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CurrentIcon 小金井市立図書館東分室・公民館東分館 第2回ビブリオバトル テーマ「秋に読みたい本」

―2017年9月23日の展示
visit:2017/09/23
§ 東分室で2回目のビブリオバトル

バトラーが本を紹介しあうコミュニケーションゲーム・ビブリオバトル、小金井市立図書館では貫井北分室が最も多い開催数を誇っていますが、貫井北分室と同じNPO法人市民の図書館・公民館こがねいが運営している東分室でも2016年1月に開催されました。その東分室で2回目となるイベント型ビブリオバトルが2017年9月23日に開催されると知り、私もバトラーとして参加してきました。

場所は新小金井駅の近くにある小金井市東センターの2階の一室。「秋に読みたい本」をテーマに、6名のバトラーが2ゲームに分かれてお薦め本の紹介をしました。このイベントは公民館東分館と図書館東分室の連携事業だったのですが、公民館東分館と図書館東分室もバトラーとして参加し、かつ、参加していない方のゲームで司会を担当するという八面六臂(は言い過ぎ?笑)のご活躍。でも、その慌ただしい様子が堅苦しさをなくし、和やかな雰囲気のイベントになりました。

§ 前半・もみじグループ

グループ分けと順番決めは事前にくじ引きで決めており、第1ゲームのもみじグループと第2ゲームのきんぎょグループの2グループに分かれて、いざバトルです。もみじグループは、私がトップバッターとなり、伊吹有喜さんの『ミッドナイト・バス』を紹介しました。長距離バスの運転手の中年男性を中心に、元妻、娘、息子が、それぞれこれからの人生に行き詰っていて…という小説なのですが、私は読んでいる途中から主人公の利一が豊川悦司にしか思えなくて、なのに2018年に封切り予定の映画では原田泰造さんが演じることになっており、そのショックと、私の中では豊悦なんです!という思いを力説してしまいました(笑)。

2番目は、公民館東分館の館長さんがバトラーとして登場し、『面白くてよくわかる!論語』という本を紹介しました。論語の中で一番好きな一節が「学びて思わざれば、則ち罔し」だそうで、紹介しているときの様子も含めて実直なお人柄が伝わってきました。

今回のイベントに限らず、ビブリオバトルはまだ少しずつ普及している段階で、なかなかバトラーが集まらずに職員さんがバトラーとして出ることも多いのですが、それって必ずしも応募者が少なくて残念なだけではないと思うんです。本を紹介する中で普段はじっくり話すことのない職員さんの人柄が見え、コミュニケーションが生まれることで、単なる利用者と職員の間柄からもう少し近くなれる。私はこうやって知り合った職員さんが発表した本を読んだら、次にお会いできたときにその本の話をするようにしているのですが、こういう人間関係ができると図書館(公民館)を使うのもより楽しくなります。

3番手の女性は、絵本『りんごかもしれない』を紹介。どの棚へ行くにも児童書エリアを通るような配置になっている書店で見つけた絵本で、りんごに見えても本当は違う何かかもしれないという発想をひたすら挙げまくる、著者のヨシタケシンスケさんの発想が面白いとのこと。この方の発表は、本の紹介ももちろんですが、「家の本棚の<ときどき読み直したい本>コーナーに置いています」という話も気になって、発表が終わった後に聞いてみたら、他にも自宅の本棚にいくつかコーナーが作っているそう。発表の5分間には、本の内容だけでなく、発表者の本の読み方・楽しみ方なども見えてきます。

もみじグループの発表が終わり、挙手による投票でチャンプ本を決めます。私は『りんごかもしれない』に挙げ、発表のときの様子からしてもこの本がチャンプ本になるだろうと予想していたのですが、『ミッドナイト・バス』がチャンプ本に決定しました。でも、どの本も面白そうで、特に『りんごかもしれない』は、前半戦と後半戦の間の休憩時間に、私を含め何人かで本を囲んで、この絵がいい、この発想がいいと、大いに盛り上がりました。

もみじグループ
1番手★『ミッドナイト・バス』伊吹有喜
2番手 『面白くてよくわかる!論語』佐久協
3番手 『りんごかもしれない』ヨシタケシンスケ
★がチャンプ本
§ 後半・きんぎょグループ

きんぎょグループの1番手さんが持ってきたのは、織田作之助『夫婦善哉』。バトラーさんは、この小説の存在こそ知っていたけれど、ずっと読んだことがなく、今年の6月に新聞に紹介されていたのを読んで、初めて読んでみたそう。タイトルからしてほのぼのとした夫婦の物語かと思いきや、意外と殺伐とした内容で、でもそんな世界のなかに「満たされないからこその愛」が描かれている作品だったそう。5分間の発表では「ほのぼのしているかと思いきや、意外と殺伐としている」と話した辺りで時間が来てしまったのですが、ディスカッションタイムに「満たされないからこその愛」という言葉が出て、とても興味をそそられました。

2番手の女性が紹介したのは、浅田次郎の『一路』です。江戸時代の参勤交代を題材にした小説で、バトラーさんは表紙に惹かれてこの本を読んだのだそう。書名にAmazonのリンクを貼ったので、そこから表紙を見ていただけるとわかるのですが、この本の表紙には登場人物がぎっしり描かれており、それぞれの人物が作中で発するセリフも書かれています。気になる登場人物・セリフに注目しながら読んだという話に、浅田さんの作風を踏まえての質問も出ていました。

