トップ図書館訪問記東京都内の市町村立図書館 > 日野市立中央図書館

日野市立中央図書館

日野市立中央図書館 訪問記

last visit:2011/12/20

日野市立中央図書館は、移動図書館から始まったことで有名な日野市立図書館の中央館。豊田駅の近くにあり、建物下には湧き水が出ている、のどかな立地の図書館です。

§ 図書館の場所

日野市立中央図書館の最寄り駅はJR中央線の豊田駅。豊田駅の南口に出て八王子方面の線路に沿って進み、ホームの端付近まで進んだ左にある「伊勢屋呉服店」の手前の道を左折、道なりに進んで突き当たりで右折、その後2つ目の右の道に入って、右に「豊田地区センター」を見ながら進んで行くと、突き当たりにレンガ色の日野市立中央図書館があります。住宅地の中をくねくね進むような道のりですね。

この辺は現在区画整理中なのですが、区画整理が終わったら図書館までの道のりの看板なども立てたりしてくれるかな。豊田駅は北口の方が開けていて、中央図書館がある南口はあまりお店などもないんですよね。昼食を挟んで中央図書館を利用したい場合、時間があれば北口側のお店まで外食しにいってもいいけど、時間が惜しい場合は、図書館内に飲食できる休憩スペースもあるので、食べるものを持参して図書館に行くといいと思います。

§ 図書館の様子

日野市立中央図書館は2階建ての建物で、1階が児童コーナーと一般書架、2階が辞典類や地域資料のあるレファレンス室となっています。上から見るとL字型になっており、角のところがカウンター、そこから横に向かって児童コーナーが、縦に向かって一般書架エリアが伸びている形。

L字の内側にあたる敷地は中庭風になっていて、ここから出入りすることもできます。この図書館は崖のふちに建てられていて、中庭への出口を出てまっすぐ進むと長い階段を降りることになるのですが、なぜか階段下に神社の鳥居があるんです。階段下に鳥居があるとなれば、上がって行けば神社がありそうなものですが、実際に上ってみると図書館があるというこの不思議。次に日野市立中央図書館に行くときは、あの鳥居が何なのか調べてみよう。

もう一つ、建物の外の話になりますが、中庭からその階段を降りたすぐ右には水が湧いているのです。23区の図書館を巡っていたときには、さすがに図書館の中で湧き水を見ることはなかった(井戸水なら、世田谷図書館の前の公園で見ましたが)ですが、これから市部の図書館を制覇する過程で他にもそういう図書館に出会えるのかな。楽しみです。

§ 一般書架

建物の外の話が続いてすみません(笑)。では図書館の書架へと行きましょう。一般書架エリアは、カウンターに近い辺りに新聞・雑誌があり、その奥に一般書架が並んでいます。中庭に面する壁面が1,2階分吹き抜けの窓になっていて開放的ですね。

書棚を見ると、書棚の収納力に対して実際にある書籍の量が多すぎるようで、各段の本と上の棚板の間の空間に本を横向きに入れる光景がかなり見られます。本来なら書棚や図書館を増設して収納量を増やしたいところでしょうが、予算がかかることだしそんなにすぐにはできないでしょうから、変な入れ方をされている本を減らすためにも皆さんたくさん本を借りましょう!

また、大型本が入っている下段の奥行きが少ないこともあって、本が棚の手前に出っ張っていることも多いですね。そのように手前にはみ出している本が多いせいか、棚に差してある見出しの迫り出し幅を広くしてあって、どこに何があるかわかりやすいです。壁沿いの棚は天井近くまでいっぱいに全集などが入っているのですが、こちらも全集名を大きな見出しで表示していて、書籍自体に書かれたタイトルが小さくて読めなくても、見出しをみればわかるようになっています。

日本の小説・エッセイは著者姓名の五十音順で並んでおり、複数作家による作品集は「わ」の後にまとめられています。外国の小説・エッセイは、「英米文学」「ドイツ文学」「フランス文学」といったように国・地域別に分類して、著者姓名の五十音順に並んでいます。

ちょっと中途半端に感じたのが生活関連の棚。生活関連は「T」で始まる独自の分類記号をつけて、「T0 暮らし」「T1 裁縫・手芸」「T3 ペット」「T4 料理」「T5 住まい」「T6 園芸」「T8 妊娠・出産」「T9 家庭教育」(「T1 裁縫・手芸」「T4 料理」は更に子細かく小分類されている)と分類して、カウンターに近いあたりの棚にまとめているのですね。でも、T1の次にT5があってその次にT4といったように必ずしも数字順にならんでおらず、T2やT7が抜けているのも謎。もしかしたら分類を整理している最中なのかな?

