トップ図書館訪問記江戸川区江戸川区立中央図書館 > 江戸川区立中央図書館さんぽ 荒川水位表示塔

江戸川区立中央図書館さんぽ 荒川水位表示塔

visit:2025/05/07

江東区の我が家から自転車で江戸川区立中央図書館へ。途中、江戸川区役所を通り過ぎたときに荒川の水位を表示する塔があるのが目に入り、現在の水位が大人の腰ぐらいの高さであることに驚く。ここに来るのに小松川大橋を渡ってきた、そのとき橋のかなり下を通っていた荒川、あの低い位置にあった川よりここは成人の腰ほど低いのか。

図書館1階で本を返却した後、3階の地域資料の棚で江戸川区のハザードマップを探したがすぐにはわからず、カウンターで「ハザードマップはないか、海抜がわかる地図であればそれでもいい」と相談する。職員さんがカタカタとキーワードを打つのを待ちながらふと左を見ると、目線の先に荒川下流域立体地図と書かれた展示ケースがある。思わず指を差して「あれでもいいかも」と告げたが、ハザードマップもあるので案内しましょうと言われ、せっかくなので場所を教えてもらう。

K1「江戸川区」の中に36「福祉・労働・防災」という分類があり、そこに日本語だけでなく、英語・中国語・韓国語…といろいろな言語のハザードマップがある。見ると、江戸川区はざっくり言って、東側半分が比較的海抜が高く、西側半分が低い。江戸川区役所やこの中央図書館は海抜が低い西側だ。洪水避難時の歩き方として、長靴より紐で結ぶ運動靴のように脱げにくいものがよい、杖や棒を持って目視できない水中でそれで確認しながら進むなどが紹介されており、もしものときのために覚えておこうと心に刻む。

せっかくなので立体地図の方も見ると、2次元の地図での色分けによる表現よりこちらの方が断然わかりやすい。そして、江戸川区よりも江東区の砂町・大島・亀戸辺りの方がよほど海抜が低いことを思い知らされる。いや、これは江戸川区で立体地図を見るまでもなく知っている、というのも、江東区では図書館をはじめ公共施設など約100箇所に立体地図がおいてあるのだ。特に城東図書館では、階段で4階まで上がって図書館エリアに入ろうとするその先の壁に掛けられているために目に入りやすく、来るたびにこのままここに住み続けていていいのだろうかと考えてしまう。

さて、2階へ戻って展示コーナーへ。先程3階へ上がる途中で書店を紹介する展示をしていたのが気になっていた。柱に江戸川書房の秋葉さんの紹介や江戸川書房お薦め本をリストアップしたパネル、その脇に書店に関連した本を展示している。江戸川書房には行ったことがないが、葛西図書館で毎年開催している柴田元幸さんのトーク&朗読の際に本の出張販売をしていたのがこの店で、お店に行ったことはないのに本を買ったことはある。お店の場所は松江図書館の少し西辺り、次に松江図書館に行くときに寄ってみよう、という文章を前にもこのサイトのどこかで書いた気がするけど、結局まだ行ったことがない。

展示されていた『本屋と図書館の間にあるもの』、そういえば内野安彦氏は去年亡くなったんだよなと思いながら手に取る。この本は対談で、対談相手は書店員から図書館の世界に入った人だそう。『ブックオフから考える』は、私自身がたぶん20年以上はブックオフに入っていない、近くにある店も全く思い浮かばないくらいなので、書かれていることを十分理解できない気がするが、ブックオフの意義は「なんとなく性」であるという著者の考えを本1冊使って論じるという冒頭の文に興味を惹かれる。しかし今は江東区から2冊借りている、そのうち1冊は予約多数本で延長できないし、今日また新しく本を借りない方がいい。

もし借りるとしてもさっと読める本がいいなと思い、024(図書の販売)の棚へ。すると、『書店本事 台湾店主43のストーリー』のような、面白そうだが分厚くて「さっと読める」からはますます離れる本ばかり目につき、これは今ではないと判断してこの分類からは離れることにする。

棚をぶらぶらしていると一橋文哉『三億円事件』が目に入る。最近ネット回線契約を新しくしたことで今U-NEXTが1ヶ月無料で使える状態で、沢田研二が三億円事件の犯人役を演じているドラマ「悪魔のようなあいつ」にハマっているのだ。ドラマにつられて、誰が犯人かということより、犯人は犯行によって幸せになったのか不幸になったのかという視点で本を読んでしまう。

ルポを読むと当たり前だがドラマとはかけ離れており、むしろドラマは時効を迎える年に放送されたファンタジーだと思うくらいでちょうどいいのだろうと気付く。何しろ、沢田研二演じる犯人は病に冒されて時効を迎えるのが先か自分が死ぬのが先かという状態、その薄幸的退廃美もあって女にも男にもモテモテ、そこに三億円のおこぼれに預かろうとする人も寄ってきて…と、三億円以外の要素もてんこ盛りなのだ。ついでに言うと、1日1話観るとしても無料期間が足りず、個人的に無料期間内に見終われるかというタイムリミットもあり…いや、これはお金を払って契約を続ければいいだけだが。

その数段下にあった『すくえた命 太宰府主婦暴行死事件』を手に取り、ざっと読み。事件の内容だけでなく警察・佐賀県議会議員の対応に暗澹たる気分になる。穏やかな海の表紙と中身の酷さの落差が激しい。図書館の棚は書店と比べて昔の本から最近の本までと幅広く並んでいる、だから368.6(犯罪)の棚にある本が取り上げている犯罪も最近のものから昔のものまで揃ってしまう。被害者がいないとも言われる三億円事件を昔の事件代表にしたら正確な比較にならないが、新しい本で取り上げられているひどい事件の数々を見て、今は昔と比べて平穏な暮らしができる社会になっているのかと考えてしまった。