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品川区立八潮図書館

品川区立八潮図書館 訪問記

last visit:2018/01/24

品川区立八潮図書館は、八潮パークタウンのちょうど真ん中にある図書館。児童センターや地域センターなどの区の施設や、地域のショッピングモールが集まる場所にあり、八潮パークタウンの暮らしに溶け込んでいる図書館です。

§ 図書館の場所

八潮パークタウンは、東は東京湾、西は京浜運河が伸びる間に挟まれた埋め立て地にある大規模団地です。他の地域と大きな運河で隔たれている分、中にどんな施設があるかが重要になる地域ですが、八潮パークタウンの真ん中にあり、この地域に図書館サービスを提供しているのが八潮図書館です。

八潮図書館の最寄り駅は東京モノレールの大井競馬場前駅。品川駅・大井町駅・大森駅からバスも通っています。八潮パークタウン内にもいくつか停留所があるなか、八潮図書館などの区の施設やスーパーがある場所の停留所名が「八潮パークタウン」になっていることからも、ここが地域の中心地だということがわかります。

§ 図書館内の様子

八潮図書館は八潮児童センターとの併設施設で、1,2階が八潮児童センター、3階が八潮図書館です。この児童センターに靴を脱いで遊べるスペースがあるらしく、3階への階段を上がったところには「ちゃんと、くつをはいてきてね」という注意書きが貼ってあります。公園のそばにある図書館などで「靴の泥を落としてね」など書いてある図書館はよくあるのですが、「靴を履いてきてね」というのは私が知る限り八潮図書館だけです(笑)。

図書館エリアはL字型に近い形です。図書館入口を入ると、正面に児童コーナーがあり、そこから右に進むとカウンターや新聞・雑誌コーナー、その先で右90度に曲がるように書架が広がっています。曲がり角付近が閲覧席で、ネット閲覧PCも3台、持参PCが使える席も6席あります。視聴覚資料は、右に90度曲がった先の壁沿いにCDがあります。また、落語だけですがカセットも所蔵しています。

ユニークな試みとしては、障害者の方が作った花柄のふきん(1枚250円)をカウンターで販売しています。また、設備として読書拡大機が1台あるほか、リーディングトラッカーの貸出もしています。リーディングトラッカーは、今読んでいる行にフォーカスする道具で、視覚障害をお持ちの方や集中力が落ちているときの読書の助けになるもの。使ったことがない人もぜひ図書館で試してみてください。

§ 児童コーナー

児童コーナーは、向かって左端に靴を脱いであがれる絵本コーナーがあり、そこから右に向かって、ちしきの本、児童読み物、中高生コーナーと並んでいます。絵本コーナーは窓が大きくて開放的。一見わかりにくいですが、絵本コーナーの手前に別室でおはなしの部屋があり、おはなし会はこちらで行っているようです。

絵本は、日本人作家も外国人作家も一緒にして、おはなしの作者の姓名五十音順に並んでいます。昔話絵本は創作絵本とは別にまとまっていますが、その中で文章を書いた人の姓名五十音順になっているので、同じ『いっすんぼうし』でも、石井桃子さんが文章を書いた絵本は昔話絵本の「イ」に、松谷みよ子さんが文章を書いた絵本は昔話絵本の「マ」に並んでいます。なので、読みたい昔話絵本がある場合は、すぐに棚から探すのではなく、検索機で著者名を調べてから探す方が効率はいいです。

ただ、日本の昔話も外国の昔話も一緒にして、おはなしの作者の姓名五十音順になっている棚は、「知らない日本の昔話だと思って手に取ってみたら、外国の昔話だった」ということも起こりやすく、知らない物語と出会いやすい面もあります。読みたい本を手早く探すときは検索機を使う、読みたい本が決まってないときには気の向くままに棚から本を手に取ってみるなど、そのときどきによって探し方を使い分けたいです。

児童のちしきの本の棚をみていて気付いたのは、動物に関する本の棚見出しの細かさ。虫に関する本だったら、「トンボ」「セミ」「アリ」「テントウムシ」「ダンゴムシ」「ハチ」「チョウ」「カマキリ」「バッタ」「カブトムシ」「クワガタ」というかたちで、具体的な種の名前で見出しがずらっと並んでいます。中央海浜公園には昆虫も多いようなのでその関連かとも思いましたが、哺乳類の棚見出しも細かいです。動物好きのお子さんはぜひいろいろな本を読んでみてください。

§ 一般書架

一般書架は、家事関連本が雑誌エリアにあるほかは、奥の書架エリアに同じ向きに棚が並ぶシンプルな構造でわかりやすいです。

雑誌はジャンル別にまとまっているわけではなく、週刊誌系と月刊誌系に分けた上で、タイトルの五十音順に並んでいます。月1回よりも頻度が多ければ週刊誌系、月1回よりも頻度が低ければ月刊誌系に入れているようで、季刊誌も月刊誌系の方に入ります。

家事関連本は分類や色別シールを使って細かく分類していますが、違う項目に同じ分類・シールが使われていることがあり、たまに違う場所に本が入っていることがあります。特に、「洋裁(キッズ)」「編物(ベビー&キッズ)」という見出しがありながら、「洋裁」「編物」に入っている子ども服の洋裁・編物の本が多いので、これらの本を探す人はご注意ください。

