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港区立台場図書館

※港区立図書館は、全館休館(一部、閲覧等はできないが場所としての利用のみ実施)とシステム停止の予定があります。詳細はこちらをどうぞ。

港区立台場図書館 訪問記

last visit:2024/03/03

2023年度まで「台場区民センター図書室」だった施設が2024年4月1日から「台場図書館」として運営されています。「図書館」へ変わるのに先立って改修工事を経て2024年2月29日からリニューアル開館しており、港区立図書館の中では一番新しい施設です。

§ お台場海浜公園駅直結の図書館

台場区民センター図書室は、ゆりかもめのお台場海浜公園駅のすぐ近く。駅名やデックス東京ビーチに近いことを考えると遊ぶ場所という印象を抱いている人が多いかもしれませんが、駅に直結している建物をはじめとして高層住宅が並んでおり、住む人も多い場所です。その駅直結のシーリアお台場五番街の3階に台場図書館があります。

ただ、この「3階」がどこにあるのかがわかりづらい。建物の1~3階に台場区民センターが入っているのですが、1,2階の台場区民センター入口と3階の台場区民センター入口の横方向位置が離れていて、下手に台場区民センターの1,2階の入口を知っていると3階はどこ?と探してしまいます。3階入口はお台場海浜公園駅の方向にあり、図書館目当てに探していなければそこに何かがあるのか気付かないくらいひっそりとした雰囲気。商業施設の看板が賑やかな地域の中にある図書館としては、静かに本と向き合えるオアシスとしてこれくらい地味な方がいいのかもしれません。台場区民センターの1,2階から3階へは行けず、3階入口からしか台場図書館に入れないのでご注意ください。

§ 図書館としてはこじんまり

台場図書館は、それまで「台場区民センター図書室」という名前で2階で運営されていたところを、区民センター全体の改修工事の際に3階へと移動して、2024年2月29日にリニューアルされた図書室が開館、そして2024年4月1日から名称を「港区立台場図書館」に変えて運営されて今に至ります。なので、改修前の図書室よりより規模が大きくなることを期待していたのですが、実際に行ってみたら他の港区立図書館と比べて小さくてやや期待外れ。よく考えたら新しく建物を建てるのではなく既存の建物内での改修なので限界があるのは当然、むしろ私が現実を無視して期待を膨らませすぎたか。

図書館の見取り図としては「L」の字状の区画で、「L」の横棒の右寄りに入口があり、入口入った正面にカウンター、横棒の右端に絵本と児童読み物、横棒左側に児童向け知識の本、新聞・雑誌、CD、小説以外の一般書架があり、縦棒に小説・エッセイ、文庫本が並ぶという配置です。閲覧席は縦棒部分の壁沿いにぐるっと設置されています。2024年3月3日の時点では上から下まで空のままの棚もあり、できたばかりの図書館が段々と蔵書が増えていく様子を想像して楽しみになります。

港区では2022年に移設開館した三田図書館で予約コーナーや図書消毒器が導入されているので、新しくなった台場区民センター図書室にもそうした新しい設備が導入されるかと思いましたが、2024年3月3日時点ではそういったものはなし。そういえば他の港区立図書館ではおそらく全館で導入されている自動貸出機も台場区民センター図書室にはありませんでした。館内検索機も1台だけしかなく少ないように思いましたが、スマホを持っていればスマホから検索・予約した方がログアウトし忘れなどを注意しなくて済むし、今はそっちを使う人が多いのかも。館内では港区の公衆無線LANが使えます。

館内にこれから設置する何かが入っていると思われる大きな段ボールがあったので、こうした設備面は今後変わるでしょうが、2024年3月3日時点では他の港区立図書館(みなと三田麻布赤坂高輪港南高輪分室)よりは連携図書室(青山郷土リーブラ)に近い設備状況です。

本棚を巡っていて感じたのは、女性用トイレ・誰でもトイレの前が、トイレへの動線を確保するしわ寄せで棚同士の感覚が狭くなっていて、棚の下段などが見づらくなっていること。図書館では平積み台を置く書店と違って、上から下まで本を差すかたちで入れる棚を使うので、下段の棚を見逃しやすい傾向にあります。棚から少し離れると立ったままでも下段のタイトルを見やすくなりますが、通路が狭いとしっかりしゃがまなければ下段の文字が見えない。私、先日YouTubeで見つけてマエケン体操はときどきやっているのですが、図書館を楽しむには股関節を柔らかくする運動もしないといけないな。

§ 台場図書館独自の部分も

児童読み物の棚をぶらぶらしていて気が付いたのが、読み物の対象年齢による分類が細かいこと。小学生向けの読み物といっても1年生と6年生では読める漢字も読解力も違うので、図書館ではそれがわかるような分類やラベル付けをしているのですが、割合としては「低学年向け/高学年向け」「やさしいよみもの/よみもの」のように2つに分類分けしている図書館の方が多いです。そこを台場図書館では「桃色丸シール:幼児向け、黄色丸シール:小学1~2年生向け、橙色丸シール:小学3~4年生向け、緑色丸シール:小学5~6年生向け」として、児童読み物の本全てにいずれかのシールを貼っています。

