世田谷区立梅丘図書館
以下は、休館前の世田谷区立梅丘図書館の訪問記です。
世田谷区立梅丘図書館 訪問記
世田谷区立梅丘図書館は、小田急線梅ヶ丘駅そばの、羽根木公園のふもとにある図書館。閲覧席の数が多く、指定席制で管理しています。医学や健康の情報に力を入れています。世田谷区立図書館で唯一、布絵本の貸出を行っています。
梅丘図書館は小田急線の梅ヶ丘駅から歩いてすぐの場所。改札を出て右側の北口へ出て、正面の道を進みます。一つ目の信号を通り過ぎて次の十字路の右先が羽根木公園なので、公園手前で右折し、公園に沿って歩きます。150mほど進むと左側に梅丘図書館が現れます。
羽根木公園は、最寄駅名の通り梅の季節が見頃。3月初めに梅丘図書館に行きがてら、羽根木公園にも登ってみたことがあるのですが、梅見に来た人がたくさんいらっしゃいました。梅の花見って、桜の花見のように宴会の口実っぽい様子でなく、静かに数人で楽しんでいる感じでよかったです。一人で歩いていてもとても居心地いい空間でした。
そんな公園が近くにあるせいか、梅丘図書館の入口近くには「靴のどろを落としてからお入りください」という注意書きがあちこちに貼ってあります。公園で体を動かした後に図書館で読書なんて、休日の過ごし方としていいですね。
図書館の建物は3階建てで、1階にカウンター、児童コーナー、新聞・雑誌コーナー、芸術閲覧室。新聞・雑誌コーナーの中にCDや旅行ガイド、生活関連本、医と健康のコーナーがあります。2階に第一・第二閲覧室があり、辞典類や地域資料、過去の新聞は第一閲覧室の中にあります。図書館の右奥には1階から3階までの書庫ですが、書庫といっても利用者も入れますし、棚と棚の間も「書庫」のわりには広いです。
書庫の2階から第一・第二閲覧席の通路には、持参した飲食物を食べられる飲食コーナーもあります。建物の吹き抜け部分に向かってテーブルが設置されているのであまり大きな声は出せませんが、指定席や飲食コーナーを利用して1日中図書館で過ごすこともできますね。
1階カウンター向かって右にある児童コーナーは、3階までの吹き抜けになっています。もともとロビーだったところを改修して、本棚や靴脱ぎスペースを設置したような雰囲気です。絵本は、日本のおはなしも外国のおはなしも一緒にして、赤いラベルの「大きい絵本」と青いラベルの「小さい絵本」にわけたうえで、絵を描いた人の苗字の頭文字で分類されています。児童読み物は、日本人作家と外国人作家を一緒にして、緑枠ラベルの「低・中学年向け」と赤枠ラベルの「高学年向け」に分けたうえで、著者の苗字の頭文字で分類しています。
児童コーナー左奥の靴脱ぎスペースのなかには、組木とセットで貸出できる絵本があります。組木付き絵本とは、たとえばウクライナ民話「てぶくろ」をご存知ですか。おじいさんが雪の中に落としていった手袋の中に、森の動物たちが次々と入る物語ですが、動物をかたどっている木のパーツを組み合わせると手袋のかたちになる組木パズルが、この絵本とセットになっているんです。パズルと一緒に楽しむと、おはなしの記憶もより残るのかもしれませんね。
また、梅丘図書館では世田谷区立図書館で唯一布絵本の貸出をしているそうです。布絵本はカウンターで保管しているので、興味がある方はぜひ見せてもらってください。このように面白い絵本を所蔵しているということは、この地域は世田谷区内でもお子さんのいる世帯が多い地域だったりするのでしょうか。新聞・雑誌コーナーのなかにも、妊娠・赤ちゃんの名付け ・育児の本や区の子育て支援サービスのパンフレットが置いてある「子育て情報コーナー」があるので、小さいお子さんがいらっしゃる方はそちらもぜひご利用ください。
難を言えば、児童コーナーの右奥にある中高生コーナーが、あまりにもこじんまりしすぎて気づきにくいかも(笑)。まあ、「中高生向け」というのはあくまでも図書館のカテゴリで、私自身も中高生時代に一般書架の本を読んでいたり、大人になってから絵本の面白さに気付いたりしています。図書館の分類を参考にして、図書館全体にあるさまざまな本を楽しみましょう!