八潮図書館は日本の小説のある棚が他の品川区立図書館と違っていて、小説・エッセイ・作家研究本を一緒にして、作家名の五十音順になっています。小説とエッセイを一緒にする点は品川区立図書館共通ですが、そこに作家研究本も加えているのは八潮図書館だけ。この並びを具体的に説明すると、村上春樹の本がある棚にいけば、村上春樹の小説・エッセイと、他の人が村上春樹について書いた研究本が一緒に並んでいるということです。作品を読んでから研究本を読むのもよし、先に解説本を読んでから作品を読むのもよし、好きな方法で読書を楽しめます。ちなみに、背ラベルがついていない本が小説、ついているのがエッセイや研究本なので、「エッセイではなく小説が読みたい」というときにはラベルの有無で区別できます。

英語で書かれた資料も充実しています。図書館エリア入口の右先にある特集展示棚の裏側には、外国語絵本(英語以外の言語も少々あり)や英語の児童読み物がありますし、一般書架の一番奥の壁沿いには英語図書が並んでいます。外国小説本が並ぶ棚の右端に英語図書が並んでいるので、翻訳小説も原書も所蔵しているものを読み比べれば、英語の勉強にも使えそうです。こう書くと、英語図書=英語で書かれた小説と思う方もいるかもしれませんが、料理や芸術など英語の実用書も所蔵しています。

§ 八潮の人のための図書館

八潮パークタウンはどこに行くにも橋を渡らずにはいられない埋立地にあり、八潮地域の在住・在勤の人以外はほとんど入ってこない地域と言っていいと思います。八潮図書館近くのショッピングモールの飲食スペースも、違うグループで来た人達がそこで会って話し込んでいたり、飲食店の店員なのか客なのかわからない(店員が近所に住んでいる人なのか)感じで話している人がいたり、ゆるい雰囲気が何とも私好み(笑)。図書館も長居する人が多く、常連さんがページをめくりながらのんびり過ごす空間です。外部からのアクセスの悪さが、内部の居心地の良さを作っているような気がします。

2007年3月に、品川区立図書館全館で春の図書館フェア「品川区政60周年」という展示をしたことがありました。展示の内容は各館で違っていて、八潮図書館では「八潮パークタウンのあゆみ」という、まさにこの地域の歴史を振り返る展示をしていたんです。まだこの地域に名前がなく、地名を公募したところから、建物ができて入居が始まり、図書館ができて…と、まさに八潮パークタウンのこれまでのあゆみがわかるいい展示でした。

このときに配布していた冊子を、『八潮パークタウンのあゆみ』(品川区立八潮図書館編)として、地域資料の棚(T91.9)に所蔵しているので、ご興味ある方はぜひ手にとってみてください。2冊の冊子が緑色のファイルに綴じてあり、広報しながわのスクラップや統計資料をまとめた内容です。同じ地域資料の棚(T91.9)にある、八潮地域の皆さんが作成した『八潮パークタウン 20年のあゆみ』『八潮パークタウン 30年のあゆみ ふるさと八潮未来へのかけ橋』と合わせて読むと、多角的に八潮地域の歴史を見ることができます。

品川区立図書館の分布を見ると、京浜運河の西の内陸部は、図書館も多いし公共交通も発達している。それに比べて東側は、京浜運河の東はアクセスも悪いし、図書館は八潮図書館しかありません。これはもう、極論すれば、品川区全体のことを考えるより、八潮パークタウンの人に重きを置いた図書館にしてしまってもいいのでは。実際、上に挙げた資料にある統計をみて感じるのは、地域の高齢化です。他の地域以上に求められるサービスがあるはずですし、それに応えることが求められます。

そんな八潮パークタウンのための図書館、この地域にお住まいの本好きの方はぜひご利用ください!…と私が言うまでもなく、本好きの方なら既に利用していることでしょう。私はよそものですが、これからもたまに利用させていただきます。

品川区立八潮図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  「八潮パークタウンのあゆみ」
―2007年3月の展示

品川区立八潮図書館 データ

住所東京都品川区八潮5-10-27 3階 →Google Mapで見る
Tel03-3799-1414
開館時間
月~土曜9:00~20:00
日曜・祝日9:00~19:00
定休日第2木曜(祝日も休館)
12月29日~1月3日
最寄駅 東京モノレール 大井競馬場前駅から徒歩13分
駐輪場八潮図書館のある建物には駐輪場はありませんが、向かいの建物の駐輪場が、この辺の施設全体の駐輪場という感じなので、ここに駐めていいと思います
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数67,556冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
ありありなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物入口向かって右に、銀色のブックポストあり。開館中の使用については明記なし。
自動貸出機なし
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備雑誌コーナーにCD試聴機1台あり。利用は1回30分、1日2回までで、品川区立図書館カードが必要。CDの枚数は10点まで。
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCネット閲覧PC3台あり。利用は小学生以上で、1回1時間、1日2回まで。
持参PC利用閲覧机のうち、一般書架に近い側の窓側の6席で、持参パソコンの使用可能。電源あり。
LAN接続館内用無線LAN「しながわFree Wi-Fi」の利用可能
飲食設備等蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)の飲料に限り、館内での摂取可能。但し、飲むとき以外は鞄にしまってくださいとのこと。