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花畑図書館さんぽ お碗1/45杯分

visit:2026/08/09

今日は足立区の花畑図書館へ。今月31日から花畑図書館と荒川区立南千住図書館が大規模改修のため長期休館に入る。できればその前にこの2館の今の様子を見ておきたい。今日はそのうち花畑図書館に行くことを選んだのだ。

最寄り駅である竹ノ塚駅で降りると私の記憶と比べてすっかり変わっていて、そうか駅がリニューアルしてから来るのは初めてだと思い当たる。最後に竹ノ塚駅に来たのは竹の塚図書館のビブリオバトルに参加したとき、竹ノ塚駅が高架化工事の過程で一時的に地下に改札を移していた頃だ。私の好きなコミュニティ型のビブリオバトル(発表者と観覧者がいるイベント型ではなく、全員が輪になって発表者となるかたち)で、終わった後も本の話にとどまらず雑談が広がり、図書館のように工事中だからと休業できない鉄道駅がこちらの線路を使っている間にあちらを高架化してと進む工程がパズルのようだと盛り上がったのを覚えている。

駅の東口へ出ると、駅を背にして東側を望む景色はそれほど変わっていないが、2階の駅改札から東口への通り道だったビルが駅とは切り離されて、用事のある人以外は入らないでくれ感の強いシェアオフィスになっている。このビルは高架化工事前には北側に長かったのを現在の改札までの動線のために一部を解体したかたちで、1階のキャンドゥがある面の外壁が妙にデコボコしているのはその名残だ。使える限りは現役を続けますという雰囲気の古いビルと新しい駅舎が並ぶ対比が印象的だ。

竹ノ塚駅から花畑図書館までは歩いたら30分強、のんびり歩きたくなる季節ならともかく、この暑い中その気にはなれない。Google Mapでルート検索すると、東武バス竹15-2に乗って「団地入口」停留所で降りよと出る。その通りにバスに乗ると、1つ目の停留所が「公園前」、2つ目が「旧道交差点」と普通名詞だけからなる名前が続くのが面白い。おそらく同じ地名を含む停留所名が続くよりわかりやすくという意図でこうしたのだろうが、架空の町にいる小説の登場人物にでもなった気分だ。

「団地入口」停留所から4区画南に歩いたところが花畑地域学習センターで、図書館はその3階にある。停留所から図書館へ向かう途中にある地域学習センターの第2駐車場には休館中の仮設事務所が既に建っており、後は内装を待つといった体である。工事期間は1年7ヶ月、図書館もその間はこの仮事務所の中でカウンター業務をするだけとなる。

階段で3階に上がろうとすると、一段一段にマイナス何kcalと数字が書かれた足跡マークが記されている。階段を使ってカロリー消費しましょうというわけだ。少しずつ増えていく足跡の数字を辿って3階の図書館に着いた地点の数字は-5.43kcal、普通盛り御飯1杯244kcalとしてたった1/45杯分か…、あまり深く考えないようにしよう。

花畑図書館は、エリア入口が左右に延びる区画の真ん中付近で、左にカウンターや一般書架、右奥の雑誌コーナーの通路を抜けた右一帯が児童エリアだ。閲覧席は勉強しに来た中高生にときおり大人が混じっているかたちで埋まっており、これぞ夏休み期間の図書館といった様子である。本棚はところどころ空きがあり、既に少しずつ休館中の保管場所へ本を運んでいるのだろうと想像する。

ここの本棚全てに目を通せる最後のつもりで、総記(0)から順に見始める。知識(002)の棚で『学びを結果に変えるアウトプット大全』が目に入り、この本は、書かれていることに倣おうというより、自分なりのインプット大全・アウトプット大全を作りたいという気にさせる本だと思いながらページをめくる。〇〇に書く、〇〇を書くという細分化だけでなく、断る、感謝するなどもアウトプットに含める発想が面白い。

情報学(007)にあった『70歳のウィキペディアン』は、いろいろな専門図書館で働いてきた著者が、Wikipediaの記事編集を通して、自分の調べた結果を公開すること、それに対して他の人が更に編集して内容が広がっていくことを楽しんでいる体験を綴った本。そういえば、足立区立中央図書館でも去年7月にWikipediaの記事を作るイベントをしていた。私自身は2017年に東久留米市立中央図書館で開催されたウィキペディア・タウンに参加したきり、というより、私の場合はこのサイトの運営があるのでWikipediaに記事を書きたいという気はないのだが、著者の言う調べる楽しさ、公開する面白さには共感する。

儀礼・冠婚葬祭(385)の中にラッピング(385.9)という項目があり、『ふろしきBOOK 1枚の布を結んでつくる50アレンジ』『基本のラッピング』といった本が並ぶの見て、こうした本は生活科学(59)ではなくこちらに入るのかとあらためて思う。気になって『ふろしき~』の分類を23区で調べてみたら、荒川区と渋谷区では59、練馬区は石神井図書館で385、平和台図書館で590、残りの区は385に分類していた。図書館分類では、ラッピングは生活を彩るものというより、儀礼的なものとして扱われるのだと解釈することにする。

自然科学(4類)、技術・工学(5類)と棚を回って、そろそろ疲れてきた頃に現れた料理(596)の棚に食欲がそそられる。一際目を惹いたのが『日本の肉じゃが 世界の肉じゃが』で、191ページの最初から最後までずっと肉じゃがの話で埋まっているのだ。前半の日本編では、肉じゃがの年表に加えて、さまざまな料理家の肉じゃがレシピも発表年順に並んでおり、レシピ本のかたちをとった社会史研究書のよう。後半の世界編では「肉」と「じゃが」が入っている煮込み料理がいろいろ並び、前半を読んでいたときに「明日の御飯は(日本の)肉じゃが一択だ」と思っていた気持ちが揺らいで目移りしてしまう。

驚いたのがバスケットボール(783)の棚に漫画『SLAM DUNK』があったこと。バスケを舞台にした小説はスポーツのバスケットボールの棚でなく小説の棚に並ぶ、それと同様に『SLAM DUNK』は漫画の棚に並ぶのが普通なのだ。足立区立図書館で検索してみると、『SLAM DUNK』を所蔵しているのは、中央・花畑・東和の3館でいずれもバスケットボール(783)に分類されている。更に調べると、バレーボール漫画『ハイキュー!!』も783.2、『ちはやふる』も競技かるたの本が分類される798となっている。足立区立図書館の漫画がこんな珍しい分類をしているとは知らなかった。

小説の棚に差し掛かったところで、ホルストの「木星」が流れてくる。いつの間にか閉館時刻が近付いていた。自動貸出機で本を1冊借りた後、図書除菌機LIVAで除菌する。先日使った城東図書館のLIVAよりも透明感のある筐体で新しい型番に見えたので、25秒で菌が復活してしまうアニメーション(詳細は2026年8月6日の城東図書館さんぽ記事#8段落目を参照)が改善しているかと思ったが、同じアニメーションだった。

滞在時間2時間半、一般書架の9割程度は見たが、地名にちなんだ「花と緑のコーナー」や幼少期を過ごしたゆかりがある「朱川湊人コーナー」まで辿り着けなかった。長期休館までにもう一度来られたら来よう。閉館音楽がドヴォルザークの「家路」に切り替わるなか、図書館を出た。