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たかなわミュージックライブラリー 第5回「マイケル・ジャクソン物語」

―2013年5月15日のイベント
visit:2013/05/15
§ キング・オブ・ポップの生涯を振り返る

2012年度に4回に渡って開催された港区立高輪図書館のCDコンサート“たかなわミュージックライブラリ”が、2013年度も引き続き開催されることになり、通算第5回が「マイケル・ジャクソン物語」というテーマで2013年5月16日に3階視聴覚室で開催され、私も楽しんできました!のみならず、頼まれてもいないのに我が家にあった「SAY SAY SAY」(1983年に出されたマイケル・ジャクソンとポール・マッカートニーのデュエット曲)のレコードを持って行って、よかったらイベント内で使ってくれと押し付ける始末(笑)。積極的に参加してきました。

何せ、子どもの頃から活躍しているマイケルですから、プログラムで流れた曲もジャクソン・ファイブ時代からソロ時代まで時間軸が広く、それを1時間のプログラムの中で凝縮して聴いていると、時期によって新しいものを取り入れていることがわかります。第2回でとりあげたマイルス・デイビスもそうですけど、長きにわたって活躍し続ける人って、いろんなものを吸収して自分を発展させていける人なのかもなあ、なんて思ったりしました。そんなことを感じさせられた今回の曲目リストはこちら。

1.I Want You Back
2.ABC
3.Never Can Say Goodbye
4.Ben
5.Shake Your Body
6.Don't Stop 'Till You Get Enough
7.The Girl Is Mine
8.Billie Jean
9.Thriller
10.Beat It
11.Human Nature
12.Bad
13.The Man In The Millor
14.Black Or White
15.Smile

本当はもう1曲用意されていたところ、時間オーバーで残念ながらカットされてしまいましたが、1時間で15曲と盛りだくさん。特に、「スリラー」収録曲以降は、やっぱりプロモーション・ビデオ(配布されたリーフレットによると、マイケルは「プロモーション・ビデオ」ではなく「ショート・フィルム」と呼んでいたとか)と曲が切り離せなくて、聴いていると映像が頭の中に流れてきました。

§ 音楽だけじゃない、語りが魅力のイベント

さて、このイベントの最大の魅力は、音楽そのものもさることながら、音楽に詳しい図書館職員さん(ミュージックライブラリにおいては「梅澤教授」)の解説と、音楽好きの田辺館長さんの思い出話でもあり、例えば、開演時刻前にはテーマに関連したオモシロ音楽紹介タイムがあるんです。今回は、和製ジャクソン・ファイブと言えるフィンガー・ファイブによるジャクソン・ファイブのカバー曲「小さな経験」と、「Beat It」のパロディであるアル・ヤンコビックの「Eat It」を紹介してくれました。ジャクソン・ファイブが男性兄弟5人であるのに対し、フィンガー・ファイブに女性が1人混じっているのは、ゴレンジャーなどの戦隊もので女性を1人混ぜる日本の文化が入っているのではという梅澤教授の珍説も繰り広げられたりして(笑)。

また、田辺館長からは、日本でのマイケルのソロでのブレイクは「スリラー」からで、「オフ・ザ・ウォール」時代は日本ではそれほど火が付いてなく、館長自身も当時はスズキのバイクのCMにマイケル・ジャクソンが出ていたなあという認識しかなかったというリアルタイム証言も。ちょっと検索してみたら、これ(画質・音が悪いけど、何種かのCMがまとめて見られます)ですね。こんなCMがあったとは知りませんでした。

更に、田辺館長からは、「レコードは男の世界」説まで飛び出していて、わかるようなわからないような(笑)。すなわち、CDという手軽なメディアが出てきて女性も気軽に買うようになったけど、レコードは男の世界だった、現に館長はレコード屋でバイトしていたとき、お客さんは9割男性だったと。女性である私自身、子どもの頃買う予定なくてもレコード屋に行ったりしていたので、その説には首をひねりたくなる部分もありますが、館長の言わんとすることを私なりに解釈するに、ちょっと聴きたい♪という気軽なノリで誰でも買えるCDに比べて、レコードは音楽がかなり好きな人が買うモノという意味合いが比較的強かったということなんだろうと思います。

で、それを踏まえてマイケルのヒット曲を見てみると、「スリラー」(1982年)はCDというものが世に出た年に発売されたアルバムであり、CDが世に出たところで誰でもCDプレーヤーを持っているわけではないから、大部分はレコードとして売れたわけです。「スリラー」は今も尚世界で最も売れたアルバムであり続けているわけですが、それが達成されたのがレコードであることを考えると、数字上の印象よりものすごいことで、たとえこの先「スリラー」を上回って売れるCDアルバムが現れたとしても、レコードアルバムで1億1000万枚を達成した「スリラー」を上回ったとは言えないのではないかというのが田辺館長の説。私もレコード時代をリアルタイムで知っている者として、レコードとCDにおける買う際の気軽さ(裏を返せば、ハードル)が違うというのはわかる気がします。

こうやって解説や持論が展開されることで、趣味で聴いていた音楽をいろんな角度から味わえるのが、このCDコンサートの魅力なんです。CDを単に所蔵物の一種として提供するだけでなく、解説などをつけて「資料」として味わえるようにしてくれるイベントという気がして、図書館イベントとしてもいいように思います。

そして、そんな楽しいおしゃべりと音楽を聴いていると、何だかこちらも自分の想いを話したくなるんですよね。今回のイベント終了後も、聴きにきた利用者のお一人が「終わった後にコミュニケーション・タイムが欲しい」ということをおっしゃっていましたが、確かに自分の説や思い出を語りたくなってきます。いや、このイベントは予定では19時半で終わるので、予定通り終われば図書館が閉まる20時までは会場にいられてコミュニケーション・タイムになり、私も過去の回で初めて会った方と代官山蔦屋の話などしたんです。それが、梅澤教授の熱意とサービス精神でついつい予定時間を上回り、この回は19:50くらいに終了したので語れる時間がなくなってしまったのですが…(笑)。

ただ、こうして予定時間を上回ってしまうほどの情熱こそがこのイベントの魅力でもあるので、参加者の私としても時間通り終わって欲しいような、欲しくないような、難しいところです(笑)。他の職員さんとの間で、「次からは会場の後ろから<早く次の曲へ!>など指示を出そう」という案なども出たりしていたので、次回からはコミュニケーション・タイムが確保できるかも。ちなみに、次回の予定は、2013年8月21日18時半からで、テーマは映画音楽だそうです。音楽について語りたい方はぜひ次回以降もお越しください!