トップ図書館訪問記東京都内の市町村立図書館 > 府中市立片町図書館

府中市立片町図書館

府中市立片町図書館 訪問記

last visit:2013/08/09

府中市立片町図書館は、分倍河原駅の北にある片町文化センター内の図書館です。新聞・雑誌、児童、一般などの各コーナーが小さい区画の中に入り組んでぎゅっと凝縮されたような図書館です。

§ 図書館の場所

片町図書館のある片町文化センターへは、JR・京王線の分倍河原駅から徒歩3分。JR・京王線のメインの改札口(定期専用の臨時窓口ではない)を出て左の道を進むと、突き当たりにやや大きめの旧甲州街道が横切っています。その旧甲州街道の向こう側にある青銀色の建物が片町文化センター。建物入口は、そこから左に回った、京王線の線路に沿った側にあります。

分倍河原駅は、駅前ロータリーに新田義貞の像があったりして、歴史好きの人には“合戦があった場所”というイメージが強いでしょうか。たま在住の私は府中市の各図書館へはウォーキングで行っているのですが、この辺を通るときは梅が多かったのかなあと想像しながら歩いています。というのも、駅名だと「分河原」ですが、町名だと「分町」なんですよね。片町文化センターが面している通りは、旧甲州街道。古い街道が通っている土地ですので、いろんな歴史が眠っているような気がします。

§ 図書館内の様子

片町図書館は、片町文化センターの4階全体です。面積が小さく、エレベーター前のロビーにもはみ出るかのように資料が閲覧できるソファが並んでいるので、エレベーターで上がってきた人はびっくりするかもしれません。

図書館エリアとしては、長方形の区画にエレベーター前ロビー部分がくっついて、凸の字状になっています。長方形の端にカウンターがあり、カウンターの前に絵本、その奥の左側が一般書架、右側が児童の読みものや知識の本、中高生コーナーです。新聞はエレベーター前のロビーにあり、雑誌は独立したコーナーがあるのではなく、一般書架の棚の中に2つの雑誌棚が少し離れて置いてあるかたちです。

§ 児童コーナー

カウンター前の絵本棚は小さな渦巻きを描くようにぐるっと配置されており、渦巻きの中に小さな椅子があって、そこで本が読めるようになっています。赤ちゃん向けの小さい絵本は出版社の五十音順、普通の絵本は日本の絵本も外国の絵本も一緒にして、絵を描いた人の五十音順で並んでいます。図書館でいう「名前の五十音順」というのは、姓・名の五十音順になるので、外国人の場合は要注意。日本人、例えばあきやまただしの絵本は、「あ」で探せばいいのですが、西洋人、例えばモーリス・センダックの絵本は、「モーリス」が名、「センダック」が姓なので、「も」ではなく「せ」を探すことになります。片町図書館の絵本棚は、外国人絵を描いた人の苗字の頭文字に丸をつけて(「バーナード・ワッツ」なら「ワ」、「ル・カイン」なら「ル」に丸がついている)、わかりやすくしてくれています。

五十音の並びの最後には、外国語で書かれた絵本も置いてあります。絵本棚の上には、府中市立図書館で作成したお薦め絵本のリストや、読書の記録が書き込めるクマさんの表紙の「わたしの読書ノート」などがあるので、お子さんはぜひこうしたものを活用してたくさんの絵本を楽しんでください。

児童読み物やちしきの本は、一般書架と同じ高さの棚に入っているので、一番上の段の本は取れない子どももいるかもしれません。児童向け読み物は、日本人作家の作品と外国人作家の作品に分けたうえで、下の方の段は1,2年生向けの黄色ラベル(請求記号にYがつく)の本、上の方の段は3年生以上向けの緑色ラベル(請求記号にGがつく)の本、と二層にして、それぞれで著者姓名の五十音順。つまり、高い段は年上の子ども用にはなっているけど、3年生になったばかりで一番上の段に届かない子もいると思います。届かないときは遠慮なく職員さんにお願いしましょう。

