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足立区立江北図書館

足立区立江北図書館 訪問記

last visit:2017/07/08

足立区立江北図書館は、日暮里舎人ライナー江北駅の西、環七の南にある図書館。改築工事を経て、2017年4月1日からリニューアル開館しており、図書館の中も少しシックで落ち着いた内装になりました。

§ 図書館の場所

江北図書館は日暮里舎人ライナーの江北駅から西北西に1km弱ほど、道のりにすると1km以上ある住宅地の中の図書館です。歩くのが困難な方などは、足立区のコミュニティバス・はるかぜ11号の「江北区民事務所入口」で降りるか、都営バス・国際バス・東武バスが通る「椿二丁目」停留所を使うと近いです。ただ、路線によっては本数が少ないので、出発時間によって行き方を調べないと、待ち時間が多くなってしまうことがあるので気を付けてください。

上の説明から、公共交通でのアクセスが悪い場所にあることがわかると思いますが、こうした場所にある図書館はその地域に住む人の利用がほとんどで、座席も空いていることが多く、のんびり過ごせるのが大きなメリット。江北図書館もその例にあてはまり、それでいて蔵書数は約7万冊あるので、たくさんの本を「独り占め」とまではいきませんが、「数人占め」している気分になれます。

§ 図書館内の様子

図書館エリアに入ると、左右手前に新聞・雑誌コーナーがあり、右先にカウンターがあります。カウンターから更に右奥に一般書架が広がっており、入り口から見て左の一帯が児童エリアという配置です。CDやDVDなどは所蔵していません。

江北図書館は、2016年7月から2017年3月にかけて改修工事を行ったばかりで、以前は白を基調にした公共施設らしい雰囲気だったのが、改修後は内装に落ち着いた色合いを取り入れて、少し大人の雰囲気になっています。きれいに生まれ変わった児童向けの靴脱ぎスペースや、新しくグループ学習室も設置されて、滞在向けの設備が充実しました。図書館では専ら、予約した本の受取と読み終わった本の返却だけをしにくる人もいると思いますが、滞在向け設備が充実すると図書館で過ごす時間を楽しみたくなります。

座席は、図書館エリア入口からまっすぐ進んだところに、片側2人ずつが向かい合って4人で大きな机に座るタイプの閲覧席があるほか、一般書架の奥にカウンターテーブルタイプの座席があります。カウンターテーブルタイプの席はパソコン優先席ですが、江北図書館の来館者数の少なさや、電源がないことが要因で、パソコン利用者で満席になることはまずないでしょう。他の人と向かい合わずに集中したい人にはこちらの奥の席もお薦めです。

また、4人で大きな机に座る閲覧席の方も、ちょうど建物の中庭に面する窓のそばにあたり、開放的です。同じく窓にそばにあるグループ学習室は、中学生以上のグループが利用できる部屋で、使う際はカウンターへ申し込み、最大2時間まで利用できます。

§ 児童エリア

児童エリアは、入口付近にコルク敷きの靴脱ぎスペースがあり、奥に書棚が並ぶ空間。座席は、手前側に4人で囲む丸テーブルの席があるほか、左奥には1人ずつの児童用机席があります。改修前は、手前と奥の2か所に靴脱ぎスペースがありましたが、改修後は児童エリア奥が閉架書庫になっています。小さな子どもは静かにしていられないこともあり、大人の利用を妨げないという点では、奥に絵本を広げられる場所があるのがいいですが、区画が変に曲がっていて左奥が死角になるので、安全面では現在の配置の方が優れていると言えます。

児童エリアの棚の配置は、ざっくりと言って、左手前に絵本、右手前と奥に児童向け読み物、そして、右から奥にかけての壁沿いの棚にちしきの本があります。読み物は、対象年齢によって「よみもの」と「やさしいよみもの」に分けたうえで、更に日本人作家の作品と外国人作家の作品にわけて、著者姓名の五十音順に並んでいます。「よみもの」のうち、人気のシリーズものには、オレンジ色の板の棚見出しがついているので、続きを楽しめるシリーズものに挑戦したいときは、棚のなかからオレンジ色の見出しを探してみてくdさい。

§ 一般書架

一般書架で目に留まったのは、本棚に差してある見出し。全部の見出しではないのですが、書棚を巡っていると、ところどころの見出しで、項目名の下に人のマークのシールや本のマークのシールが貼られているんです。何だろうと思って、それらのシールが貼られている棚をじっくり見ているうちに、人のシールが貼られているところは、同じ請求記号の本が著者姓名五十音順に並んでいることに気が付きました。では、本は何だろう、出版社名順でもないし、タイトル名順でもないし…と自力で考えてもわからなかったので、降参して(すっかりクイズ気分ですが 笑)職員さんに聞いてみたところ、おおむね本の内容が同じものがまとまるように並べているとのことでした。

具体的に挙げると、「378 障がい児教育」は本マーク、つまり、本の内容が同じものがまとまるように並んでいる一方、次の「379 家庭教育」は人マーク、つまり、著者姓名五十音順に並んでいます。棚を見ると、「障がい児教育」は発達障害・アスペルガー症候群といった障害の種類によって本がまとまっているし、「379 家庭教育」は一概に内容でまとめるのが難しい本があり、「○○先生の教育論」みたいなかたちで著者名で並べることが理に適っているように感じました。

