPCを使用できる席で、電源も設置されており、1階のカウンターに申し込んで利用するかたち。以前は3時間単位の時間利用制となっていましたが、今は特に時間はきまっておらず、満席のときに使いたい人が来たら長時間利用している方に終了してもらうかたちで運用しているとのこと。だから、満席のときもあきらめずにカウンターに問い合わせてください。

第一閲覧室は、部屋いっぱいに長机が並んでいます。といっても、机同士の間隔は広いし、横に椅子をぴったり3つ並べられる長机を2人で並ぶかたちなので、比較的ゆったりと使用できます。座席の向きも、全員が同じ方向になるようにしているので、誰かと向かい合うタイプの閲覧席よりも集中しやすいです。

§ 常設コーナーがいろいろある書架

お花茶屋図書館の書架を回ると、常設コーナーがあちこちにあります。一般的な図書館での分類とは別に、いろいろな切り口で図書を集めたコーナーが、お花茶屋図書館の個性となっています。

まずは、1階入口入って右手前のビジネスコーナー。これは、お花茶屋図書館ならではのコーナーというより、葛飾区立図書館の数館で設置しているコーナーで、「就職情報・会社情報」「起業・開業」「資格試験」「仕事の技術・ビジネス語学」「雇用について」「マネージメント・コーチング」「マーケティング」「中小企業・商店経営」「この人に学ぶ」という項目で、ビジネス資料を集めています。お勤めの人にも経営者にも参考になる情報を集めてコーナーといえますね。通常のテーマ展示(入口入った正面にあります)とは別に、ビジネスコーナーでもビジネス本のテーマ展示をしているので、そちらもぜひ。

また、CD・カセットコーナーの隣の本棚には「闘病記コーナー」があります。一般的な図書館の分類ですと、一般的な闘病記は「エッセイ・ルポ」に分類されますが、病気にフォーカスしたものは「医学」に分類されたり、スポーツ選手の闘病記は「スポーツ」に分類されてしまったりと、バラバラになってしまう。それを「闘病記」でまとめてコーナーを作っているわけです。

実際の「闘病記コーナー」の棚を見ると、「看護の現場から」「がんに関する本」「脳に関する本」「心臓に関する本」「心に関する本」「小児に関する本」「その他の疾病」と概ね病気の種類別に分類されており、闘病している本人の手記や家族の手記、書いている人も有名人から一般人まで、さまざまな闘病記が集まっています。自分が病気にかかったときの心の支えとして読んだり、周囲の人が病気になったときに理解を深めるために読んだり、いろいろな局面で活用できるコーナーです。

常設コーナーでも一番大きいのが「うるおいのある生き方コーナー」。各ジャンルの図書のうち、『定年後に始める方のための~』『50歳からの~』『60歳からの~』といった本が並んでいます。年齢が高い人向けという印象が強いものの、『35歳からの~』という本もあり、<高齢者向け>というよりは<これから先の人生を充実させたい人のコーナー>といった様子がうかがえます。ちなみに、~にあたるものは、スポーツ、音楽といった趣味もあれば、健康やパソコンの使い方のような実用的なもの、図書館の楽しみ方の本などもあったりして、どんな人でもピンとくるものが見つかりそう。

「うるおいのある生き方コーナー」は、大人になってから何かを始める人のための本、つまり、各ジャンルの入門書・初心者向けの本が集まっているといえるコーナー。そういう意味では、お花茶屋図書館利用者さんが何か新しいことをはじめるという際に使えるコーナーともいえます。まずはこのコーナーの本で基本を押さえて、その後そのジャンルの棚にある詳しい本へステップアップするというかたちで利用できそう。

こんなかたちで、古いながらも工夫に溢れるお花茶屋図書館。通勤・通学や買い物帰りにふらっと寄りたくなる、庶民的な雰囲気が魅力です。

葛飾区立お花茶屋図書館 データ

住所東京都葛飾区お花茶屋2-1-15 →Google Mapで見る
Tel03-3690-7661
開館時間
火~土曜一般エリア9:00~20:00
児童室9:00~18:00
日曜・祝日9:00~17:00
定休日月曜・第4木曜(祝日は開館し、翌日を休館)
12月29日~1月3日
最寄駅 京成本線 お花茶屋駅から徒歩8分
駐輪場建物入口手前に駐輪場あり
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数111,713冊(2023/04/01現在、出典『葛飾の図書館 令和4年度事業年報』)
CD所蔵数3,308点(2023/04/01現在、出典『葛飾の図書館 令和4年度事業年報』)
カセット所蔵数106点(2023/04/01現在、出典『葛飾の図書館 令和4年度事業年報』)
DVD所蔵数57点(2023/04/01現在、出典『葛飾の図書館 令和4年度事業年報』)
ビデオ所蔵数10点(2023/04/01現在、出典『葛飾の図書館 令和4年度事業年報』)
設備
ブックポスト建物正面入口向かって左の壁面にブックポストあり
自動貸出機1階カウンター向かって左にICタグ式自動貸出機1台あり
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PC1階窓際にネット閲覧PC2台あり。利用は30分ごとに区切られた単位(x:00~x:30、x:30~y:00)で、次の予約がなければ延長可能。
持参PC利用3階のパソコンコーナー(6席)で持参PCの使用可能。電源あり。
LAN接続館内で、葛飾区立図書館公衆無線LANサービス(Katsushika_Library_Wi-Fi)の利用が可能。葛飾区立図書館公衆無線LANサービスの利用方法はこちらです。
飲食設備等蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)の飲料に限り、机席での摂取可能。但し、飲むとき以外は鞄にしまってくださいとのこと。