足立区立梅田図書館
足立区立梅田図書館 訪問記
足立区立梅田図書館は、足立区立梅田図書館は、梅島駅近くにある図書館。現在の中央図書館ができるまでは、梅田図書館が中央図書館でした。また、足立区の最初の図書館である「梅島図書館」も継いでおり、足立区の図書館事業で大きな役割を果たしていた図書館です。
梅田図書館は、東武伊勢崎線の梅島駅から徒歩10分程度の場所、梅島公園のすぐ南にあります。通り道には梅田地域学習センターの入っているエル・ソフィアがあり、この中にある男女参画プラザ・消費者センター情報資料室でも足立区立図書館カードを使った貸出や返却ができます。本棚を見て手に取って利用したいときには梅田図書館、返却や予約受取のときには駅から近い男女参画プラザ・消費者センター情報資料室といった使い方ができて便利です。
3階建ての建物の2,3階が梅田図書館で、1階にはNPO活動支援センターが入っています。図書館へは屋外の階段をのぼって2階入口から入るようになっていますが、階段であがるのが困難な方は1階の梅島公園側にある入口から入り、エレベーターであがることもできます。このエレベーターからあがると、意外な場所から図書館エリアになって面白い。それがどこかというのは後述します。
フロア構成としては、2階が書架とカウンター、3階が読書室、自動販売機コーナー、イベントを行う会議室。2階と3階を繋ぐ階段付近は吹き抜けになっており、他の地域館より風格ある雰囲気です。
それではフロアごとに館内の様子をご紹介します。2階入口を入ると、左に児童エリア、右手前にカウンターがあり、カウンターの右隣にヤングコーナー、カウンターから奥へ進むと新聞・雑誌コーナーがあり、更に奥が一般書架です。また、新聞・雑誌コーナーの左に別室として区切られたかたちで「文学のコーナー」があり、1階からのエレベーターを2階でおりてすぐ左の扉を開けると、この文学のコーナーに入ります。このエレベーターの位置は、入口という正規のルートを通らずに図書館の中にワープするかのようで、少しドキドキします
では、2階の各エリアを細かく見ていきましょう。入口正面、児童エリアと一般書架エリアの境目にはビジネス支援コーナーがあり、図書館分類では、別の項目に分かれてしまうビジネス関連の本が集まっています。「パソコン・人生訓」「経営・起業」「仕事術」「マナー・伝え方」「育成・労務管理」「事務・会計」「転職・業界」「営業・外国語」「マーケティング」「会議・会話」という項目で本が並んでいますが、こうした内容の本はこの棚だけでなく奥の一般書架にもあります。こうしたジャンルの本をお探しの場合は、この棚と一般書架の両方を見るのがいいです。ビジネス支援コーナーの本の分類記号は一般書架の分類記号と同じなので、「ビジネスマンの人生訓を探している→ビジネス支援コーナーの人生訓の本を見たらラベルが159だった→一般書架の159の分類を見る」という探し方をすれば、両方の棚から本探しができます。
このビジネス支援コーナーでは、ビジネス関連本が読めるだけではなく、ビジネス相談を投稿するとあだち産業センターへ回送してくれるポストがあります。利用者からのお薦め本投稿カードを掲示しているボードに隠れて見えにくいのですが、「ビジネス相談カード投書箱」というのがそれです。また、この産業センターが発行している「ほんナビ!」というミニ情報誌もビジネス支援コーナーの最下段で配布しています。B5版1枚両面印刷のミニ情報誌ですが、ビジネス本に関する情報が載っており、もちろん掲載されている本は足立区立図書館で借りられるので、ぜひ活用してください。
2階入口入って左の児童コーナーは、途中で直角に折れ曲がるL字型の空間です。「L」の角にあたる部分にある靴ぬぎスペース手前や靴ぬぎスペースの周りに絵本が並び、直角を曲がった先に児童読み物やちしきの本が並ぶという配置。18時になると児童エリア入口に小さな衝立が立てられ、保護者と一緒ではない小学生以下の子どもは帰りましょうと案内が流れますが、保護者と一緒の子どもや児童エリアの本を利用したい大人は18時を過ぎても入れます。
L字で曲がる内側の壁にある大きなポスターに描かれたエプロン姿のウサギは、梅田図書館マスコットの梅田うさおくん。うさおくんがつぶやいているという体で、梅田図書館のイベント情報を知らせてくれるtwitterアカウントもあるので、twitterをご利用の方はぜひフォローしてください。このポスターにはポケットがついてて、梅田うさおくんの名刺ももらえます。
絵本は、日本語で書かれた作品と外国語で書かれた絵本の翻訳で分けたうえで、おはなし作者の姓名五十音順に並んでいます。五十音順の並びの先頭には「よみがたり入門コーナー」があり、読み聞かせする絵本選びの参考になるブックガイドなどが揃ってます。
