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CurrentIcon 閉鎖前の荒川区立荒川図書館

荒川区立荒川図書館は、2016(平成28)年12月18日を最後に閉館しました。今後、荒川図書館の資料と南千住図書館の閉架書庫・郷土学習室の資料を継承した「ゆいの森あらかわ」が2017(平成29)年3月26日に開館します。
以下は、閉鎖前の荒川区立荒川図書館の訪問記です。

閉鎖前の荒川区立荒川図書館 訪問記

last visit:2016/12/16
§ 図書館の場所

荒川図書館は、千代田線と平行に走る京成本線、都電荒川線、常磐線に囲まれた三角形の真ん中付近に位置します。最寄り駅としては、都電荒川線なら荒川二丁目駅、京成本線なら新三河島駅、常磐線なら三河島駅、千代田線なら町屋駅と、道のり1km圏内に多くの駅があり便利です(各最寄駅から図書館までの道のりはこちら)。

ただ、路地の入り組んでいる地域にあるので、どの駅から行っても場所がわかりにくい。まるで隠れ家のように、路地に入った奥に図書館が建っているのです。私は10回以上荒川図書館に訪れたことがありますが、7割くらいは道を間違えています(笑)。初めて行く際には、地図を持っていく、スマホの地図アプリを使うなどして荒川図書館を見つけてください。

§ 図書館内の様子

荒川図書館は2階建ての建物です。1階に、児童コーナー、ティーンズコーナー、くらしのコーナー、大活字本。2階に、一般書架、新聞・雑誌コーナー、CDという構成です。カウンターは、1,2階にそれぞれ設置されています。雑誌のほとんどは2階にありますが、女性誌と料理などのくらしに関連する雑誌は1階のくらしのコーナーにあります。

荒川図書館は、1962(昭和37)年3月2日に開設された、荒川区にとって最初の図書館だそうで、建物として古いです。エレベーターや誰でもトイレがないなど、バリアフリー面で劣っているのも事実ですし、座席が少ないので受験シーズンなど座席利用者の多い時期には必ずしも座れるとは限りません。ただ、使いこなされた建物のほうが落ち着くという方には今や残り少ない昭和30年代の匂いがする図書館です。

§ 1階の様子

1階の入口を入ると、奥にカウンターが見え、手前左にティーンズコーナー、右手前に折り返すかたちの一画が「くらしのコーナー」。また、カウンターの左奥にも部屋があり、そこが児童エリアです。児童エリアだけで一部屋になっているので、静かにし続けるのが苦手なお子さんを連れてきても安心です。

それぞれのコーナーを細かく見ていきましょう。ティーンズコーナーは建物のロビーの一画に棚を設置したようなかたちですが、漫画があったり、入口付近で目に入りやすいこともあってか、10代未満も大人も利用しています。本の対象年齢はあくまでもガイドに過ぎず、絵本を楽しむ大人もいれば、大人びた本を読む子どももいる。児童・中高生・一般といった分類を活用しつつ、いろいろな本に出会いたいです。

ちなみに漫画は、ティーンズコーナーと児童エリアの両方にあります。『風の谷のナウシカ』『ぼのぼの』などが児童エリア(入ってすぐ左の棚)、『ONE PIECE』『陰陽師』『ぴんとこな』などはティーンズコーナーと、何となく対象年齢で分かれています。ただ、ティーンズコーナーには座席がないので、立ち読みするか、本をもって別の場所に行くかしないと読めないのが不便。直感で本を選んでいろいろ借りてみるのも手かもしれません。

直感では本を選べないという人には、荒川区立図書館が中高生向けに発行している「ぺら」「太鼓ボン」といったお薦め本情報誌が参考になります。印刷したものがティーンズコーナーに置いてあるだけでなく、荒川区立図書館HPティーンズページにバックナンバーもUPされているので、過去のお薦め本を知りたい人や荒川区以外の方もぜひ読んでみてください。