一般書架は、日本図書分類法でみると、0類(総記)が2階書庫、1類(哲学)・2類(歴史)が3階書庫、3類が2階書庫…とあちこちに飛んでいますが、生活に身近な旅行ガイドや医学・健康の本を新聞・雑誌コーナーにまとめたり、日本図書分類法だとネット検索などの「007 情報科学」 とハードウェア関連などの「548 情報工学」 に分かれてしまうコンピュータ関連の本をひとまとめにしてあったりするので、棚を見て本を探すにはわかりやすいかも。日本図書分類法から本を探す場合は、書庫入口などに貼られている配架図を活用してください。
利用者が入れる書庫のある図書館というのは、もともと職員さんだけが入れる閉架書庫だったのを利用者も入れるようにしたところが多く、梅丘図書館の書庫も基本構造をみるともともとはそうだったのではないかと思うのですが、それにしては棚と棚の間が広くて他の利用者とかちあってしまってもそれほど気になりません。梅丘図書館は現在世田谷区立図書館の中で一番古い建物なのですが、改修などで現在でも使いやすいように工夫してくれているんだろうと思います。
日本の小説・エッセイは、著者名の姓の頭文字+名の頭文字による五十音順です。例えば、横山秀夫(よこやま ひでお)なら「よひ」、吉村昭(よしむら あきら)なら「よあ」となり、その2文字が五十音順になるように並べてあるので、吉村昭の本の後に横山秀夫の本が並ぶような形になります。純粋な名前の五十音順とは違う並びなので、注意が必要ですね。また、複数の作家の著作集は、五十音順の「ん」という分類で、著者名頭文字が「わ」である本の次にまとめて置いてあります。外国の小説は、国別分類などはなく“外国小説”でひとまとめにして、こちらは頭文字の組み合わせではなく、著者姓名の五十音順です。
2階の第一・第二閲覧室には指定席がそれぞれ54席あり、座席を使いたいときは1階のカウンターに申し込んでの利用になります。パソコン専用席などではない普通の閲覧席が指定席制になっているのは、世田谷区では梅ヶ丘図書館だけなのでないかと思います。第一閲覧室のうち部屋の入口に近い6席は持参PCの使用ができます。大きな机に片側3人ずつ6人が向かい合って座る机席ですが、隣の席との間隔が狭いので満席になってしまうとやや狭苦しいかも。
梅丘図書館を利用の際の注意点は、閉館10分前にチャイムが鳴ること。つまり、このチャイムが鳴ってから閉館まであと10分はあるので、閉館時刻と間違えて利用時間を損しないようにご注意を。
世田谷区立図書館では各館それぞれ特色コーナーを作ってテーマに沿った資料を収集しており、梅丘図書館では「医と健康の情報コーナー」と題して新聞・雑誌コーナーに関連本を集めています。一見医学の棚を1階に持ってきただけにも見えますが、図書館の強みは一般の書籍にある情報のほかに、区が行っているサービスの情報などもあること。全国で発行される書籍には「自治体によっては○○といったサービスを行っているところがあるので調べてみましょう」としか書けないところ、区のパンフレットなども置いてある図書館なら具体的なことがわかります。
新聞・雑誌コーナー入って左端に「医と健康の情報コーナー」があるほか、芸術閲覧室への入口手前左には「子育て情報コーナー」もあり、市販の妊娠・育児関連書籍のほか、梅ヶ丘駅下にある子育てステーション梅丘の案内などもあります。自治体のサービスってややもすれば素通りしがちですが、知っていると便利なことも多いので図書館利用のついでに見るのもいいと思います。必要になってから初めて探すより、図書館の中で何となく頭に入れておけば、本当に必要になった時にそういえば図書館で…と思い出せますしね。
名前の通り、梅が咲く丘のふもとにある図書館でじっくり本を読むなんて、何だか風流な気分にもなれます。生活関連情報から専門書まで、数多ある蔵書を楽しみましょう!
世田谷区立梅丘図書館 データ
以下は、休館中の仮事務所のデータです。
住所 | 東京都世田谷区松原6-41-8 →Google Mapで見る | ||||
Tel | 03-3323-8261 | ||||
開館時間 |
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定休日 | 第3木曜(祝日は開館し、翌日を休館) 12月29日~1月3日 | ||||
最寄駅 |
小田急小田原線 梅ヶ丘駅から徒歩7分 小田急小田原線 豪徳寺駅から徒歩7分 東急世田谷線 山下駅から徒歩8分 | ||||
設備 | |||||
音声試聴設備 | なし | ||||
映像視聴設備 | なし | ||||
ネット閲覧PC | なし |