「本の本」

―2008年10月1日から10月31日までの展示
visit:2008/10/14

江戸川区立篠崎図書館の特集コーナーは入口入ってすぐ左。2008年10月1日から31日までの特集は「本の本」です(江戸川区立図書館の公式ホームページでは9月23日から10月26日までとなっていますが、図書館だよりが訂正されていて、こちらが正しい期間のようです)。

「本についての本」と一口に言っても、書評の本や読書法の本など内容は様々ですよね。『乗物絵本時代』は乗物を取り上げた児童向け知識・観察絵本をあれこれ紹介する本。"乗物"といっても、飛行機や車の絵本はあまり紹介されていなくて、汽車や電車の絵本を中心に、古くは明治中期のものから掲載されています。こういう絵本は、ある程度実際の姿に忠実でありながらも、とても見映えよく描かれているので、写真よりもワクワクして見てしまいますね。乗客も疲れ切っている人などおらず、皆にこにこしていますし(笑)。

日本経済新聞の日曜読書欄の連載をまとめた『半歩遅れの読書術』も面白い本です。出久根達郎の書いていた、本を撫でる効用の話には、私も撫でるようにしようかなと思ったり。川上弘美の『気になる本』という文章も、気持ちがわかるなあと思いながら読みました。

本に付随するモノについての書籍もいろいろ。『カバー、おかけしますか?』はブックカバーの収集家さん達による本。全国の書店のカバーの写真をあれこれ眺めるのも楽しいし、収集家さん達の情熱あふれる文章もこれまたいいのです。

書物愛 蔵書票の世界』は古今東西の蔵書票が掲載されていて、いつか自分の蔵書票を作りたいと思っている私としては、あれこれ見ては頭の中で自分のデザインを考えてしまいます。この本の中にも出久根達郎の文章があって、こちらは古本屋のお客さんの話。本を求める人が、本の何を求めているかって、本当に人それぞれなんですね。

その他特集コーナーには『装丁の仕事169人』『本づくり大全―文字・レイアウト・造本・紙』などの本作りについての本や、『朗読者』のような、本が物語の中での大きな要素となっている小説なども置いてあります。この『朗読者』は私も読んだことあるのですが、すっごくいい小説です。ブログにも感想を書いたのですが、ネタバレ気味の感想なのでその記事への直リンクはここには貼りません。私を信じて、読んでみてください(笑)。

特集コーナーにあった本が、手っ取り早く本を読むというような内容のものではなく、本をじっくり味わうような内容のものばかりだったのが、私はすごく嬉しいなあ。これらの特集本を選んだ職員さんが、じっくり本を味わう楽しさを知っているということでしょうね。秋の夜長に「本の本」を読みのはいかがでしょうか。