本来は、分類記号を細かくする、著者頭文字などもあわせて請求記号とするなどして、そもそもの「請求記号が同じものが多すぎる」状態をなくせばいいのですが、自治体内で共通の請求記号を使っている場合は1館だけの判断で請求記号が変えられなかったり、新設図書館でなければ貸出されて流動する蔵書のラベルの張替には手間がかかるので、気軽に変えるわけにはいきません。そんななか、ジャンルによって同じ請求記号の本の並べ方を変えて、それをシールでわかるようにしている江北図書館の方式は、コストをかけずに本の探しやすさを上げるやり方だと思います。

一般書架奥、パソコン優先席向かって右にある本棚は、「あだちコーナー」となっています。阿井景子、青山士、尾崎豊、梶よう子、北野武、早乙女勝元、朱川湊人、なかだえり、矢野誠一といった足立区にゆかりがある人物の著作もあれば、『下山事件』『世界でいちばん受けたい授業』などの足立区で起こったできごとに関する本、『マークスの山』『コーヒーブルース』『虞美人草』などの足立区が登場する小説が並んでいます。このラインナップを見て、「この人はどんな風に足立区とゆかりがあるんだろう」「足立区のどこが登場するんだろう」と思ったら、この棚にある「足立区ゆかりのコーナー 本のリスト」というファイルを見れば、どういうゆかりかまとめてあります。

時代小説シリーズが好きな人は、奥の壁沿いにある文庫棚にある「時代小説シリーズ読破シート」をどうぞ。時代小説のシリーズものには何十冊もの長きに渡るものがある一方、図書館での読書は別の誰かが借りているなどの都合で必ずしも順番通り読めるとは限らないことがありますよね。そんな読者のために、時代小説のシリーズものの一覧に返却日や読了日など読書の記録を書き込めるように配布しているのが、時代小説シリーズ読破シートです。2017年7月8日に行ったときには、佐伯泰英、小杉健治、鈴木英治、幡大介、藤井邦夫の読破シートがありましたが、長いシリーズで人気があるものは、リクエストをすれば読破シートを作ってくれるかもしれません。

江北図書館では、改修工事に入る前に、ユニークな「MOB」という企画をしていたんです。名前は「M:みんなの O:おすすめ B:本(BOOK)」の意味で、利用者が書架にあるお薦め本にMOB専用のしおりを自由に挟むという内容の企画でした。つまり、図書館の書棚にある本からMOBが頭を出していたら、誰かのお薦め本というわけ。MOBには「ペンネーム」「書名」「著者」「出版社」を記入するスペースがあり、下の方が空いているので、人によっては空きスペースに紹介文を書いていることもあります。

しおりを通じて本を紹介する企画は、いろいろな図書館をまたいで実施されている「kumori 本と人をつなげるしおり」や、小金井市立図書館貫井北分室 「巡る栞」、東久留米市立中央図書館「みんなの本棚」などがあり、それぞれやり方が微妙に違って、それぞれの面白さがあります。江北図書館のMOBは気軽に参加でき、私も一つ書いたことがあるのですが、残念ながら改修工事を境になくなってしまいました。改修後のリニューアル開館からしばらく経って、そろそろ図書館の様子も通常通り落ち着いてきたと思うので、またMOBを復活させるとか、何か別の面白い企画を始めてくれたらと思います。

§ 地域の人がゆっくり滞在できる図書館

過去の企画となってしまったMOBの面白さは、江北図書館に足を運んでいる人の投稿だけで成り立っている、この場にいる人の嗜好が反映されるところだと思うのですが、アクセス面からも遠くの人がわざわざくる図書館ではありません。そんな風に江北地域の人で独占できるのが、江北図書館の一番のメリットでしょう。都心の駅の近くなどで人の出入りが激しい図書館に行った後にこうした図書館に来ると、やっぱり読書はこういう落ち着いたところでするのがいいなとつくづく思います。

元々のんびりしやすい雰囲気の図書館でしたが、改修によって落ち着いた色合いの内装になってことで居心地よさがあがっています。前の姿を知る人も、知らない人も、江北図書館で本の世界に浸る時間をぜひ楽しんでください。

足立区立江北図書館 データ

住所東京都足立区江北3-39-4 江北地域学習センター1階 →Google Mapで見る
Tel03-3890-4488
開館時間9:00~20:00
※12月28日・1月4日は9:00~17:00
定休日月末日(土・日曜・祝日の場合は開館し、直前の金曜に休館)
毎月1回施設点検日
12月29日~1月3日
最寄駅 日暮里舎人ライナー 江北駅から徒歩18分
駐輪場建物正面向かって手前左、手前右、右側側面に駐輪場あり
駐車場建物手前に軽自動車用駐車場2台と障害者用駐車場2台、建物裏側に一般用駐車場23台と障害者用駐車場1台あり
SNS等
所蔵資料
図書所蔵数67,098冊(2023/03/31現在、出典『足立区の図書館 令和4年度事業報告書』)
CD所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『足立区の図書館 令和4年度事業報告書』)
DVD所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『足立区の図書館 令和4年度事業報告書』)
ビデオ所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『足立区の図書館 令和4年度事業報告書』)
設備
ブックポスト建物入口向かって右の壁面にブックポストあり。開館中の使用については明記なし。
自動貸出機なし
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
図書の除菌LIVA図書除菌機あり
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCネット閲覧PC1台あり。9:00~19:30までの申込みが必要で、00分と30分を区切りに、30分単位での利用。次に待っている人がいなければ延長可能。
持参PC利用パソコン利用席で持参PCの使用可能。電源あり。
LAN接続
  • 館内用無線LAN「JapanConnected-FreeWi-Fi」の利用可能
  • 館内に「ソフトバンク wifi」のアクセスポイントあり
飲食設備等建物入口入って右に飲物自販機3台あり
その他設備館内用ブックカートあり