児童読み物は、対象年齢によって「ようねんどうわ」と「よみもの」に分けたうえで、更に日本語で書かれた作品と外国語で書かれた作品の翻訳に分けて、著者姓名の五十音順に並んでいます。読み物は児童エリア奥にありますが、足立区立図書館が作成した「あだち子どもの本たんけんたい」「あだち絵本ガイド101」というブックリストは靴ぬぎスペース手前の棚上にあるので、沢山ある本のなかでどれを読むか迷った場合の参考になります。これらのブックリスト自体も貸出しています。
カウンター向かって左にあるヤングコーナーは、入口と中央に大きな机があり、壁沿いに中高生向けの本や雑誌が並んでいる空間です。こう書くと、中高生以外は入ってはいけないと思うかもしれませんが、ネット閲覧PCがあったり、梅田図書館でここのテーブルが持参PCを使ってよい唯一の場所ということもあり、大人が利用しても構いません。実際、梅田図書館の2階で新聞閲覧や大型本閲覧などの用途が決まっていない机席はここだけということもあり、大人の人も座っています。
このヤングコーナーでいいと思うのは、中央の机専用で漢和辞典や国語辞典が用意されていること。机の中心に向かって輪になって座る机の上にこうした辞書があると、「読書中にわからない言葉があった→辞書ですぐ調べる」ということがしやすいです。
奥の一般書架は、向かって右の棚から左の棚へと概ね日本十進分類法の順に並んでいます。ただ、裁縫や料理などの家事関連本は雑誌コーナーの左に、また、パソコン関連本は通常「547 通信工学」に分類されるインターネット関連も「007 情報科学」に分類されているので注意が必要です。
このパソコン関連本については、このように一般的には別の分類になる本も全て一緒にしたうえで独自の分類をしています。具体的には「007C パソコン(理論)」「007F オフィス系ソフト」「007H ホームページなど」「007M マッキントッシュ」「007N インターネット 」「007P 仕組み・使い方」「007T IT関係」「007W ウィンドウズ」というかたちで、図書館用語ではなく一般のパソコン用語で分類されているので、わかりやすいです。
医学や料理の棚も分類が細かいです。例えば、素人にはどの病気が内科でどの病気が外科になるかも難しいときがありますが、医学の棚では「糖尿病」「肥満症」「アレルギー性疾患」「放射能障害」のように病名の見出しがついているので探しやすい。また、料理の棚では「和食」「韓国」「中華」のような国別分類、「おつまみ」「つけもの」のような種別分類、「魚料理」「肉料理」のような材料分類と、料理本の切り口によって分類しています。
病気とレシピ本といえば、足立区民の健康寿命が都民の平均より約2歳短いという事実をご存知ですか。梅田図書館の壁にそのポスターが貼ってあったのを見て知りましたが、足立区ではその原因を糖尿病をはじめとする生活習慣病だと分析。そこでそのポスター(文学のコーナーの入口手前右の壁)の脇に糖尿病用レシピ本を展示しています。病気を抱えている人はもちろん、最近血糖値が気になるという人もぜひ活用してください。
別室になっている「文学のコーナー」には、小説や詩などの文芸書、文学に関する本のほか、行政資料や外国語図書・外国語絵本もあります。日本の小説は著者姓名の五十音順で並んでおり、複数作家による作品集は「わ」の後、つまり五十音順の並びの後にまとめて置いてあります。外国の小説は、「中国文学」「英米文学」「ドイツ文学」のように国・地域別に分けたうえで、著者姓名五十音順に並んでいます。
「文学のコーナー」左奥には丸テーブルが設置されているのですが、ここに手作りのピラミッド型ブックラックがあり、本を面陳しています。このブックラックがあることでテーブルの上が使えなくなっているのですが、妙に存在感があり、何だか憎めない存在。現在はヤオキン商事株式会社による指定管理で運営している梅田図書館が、指定管理制度を導入する前からあるブックラックで、指定管理者として新しく入ってきた職員さんもこの存在感あるブックラックを捨てられなかったのではと想像してしまいます。
3階には、読書室、自動販売機コーナー、イベントを行う会議室があります。自動販売機コーナーには椅子も10席程度あるので、その場で買った飲み物を飲むこともできますし、ペットボトル・水筒などの蓋のついている容器に入っていれば読書室で飲料摂取もできます。但し、容器を机に置きっぱなしにせず、鞄に入れておいて飲むときだけ取り出すかたちにしてください。
読書室で梅田図書館の蔵書を読むときは貸出手続をする必要があります。通常の貸出と館内貸出は別扱いだそうで、館内貸出した本を館外貸出したかったら別の手続きが必要です。読んだ後に借りるかもしれない可能性があれば、最初から館外貸出をしておくのがいいと思います。
