トップ図書館訪問記豊島区 > 豊島区立千早図書館

豊島区立千早図書館

豊島区立千早図書館 訪問記

last visit:2015/09/02

豊島区立千早図書館は、千川駅の南にある図書館。図書館に入ると、鉄人28号の大きい像が出迎えてくれるので、びっくりします!2015年9月のリニューアルからは、地元の時代小説家・山手樹一郎さんのコーナーもできました。

§ 図書館の場所

千早図書館は、有楽町線副都心線の千川駅から歩いて10分弱のところにあります。個人的なお薦めとしては、3番出口を出て、要町通りを池袋方向(3番出口で出たままの方向)に進み、250mほど進んだところにある「コープとうきょう」の手前の道を右へ進む道のり。そこから300mほど進んだ右に千早図書館があるのですが、コープとうきょうで曲がった右先にある粟島神社がお気に入りなのです。とても小さな神社なのですが、池の中で鯉や亀がの~んびり泳いでいて、境内に入ってすぐ右にあるフクロウの像もいい感じ。千早図書館に行く際の、お薦め寄り道スポットです。

§ 図書館内の様子

千早図書館は2階建ての建物で、一般書架につながるメインの入口と、児童コーナーに直結する入口の二か所から入ることができます。フロア構成としては、1階にカウンター・児童コーナー・一般書架・新聞コーナー・雑誌コーナー、2階が中高生コーナー・閲覧室・視聴覚室です。2階の屋外には、小さな休憩コーナーもあります。

千早図書館で圧倒的な存在感を示しているのが、鉄人28号。一般書架入口を入ると、真正面に腕を上げた鉄人28号がいるので、知らずに入った人はかなりびっくりすると思います。びっくりさせるためには、この訪問記にも書かないほうがよかったか。驚きたい人はこの文章を忘れてください。私が図書館巡りを始めたばかりの頃は、まだ鉄人28号は千早図書館にいなくて、設置されてから初めて入ったときは私自身もびっくりしました。

この大きな像のほかにも、小さな鉄人28号全体像や、壁から飛び出している鉄人28号、像のほかにも大型メンコのようなイラストカットや、実写版の写真など、館内を回ると実にさまざまな鉄人28号に出会えます。ぜひ館内をキョロキョロして、全ての鉄人を見つけてください。図書館内なので写真撮影はできませんが、どうしても撮影したい方は2階事務室へお越しくださいとのこと。職員さん立ち合いの上で、他の利用者が写らないことを確認しながら撮影させてもらえるのではないかと思います。

豊島区立図書館の各館にはそれぞれ独自キャラクターがあり、本に貼られる蔵書管理用バーコードの左上にそのキャラクターが描かれています。そのうち、千早図書館のキャラクターはきつね。でも、鉄人28号の存在感が圧倒的で、きつねさんはやや影が薄い気も(笑)。以前は、児童エリアにランドセルを背負ったきつねのぬいぐるみがいたり、カウンター前の千早地域資料の棚に粘土で作られたきつねがいたのですが、私が気づいた限りで2015年初めに行った頃から、館内には2階事務所への通路壁にしかきつねの姿がないような…。千早図書館にいらっしゃる皆さん、鉄人28号とともに、きつねさんもどうぞよろしくお願いします。

§ 鉄人28号と千早図書館の関係は?

このように千早図書館内に鉄人28号が出没している理由は、一般用入口入って左の「横山光輝年表」を見ればわかります。鉄人28号の作者である横山氏は、上京した当初は新宿で下宿していたのですが、1960年7月に豊島区千早町に新居を構えたのだそうです。亡くなった際の住所も豊島区千早のようなので、その家にずっとお住まいだったのかな。

そうした地域ゆかりの漫画家ということで、千早図書館に大きな鉄人をはじめとした横山光輝関連グッズが光プロダクション(横山光輝氏の版権管理を行っている事務所)から寄贈され、氏の資料も多く所蔵しています。年表右隣の棚には『伊賀の影丸』『三国志』『魔法使いサリー』といった漫画作品が500冊以上。しかも、大部分の本を複数冊所蔵しており、館内閲覧用と貸出用が用意されているんです。だから、図書館に来れば(別の人が呼んでいなければ)確実に読めるし、家でゆっくり読みたければ借りることもできる。シリーズもので次巻を読もうとしたとき他の人が利用していると待たざるを得ないというのは図書館利用の辛いところなので、こうして閲覧用・貸出用と複本所蔵してくれるのは嬉しいです。

横山氏の作品は豊島区立中央図書館でも所蔵していますが、千早図書館の方が断然冊数が多いです。また、年表の下には、おもちゃとして販売されていた鉄人28号のほか、カレーや名刺入れといったグッズも紹介されています。横山作品を借りて家で読むのもいいけど、こうして鉄人だらけの空間で読むというのも気分が高まります。

