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新宿区立中央図書館区役所内分室さんぽ 万年筆好き中学生に東京図書館制覇!賞を

visit:2024/12/26

年末に新宿区立中央図書館区役所分室へ。実はサイト読者さんにここも東京図書館制覇!の対象にしてはどうかとご提案をいただき、年内を目標に訪問記を書くと返信をしたのが9月、そして12月26日にしてまだ訪問記を公開していないという状態である。9割方書けていて、もう一押し本棚を見ておきたいと年の瀬に来たのだ。

1カ月前に来たときは利用している人が3人いたので今日もそんな感じかと思っていたが、入ってみたら誰もおらず、1時間の滞在中も職員さんがときどき整理をしに来るだけで利用者としては私だけ。年末の慌ただしい時期にこの小さな分室に来る人はいないということなのか、こちらの方がいつもの雰囲気なのか、どちらなのだろう。

先日は地域資料を読んでいるうちに閉館時刻になってしまったので、今日は行政資料の棚を物色。「新宿区区民意識調査」という資料が目に入り、一番新しい令和5年度版を開いてみる。図書館に関する質問項目もあって、回答結果について全体の数字だけでなく、地域別・年齢別などに分けた場合の結果もあるのが興味深い。

例えば、「あなたは、新宿区立図書館を利用したことがありますか」の質問で「一度も利用したことがない」の回答を選んだ人の割合は、全体だと39.3%なのだが、柏木地域(西新宿6~8丁目、北新宿1~4丁目辺り)では50.6%と多く、一番少ないのは落合第一地域(上落合1,2丁目、下落合1〜4丁目、中落合1〜4丁目、中井2丁目、高田馬場3丁目辺り)の30%。西新宿なら少し南に行けば角筈図書館があるし、北新宿には北新宿図書館があり、「図書館がない地域」というわけではないのだが。

ただ、同居者の有無で分けると、一人暮らしの図書館未利用者が59%、同居者ありの図書館未利用者が31%とあるので、柏木地域の未利用者の多さは、この地域の一人暮らしの多さの反映かもしれない。また、年齢別だと、30代の未利用者が50.7%、50代の未利用者が29.3%なので、柏木地域には30代の人が多いという可能性もある。図書館に行くという用事がなければ来ないような場所に行き、この辺はこんな感じなんだと知るのも図書館巡りの楽しみの一つなのだが、こういう数字からもその地域のイメージが膨らんでしまう。

「あなたが、今後新宿区立図書館に期待する図書館サービスはどれですか」の設問で選んだ人が一番多かったのが、「電子書籍(図書、雑誌)の提供」。新宿区立図書館は私が区役所分室に来たこの日の翌日から図書館システム更新による19日間の全館休館に入り、それを終えた2025年1月15日から電子書籍貸出サービスが始まる予定だ。

机を挟んだ反対側の棚へ移動すると、文化観光産業という見出しの棚がある。「新宿区夏目漱石コンクール作品集」という本が各年度分並んでいるのを見つけ、こんなコンクールを開催していたんだと読んでみたら、「中高生を対象とした読書感想文コンクール」で想像するレベルを超えた文章に驚く。特に、令和5年度の紀伊国屋書店賞受賞作の「私と漱石と万年筆」は、東京図書館制覇!賞もあげたいくらい。

各年度の受賞作を読むに、概ね高校生の感想文より中学生の感想文の方が面白い印象だ。年齢が上がるにつれコンクールの意図を意識する面が強くなるのに対し、中学生の方が率直に思ったことを書いているということなのかもしれない。とはいえ、入賞者のほとんどは有名私立中学の生徒で、それなりに入賞を狙った工夫をしているのだろうが。

同じ棚に新宿区立新宿歴史博物館の発行物も多数あり、書名を眺めていて印象に残ったのは新宿(駅周辺)の文化に焦点をあてた資料。新宿区の文化事業というと夏目漱石(喜久井町・早稲田南町)や林芙美子(中井・落合)がまず挙がるが、『キネマの楽しみ 〜新宿武蔵野館の黄金時代〜』『新宿中村屋に咲いた文化芸術』など新宿駅周辺の文化を取り上げた資料があり、おそらくそういう企画展をしたということなのだろう。新宿歴史博物館はまだ行ったことがないのだが、いつか行ってみよう。