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杉並区立中央図書館

杉並区立中央図書館 訪問記

last visit:2011/05/13

杉並区立中央図書館は、荻窪駅の東南東にある図書館。一般向けの参考図書室・杉並資料室に加えて、児童資料室も充実。図書館の裏には、「読書の森公園」があるので、借りた本をこの公園で読むこともできます。

§ 図書館の場所

杉並区立中央図書館の最寄り駅は荻窪駅。駅から南阿佐ヶ谷方面に歩いて少し行ったところにあります。一番わかりやすい行き方は、荻窪駅から天沼陸橋交差点まで行き、更に青梅街道を進んで最初に右折できる角で右折する、という行き方でしょうか。私はいつもそれより手前の天沼陸橋南交差点で右折して、西郊ロッヂングの建物を見ながら行っています。この古めかしい旅館にいつか泊まってみたいと思いながら。

杉並区立中央図書館の近くで、もう一つお薦めの場所が、大田黒公園。中央図書館の南西250mほどのところにある公園で、音楽評論家の大田黒元雄氏のご自宅を公園に整備したところなのですが、日本庭園に囲まれた中に大田黒氏の元アトリエがあって、この建物の中がまたモダンで素敵なんです。大田黒氏が自宅で開いていたプライベートコンサート(といっても、コンサートを開いていたのは、この杉並のご自宅ではなく、大田区山王に住んでいた頃だそうです)のプログラムもいくつか展示されているのですが、一度でいいからこんなコンサートに招かれてみたい…と夢想してしまいます。

§ 図書館内の様子

図書館は地下1階から2階までの建物です。1階は新聞・雑誌コーナー、一般書架、児童コーナー、CDコーナー。2階が参考図書室、杉並資料室、点字資料室、児童資料室。地下は、視聴覚ホールと喫茶室があります。2階の施設のうち、児童資料室は児童コーナーにある階段から昇るようになっています。

カウンターは、建物入口入って左先に長いカウンターがあり、用途別に窓口が6番まであります。1番カウンターが申込用、2番が返却用、3,4番が貸出用、6番がレファレンス用。自動貸出機はないので、閉館前など込み合いそうな時間帯を避けて、貸出手続するといいと思います。

§ 児童コーナー

児童コーナーは入口右から手前に折り返す形で広く続いています。児童コーナーにもカウンターがあり、こちらは12時から17時まで開いているとのこと。窓際にミッフィーとバーバパパのぬいぐるみが並んでいるのも可愛い。カウンター向かって左には、読み聞かせコーナーもあります。

児童向け読みものが、入口近い辺りにまとまっているのに対し、絵本は児童コーナーの広い範囲にわたって配置されているので、それを把握していると目当ての絵本を見つけやすいです。図書館正面入口から児童カウンターへと向かう窓際には、生き物などの知識絵本があり、窓が直角に右折した先の棚上には、ミッフィーやピーターラビットなどのシリーズ絵本が並びます。カウンター向かって左の読み聞かせコーナーに近い辺りには日本の昔話絵本があり、カウンター向かって右の書架には、日本のおはなしと外国のおはなしを分けて、タイトルの頭文字で絵本が分類されています。紙芝居はカウンター向かって右の壁際に、外国語で書かれた絵本は一番奥の壁沿いに並んでいます。

児童コーナー向けの読みものの棚は、著者名見出しのせり出し幅も広くて探しやすい!杉並区立中央図書館って、後述するように、一般の小説本の棚には著者名見出しがなかったり、家事関連本の棚は見出し幅が狭すぎて、本に埋もれて見えなかったりするので、それぞれの棚のご担当者に、児童の読みものの棚のわかりやすさをぜひ見習っていただきたいです(笑)。

また、児童コーナーと新聞コーナーの境の棚には、英語で書かれた児童文学と、児童向け物語の大活字本が並んでいます。この棚は、英語の勉強をしている人や、昔懐かしい物語を読みたい目の弱い方など、大人も活用できる棚ですね。大人もぜひぜひ児童コーナーの資料を活用しましょう!