また、3階の読書室はカウンターに申込して利用する仕組みです。2階カウンターで申込をすると、図書館カードと引き換えに座席指定カードを渡されるので、カードの番号と同じ座席を探してください。座席が100席と多いせいか、時間制限なく利用できますし、長い机に2人が座るかたちなのですが、隣の人とは互い違いの向きで、かつ、間に仕切りもあります。手続きが少し面倒ですが、集中したい人には3階読書室がお薦めです。
梅田図書館の書架の脇には、館内で本を持ち歩く際に利用できる図書バッグがかけてあるのですが、それには「ちゅうおうとしょかん」という文字がプリントしてあり、後付けで「梅田図書館」というラベルが貼られています。が、これはおそらく、中央図書館の図書バッグを流用している訳ではありません。というのも、今の足立区立中央図書館が開設されたのが2000(平成12)年7月で、それまではこの梅田図書館が足立区の中央図書館だったのです。梅田図書館にある図書バッグは、おそらくその当時使っていたものを残しているのだと思います。また、2階にあがる外階段の上にある「足立区立梅田図書館」のロゴも、よく見ると「梅田」だけ色が違っているのがわかります。
あだち広報の2015(平成27)年12月10日号の8ページを見ると、簡単な足立区立中央図書館のあゆみがわかるのですが、足立区で最初に開設された図書館が1950(昭和25)年に開館した「梅島図書館」。それが1969(昭和44)年に移設&グレードアップして中央図書館となり、2000(平成12)年に現在の中央図書館が開設された際に、それまでの中央図書館が梅田図書館となったという経緯があります。図書バッグもそうですし、中央図書館以外では足立区内で一番面積が大きいのが梅田図書館だということにも、旧中央図書館の名残りが感じられます。
また、足立区立図書館の図書館だより「かけはし」の2016年1月号の番外編「区長インタビュー全文」には、「梅島図書館」時代から図書館を利用していた区長のインタビューが載っています。電算化される前の図書館カードの話や、梅島図書館だった頃は2階に閲覧室があったことなど、当時利用していた人にしかわからない記憶を読むことができます。
現在の大きな中央図書館を見てしまうと、地域館の一つに過ぎない規模の梅田図書館ですが、前の中央図書館だったと知ると、ラウンジのような雰囲気が残るヤングコーナーや100席ある読書室は、やはり他の地域館とは一味違う雰囲気です。「梅島図書館」時代から足立区の図書館事業を担ってきた梅田図書館、地元の人はもちろん、足立区の図書館のあゆみを知りたい人には中央図書館と合わせて利用して欲しい図書館です。
足立区立梅田図書館 特集・行事・図書館だより感想記
足立区立梅田図書館 データ
住所 | 東京都足立区梅田7-13-1 2,3階 →Google Mapで見る |
Tel | 03-3840-4646 |
開館時間 | 9:00~20:00 ※12月28日・1月4日は9:00~17:00 |
定休日 | 月末日(土・日曜・祝日の場合は開館し、直前の金曜に休館) 毎月1回施設点検日 12月29日~1月3日 |
最寄駅 | 東武伊勢崎線 梅島駅から徒歩11分 |
駐輪場 | 建物北側(梅島公園側)と西側に駐輪場あり |
駐車場 | 建物北側(梅島公園側)に一般用駐車場4台分、障害者用駐車場1台分あり |
SNS等 |
|
所蔵資料 | |
図書所蔵数 | 72,310冊(2023/03/31現在、出典『足立区の図書館 令和4年度事業報告書』) |
CD所蔵数 | なし(2023/03/31現在、出典『足立区の図書館 令和4年度事業報告書』) |
DVD所蔵数 | なし(2023/03/31現在、出典『足立区の図書館 令和4年度事業報告書』) |
ビデオ所蔵数 | なし(2023/03/31現在、出典『足立区の図書館 令和4年度事業報告書』) |
設備 | |
ブックポスト | 建物1階入口(図書館入口とは別の梅島公園側入口)向かって右に、上部が白、下部が水色の箱型ブックポストあり。開館中の使用については明記なし。 |
自動貸出機 | なし |
自動返却機 | なし |
セルフ予約受取 | なし |
図書の除菌 | LIVA図書除菌機あり |
音声試聴設備 | なし |
映像視聴設備 | なし |
ネット閲覧PC | ヤングコーナーにネット閲覧PC1台あり。利用は中学生以上、但し保護者同伴の場合は小学生以下も利用可能。9:00~19:30までの申込みが必要で、00分と30分を区切りに、30分単位での利用。次に待っている人がいなければ延長可能。 |
持参PC利用 | ヤングコーナーで持参PCの使用可能。電源なし。 |
LAN接続 |
|
飲食設備等 |
|
その他設備 |
|
ワークショップ形式のビブリオバトル入門講座に参加してきました。参加者同士で話が弾んで、途中休憩が予定より長引いてしまったくらい。ビブリオバトルが書評コンテストなどではなくコミュニケーションゲームだということを実感できる楽しいイベントでした。