「青い本」

―2008年7月11日からの展示
visit:2008/07/14

江戸川区立東葛西図書館の特集コーナー、2008年7月11日からの特集は「青い本」です。今回の特集コーナー、パッと見ただけで青い世界!というのも、内容が青にまつわる本だけでなく、表紙が青い本も集めているのです。むしろ、そちらの方が多いくらい?内容が青にまつわる本は表紙も青系統になる傾向がありますしね。そんな訳で、展示されている1冊1冊を見る前に、特集コーナーが全体が青なんです。

表紙が青い本にはどんな本があるのかというと、海の本や宇宙の本は写真を表紙にしてその他の部分も青系統である傾向がありますね。「老人と海」を代表作とするヘミングウェイの短編集『ヘミングウェイ全短編』の背が青いのもうなずける気がします。『宮沢賢治の<ファンタジー空間>を歩く』も表紙が青く、宮沢賢治は確かに青が似合う気がするなあと思ったのですが、文学の棚に行って他の宮沢賢治評論本を見てみたら、表紙が青い本は他には1冊もありませんでした。まあ、そんなものか(笑)。

あと、これは2冊ともに表紙を見せる形(面陳)で置いてあったから目立っていたのですが、『イギリス人はしたたか』と『旅の指さし会話帳 (10) イギリス』の2つのイギリス本が表紙が青というのも興味深い。表紙は青くなかったけど、『女王陛下のブルーリボン―ガーター勲章とイギリス外交』という本があって、ガーター勲章のブルーリボンにちなんでイギリス本は青表紙にされる…というのは深読みしすぎですね(笑)。ちなみに、『旅の指さし会話帳』シリーズでイギリス以外の青い表紙の国・地域は、タイ、フィンランド、カナダ、スウェーデン、チュニジア、ネパール、ニュージーランド、モンゴル、ケニア、ニューヨーク、イラン、北朝鮮、雲南、ギリシア。やっぱり深い意味はなさそうですね(笑)。

「青」には「さわやか」「涼しげ」というイメージがあるだけでなく、「未熟」「沈んだ気分」という意味合いもあるので、『株で確実に儲かる唯一の方法』『フリーター・ニートになる前に読む本』が青い表紙なのは意外な気がしました。でもこれは本屋で目立つためかもしれません。書棚を見ていて思うんですけど、派手な表紙がならぶジャンルの棚に派手な表紙の本を置いても目立つとは限らないんですよね。色なり、タイトルの長さなり、周囲の本と違うところのある本の方が逆に目立ったりします。編集者さんによっては、そういうことも考えて表紙を決めているのではないかなと思うのですが、どうでしょう。

表紙の色とは別に、タイトルに青が入っている小説も並んでいます。『青が散る』『天上の青』『マリッジ・ブルー』など、やはり若さ、冷たさ、塞ぐ気分を描いた作品が多いのかな。私が今回の特集テーマを聞いて真っ先に思い浮かべた『青の炎』だったのですが、残念ながら特集コーナーでは取り上げられていませんでした(一応、東葛西図書館の所蔵本なのですが 笑)。

話は逸れますが、私、この特集を見終わってから仕事場に行くのに、江戸川区球場のそばを通ったんですよ。ちょうど高校野球の東東京大会の開催地となっていまして、通りかかったときに試合後っぽい球児たちが固まっていたんです。それを見て、あぁ青春の青がここにもある、と思ってしまいました。あと、青春とは関係ないけど、近くを通る東西線も青ですね(笑)。

閑話休題。数々並ぶ青い本の中、ちょうど大きいカバンを持っていったこともあって、私は職員さんに直接薦められた『ブルーノート アルバム・カヴァー・アート』を借りてみました。この本、レコード・ジャケットが(全てではないけど)原寸大で掲載されているのででかい(笑)!でも、これは図書館の中で見るより、ジャズでも聴きながらめくるのがいいなと思いまして。

それにしても、この「同じ色の表紙の本を集める」という企画は面白いですね。中身に関わらず、まず色で集めてみて、結果どんな本が集まったか分析するのが楽しいです。他の色だったらどうかというのも見てみたいですね。東葛西図書館のある江戸川区じゃなくてもいいから、区内の各館でそれぞれ一色担当して同時に特集コーナー作ってくれたら回っちゃうのにな。これを見てくださった図書館職員さんがいらっしゃったら、ぜひ検討してみてください(笑)!