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板橋区立中央図書館 やめるきっかけ

visit:2026/09/20

図書館に行きたい気分。だが、薄くはない3冊をいろいろな図書館から借りており、その場のノリで面白そうな本を借りたら私の読書生活が更にタイトになってしまう。ならば、私が借りることができない図書館に行けばいい。ということで、江東区在住・在勤では借りられない板橋区立中央図書館へ行くことにする。何というか、ダイエット中に甘いものを食べたいが本当に食べたらダメなので財布を持たずにケーキ屋に行く、みたいな行動で、我ながらおかしな思考回路になっている。

板橋区立中央図書館に行くことにした理由がもう一つあって、板橋区立図書館は昔はLDを所蔵していたが、今は所蔵していない。それがどのようになくなったのかを調べてみたいのだ。図書館も時代に応じてサービス内容が変わるもので、新しいサービスは図書館側も大きく広報するし、メディアにも取り上げられる。でも、それまでしていたサービスを止めるときは、わりとひっそりやめてしまう。

板橋区立図書館も、私が気付かなかっただけかもしれないがいつの間にかLD所蔵をやめていた。当サイトで作った2011年の東京都内公立図書館のLD所蔵数ランキングでは、23区立図書館のうち8館で所蔵しているが、今はたぶんみなと図書館しか所蔵していないはずなのだ。それぞれいつどのようになくなったのかを調べてみたい、その第一歩として今日は板橋区を調べに行く。

板橋区立中央図書館の最寄り駅である上板橋駅に着いて改札へ向かうと、右側の南口には何がある、左側の北口には何があるというサインの下に「絵本のまち板橋」の文字と人のように立って歩く動物たちが中央図書館へ向かう絵が描かれている。確かに、中央図書館の中にある世界の絵本を集めたいたばしボローニャ絵本館は他にはあまりない施設。「いたばし国際絵本翻訳大賞」も今年で33回目を迎えているし、板橋区立美術館でも毎年イタリア・ボローニャ国際絵本原画展を開催している。「絵本のまち」を名乗るだけの事業を継続していると私も思う。

そこから何も考えずに右側の南口に降りると、目の前で工事中のフェンスが広い区画を覆っている。上板橋駅南口の再開発が行われているようで、駅前にタワマンが建つほか、駅前広場も整備されるらしい。今日気付いたのだが、前は準急で池袋の次が成増だったところ、2023年3月から上板橋駅にも停まるようになっていた。準急停止駅にふさわしい人口密集地へと開発されるということか、などと考えながら歩いていて、いつまで経っても覚えのある街並みに辿り着かず、そこでやっと中央図書館とは反対側に出てしまったことに気づく。前にきたときは、ときわ台駅から旧中央図書館があった場所を経由して歩いて行き、帰りに上板橋駅から帰るというルートをとったので、上板橋駅から中央図書館へというのは今日が初めてだったのだ。

間違った方面に出たことに気付くまで8分もかかったことにへこみながら駅へと戻り北口に出る。見覚えのある街並みにほっとするとともに、こちらにもフェンスで覆われた一画があるのを見つけ、建築計画のお知らせによると(仮称)イオン上板橋を建てているとのこと。ネットで調べると元はイトーヨーカドーがあった場所だそうで、こちらは準急停止駅の再開発というよりは小売業の栄枯盛衰の表れというところか。

中央図書館に着く。入口そばにある図書館ホールでは「国語辞典のひみつ展」という展示をしている。中央図書館では1週間前にYouTubeで「辞書部屋チャンネル」を運営している見坊行徳氏・稲川智樹氏を迎えた講演会を行っており、その関連展示だ。辞書部屋チャンネルでの辞書を使って遊ぶ動画が流れるなか、図書館の蔵書、来場者の投稿を使った展示が広がっている。

まず目に入るのは、板橋区の言葉を募集・展示している「板橋語辞典」。投稿用紙には「板橋語」「意味」「用例」という項目があり、掲示された投稿用紙の多くは板橋の言葉というより区内の場所や施設を紹介するものだ。私がこれは「板橋語」に相応しいと思ったのは、常盤台の俗称である「板橋の田園調布」と、東新児童遊園の俗称としての「かぼちゃ公園」。定められた言葉ではなく、こうやって言葉が生まれてくるのが面白いし、かぼちゃ公園の方は元々かぼちゃのオブジェがあったのが今は撤去されているのに今尚かぼちゃ公園と呼ばれているようで、言葉の息の長さも感じられる。