図書館からは話がそれますが、豊島区では2012(平成24)年に区制施行80周年を記念して、横山光輝作品の「魔法使いサリー」「バビル2世」「仮面の忍者赤影」の主人公を特別区民とし、5年間限定で特別住民票を発売しています。詳細はこちらの豊島区のページにありますので、ご興味ある方は限定期間が終わらないうちにどうぞ。

§ 所蔵物の大部分がある1階

真っ先に目に飛び込んでくる鉄人の話が済んだところで、図書館の配置や資料の話に移りましょう。1階の配置は、一般書架側入口正面の鉄人28号を囲う形で雑誌コーナーがあり、右手前にカウンター、入口左から奥一帯にかけて一般書架です。新聞コーナーは一般書架右奥で、雑誌コーナーとは別の場所にあります。そして、カウンターより更に右の一画が児童エリアです。CDなどの視聴覚資料は所蔵していません。

1階は椅子席中心なので、気になった本を少し手に取ってみるなら1階で、じっくり読むなら2階の閲覧室で、となります。図書館規模としては中程度で、閲覧スペースが広いせいか書架にいても圧迫感はない。だからといって書棚・資料数が少ないわけではなく、いろいろな資料が揃っている。地域館として書棚と閲覧スペースのバランスがちょうどいい印象です。

図書館の分類法は、一般の感覚では近いジャンルが全然別の分類になっていたり、いろんな項目が含まれるジャンルが大雑把な分類であったり、慣れていないとわかりにくい部分もありますが、千早図書館ではそうしたジャンルについて棚の側面にガイドを掲示してくれています。例えば、電子機器関連の本について、パソコン全般は007、スマートフォン全般は694、タブレットPC全般は548、電子書籍は023…等々どの分類になるのか一覧になっています。

また、医学では棚に差された見出し項目としては「493.2 循環器疾患」「493.3 呼吸器疾患」と堅苦しい名前が使われていますが、医学の本がある棚(G)の窓側側面にある主要な病名リストを見ると便利。アスペルガー症候群、アトピー性皮膚炎、アルコール依存症…と病名を五十音順に並べたものに分類記号がついているので、この病気に関する本が医学の中のどの分類に入るのかがすぐにわかります。

日本の小説・エッセイは一緒にして、著者名の五十音順に並んでいます。但し、アンソロジーなど複数の著者による小説本は、書名をとって五十音順の並びに入ります。例えば、倉本聰(クラモト ソウ)が書いたの本の隣に、5人の作家の共著である『くらしのうた』という本が並び、その隣に栗田有起(クリタ ユキ)が書いた本がある、といったかたちになります。外国小説は、中国文学・アジア文学・英米文学・ドイツ文学…といったように、国・地域別に分類したうえで、著者姓名五十音順に並んでいます。

日本小説の棚をよく見ると、直木賞・芥川賞受賞作品には本の背の下に「直木賞」「芥川賞」というラベルが貼られていることに気付きます。特に読む本が決まっていないときには、こうしたラベルを参考に本を選ぶこともできます。

また、2015年に耐震工事を終えてリニューアル開館した際に、カウンター前から階段を挟んだ向こうの棚に、時代小説家の山手樹一郎さんのコーナーが設置されました。『桃太郎侍』や『遠山の金さん』の著者である山手さんは、お父様が豊島区要町に居宅を構えた際にご自身も要町の住人になったとのこと。私はあまり時代小説を読んだり時代劇を見たりはしないのですが、図書館で地域ゆかりの作家と知ると親近感が湧いて、読んでみようかなという気になる。地域という縁で読者と作家・本を繋げるのも、図書館の楽しさの一つだと思います。

児童エリアは、一般書架と壁で仕切られてはいないけど、少し離れた場所にあります。小さい子が靴を脱いであがれるスペースはなく、狭い中に子どもの本がぎゅっとつまったような空間です。

絵本は、日本人作家の作品も外国人作家の作品も一緒にして、絵を描いた人の姓名五十音順で並んでいます。絵本の中でも、外国語で書かれた絵本は一般書架の外国語図書と一緒に階段側面の棚(カウンターとは逆側)にあるので、見たい方はそちらへどうぞ。カウンターから階段を挟んだ向こう側の棚にあり、英語の冊数が圧倒的ですが、スペイン語・ポルトガル語・フランス語の本も多いです。

また、児童読み物は、日本人作家と外国人作家を交互にして、著者姓名の五十音順に並んでいます。交互というのは、まず苗字が「あ」で始まる日本人作家の本が並び、次に苗字が「ア」で始まる外国人作家の本が並び、その次に苗字が「い」で始まる日本人作家、「イ」で始まる外国人作家の本、苗字が「う」で始まる日本人作家…といった具合の並び順です。但し、背が高い本は収納の関係で最下段にある場合もあるのでご注意ください。