独自の分類をつけるというのは、それらの資料に辿りやすくするためにやっているはず。でも、例えば現在の並びで読みたい本を検索してみたら「T5」だった場合、「T5はどこだろう…あ、T4があった(T4は料理で冊数も多いので目に付きやすい)、その次をみればT5のはず…と思ったけどない!どこ?!」ということになりそう。せっかくの工夫がこれでは残念なので、独自の分類を活かすためにも、もっと「T」の棚が整理されているといいなと思います。

また、一般書架の棚番号なども両端に表示してあるとわかりやすいです。一般書架の棚番号が入口に近い側に示されているのですが、奥の柱に掲示してある配架図を見てこの棚行ってみようと思ったとき、そちら側からは棚番号がわからずに反対側まで遠回りして番号を確認して行く羽目になりました。

こういう細かいことって、その程度のことは利用者が我慢すればいいじゃん、何回か通えばわかると言われれば、まあその通り。でも、ただ資料を豊富に揃えるだけでなく、求めている本に辿り着きやすいようにすることも、図書館の役割の一つだと思うんです。日野市立図書館ホームページ内の日野市立図書館概要にも、「図書館はその働きによって、今までに本に親しまなかった人を読書へ誘い、新しい未知の世界への扉を開けることができます」とありますが、書棚についてもわかりやすく整理し表示して、初めて来た人にもわかりやすい図書館になることが、図書館利用者が増えることに繋がるのではないかと思います。

§ 児童コーナー

児童コーナーは、ざっくり説明すると手前から奥に向かって、ちしきの本、絵本、読みものという順に並んでいます。一般書架もそうですが、中庭に面している側が大きな窓になっているので開放的。中庭と反対側の壁も大きな出窓状のスペースがあり、子ども新聞をそのままページをめくって読める状態で置いていたり、いろんな飾りがあったりの空間です。

絵本は、日本のおはなしも外国のおはなしも一緒にして、絵を描いた人の苗字の頭文字で分類されています。中庭に面した棚の下の段には、点字絵本や英語で書かれた絵本・児童読みものも並んでいます。新着絵本が置いてある棚の下にありますよ。

児童読みものは、幼年・小学校低学年向けのC1(水色)、小学校低学年から中学年のC2(赤)、小学校高学年以上のC3(茶色)という3種類で分類されています。日野市中央図書館では、中高生向けのコーナーというのは特に設けていないんですね。まあ、大人の私だって絵本や児童読みものを読んだりしますし、読みものの対象年齢なんて所詮ガイドにすぎません。自由にいろんな棚を巡って、気になった本をどんどん読みましょう!

むかしばなしは、絵本も児童読みものも一緒に「F」という分類で、児童コーナー左奥の棚にまとめられています。絵本も児童読みものも「むかしばなし」で一括りにしているのは面白いですね。同じおはなしでも、文章を短く絵で表現する絵本と、想像させる読みものとで、それぞれ楽しみがある。気に入ったおはなしがあったら、絵本と読みものの両方で読んでみるのもいいですね。ちなみに、「F」の中では、「F1」が日本のむかしばなし、「F2」がアジアのむかしばなし…といった具合に、地域別で分類されています。

§ 2階の休憩スペースとレファレンス室

階段で2階に上がると、まず飲食のできる休憩スペースがあります。3つの丸テーブルに椅子は全部で14つ。自動販売機などはないので、休憩の際にお茶を飲んだり何か食べたりしたい場合は持参してきてくださいね。

この休憩スペースの奥の壁は展示ケースになっていて、復刻版コレクションを展示しています。「赤い鳥」や青踏」などの昔の雑誌の復刻版が並ぶほか、復刻絵本のオズボーン・コレクションは中を開いた状態で展示しています。ガラス越しに見るかたちになりますが、手に取ってみたい方は2階のカウンターにその旨言えば閲覧できるそうです。

もう一つ、この休憩スペースには「しごと情報コーナー」もあります。このコーナーは、図書館の資料が置いてあるコーナーではなく、就業支援や企業支援などに関するチラシを多く揃えて配布している場所です。まあ、図書館の資料が全くないかというと、『業種別審査事業』と『JISハンドブック 電気設備』だけはなぜかここに置いてありますが。

そして、休憩スペースから少し折り返したところにあるガラス扉を入った部屋がレファレンス室です。入って左にカウンターがあり、右の広いスペースは壁面の棚にびっしり参考図書(辞典類)があり、中央には書棚と大机、一人分ずつ仕切られたキャレル席があります。キャレル席を利用できるのは日野市在住・在学・在勤の人のみで、1回2時間となっていますが、待っている人がいなければ2時間以上利用することも可能、満席になった場合は利用時間の長い方から順に入れ替わってもらうというシステムです。