§ くらしのコーナー

「くらしのコーナー」は、昔「児童・女性の優先コーナー」だったところが名前だけ変わったコーナー。料理などの家事に関する本がある場所を「女性コーナー」のように呼ぶのは、家事は女性がするものという決めつけであり、そうした本を読みたい男性にとっても利用のハードルを上げている。名前一つですが大きな改善だと思います。

ただ、置かれている本に児童・女性の優先コーナーだった頃の名残があり、料理、裁縫、掃除、育児などの「くらし」に関連する本に加えて、ハーレクイン・ロマンスと女性が書いたエッセイ本もここにあります。これらの本を読もうと2階の小説・エッセイの棚を探してもないのでご注意ください。

「くらしのコーナー」には、児童コーナーによくあるような、床面より高くて、靴を脱いで上がれるようになっているところがあり、家にいるような気分でくつろいで本が読めます。大人向けの靴脱ぎコーナーは一時期流行ったようで、古い図書館にはたまにあるのですが、新しい図書館ではほとんど設置されていません。荒川図書館をご利用の皆さん、貴重な大人向け靴脱ぎコーナーをぜひ堪能してください。

§ 児童エリア

児童エリアは、バックヤードを除いた1階面積の半分くらいの面積を占めており、結構広いです。部屋の左奥に靴を脱いで上がれるコーナーがあるほか、児童エリア入って右に別室で「おはなしのへや」があり、おはなし会はこの部屋で開催します。

長方形状の児童エリアのうち、手前側が絵本、奥側が児童向け読み物やちしきの本という配置です。左奥の靴脱ぎスペースには、紙芝居など小さい子向けの資料のほか、絵本ガイドなどの「児童文学資料」もあります。動物の本がある棚に、紙工作で作った恐竜や虫のモビールが飾られていたり、最近開催したイベントの写真やお呼びしたゲストの色紙が飾られていたりして、楽しい雰囲気の空間です。

そうそう、書き忘れましたが、絵本は児童エリアのほか、「くらしのコーナー」にも置いてあります。くらしのコーナーにある絵本は「あら坊絵本コーナー」と題しており、荒川区のシンボルキャラクター・あら坊のグッズの売り上げの一部で購入した絵本とのこと。ラインナップとしては、物語の絵本が中心のなか、ちしき絵本や詩・俳句と絵を組み合わせた絵本などもあり、大人も楽しめます。

私自身はゆるキャラなどにはあまり興味がないのですが、キャラクターグッズの売り上げが図書館の蔵書に貢献するとなると、俄然あら坊を応援する気になります(笑)。あら坊やあらみぃ(あら坊の妹)の人形焼やどら焼きもあるそうなので、お店のそばに行く機会があったら食べてみよう。

§ 2階の様子

2階への階段を上ると、左にカウンターがあり、カウンターの前にCD、カウンターをL字状に囲うかたちで一般書架が並んでいます。そして、一般書架とは別の部屋、ちょうど児童コーナーの上にあたる部分に、新聞・雑誌コーナー、文庫、指定席制の学習席があります。

一般書架には座席はなく、新聞・雑誌コーナーと学習席にある椅子4席と机33席のみ。そのうち学習席20席は、2階のカウンターに申し込んで、図書館カードと引き換えに座席票をもらっての利用になります。カウンターで学習席を利用したいと言うと空席状況を見せてくれるので、そこから好きな座席を選べます。最近、座席確保システムを使って決められた時間・座席を利用する仕組みを導入している図書館が徐々に増えていますが、荒川図書館の指定席は時間制限なしです。

また、新聞・雑誌コーナーの一画にはネット閲覧PCが3台、持参PCを利用できる席が3席あります。持参PCをネット接続したい場合は、カウンターに申し込んで無線LAN接続のID・パスワードをもらって、そちらでネット接続できます。

§ 一般書架

一般書架は、古い図書館らしく棚と棚の間が狭くて、ふと曲がると目の前に人がいてびっくり!みたいなことが起こりやすいです。別の人がいるときに棚が見づらいだけでなく、下の方の段は一人でいても見づらいですが、それを補うかのように分類見出しが細かくついているのが渋い工夫です。

