東葛西PRESS 秋深し隣は何もしないヒト号「私の好きなものをご紹介します」
visit:2008/10/23
江戸川区立東葛西図書館の不定期刊の図書館だより「東葛西PRESS」。2008年10月10日に発行されたのが第10号になるのかな、この第10号の特集は「私の好きなものをご紹介します」です。
1ページ目の4コマ漫画は最近楽器を始めようかと思っている職員さんの話。奥様と演奏ですか、いいですね~。東葛西図書館の職員さんには、音楽を趣味としていらっしゃる方が多いように感じているので、ぜひオリジナル閉館音楽など作っていただけたら面白いのになあと、こっそり期待しています(笑)。
2,3ページには、東葛西図書館関係者さんが好きなものについて語った文章がぎっしり!東葛西PRESSは文字がぎっしり詰まった(だからといって、読みにくくはありません)図書館だよりで、活字中毒の方にはお薦めなんです。ちなみに、児童向けの「ひよこだより」の方も、児童向けとしては他に類を見ない文字密度です(今の2008年10月号は特に)。どの文章も削れない熱い思いが伝わってきて、好きなんですよね。
皆さんの好きなものは「ペンギン」「散歩」「俳句」「かばん」「藤原伊織」「たび」「着物」「猫」「靴」と、モノだったり、コトだったり、固有名詞だったり。私も凝りもせず、登場させていただいております。好きなもの「読書」って、他に何かないのか!ってこと書いてますが(苦笑)。この文章を書いたとき、『盗作の文学史』にハマっていたので、この本を紹介するために書いた点は否めません(笑)。いや、この本、本当に面白いんですよ~。
東葛西PRESSの独自なスタンスでもあり、単なる図書館だよりの枠を超えた面白さになっているのが、この2,3ページのような"人が見えてくる"誌面なんだと思います。東葛西図書館は、23区で一番最初にICタグによる自動貸出機を導入した図書館なのですが、いくら便利な機械や施設ができても図書館の雰囲気を作るのはモノではなく人。それは、職員さんだけでなく利用者もそうだと思うのですが、本を愛する人が集まる図書館はいい雰囲気だし、利己的に本を使う人や業務上仕方なく本を扱っている人のいつ図書館はやはりそれなりの雰囲気になってしまっているものです。こうした図書館関係者(私が入っていることからも、全てが職員さんとは限らないと思うのですが、詳しくはわかりません)さんの文章を読んでいると、職員さんとの距離が近くなった気がして、いい気分ですね。
4ページ目には、「少しだけ、触れてみる 初心者のためのSF案内 宇宙の巻」と「28歳男子、カフェが好きな理由(わけ)」。おっと、28歳男子は、雑誌紹介から単行本・CD比較へとシフトしたんですね。冒頭の文章から、「ある、ある!」と共感してしまう文章です。一人カフェに関しては、どうぞ「今、男子一人カフェがオシャレなんだよ。知らねーの?」くらいな態度で、堂々と入っちゃってください(笑)。
SFの方は、私はこれまであまり読んだことがないので、まさにこの企画にぴったりの読者。宇宙に関するSFがいろいろ紹介されている中で、「なんとなくイヤ~な読後感」という説明の「ダイヤモンドの犬」(短編集『火星の長城』収録)が気になってしまったのは、私がひねくれているからでしょうか(笑)。
5ページ目の「黒ヤギさんたら読まずに食べた!」は、「スタッフが誰かしらに手紙を書き、その中で勝手に本をお勧めする新コーナー」だそうです。読まずに食べられちゃうとしてもお勧めせずにはいられない本ってところなのかな。関係ないけど、万城目学のエッセイ集『ザ・万歩計』の、確か一番最初の文章がこのヤギさんの歌についての文章で、それを思い出してしまいました。勝手に本を薦めるって、結構楽しいですよね。私もたまに、勝手なイメージでこの人にこの本を読んで欲しいとプレゼントしてしまうことがあります。
最後のページは「本と彼女の二週間」と「ひがぴーだって司書である」。「本と彼女の二週間」は図書館スタッフさんの出来事と読んだ本を二週間分メモしたもの。図書館は非常勤職員の方も多いし、一人の方が何日くらい出勤しているものかって、利用者はあまりわからないですよね。特に話をするわけでなくても、しばらく顔を見ないと「もしかして、辞めちゃったのかな…」と思ったり。このメモはそこまでわかるものではないけど、職員さんも図書館での仕事以外にいろんな世界をお持ちであるという当たり前のことに気づかされます。
ひがぴー(♀)は、ひがろう(♂)と並んで、東葛西図書館の児童向けキャラクターとして活躍しているひよこちゃん。返却ポストから本を運ぶ二人の会話が「しっかり持って!重いわよ?」「けっこう力仕事だよ?」というものであることから察するに、ひがぴーの方が先輩なのかもしれません(笑)。
他に類を見ない図書館だより「東葛西PRESS」は人気もあり、早くしないとなくなってしまいます。図書館の中にある階段の踊り場には、拡大カラー版も貼ってあるので、そちらもどうぞ楽しんでくださいね。