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台東区立根岸図書館

台東区立根岸図書館 訪問記

last visit:2013/07/19

台東区立根岸図書館は、三ノ輪駅そばの図書館。都営根岸5丁目アパートの一画にある、古めの図書館です。学習室はありますが、閲覧席は少ないです。

§ 図書館の場所

根岸図書館は三ノ輪駅のそば。2番出口を出て右に進むと、一区画先に高層アパートがあり、その2階が根岸図書館です。昭和通り面した側に、アパートの入口とは別で根岸社会教育会館(1階)・根岸図書館(2階)への入口があります。入口手前の図書館ブックポストになっている倉庫に、ゾウやウサギのイラストで「根岸図書館」と描かれているので、それが目印になります。

ここからちょっと足をのばせば一葉記念館もあります。樋口一葉がその辺りに住んでいて、『たけくらべ』もここが舞台なんですよね。一葉記念館は、2006年に改築していた頃、台東区生涯学習センターの3階に移転していて、私もそのときに行ったことがあるのですが、職員さんが嬉しそうに「お札になったおかげで、あらためて一葉が注目され、こうして改築もできるようになった」と言っていたのが印象的です。改築されてから私はまだ行ったことがないので、ぜひ行ってみたいと思っています。

§ 図書館内の様子

2階にあがって図書館エリアに入ると、左への通路の両脇に雑誌棚があり、その先にカウンターがあります。カウンター手前左側が児童コーナーで、右側には別室になった学習室があり、カウンターの向こう側一帯が一般書架。新聞は雑誌とは別になって、一般書架の左奥にあります。一般書架の中の左手前にはCD棚や中高生コーナーもあります。

全体的に面積が小さく、スペースいっぱいに多くの資料を詰めているという印象です。察するに、職員さんの使うバックヤード部分も狭そう。閲覧席は少ないけど図書館カードを提示して利用する学習室があり、そちらはいつも空席がある印象なので、書棚は効率的に回って、開いて読むのは学習室を利用するなど、上手に利用したいです。

§ 児童コーナー

入口からみてカウンター手前から左に入ったところの児童コーナーは、窓に「エルマーのぼうけん」シリーズやムーミンシリーズの挿絵が貼られており、絵の世界から物語へ入っていける空間です。児童コーナー入った正面に絵本の棚があり、左側に児童読み物、奥の窓際から右側にかけてちしきの本が並んでいるという配置なのですが、右側のちしきの本が並ぶエリアに紙芝居があったり、中央の絵本の棚そばではなく、児童読み物に近い方に靴脱ぎスペースがあったりと、ややちぐはぐな面も見受けられます。紙芝居のうちアンパンマンシリーズだけは児童読み物に近い小さい棚にあるので、お探しの際はご注意ください。

絵本は、日本のおはなしと外国のおはなしを別にして、それぞれ絵を描いた人の姓名の五十音順に並んでいます。児童読み物は、日本or外国という分類ではなく、英米のおはなし、ドイツのおはなし…といったように、外国人作家の本は更に国・地域別に分けたうえで著者姓名五十音順になっています。ただ、棚の表記としては「にほんのおはなし」「がいこくのおはなし」という表記しかなく、「がいこく」の中で見出しなどをつけたりしないまま国・地域別に並んでいるので、ややわかりにくです。

と、わかりにくさを強調してしまいましたが、配置があちこちに飛んでいるのを楽しむのもいいのかなとも思います。乳幼児はこちら、小学校低学年はそちら、高学年はあちら、といったようにはっきりエリア分けされていたら確かにわかりやすいけど、それでは対象年齢にあった棚しか見なくなってしまうかも。目当ての本や紙芝居を探す途中で目に留まったものを手に取ったりして、お子さんと本との出会いを広げてください。

§ 一般書架

一般書架は、通路の両脇に書棚が並んでいる形。通路側にも棚が増設してあったりしますが、もともとの棚間が広いせいかそれほど圧迫感は感じません。書架内にあるテーブル席のうち、家事関連本のそばの区画と中高生コーナーのテーブルには普段は椅子を置いておらず、カウンターに利用を申し出ると椅子を出してくれるシステムです。また、それら書架内の席とは別に、カウンター前の学習室に図書館カードと引き換えで利用できる机席があります。

棚を見ていると、全体的に棚に差すタイプの見出しが少なく、棚上の見出しでこの辺にはどんな本があるのか、ざっくりとわかるようなかたちです。学習室との境の壁沿いにある家事関連本の棚などは、棚に差すタイプのカラフルな見出しがあり、どこからどこまで料理の本なのか境目がしっかりとわかるようになっているので、他のジャンルの棚もぜひそうしてもらえると本が探しやすいです。

家事関連本の隣には「パソコン実用書コーナー」があり、一般的な日本図書分類法だと、ExcelやWordなどのマニュアル本は「007」、インターネット関連は「547」と分類が分かれてしまうパソコン関連本をまとめて並べています。日本図書分類法は古くから使われている分類で、現代社会で関連があるものがこのように別の分類になってしまうこともありますが、実際の本棚の位置でまとめたりしてくれると本を探す側にとっては便利です。