一般書架で紹介したいのは、新聞・雑誌コーナーへの入口近くにある「吉村昭著作コーナー」。小説家の吉村氏は荒川区出身で、荒川図書館が拡大移設するかたちで2017(平成29)年3月にオープンする「ゆいの森あらかわ」には、吉村昭記念文学館が設置される予定です。このコーナーには、その吉村氏の著作や、奥様である津村節子が書いたエッセイのうち吉村氏が多く登場する本などを集められています。

多くの作品があるなか、どれから読めばいいのか迷うという人は、このコーナー用に発行された「読んでおきたい吉村昭」をどうぞ。A6サイズの紙に吉村氏の著作を1冊紹介するかたちで発行しており、これまでのバックナンバーをまとめたファイルもあるので、短くまとめられた紹介文から好みの作品を探せます。このチラシは下半分がゆいの森あらかわの広報になっており、「(仮称)荒川二丁目複合施設」と呼ばれていた頃から徐々に計画が固まっていくのが感じられます。

また、カウンター向かって右にある「地域行政資料コーナー」では、地域や行政の資料はもちろん、荒川区発行の「荒川区南千住まちあるきマップ」「都電荒川線沿線・日暮里・舎人ライナー沿線まちあるきマップ」や、東京都発行のハンディマップも閲覧でき、散歩を楽しみたくなります。地域行政資料コーナー向かって右奥の壁には「下町大好き 下町情報マップ」という北千住・南千住のイラストマップ(たぶん、これと同じもの)も貼ってあり、作成から数年経っているので今はないお店などもありそうですが、そこが逆に「この時期の千住」として資料性を高めているように思います。

§ 起源をたどると東京市立図書館に辿れる歴史ある図書館

建物が古めかしいので、それによる使い勝手の悪さなどに目が行きがちな荒川図書館ですが、裏を返せばそれだけ歴史があるということ。荒川区にとって最初の図書館であることは既に書きましたが、その歴史は東京都がまだ東京府だった頃までさかのぼります。東京市立荒川図書館が設立されたのが1938(昭和13)年10月で、当時は別の場所にあったそう。それが1950(昭和25)年に荒川区に移管され、1955(昭和30)年に別の建物に移設、その後更に新しい場所へと移して1962(昭和37)年に開設したのが現在の荒川図書館なのです。

現在は閉鎖されてしまいましたが、2013(平成25)年3月までは隣にプラネタリウムもあり、こちらは1964(昭和39)年4月の開館でした。1960年代には図書館とプラネタリウムがあるこの場所が、荒川区の文化の中心だったのではと想像が膨らみます。文化の中心にしては、わかりにくい住宅地の中にあるというのがやや謎でもありますが(笑)。それとも、図書館とプラネタリウムができた後に周辺の住宅が建ったのでしょうか。これはいつか昔の地図を調べて確認したいと思います。

そういう歴史があると知ってから荒川図書館のなかを歩くと、長い間頑張ってきた施設なんだなあとしみじみ感じてしまいます。初夏などは空調をつけずに窓を開けているのですが、住宅地の奥にあるおかげで車の音に悩まされることもなく、それが建物の古さと相まって、忙しない現代から昭和の世界にタイムトリップした気分にもなってしまうくらい。住宅地の奥にひっそりと建つ本の空間を楽しめる図書館です。

閉鎖前の荒川区立荒川図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  秋の図書館フェア「図書館から文学のおくりもの」 ~詩歌・戯曲
―2007年10月から11月11日までの展示
  秋の図書館フェア「五教科」 ~音楽・図工
―2006年10月21日から11月12日までの展示
  秋の図書館フェア「来(らい)!ぶらり日本一周」 ~北海道・東北エリア
―2005年10月22日から11月13日の展示
2005年秋に荒川区立図書館全館で行った図書館フェア「来(らい)!ぶらり日本一周」での、荒川図書館の担当「北海道・東北エリア」の展示
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