§ 児童資料室

児童コーナーのカウンター向かって右には、2階にあがる階段があり、あがった先には児童資料室があります。児童資料室の利用は、平日12時から17時まで、日祝は9時から17時までです。入る際には、カウンターで職員さんに声を掛けてくださいね。誰も利用していないときには、児童資料室は施錠されていて入れません。

中に入ると、左一帯に書棚が並び、右中央に大きな机が二つあります。書棚には、国語、社会、理科等々、あらゆるジャンルの調べ学習に向いている資料がずらり。別室にして児童の調べものの本をこれだけ集めている区立図書館は、なかなかないです。

また、児童資料室では、資料だけでなく、いろんな植物を育ててもいるのです。といっても、大根の葉の水栽培など、家庭でも真似しやすいような比較的手軽なもの。児童資料室への階段の壁にも、成長過程を撮影した写真日記が掲示してあり、「自分の家でもやってみようかな」と思ってしまいます。

利用するのに職員さんに声を掛けないといけない別室となると、気軽に使えない気がしてしまうかもしれませんが、これだけ調べもの資料がたくさん揃っている部屋を使わないのはもったいない!職員さんに聞いてみたら、グループ学習で少ししゃべったりしながら調べものをするのも大丈夫だそうなので、杉並区の小学生はぜひとも利用してください!閲覧机のすぐそばで見守るように職員さんの席があるので、本の探し方や自分達の調べもののテーマに合う本があるかの相談も、気軽にできますよ。

§ 一般書架

一般書架はさすがに中央館なのでたくさん揃っていますね。私の印象では、家事関連本の棚にあまり新しいものがないように思います。他の杉並区立図書館の方が充実している感じ。これは中央館と地域館でそのように役割分担しているのかもしれません。

小説は、著者名の頭文字で分類されていますが、同じ頭文字の中の分類が独特で、著者名の頭文字ごとに図書館で著者に番号を振って、その順に並べているのです。つまり、「シ1」は誰、「シ2」は誰、みたいな番号を杉並区立図書館で独自に振って、その順番で並べているのですね。棚には著者見出しはなく、あるのは頭文字の見出しだけ。例えば、「真保裕一の本が読みたいな」と思ったとき、“「シン」だから「シ」の棚の最後の方を探せばいい”とは限らないわけで、「シ」の棚を端から端まで探すか、検索機で検索して真保裕一が「シ」の何番なのかを調べることが必要なんです。

新しい作家が登場すると新たな番号が振られると思うので、概ね「頭文字と文壇登場順」のような配列になるのですが、単純な著者名五十音順と比べるとちょっと探しにくいです。同じ文学でも外国文学は著者名の五十音順で並んでいるし、文庫は著者名の見出しもついて更に探しやすくなっているので、単行本の日本文学の棚もぜひ探しやすい工夫をしていただきだいと思います。既に杉並区の地域館では、独自の番号を無視して、著者五十音順に並べているところもいくつかありますし。

また、小説のうち、複数作家の作品集は、著者名ではなく、出版社名あるいは編者の頭文字で分類されます。この場合、新潮社の本は「シ」というように、番号が付かない頭文字だけの請求記号になり、「シ1」の前に並んでいます。いろんな作家の作品を少しずつ読んでみたいときには、大きな出版社の頭文字の先頭を見ると、アンソロジーが並んでいますよ。

その他の一般書架は、ジャンルごとに著者頭文字の五十音で並んでいます。さすが中央図書館、冊数は多いです。気のせいか、杉並区の地域館より古い本が多く並んでいる気がするんですよね。地域館は今読まれる本を多めに、中央館は古いものも含めた資料の集積、といった具合に、重点を置いているのかもしれません。

料理や手芸などの家事関連本は、著者名頭文字による分類とジャンル小分類をミックスしたような形で、少し探しにくいです。いや、探しにくさの真の原因はそれより、ジャンル小分類の見出し幅が狭いことですね。家事関連本の棚は奥行きが少なくて、本が棚から飛び出しているところが多いのですが、そこに本が飛び出してない棚に合った普通の見出しを使っているので、見出しが本に埋もれて見えない…。せっかくの見出し、ぜひ幅広に作り直してくれるといいと思います。

一般書架の奥にある英語図書も冊数が多いです。小説本だけでなく、美術の大型本などもいろいろあり、一般書架と似たような分類で並んでいます。外国語図書で気になるのは、以前は今のテーマ展示コーナーのところに、中国語とハングルの資料があったのが、今は一般書架の開架にはないこと。職員さんに聞いてみたら、中国語とハングルは現在2階の部屋に閉架で所蔵しており、その部屋でのみ閲覧できる形にしているとのことです。見たい方は、カウンターに言えば、その部屋まで案内してもらえますよ。

一般書架の階段に近い辺りには、ネット閲覧PCが2台あります。ネット閲覧PCは、2階にも1台あります。パソコンがコインロッカーのコインを入れる部分だけのような装置に接続されていて、専用のメダルをそこに入れないと使用できない仕組みになっています。杉並区立図書館のネット閲覧PCは全てこういう仕組みです。

1階入口の左手前はCDコーナーと後述の「ガンディー、チャンドラ・ボース」コーナーがあります。CDの試聴機もあり、わりとよく試聴機を利用している人を見かけます。杉並区立中央図書館はカセットやレコードも所蔵しているはずなのですが、所蔵目録がAV資料コーナーにあるかと探してみてもなかったですね。検索機で探すしかないのかな?