通路の真ん中付近にはビジネス関連図書コーナーもあり、どうやらビジネス関連本のうち発行年が比較的新しいものをこちらにまとめているようです。ビジネス関連図書コーナーの本には、日本図書分類法に準じたジャンルを表す分類記号ラベルに加えて、「BS12」「BS13」といったラベルが貼られており、「BS12」が2012年に発行されたビジネス関連本、「BS13」が2013年に発行されたビジネス関連本といったかたちで発行年が記されており、2013年7月20日に行ったときには2011年以降のビジネス関連本が「ビジネス関連図書コーナー」のほうに置かれているかたちでした。つまり、たとえば20年前のマーケティングに関する本が読みたいというときは一般書架のマーケティングの棚を見ればいいし、最新のマーケティングに関する本が読みたいときはビジネス関連図書コーナーを見るといった使い分けができます。

日本の小説とエッセイは一緒にして、著者名の姓の頭2文字+名の頭1文字を五十音順に並べてます。例えば、黒岩研(クロイワ ケン)なら「クロケ」、黒川鍾信(クロカワ アツノブ)なら「クロア」、黒須紀一郎(クロス キイチロウ)なら「クロキ」となり、その3文字が五十音順になるように並べてあるので、黒川鍾信→黒岩研→黒須紀一郎という順になるんですね。単純な名前の五十音順とは少し違うのでご注意ください。また、複数の作家の作品集は書名の頭文字で分類され、一人の著者の本より前に並んでいます。小説の「ク」の棚に行くと、最初に書名が「ク」で始まる作品集があり、その後、上に書いたような順で、分類記号が「ク○○」となる作家の本が並ぶという形です。

外国の小説は、「東洋文学」「英米文学」「ドイツ文学」といった形で国・地域別に分類した上で、それぞれの中で著者の姓名の五十音順。こちらは日本の小説と違って、姓2文字+名1文字のようなことはなく、純粋に姓名の五十音順です。

漫画は、中高生コーナーの一画(S2の棚)と、その窓際側の隣の棚、新聞コーナーの一画との3ヶ所に分けておいてあります。概ね、中高生コーナーの方が文庫マンガやコミックスなど小さいサイズ、新聞コーナーの方がその他の大きめのサイズの漫画といった具合に分かれています。横山光輝の漫画などの巻数が多いものも、貸出もできるのに意外と借りられずに棚に揃っていますよ。

新聞コーナーは新聞用書架だけがあり、立って新聞を読む形です。入口近くの雑誌コーナーにも椅子はないので、いろんな雑誌をあれこれ読む場合は、雑誌コーナーから席がある場所まで何度も往復する羽目になります。趣味系の雑誌は普通の本棚のように壁に対して垂直に並んでいて、表紙を見たかったら斜め横から覗かないといけない状態でやや不便。雑誌って表紙に中身の情報があったり、表紙が変われば新しい号が出たことがわかったりするので、表紙を見たいですもんね。小スペースで仕方ない部分もあるので、表紙を見やすい斜め横の位置は、譲り合って立ちましょう。

§ 人の手を感じられる図書館

建物が古いので何となく地味な印象を受ける根岸図書館ですが、あとからDIYで作ったらしき棚には可愛らしい装飾がついているのです。一般書架だと、中央の通路の左側の書棚の側面に半円状の段を増設して、表紙が見える向きで本を飾っているのですが、この板を支える支柱の先に色違いの円錐がちょこんとついていて、可愛い屋根という感じ。

児童コーナーの窓際の棚にも、上段をあとから増設した風なのですが、凸凹した可愛いピンクの装飾がついています。おそらく、収納量を少しでも増やすべく棚を手作りした人が、遊び心あるデザインをしたんでしょうね。きれいで新しい図書館もいいけど、コストが限られたなか手作りで増設された棚を見ると、職員さんの努力にこちらも嬉しくなってしまいます。

座席数が少ないこともあり、じっくり本を読むには適していない面もありますが、根岸図書館に限らず、台東区は中央図書館がどーんと大きくて、その他の館はどれも中の小程度の規模なんですよね。図書館は検索予約システムで他館から本を取り寄せることもできるから、それを使えば小さい館でもたくさんの本を利用することができます。根岸図書館を窓口に、台東区立図書館の幅広い蔵書を存分に利用してくださいね。

台東区立根岸図書館 データ

住所東京都台東区根岸5-18-13 都営根岸5丁目アパート2階 →Google Mapで見る
Tel03-3876-2101(代)
開館時間
月~土曜9:30~20:00
日曜9:30~17:00
※1月4日は10:30開館
定休日第2,3,4,5月曜・第3木曜
第1月曜の前日
祝日(日曜の祝日の場合は開館し、振替休日を休館)
12月29日~1月3日
最寄駅 東京メトロ日比谷線 三ノ輪駅から徒歩1分
都電荒川線 三ノ輪橋駅から徒歩6分
都電荒川線 荒川一中前駅から徒歩11分
東京メトロ日比谷線 南千住駅から徒歩15分
東京メトロ日比谷線 入谷駅から徒歩15分
駐輪場建物入口向かって左側に駐輪場あり
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数65,124冊(2017/03/31現在、出典『台東区の図書館 平成29年度事業報告』)
音声資料
CDカセットレコード
ありなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物入口手前左の倉庫にブックポストあり
自動貸出機なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用学習室の一番奥の列(4席)にて持参PCの利用可能。電源なし。
飲食設備等なし