§ 2階の配置

千早図書館は1971(昭和46)年に開設された古い建物で、エレベーターがなく、2階へ行く手段は階段のみです。階段を上がった右に閲覧室があり、階段の左をぐるりと囲う通路が中高生コーナーになっています。中高生コーナーが終わった辺りに、屋外の休憩コーナーがあり、さらにぐるりと回りきった突き当りが視聴覚室になっています。

中高生コーナーは通路に設置したかのような空間ですが、それがかえってふらっと寄れる雰囲気になっている気もします。横山光輝以外の漫画もここにあり、中高生に限らず大人が読んでいることも多いです。面白い資料としては階段あがった正面の中高生コーナー新着本案内の脇に小さな本があり、手に取ってみると「もうひとつの研究所」という作家さんによるパラパラブックス(パラパラ漫画)というもの。独特の世界観のパラパラ漫画で、何度もパラパラしてしまいます(盗難防止で紐に括りつけられているのですが、4冊のパラパラブックスを1つの紐で繋げており、1冊をパラパラする際に他の3冊の重さがかかってしまうのがやや難点。千早図書館さん、ぜひ1冊ごとに紐づけしてください)。

閲覧室は四角形の広い部屋に、向かい合って2人ずつが座る4人掛けの机が並ぶ空間です。机は隙間なく2列に並んでおり、奥の座席を使うと出入りの際に他の方に少し椅子を引いてもらったりしないといけないこともあるのが、やや難点。これらの机のうち、入口に一番近い机は電源が設置されているパソコン利用優先席となっています。

2階の隅にある視聴覚室手前にはガラスの展示ケースがあります。通路の一番奥という目立たない場所にあるのがもったいないですが、以前は「豊島区郷土かるた」と猿の郷土玩具のコレクションが常設展示されていたのが、2015年9月のリニューアル開館後に行ってみたら、「今回はこの展示」という説明とともにぽるぷ出版の名著復刻本と児童向けお薦め本に関連した世界に存在する石の展示をしていたので、これからは期間入替での展示をするのかもしれません。せっかくのスペースですし、展示を見ながら少しくらい話してもそれほど周りに迷惑にならない場所なので、面白い展示をしてくれることを期待しています。

§ 今後の行方が気になります

千早図書館には(仮称)西部地域複合施設への移転計画があり、もし計画通り進んでいたら今頃は既に新しい図書館へと移っているはずでした。しかし、東日本大震災の復興や東京オリンピックの準備などで工事が増えた結果、建設費が高騰し、新しい複合施設建設の入札が不調に終わってしまって、凍結状態となっています。豊島区の文化デザイン課のページにある(仮称)西部地域複合施設の計画を読むと、郷土資料・美術・文学・まんがのミュージアム、図書館、公民館系の活動の場を複合させる施設だそうで、面白い空間になりそう。

計画をストップさせている入札不調を解消するには、建設費の相場が下がるという一自治体にはどうしようもない要因が必要だと思うので、いつ凍結が解除されるかはわかりません。でも、計画を見ると「山手樹一郎、横山光輝等の作家や、豊島区を描いた作品をとりあげる」という文言があるので、山手樹一郎コーナーの設置も実は(仮称)西部地域複合施設に向けて現時点でもできることをしているのかもしれません。千早図書館の移転がどうなるのか、それを踏まえて現在の千早図書館がどうあり続けるか、注目していこうと思います。

豊島区立千早図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  一文で選ぶ横山光輝
―2014年9月27日からの企画
横山光輝生誕80周年記念企画として、作中の一文をヒントに本を借りる展示を行っています。

豊島区立千早図書館 データ

住所東京都豊島区千早2-44-2 →Google Mapで見る
Tel03-3955-8361
開館時間
月~金曜9:00~19:00
土・日曜・祝日9:00~18:00
定休日第1火曜
第4金曜
12月29日~1月4日
最寄駅 東京メトロ有楽町線副都心線 千川駅から徒歩7分
東京メトロ有楽町線副都心線 要町駅から徒歩15分
駐輪場建物入口向かって右に駐輪場あり
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数71,050冊(2021/03/31現在、出典『豊島の図書館 令和2年度事業報告』)
音声資料
CDカセットレコード
なしなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト一般用入口向かって左の壁面にブックポストあり。開館中の使用は不可。
自動貸出機1階カウンター向かって右にICタグ式自動貸出機1台あり
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用2階閲覧室にパソコン利用可能席(4席)あり。電源あり。
LAN接続
飲食設備等なし
その他設備2階屋外に休憩コーナーあり(椅子6席)