ホール中央には子ども向けから大人向けまでたくさんの国語辞典が机に並ぶとともに「調べる本ひきくらべシート」を配布している。1つ の「見出し語」に対して「本の名前」「説明」が3枠あり、同じ言葉が、この辞書ではこう説明されている、あの辞書ではこう説明されていると比べてみようというわけだ。机に並ぶ辞典は、例解小学国語辞典、チャレンジ小学国語辞典、例解学習国語辞典、ベネッセ新修国語辞典、現代新国語辞典、新明解現代漢和辞典、新明解国語辞典、岩波国語辞典、三省堂国語辞典等々、全て中央図書館の蔵書バーコードがついており、あらためて中央図書館はこんなにも辞典を揃えているのかと驚いてしまう。

その他、辞典に関する本や辞典ではないが辞典的な本なども展示されていて、いろいろ手に取っていたら、19時を過ぎてしまった。この図書館は20時で閉まるのでのんびりしてはいられない。今日の目的を果たすのに向かうは3階の地域資料、途中2階で視聴覚資料ブースの様子をみたら4ブースとも空いていた。実は台風が明日東京に来るとの予報になっており、だから今日はいいだろうと思って私は来てしまったのだが、積極的に外出したくない天気ではある。前に来たときは4ブースとも埋まっていたので、きっと天気の影響だろう。

視聴覚資料ブースは、仕切りで囲われた中にソファとモニタがあるかたちだ。完全に閉ざされた空間ではなく、カウンターで視聴申込をした際に渡されるヘッドフォンを装着して視聴することになる。「CD/DVDブース」となっていることで気付かされたが、今日調べようと思っているLDだけでなく、ビデオも2011年時点では中央・志村西台の3館で所蔵していたのに現在は所蔵していない。

3階の板橋区資料の図書館の棚(Ki01)に着き、平成末期あたりだろうと目を付けて『板橋の図書館 平成28年度版』から順に各年の所蔵数を見ていく。すると、それまでずっと小茂根図書館で900点弱、西台図書館で約700点と横ばいの数字のままでいたのが、令和3年度版(令和2年度末時点の所蔵数を掲載)で急に0点となっている。いきなりスパっとなくなったのか。

その年の動きを知ろうと統計資料以外のページも見てみると、22ページに「レーザーディスクについては所蔵資料の劣化等の為、平成31年4月30日をもって視聴廃止としております」とある。2019年は4月30日でが平成、5月1日から令和なので、平成の終了をもってLD視聴も終了にしたということか。いつかは終わりになるものを元号の切り替わりのタイミングに持ってきたことに、ちょっと遊び心を感じてしまう。

統計を見る限り、令和になってからは「貸出も館内視聴もできずにただ所蔵している」という状態だったのが、2021年度に所蔵もやめたことになる。2021年といえばこの中央図書館が移転した年なので、移転を機に資料を整理するなかでLDも廃止したというところだろうか。こちらも何かきっかけが欲しかったように思えてしまう。

これらの年の所蔵数ランキングを作るための資料として、これらの資料をコピーする。5年分×図書と視聴覚資料の2箇所で10ページをコピーし、それだけだと後でわからなくなるのでコピー元の資料名をメモ、自治体の発行物は180度開くようになっていないので綴じ部に近い位置が隠れてしまっていないか確認、等々の後始末をしているとあっという間にもうすぐ閉館時刻。前に来たときも感じたが、板橋区立中央図書館はその時点で残っている職員全員に閉館だと言って館内を回る仕事が課せられているのかというくらい、入れ替わり立ち替わり閉館だと言って回る職員がやってくる。

図書館を出ようとすると、強くなった雨を見て呆然とした様子の人が何人か入口に佇んでいる。確かに昼間降っていない時間帯もあったので、そのときうっかり傘を持たずに来てしまった人もいるかもしれない。雨脚が弱まることを願いつつ駅へと向かった。

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