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墨田区立緑図書館さんぽ 東京気質とまちライブラリー

visit:2025/01/11

ここのところ血圧が高めなのでウォーキングをしたいと思い、目的地を墨田区立緑図書館にして家を出る。江東区の我が家から緑図書館までは、道のりにもよるが4km弱、45分くらい。総武線と小名木川に挟まれた辺りは碁盤の目状に道が走っているので、信号に合わせてジグザグ北西に向かっていけばそのうち緑図書館に着くのだ。

ライフ深川猿江店の交差点で青になった信号に従って西方向へ進むと、この先に椿屋珈琲があるという電信柱の広告が目に入る。ん?椿屋珈琲って八重洲などにあるお値段高め、内装が贅沢レトロな感じのあの椿屋珈琲?それが猿江に?と思いながら歩いていたらすぐ先に店舗を発見。焙煎所&Cafeとあり、カジュアルな雰囲気のこじんまりしたお店だ。

昔、それこそスルガ銀行不正融資問題が発覚する少し前くらいに八重洲の椿屋珈琲に行くと、近くの席で不動産投資のためのローン契約をしているらしきシーンを目にすることがときどきあり、心の中で大丈夫?この店の雰囲気に呑まれてない?と知らない人ながら心配したものだが、あの雰囲気とは違うタイプのこんなお店もあるのか。通ったときは17時の閉店時刻を過ぎていたので、そのうち入ってみようとGoogle Mapに保存しておく。

信号待ちで止まるタイミングでさっきのお店のGoogle Mapレビューを読みながら歩いていたら、あっという間に緑図書館に着く。図書館前の公園の横を過ぎるあたりで、10冊以上もの本を両手で抱えながら歩いてくる人とすれ違う。たぶん緑図書館から出てきたのだろうが、そんなに借りるなら本を入れる袋を持ってくればいいところ、よほど家が近いのか。家と図書館が近いと「図書館に行く」というより「近くの本棚に本を取りに行く」みたいな感覚になるのかもしれない。

図書館では、特に目的があるわけではないので、あてもなくぶらぶら。雑誌コーナーで晴海図書館が表紙の雑誌「図書館の学校」が目に入る。この号の特集「私設ライブラリーってなんなんだ?」の冒頭記事、『ある図書館相談係の日記』の大串夏身さん(ほかに肩書きがいくらでもあると思うが、『ある図書館~』は私が大好きな本なのだ)と、まちライブラリー提唱者の碓井純充さんの対談が面白い。どうして東京より大阪の方がまちライブラリーが盛んなのかに関する大串さんの考察などが興味深い。

まちライブラリーは、確かに私も知っているし機会あって見に行ったことはあるが、正直それほど興味がない。それは私が東京人だからというよりは私の気質だと思うのだが、まず何らかのテーマで絞られたり、逆に何の脈絡もなく集まった本棚などより網羅性のある本棚の方が見ていて楽しい。だから図書館が好きなのだろうし、書店なら丸善が好きなのである。

まちライブラリーに行くのはともかく、運営する側になる方はもっと興味がない。ときどき「本好きなら誰でも本屋さんになることを夢見る」みたいな文章に出会うが、私は全くそう思わない。私は自分が好きなときに図書館や書店に行くのが好きだが、人が来る場所にいて待つ側の人になりたいとは思わない。私以外にもそういう人はいくらでもいるだろう。東京は大阪よりそういう人が多いのか?

あとは、本を通じて人とコミュニケーションを取ったりすることが嫌いなわけではないが、やっぱり1人で静かに本を読むほうが好きというのもあるかも。いや、まちライブラリーに行って1人で静かに本を読むのもありだろうからこれは理由にならないな。私が自覚していない何らかの東京気質がまちライブラリーへの関心の低さに繋がっているのか…。

誌面を読み進めていると、図書館員はもっと自分から利用者に寄り添わないといけない、ほとんどの図書館員は利用者が入ってきてもいらっしゃいませの一言も言わない、という内容の大串さんの文章があり、それは私の認識と違うなと思う。今年に入ってから、葛飾区立上小松図書館江戸川区立西葛西図書館大田区立池上図書館江東区立砂町図書館、そしてこの緑図書館に行ったが、挨拶どころではないほどカウンターの行列が絶えなかった西葛西図書館と、スタバとのフロア続きで図書館に来た人かどうかがわかりづらい造りの池上図書館を除いた図書館で来館者に対するこんにちはの挨拶をされたし。

ああ、そういえば、昭島市民図書館も今年になってから行ったのだった。2020年開館のアキシマエンシスにやっと来たと館内を見るのに夢中になりすぎて挨拶されたかどうか覚えていない。年が明けてまだ成人の日にもなっていないうちに挙げ忘れるほど図書館に行っているって、ここ数年図書館巡りが滞っていた身にしてはハイペース過ぎやしないか。息切れしないように気を付けた方がよさそうだ。

いずれにせよ趣味でしていること、行きたいときに行きたい図書館に行く、今日もそんな時間を過ごせてよかったと緑図書館をあとにした。