子ども向けのちしきの本も高い棚に入っているので、大人用の本を探している人が間違えて児童向けの棚を見ることがあるかもしれませんが、図書館の児童コーナーは大人も活用できるんです。調べもののワザとして挙げられることもよくあるのですが、全く知らないことについて入門的知識を掴みたいとき、大人用の本を見ると専門的すぎてわからなかったりするところ、子ども向けの本は図や絵を駆使してわかりやすく書いているので概要を掴みやすいんですよね。

たとえば、「30 社会科学」の棚にはNHKの週刊こどもニュースの本がたくさんあり、これらは大人が難しい社会問題をパッと把握するのにも使えます。私も、裁判員制度が導入された頃に大人向けの本を読んでも全然わからなくて、一番わかりやすかったのが児童向けにまとめられた本でした。また、「今年の大河ドラマの舞台になる時代をおさらいしておこう」なんていうときに一般書架の歴史の棚を見ると詳しい読み物が多いところ、児童向けなら大きな流れをわかりやすくまとめてあって、ざっとおさらいするにはそちらの方が便利なことも。片町図書館のように児童・一般が近接していると大人も児童資料を手に取りやすいので、大人の皆さんも児童資料を活用してください。

§ 一般書架

一般書架は蔵書数が少ないですが、手芸本を、衣服・洋裁=緑、小物=黄色、刺繍=ピンク、編物=赤…と色別シールで分類していたり、小説・エッセイの大きな見出しは、小説=黄色地、エッセイ=白地と色分けしていたり、色を多用してわかりやすくしてくれています。もちろん、そんなに分類が細かくない棚もあるけど、冊数が少ないので大きな分類だけでも本を探すのにそれほど困ることはありません。

日本の小説は著者姓名の五十音順、但し、複数の著者による作品集は、タイトル名を元に、五十音順の並びに入れられています。例えば、川浪春香(カワナミ ハルカ)が書いたの本の隣に、6人の作家による『川に死体のある風景』(カワニシタイノアルフウケイ)という本が並び、その隣に川端裕人(カワバタ ヒロト)が書いた本がある、といったかたちになります。外国の小説は、英米文学・ドイツ文学・フランス文学…と国・地域別に分けた上で、著者姓名の五十音順に並んでいます。

§ 地元の人のための小さな図書館

JRも私鉄も通っている分倍河原駅に近いことを考えると、もう少し大きい図書館があってもいいようにも思いますが、片町図書館から中央図書館まで2kmもないので、大きい図書館を利用したいときには中央図書館、そうでなくてもいいなら片町図書館、と使い分けるのがいいですね。地元の人の利用が多いからの~んびりした雰囲気があるし、「何か読みたいなあ」という軽い気持ちなら、中央図書館のように本がありすぎて迷ってしまうような書架より、小さい図書館の方が合いそうです。

建物も旧甲州街道に面していることですし、平成の世の速さから距離を置いて、ゆったりとした時間を過ごすのにいいですね。片町図書館から旧甲州街道を東に行くと大國魂神社がありますが、そこまでの道のりにも番場宿があったり、木造の古い建物があったり、甲州街道よりも旧甲州街道の方が歩いていて楽しいです。そんな古くからの町の小さな図書館。大きい図書館と上手く使い分けて、便利に利用したいですね。

府中市立片町図書館 データ

住所東京都府中市片町2-17 片町文化センター4階 →Google Mapで見る
Tel042-368-7117
開館時間9:00~17:00
定休日第1,3月曜(祝日・振替休日の場合、直後の平日を休館)
祝日
12月29日~1月3日
最寄駅 京王線JR南武線 分倍河原駅から徒歩3分
駐輪場地下に駐輪場あり。駐輪場入口は建物入口向かって左。
駐車場建物北側の公園沿いに一般用駐車場3台分あり
所蔵資料
図書所蔵数37,362冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
なしなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物入口向かって左の壁面にブックポストあり
自動貸出機なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用不可
飲食設備等1階ロビーに飲料自販機1台あり