§ 2階の様子

2階の参考図書室と杉並資料室のエリアは別室になっていて、このエリアに入るには荷物をコインロッカーに預けて入らないといけません。エリア外にはロビーっぽいかたちで椅子が並んでおり、その周囲に寄贈雑誌が並んでいます。コインロッカーを使うには100円玉が必要ですが、使用後戻ってくるタイプ。ご利用の方は100円玉のご用意を。ない場合は、参考図書・地域資料エリア入口の職員さんに言えば、両替してもらえます。100円は使用後戻ってきますよ。

別室に入ると、入った正面の区画が杉並資料室、その右のやや広めの区画が参考図書室です。杉並資料室は、杉並ゆかりの作家や杉並の自然を調査した資料などなど、杉並区に関する資料がたくさん。杉並区だけでなく、東京都に関する資料や、都内の他区市町村の資料も揃っています。新聞縮刷版や判例体系もこの部屋。例えば、上で寄り道スポットとして紹介した大田黒公園の関連では、杉並郷土資料館発行の『大田黒元雄の足跡』があり、記念館では「お手を触れないでください」扱いになっている蓄音機が開いた写真も見られます。目的を持った調べものだけでなく、こんな風に気になる本を手にとって楽しめる資料室です。

その右の参考資料室は、事典や年鑑、統計資料などがずらっと並んでいる区画です。こちらには、一人ずつのデスクライトがある席もあります。中央図書館は1階の机席が斜めに傾いている机で、書き写したいときなど少し使いづらいんですよね。参考資料室の閲覧机は使いやすいけど、その使いやすい平らの机が杉並資料室・参考資料室にしかないというのは、図書館全体としてはやや使いにくいです。

§ 地下の様子

地下の喫茶室は「Leaf & Leaf」というお店。以前行ったときは、「茶房」というお店だったので、変わったんですね。食べ物メニューとしては、ホットサンドとスパゲッティがあり、ホットサンドは持ち帰りもできるそうです。入ると明るいお姉さんが迎えてくれます。私、600円のホットサンドセットの代金を払うときに、「大きくてすみません」と言いながら五千円札を出したら、「ギョッ!」って言われたのですが、それくらい賑やかなお店です(笑)。

メニューは、一番安いものでクッキー1枚40円から、1500円のアフタヌーンティーセットまで、バリエーションに富んでいます。また、ティーカップや紅茶の茶葉も販売しているのです。紅茶好きの方は、ぜひ覗いてみてくださいね。

喫茶室は図書館奥の階段を下りて左側にあるのですが、階段右側のスペースも展示コーナーになっています。私はそんなに頻繁に杉並区中央図書館に来るわけではないので確たることは言えませんが、たぶん地下の展示スペースは、常に何かが展示されているわけではなく、トピックがあるときにだけ展示を行うようなスペースだと思います。昔はこの場所に、常設展示「阿佐ヶ谷文士村と杉並ゆかりの作家たち」があったんですよね。

§ 展示コーナーいろいろ

杉並区中央図書館の展示コーナーは、1階の正面入口と階段をつなぐ通路の左にテーマ展示コーナーがあり、その他に常設で、1階のCDコーナー隣の「ガンディー、チャンドラ・ボース」コーナーと、2階の「杉並ゆかりの文士たち」コーナーがあります。

テーマ展示のコーナーは、私が行ったときそうだったのでたぶんいつもこうしていると思うのですが、展示されている本の一つ一つに、書店で売っている帯のような細長い紙で本をくるんで、その本のお薦めポイントを職員さんが手書きしていたんです。単にテーマに沿った本を置くだけでなく、こうして一言添えてくれると、どんなところが読みどころかがわかったり、一見テーマと離れているような本がどう関連しているのかがわかったりして、すごくいいです。