最後は、小金井市立図書館東分室の館長さんが、『きのこのき きになるきのこのきほんのほん』を紹介。館長さんは2年前までキノコが苦手だったそうですが、狩猟生活に興味を持つようになり、万が一山奥でサバイバル生活をしなければいけなくなっても大丈夫なように(←この発想の飛躍に、館長さんの変わったお人柄が見えますね 笑)、キノコを知ろうと手に取ったそう。キノコについての情報も載っていますが、写真家さんが撮った鮮やかな写真が満載で、ディスカッションタイムに出た質問を受けて、変なかたちのキノコなどもいろいろ見せてくれました。

きんぎょグループの発表が全て終わり、投票した結果、1番目のバトラーさんが発表した『夫婦善哉』がチャンプ本に決定。バトラーさんはチャンプ本に決まってからも、あらすじだけで5分が終わってしまって、本当に言いたいことが言えず、何でチャンプ本になったのかがわからないとおっしゃっていましたが、おそらくその、本当に言いたかったこの本の面白さが、ディスカッションタイムのやり取りの中でちらっと見えて、充分説明されるよりもかえって読んでみたいという気になった人が多かったのかも。本の紹介って、しっかり説明されてしまうと、それだけで読んだ気になってしまうこともあり、充分紹介すればいいというものでもないのが不思議です。

きんぎょグループ
1番手★『夫婦善哉』織田作之助
2番手 『一路』浅田次郎
3番手 『きのこのき きになるきのこのきほんのほん』新井文彦
★がチャンプ本
小金井市立図書館東分室2017年ビブリオバトル表彰状

紹介本がチャンプ本に選ばれたバトラーには賞状が贈られたのですが、秋に開催されて、テーマが「秋に読みたい本」であるにも関わらず、表彰状はさくらを感じさせるデザイン(写真)。どうしてだろうと思ったら、小金井市の花がさくらで、市章にもさくらの花びらが組み込まれているという、小金井市との関わりからこのデザインにしたそうです。

春にこのデザインの表彰状をいただいても季節柄だと思ってしまいそうですが、秋にこのデザインの表彰状をいただいたことで、小金井市の花がさくらだということが記憶に残りそう。試しに、この文章を読んだ人がいつかどこかで私に会ったら、「小金井市の花は何でしょう」とクイズを出してみてください(笑)。きっと覚えていると思います。

§ 本を通じた交流の場

バトルが終わった後は、バトラーも観覧者も自由に参加できるお茶菓子付き懇親会。ただ、残念ながら観覧者はお一人が最初に少しお話に加わったほかは、全員バトル終了後に帰ってしまいました。このサイトでは繰り返し強調していますが、ビブリオバトルはお薦め本の情報を得るためだけのイベントではなく、本を通じて交流するイベント。ビブリオバトルに参加したら、こうした懇親会に参加するなり、興味を惹かれた話をした人に話しかけるなり、ぜひ他の参加者とお話ししてください。

この日の懇親会では、各バトラーの発表から連想する話や、皆さんが最近読んだ本、好きな作家など、いろいろな話で盛り上がりました。例えば、私が『ミッドナイト・バス』を紹介するのに、映画化の配役の話をしたことから、小説の映画・ドラマ化の配役についてギャップを感じた例がいろいろ挙がったり。そういえば、図書館東分室の室長さんからは、原田さんはこの役のために大型自動車免許をとって頑張っているそうですという情報もいただきました。原田さん、イメージが違うなんて言ってすみません(笑)。また、「NHKの『精霊の守り人』では主人公を綾瀬はるかが演じているけど、私のイメージでは吉田沙保里がぴったり」とおっしゃっていた方がいて、私もその意見に大きくうなずいてしまいました。

また、別の方がこれから読もうと思っている本の傾向と、この日の翌日(2017年9月24日)が新宿区立漱石山房記念館のオープンだったことなどから、夏目漱石の話になり、前にNHKで放送していた姜尚中がロンドン時代の夏目漱石を追う番組がよかったという話題が出て、姜尚中の"静かに話すことで人に聞かせる"ような話し方から、ビブリオバトルも熱く語ればいいというものではないという話になり…と、本当に好き勝手話して楽しかったです。今日初めてお会いした皆さんなのに、こんなに話が弾むのは、その前に本を紹介することでほんのわずかでも「この人はこういう本が好きそう」みたいなものが見えるから。これこそがビブリオバトルがコミュニケーションゲームであることの現れです。

ビブリオバトルはこうして参加者同士が本をきっかけに交流できるので、小金井市立図書館東分室のように、遠くから人が来るというよりは地域の人が利用し、かつ、公民館と図書館が併設している施設のイベントとして、とても相性がいいゲームです。この回が東分室ビブリオバトルの2回目でしたが、更に回数を重ねて、地域の人が本の話で交流する定例の場へと発展したらいいなと期待が膨らみます。これからの小金井市立図書館東分室の活動も楽しみにしています。

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