南千住図書館さんぽ さよならはまだ言わない
2026年8月31日から大規模改修のため長期休館に入る前に今の姿を記憶に留めておこうと南千住図書館へ向かう。「8月31日から大規模改修のため休館」というところだけ切り出して読むと、夏休み最後の日まで開ければいいものをと思ってしまうが、2026年の8月31日は月曜で南千住図書館の定休日なのだ。振り返れば私が図書館巡りを始めた頃は月曜でも夏休み後半は開けていたが、いつの間にかなくなってしまったらしい。人手不足の影響だろうか。
南千住図書館に来るのは、荒川区の中心館の座をゆいの森あらかわに明け渡してからは初めてだ。久しぶりに来てみて、冷静に考えれば前とほとんど変わっていないと思うが、ゆいの森が素晴らしすぎてやや色褪せて見えてしまう。建物の周囲を西側へ回ると既に条例で設置が義務付けられた「建築計画のお知らせ」の看板が出ており、「今の姿とこれでお別れ」感が湧いてくる。リニューアルを経て、ゆいの森に負けない地域館となることを楽しみにしよう。
南千住図書館は荒川ふるさと文化館との併設施設で、図書館としては児童フロアが2階、一般書架が3階を占めている。19時半閉館に対して既に18時半、今日は3階に絞って散策することにしよう。入ってみると、夏休み後半という図書館にとっては混みあう時期の一つにも関わらず、わりと閑散としている。座席も学習席・PC持込席ともに2割程度しか埋まっていない。荒川区に限らず新しくて大きい図書館は席が取りづらいほど人が来る、その分それほど新しくない図書館は利用が減る傾向にあったりするのだろうか。
初めて来たわけではないので図書館の様子は知っている、なので改めて本棚を巡ることよりも何か借りていこうと小説の棚へ向かう。私は自分の在住・在勤条件で借りることができる図書館では本を借りるようにしているのだが、これは犬のマーキング的な行動だと思っている。ただそこに来ただけではなく「利用している」感覚、この場所のメンバー的な感覚を借りることで得ているとでもいうような。だから、これから工事によって今の姿ではなくなるこの場所でも最後のマーキングをしておきたいのだ。
南千住図書館では、小説とエッセイを分けずにまとめて著者名五十音順に並べている。今の私のように、小説を読みたい、エッセイを読みたいと気持ちが固まっていないときには、ごちゃまぜの中からピンとくるものを探す面白さがある。ちなみに、このようにごちゃまぜになっている中の本が小説なのかエッセイなのかパッと知りたければ、ISBNとともに裏表紙に印刷されている分類記号(「C」+4桁の数字)を見て、C0093なら小説、C0095ならエッセイだ(2桁目の数字は、文庫だと「1」、新書だと「2」になる)。
日本の小説・エッセイでこれぞというものがなかったので、続けて外国文学の棚をみる。図書館の外国文学の棚は、大きく分けて、原書の言語によって分類を分ける(中国文学、英米文学、ドイツ文学等々)パターンと、外国文学でまとめて著者名五十音順とするパターンがあり、南千住図書館は後者を採用している。棚を端から見ていくと、ポール・オースター(アメリカ)もいいか、そういえば『台北プライベートアイ』(台湾)は読んだが続編の『DV8』はまだ読んでいなかったな、キム・チョヨプ(韓国)もいいか、『コロナの時代の僕ら』(イタリア)もどんな本かを情報として知っているだけでまだきちんと読んでいない…というかたちで各国の本が選択肢に入ってくるのが楽しい。
一方、何らかの理由で特定の国の文学を何か1冊読まねばならぬといったときにはこの並べ方は辛く、言語で分類している図書館の棚を見た方がいい。そういうときの参考になるべく、このサイトでどの図書館がどの並べ方をしているかをまとめたリストを作りたいと思っているのだが、思っているだけでまだ実現していない。
外国文学の棚を端から端まで見た結果、今日借りる本はキム・チョヨプ『地球の果ての温室で』に決定。荒川区立図書館は自動貸出機を導入しているはずだが見当たらないので、カウンターで貸出手続きをする。その後に図書除菌機の方へ向かうと、「自動貸出機は2階へ移動しました」という張り紙があった。大人よりも子どもの方がよく自動貸出機を使うということなのか、または単に下の階に置けば上の階に来た人にとっても通り道だということなのか、私の勝手なイメージでは大人の方が自動貸出機を使う気がするので意外な配置だと思ってしまった。
もう一つ、図書除菌機を開けたら中に消臭剤が入っているのにも驚いた。私は図書除菌機があれば使うので、各館での使われ方もそこそこ見ている方だと思うが、こんなことをしているのは初めてみた。自分が知らないことがまだまだあるのだと思い知る。
閉館15分前になり、おそらくオリジナル曲である閉架音楽が流れ始める。もう少し本棚を見ようと、荒川区の棚に行く。小野寺史宜『ひと』が展示されているのを見て、江東区(の砂町銀座が舞台)の小説がなぜここに?と思ったが、そういえば主人公の同級生が都立大学荒川キャンパスに通っていて一緒に荒川遊園地に行っていたっけ。思えば先程、カウンター前の記載台に荒川区が登場する小説を募集する企画への投稿用紙が置いてあるのを見つけたのだった。北区立図書館の同様の企画に何度か投稿している私としては、こちらにも投稿してみたい。今日は外国小説を借りたが、荒川区が出ていそうな日本文学も読んでいこう。
その棚の裏側には、荒川ゆかりの人の紹介や著作がいろいろ。ここ以外の荒川区立図書館にもこうしたコーナーがあるので、既に知っている人が並ぶなか、鈴木誠也や安藤玉恵は私にとっては新顔だ。鈴木誠也は町屋出身で子どもの頃は荒川リトルというチームに入っていたとのこと、安藤玉恵は西尾久出身でネット検索してみたら尾久図書館やゆいの森あらかわのイベントに登場してくれたことがあるようだ。図書館に来る・図書館を使っていると聞くと、会ったことのない有名人にも俄然好感度が上がる。
ここで閉館時間を迎えて今日の本棚さんぽは終了。やはり1時間では足りず、休館前にもう一度来たいところだ。まださよならは言わないと思いながら図書館を出た。