まず、「ガンディー、チャンドラ・ボース」コーナーは、2006(平成18)年4月に、杉並区長を団長とする「日本・インド地方議員友好親善訪問団」がインドを訪れた際、「ガンディー修養所再建トラスト」という団体から杉並区に対し図書が寄贈されたことから設置されたコーナーとのこと。このコーナーには図書だけでなく、ガンディーとチャンドラ・ボースの写真も展示されています。ガンディーと比べると、チャンドラ・ボースは知らない人も多いかもしれませんが、写真があると書籍だけでどんな人か知るより、人となりも想像しやすいですね。

このコーナーには、「ガンディー修養所再建トラスト」からの寄贈本と思われるインドで発行された英語本や、ガンディーとチャンドラ・ボースに関する本だけでなく、インドに関する本や、インド民話の絵本など、広くインド社会や文化がわかるような本もたくさんあります。旅行記などもあるので、軽い気持ちで覗いてみても、面白い本に出会えますよ。

2階の「杉並ゆかりの文士たち」コーナーは、杉並区のゆかりの作家たちの本が、ガラスケースに収められています。石井桃子、高見澤潤子、池田宜政などの杉並区に住んでいた作家や、井伏鱒二、火野葦平、上林暁、中野好夫などの阿佐ヶ谷会のメンバーの書籍が並んでいます。

杉並ゆかりの作家といえば、このコーナーを離れて、参考図書室・杉並資料室入口を過ぎた通路に進んでいくと、廊下の壁に谷川俊太郎さんの直筆の詩の書が飾られているのです。谷川さんは、以前展示されていたインタビュー記事の切り抜きでも、「歩いてすぐの成田図書館にはよく行きますし、自転車に乗って中央図書館にも出かけます」とおっしゃっていたので、この図書館の利用者でもあるんですね。もしかして中央図書館でキョロキョロしていれば、いつかお会いできるかもしれません(笑)。

§ 公園につながっている図書館

1階の入口のちょうど反対側(階段の脇)にも出入口があり、ここから図書館に隣接している公園「読書の森公園」に行くことができます。あ、「読書の森公園」につながっている中央図書館のドア、ちょっと締まりがよくないので、通るときにはその点ご注意ください。図書館から公園に入った場合、少し進んだところで大きなガンジー像があります。この像の周囲は木が生い茂っていて、まさに「森」という感じ。

ガンジー像のあたりから左に行くと、池や東屋がある開けた緑地があります。あちこちに点在する本を開いた形の碑には、「まざあ・ぐうすの歌」や谷川俊太郎の詩などが書かれています。児童向けのおはなし会をこの公園でやることもあるんですよ。ちなみにこの公園、「この約千平米の土地は地元の篤志家からご寄付いただいたもの」(2006年4月1日の広報すぎなみ より)だそうですよ。拝金の度合いが増している気もする世の中ですが、そんな方もいらっしゃるんですね。

この公園は、ずっと活字に向かって疲れたときの休憩にもいいし、貸出手続きを済ませて公園で読書するのもいいですよね。喫茶室もあるから、一日中いても全く飽きることのない図書館です。天気がいい日には、青空の下での読書も楽しみましょう!

杉並区立中央図書館 データ

住所東京都杉並区荻窪3-40-23 →Google Mapで見る
Tel03-3391-5754
開館時間
月~土曜9:00~20:00
日曜・祝日・12月29,30日9:00~17:00
定休日第1,3木曜(祝日の場合は開館し、翌日以降の直近の平日を休館)
12月31日~1月4日
最寄駅 東京メトロ丸ノ内線JR中央線総武線 荻窪駅から徒歩12分
駐車場一般用駐車場なし。正面入口手前右に2台分程度の障害者用駐車場あり。
所蔵資料
図書所蔵数662,203冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
ありあり(閉架)あり(閉架)

映像資料
DVDビデオLD
ありありあり(閉架)
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物入口向かって左にブックポストあり
自動貸出機1階検索機の横にICタグ式自動貸出機が1台あり
音声試聴設備カセット・CD試聴機2台あり
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCネット閲覧PC3台(1階2台、2階1台)あり。利用は1回1時間、待っている人がいなければもう1時間まで延長可能。
持参PC利用館内で持参PCの使用可能。電源なし。
LAN接続2階持参PC利用可能席のうち4席で、無線LANの使用可能。利用の際は2階カウンターへ申込が必要。
飲食設備等地下に喫茶室「Leaf & Leaf」あり。営業時間は、月・火・木~土曜11:00~19:00、日曜祝日11:00~16:00。水曜・図書館閉館日は休み。