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はじめての手製本 手かがりリボンノートをつくる

―2012年6月7日のイベント
visit:2012/06/07
§ 図書館での製本講座

2012年6月7日に北新宿図書館で開催されたかがり製本の講座に参加してきました。場所は北新宿図書館と同じフロアにある学習室。部屋に入ると4,5人ずつのテーブルが4つ用意されており、各席にカッターマットや材料の紙などが置いてあります。さっそく席について、あとは講座が始まるのを待つばかり。北新宿図書館では、この日以前にも製本講座を開催していたのですが、始まる前に同じテーブルの方々に聞いてみたところ、皆さん今回の講座が初めての参加ということでした。

そうこうしているうちに時間がきて、さっそく先生のご挨拶から講座のスタートです。今回の講師の植村愛音さんも、元々は図書館職員さんだったとのこと。図書館の業務として壊れた本を修復するために、本がどうやってできているのかを勉強するようになり、現在は古本と手製本ヨンネを主宰しているのだそうです。そういう意味では、図書館で製本講座を行うのは、単に本好きの人のためのイベントであるだけでなく、本の構造を知ることで図書館の本をますます大事にしようと気持ちをあらたにするきっかけにもなりますね。

§ かがり製本

今回教わった「かがり製本」とは何かを簡単に説明すると、出来上がりのページサイズの倍の大きさの紙を用意し、半分に折った折り目を縫い合わせることで、1冊の本を完成させる方法。さっそく植村さんの説明にしたがって、本文の紙を折り、針を通す部分にあらかじめカッターで切り込みを入れる。ここまでは簡単なのですが、ここからが複雑になってきます。

2本のリボンを軸に、本文の紙をかがっていくのですが、切り込みが見えにくかったり、気を付けないと糸がからまったして一苦労。紙がバラバラになったりしないように糸をたるみなく縫っていかないといけないけど、強く引っ張ると紙が破れそうな気がするし、その加減が初心者にはなかなかわからない。後で振り返ると、自分でこれくらいと思って以上に引っ張っても大丈夫かなとも思いましたが、その辺を探っていくのもモノを作る楽しみの一つですよね。

本文を8折り(紙を重ねて折ったまとまりを折丁と呼び、今回は、1枚の紙を1折りとしましたが、普通は何枚かを折り重ねて1折りとします)縫い合わせ終わったときには、達成感とともに変に力を入れていた疲れがどっと出ました(笑)。複雑な作業も、わかってしまえば繰り返しなのですが、仕上がりのきれいさを目指そうとすると、力入ってしまうんですよね。

本文がつながったあとは、表紙に開けた穴にリボンを通し、それを両面テープで表紙に貼ることで、本が完成!2時間の講座だったのですが、熱中しているうちに時間が経ってあっという間でした。一緒のテーブルにいたみなさんも、今回のノートを何に使おうか考えたり、アレンジのアイデアを話したり、皆さん大満足のご様子。よくみると、本文が微妙にずれていたりするのですが、作った本人達にとってはそんな細かいことはいいんですよね(笑)。

§ 先生の作品も堪能!

会場には、植村さんの作品や製本に関する本が展示されていて、講座が終わった後に自由に見られるようになっていたのですが、これがもう大人気。植村さんの作品が、ホントにもう可愛らしいんですよ~。古本と手製本ヨンネの中の「gallery」ページに、この日お持ちいただいたものと同じものがいくつか掲載されているので、ぜひ見てみてください。実物を触らせてもらうと、もっと興奮しちゃいますよ(笑)。

植村さんのお話を聞きたい人もとても多くて、私も植村さんに本文の紙がコピー用紙でも作れるかどうか聞きたかったのですが、作品の話や他の場所で行っている製本講座の話など聞きたい人が植村さんの周りを取り巻いていたので、なかなか近づけない。一度図書館の方に行って、20分後くらいに戻ってきたらどうにか人が減っていてやっと話しかけられました(笑)。とにかく、すごい熱気に溢れていました!

展示本も一部を除いては貸出することができたので、20分後に戻ってきたときには最初用意されていた冊数の半分ほどにまで減っていたと思います。そりゃもう作った嬉しさが記憶に新しいから、さっそく次のものも作りたくなりますもんね。本だけ読んでやろうとしても難しいけど、教えてもらいながら一つ作ったという自信もありますし。

この講座後の盛り上がりでも感じましたが、この日とっても楽しい時間が過ごせたのは、本を作ることそのものはもちろんのこと、同じテーブルの皆さんと話しながら作ったことも大きかったです。この講座に参加するくらいだから手作り好きな方が多い様子で、でも皆さん製本講座は初めてだった。皆が初めてというのもいい方向に転んだのか、教えあったりしながらワイワイ盛り上がって作ることができて、とても楽しかったです。植村さん、ご一緒した皆さん、ありがとうございました!