今思い出せる限りでは他の港区立図書館でこのようなことをしていたのを見た記憶がないので、台場図書館独自の工夫のように思います。ただ、もう一つ児童向け読み物の棚を見ていて気が付いたことがあり、日本人作家が書いた本と外国人作家が書いた本で分類記号が違う(日本人作家は「J」+著者名頭文字、外国人作家は「W」+著者名頭文字)のに、並べ方としては日本人作家も外国人作家も一緒にして著者名五十音順に並んでいるんです。これも台場図書館独自かもと思ったところ、家に帰ってからみなと図書館に行ったときのメモを見たらみなと図書館も同様の分類・並べ方をしていたので、私の記憶もあてにならないのですが。今度他の港区立図書館に行ったときにどうなっているか確認してみます。

そうそう、もう一つありました。他の港区立図書館は全て紙芝居を所蔵していたように思いますが、台場図書館には2024年3月3日時点で紙芝居がありませんでした。これが今度も続くのかどうかはわかりませんが、臨海副都心地域では2024年3月17日(日)に江東区立有明こども図書館が開館する予定で、江東区立図書館が比較的紙芝居を重視している(街頭紙芝居を郷土資料として揃えている、貸出点数に関して図書などの枠とは別に紙芝居の枠を設けている)ことから推測するに、有明こども図書館では紙芝居を所蔵すると思われます。有明こども図書館は台場からのぞみ橋を渡った向こうの有明スポーツセンター内に開館し、港区在住であれば江東区立図書館にも利用登録できるので、台場地域の皆さんもぜひご利用ください。

児童資料の話ばかり続けてしまいましたが、利用者全体に大きく関わる台場図書館の特徴は開館時間や定休日。港区立図書館の日曜祝日の閉館時刻はほとんどが17時で閉館、但し高輪分室だけは20時閉館で、台場図書館は高輪分室と同様に20時まで開いています。定休日についても、他の港区立図書館は第3木曜が定休日のところ、台場図書館は第3木曜も開いています。つまり、他の港区立図書館より小規模だけど、他の港区立図書館より長く開いている。この違いを活用したいです。

§ 元の場所に戻った?

私が行った2024年3月3日はリニューアル開館してからまだ間もなくて、いかにも新しくなった図書館に来てみたという雰囲気の人が多かったんです。家族で一緒に来てここがこうだねと感想を言い合いながら館内を回る人がいたりして、通常の開館日の様子の中に何割か見学会っぽさが混ざったような、ときどき図書館に関する会話が漏れ聞こえてくる雰囲気で。そんな様子の館内で、利用者の方が職員さんに昔のこの場所のことを話しているのが聞こえたんです。

その方曰く…と書くと私が聴き耳を立てていたみたいですが、窓口での会話が小説の棚にいる私にも聞こえたくらいなので、聞かれたくない話をする際の声量ではないはずだし、プライバシーを侵害する内容ではないから書いてしまってもいいでしょう。その方曰く、当初は港区立図書館システムとは繋がっていない区民センターの図書室としてこの3階に図書室があった、それが後に2階に移動した、そして今改修工事を経て3階にリニューアル開館した。だから、その方にとっては新しい図書館というよりは、元の場所に戻ってきたという感じだと。

私自身が初めて台場区民センター図書室に来たのが2012年11月で、そのときのメモによるとその図書室が港区立図書館システムに繋がるようになったのが2009年3月1日から、それまでは独自の図書館カードを作っていたとあります。こういう情報を繋ぎ合わせると、表面的には「2024年4月から台場図書館が開館する」という事象であっても、実際には区民センターの中の小さな図書室という状態から少しずつ育ってきたように感じます。

改修前に図書室が2階にあった名残で、改修工事が終わった今も図書館が3階にあるのに閉館時用の返却ポストが2階にあるという奇妙な状態になってしまっているのですが、ある意味これも2階にあった時期の記念碑のような、と言うのは大袈裟か。いや実際、こうして図書館巡りをしていると、何でこんなことになっているんだ?という謎の裏にその図書館の歴史を発見するということが少なからずあるのです。

まだ、空いた棚の多い台場図書館ですが、このようにその昔を知っている人にとっては、これからどう変わるかも楽しみなのではないでしょうか。2012年以降しか知らない私もこれから少しずつ棚が埋まっていく様子を楽しみたいと思います。

港区立台場図書館 データ

住所東京都港区台場1-5-1 台場コミュニティぷらざ3階 →Google Mapで見る
Tel03-5500-2356
開館時間9:00~20:00
定休日12月29日~1月3日
最寄駅 ゆりかもめ お台場海浜公園駅から徒歩2分
TWRりんかい線 東京テレポート駅から徒歩5分
ゆりかもめ 青海駅から徒歩11分
ゆりかもめ 台場駅から徒歩12分
駐車場なし
設備
ブックポスト台場コミュニティぷらざ2階入口向かって左にブックポストあり(台場コミュニティぷらざ2階入口は、3階の台場区民センター図書室を出て左に回るこむ位置にある階段を降り、2階に着いたらさらに左に回り込むように進んだところにあります)
自動貸出機なし
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
図書の除菌なし
LAN接続館内で港区の公衆無線LAN(Minato City Wi-Fi)の利用可能