トップ図書館訪問記江戸川区江戸川区立東葛西図書館 > 東葛西PRESS 終わらない冬はない号「時代小説が好きなんだってば!」

東葛西PRESS 終わらない冬はない号「時代小説が好きなんだってば!」

―図書館だより 2009年1月号
visit:2009/02/01

東葛西図書館の図書館だより「東葛西PRESS」、2009年1月18日発行の第11号特集は「時代小説が好きなんだってば!」です。

特集記事の冒頭に、時代小説と歴史小説の違いが説明されていたのですが、皆さんこの両者の違い、ご存知ですか?東葛西PRESSが広辞苑の引用をしているのを、そのまま孫引きすると

時代小説とは、「古い時代の事件や人物に題材をとった通俗小説」だそうです。
一方、歴史小説とは「過去の時代を舞台にとり、もっぱらその時代の様相を描こうとする小説。島崎藤村の『夜明け前』など。単に過去の時代を背景にする時代小説などとは異なる。」とのこと。
(『広辞苑』岩波書店)

ということだそうです。え~っと、司馬遼太郎作品のようなものが歴史小説で、「鬼平犯科帳」のようなものが時代小説ってことですよね。違いがわかってみると、時代小説と歴史小説は楽しみどころが確実に違う気がします。歴史小説はその時代の条件というか制限こそが楽しみ(現代ならこんなことはないのに、と思いながらもそれを楽しむ)のに対し、時代小説は時代は違えど現代人が読んでも共感できる人情だとかを楽しむとか。もちろん、これは私の考えであって、人によって楽しみ方はそれぞれですよね。この東葛西PRESSの特集は「時代小説が好きなんだってば!」ですが、「時代小説 vs 歴史小説、全面対決!」なんて企画で、歴史小説派と時代小説派が面白さを語り合う特集も面白そう(笑)。

でも、かくいう私、歴史小説も時代小説もあまり読んだことがありません。どうも、学校に通っていた頃の歴史嫌い(暗記が苦手なんです)が影響しています(笑)。今回の東葛西PRESS特集には、江戸を歩く本も紹介されているので、散歩から入っていけば抵抗なく読めるかな。普通は歴史・時代小説好きが現代に残っている史跡をたどるための本でしょうが、こうした本から歴史・時代小説に入るのもありでしょう。誌面では『平成お徒歩日記』『お江戸風流さんぽ道』、おまけで池波正太郎の『東京のうまいもの』も紹介されています。『平成お徒歩日記』は読んだことがあるので、今度『お江戸風流さんぽ道』を借りてみようかな。

特集以外のレギュラー記事では、「少しだけ、触れてみる 初心者のためのSF案内」が「すこしかわったヒトの巻」で、いつか読みたい本をメモしてしまいました。「少し」ってのがいいですよね(笑)。買物好きのエイリアン(『最後のウィネベーゴ』)とか、エプロンして手料理を作ってくれるかいがいしい女性エイリアン、但し外見は蚊(『目を擦る女』)とか、確かにちょっと読みたくなってきませんか?エイリアンなのに、全くの「異」ではなく、妙に人間くさい部分のありそうな彼(女)達がどんななのか気になります。

「黒ヤギさんたら読まずに食べた!」という、手紙形式で気ままに本をお薦めするコーナーには、今号で私も執筆させていただきました。これはちょっと自分にとってあまりにもリアルすぎて、あまり触れたくなかったりして(笑)。。。私以外にもお二方寄稿されていて、そのうちの一つ「妄想ラブレター」が文句を言いながらも幸せそうな雰囲気に溢れているので、私の「メールをくれないカモシカさんへ」が余計に悲しいです(笑)。しかも、この原稿を書いた後、その相手が必要な連絡事項を読んでくれないことがあって、本人にちゃんと私のメールを読めと文句言ったりしてるし…。

「本と彼女の二週間」は図書館職員さんのちょっとした日記&読んだ本のメモ。他の人の読書メモって結構面白いですよね。特に、12月11日にガーデニングの本、12日に江國香織の本、13日に夢野久作全集というところなんか、すごい組み合わせだ(笑)!日記のところの「朝から冷たい雨。こんなときは夢野久作。」という発想は私にはないので、この職員さんとお話したくなってしまいます(笑)。

などなど、ご紹介したもの以外にも記事が満載、気がつくと私の「いつか読む本リスト」が3冊追加されてしまいました。東葛西PRESSは、常勤・非常勤を含めて多くの職員さんがいらっしゃり、それぞれ多彩な趣味を持っているというのを活かした本の紹介をしているので、ついつい読みたくなってしまうんですよね。「仕事で推薦文を書いている」というのではない、ノリのあるお薦め文なのです。非常勤職員を増やす傾向にある最近の図書館事情ですが、それを活かしているといえるこうした図書館だより、ぜひ他の図書館にも真似して欲しいと思う私です。