また、カウンター向かって左先には、市民資料室があります。市民資料室への通路が狭くて職員さんしか入れない場所かと思いがちですが、自由に入れるスペースで閲覧机もありますよ。棚を見ると、新撰組・土方歳三関連の本や、秩父事件・困民党の資料などの地域資料、さらに図書館に関する資料も日野市立図書館に関するものに限らずこの部屋にたくさんあります。日野市立図書館ホームページ内の日野市立図書館関係文献リストにあるものは市民資料室に置いてあるし、そのほかに『図書館雑誌』や『ずぼん』といった図書館関連雑誌のバックナンバーもたくさんあります。日野市立中央図書館で図書館について調べたい人は1階の「010 図書館学」の棚だけでなく、市民資料室の方も利用してくださいね。

§ 図書館とは何か

日野市の図書館といえば、移動図書館から始まって、システムとしての図書館を構築することに力を尽くしてきた図書館。日野市立中央図書館には、上に書いたように、1階の一般書架にも2階の市民資料室にも図書館に関する資料が多く、「図書館」というものについて考えさせられます。

日野市立図書館の初代館長である前川恒雄氏の本を読むと、本が無料で借りられるという仕組みが浸透していなかった頃の苦労話なども読めますが、じゃあ果たして今図書館とは何かが正しく浸透しているかというと、それも怪しい気がします。現実的に、私のこのサイトのアクセス数をまとめた人気記事ランキング(右サイドバーの上から2番目にあります)にも、毎月必ず図書館で自習していいの?がランクインするし、「図書館=自習するところ」と思っている人はかなり多い。

それ以外にも、資料収集・提供の自由と所謂「有害図書」の関係や、資料保存と現実的な収蔵能力との関係など、図書館に関して考えるべき問題はいろいろあります。それはそれで認識しつつ普段は便利に利用させてもらっている図書館ですが、日野市立図書館のような一石を投じた図書館に来ると、そうしたことについてあらためて考えさせられます。私の場合、幸い現在多摩市在住で、相互利用で日野市立図書館の利用登録ができるので、さっそく登録して前川氏の著作を借りてみました。私は図書館学を専門的に学んだわけでもない一般的な利用者ですが、そんな利用者があらためて図書館とは何かを考えてみるのもいいかと思って。

もちろん、日野市立中央図書館自体は、そんなに身構えずに気軽に利用できる図書館です。まずは棚を巡って気になった本を手に取り、面白かったら関連する本にも手を伸ばしてみる。そうやって、関心を広げていくにつれ、図書館の蔵書の幅広さに感謝するはず。これだけの書斎を自分で持つとしたらかなりの億万長者にならないといけませんが(笑)、それが公共施設として開放されているのですから。図書館というシステムに感謝しつつ、もっともっと使いこなして知識や感性を広げたいな。皆さん、心や頭を豊かにするべく、図書館を存分に利用しましょう!

日野市立中央図書館 データ

住所東京都日野市豊田2-49 →Google Mapで見る
Tel042-586-0584
開館時間
火~金曜10:00~19:00
土・日曜、祝日10:00~17:00
定休日月曜(祝日と重なった場合は開館)
12月29日~1月4日
最寄駅 JR中央線 豊田駅から徒歩7分
駐輪場建物入口手前から建物南側にかけて駐輪場あり
建物東側路面に繋がっている建物地下にも駐輪場あり
駐車場図書館入口前の第1駐車場に一般用駐車場10台分、障害者用駐車場1台分、1区画離れた第1駐車場に一般用駐車場7台分、建物東側の路面に繋がっている地下に一般用駐車場6台分あり
所蔵資料
図書所蔵数351,256冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』を基に独自の方法にて算出)
音声資料
CDカセットレコード
なしあり(閉架)なし

映像資料
DVDビデオLD
なしありなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物入口向かって左の壁にブックポストあり
自動貸出機なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCネット閲覧PC5台(1階3台、2階2台)あり。利用は1回30分。
※但し、2011年12月21日訪問時は、節電のため、1階1台2階1台のみしか稼働していませんでした
持参PC利用2階レファレンス室(4席)で持参PCの利用可能。「フレッツ・スポット」「ホットスポット」に加入していれば、「フレッツ・スポット」「ホットスポット」の利用可能。
飲食設備等2階の休憩スペース(テーブル席14席)で飲食可能。