トップ図書館訪問記中央区 > 中央区立日本橋図書館

中央区立日本橋図書館

中央区立日本橋図書館 訪問記

last visit:2017/08/16

中央区立日本橋図書館は、人形町駅や水天宮駅に近い、小学校・幼稚園・社会教育会館との複合施設の中にある図書館。事務所が多い地域だけあり、ビジネスコーナーは小さいながらすぐに使える実務の本が充実。ふらっと寄ったご近所の方らしき利用者も多いです。

§ 図書館の場所

「日本橋」図書館といっても最寄駅は日本橋駅ではなく人形町駅。水天宮駅からも近いですし、茅場町駅・浜町駅・小伝馬町駅や日本橋駅も人形町駅ほど近くないだけで道のりにしたら1km以内です。この辺りは小さなビルや飲食店、住居が混在している地域で、ドラマにもなった東野圭吾の『新参者』の舞台というと、イメージが湧きやすいでしょうか。ただ、日本橋図書館がある通りには、「SAPIX」や家庭教師の「トライ」などの看板もあり、小学校の目の前で営業する学習産業の商魂逞しさも感じたりします。昔の町並みと今どきの産業が入り交ざっているところが、東京らしさなのかもしれません。

建物手前の案内板によると、この辺は西郷隆盛屋敷跡があったのだそうです。日本橋人形町1-1、日本橋小網町14番、日本橋蛎殻町1-10~13番が西郷隆盛の屋敷があったところだそうで、日本橋図書館のある場所はその広大なお屋敷の一部に過ぎません。そんなに広い敷地だったとは、何とも羨ましい限りです。

§ 図書館内の様子

日本橋図書館は、小学校・幼稚園・日本橋社会教育会館との複合施設の6,7階です。以前は5,6階が図書館だったのですが、1~4階だった日本橋小学校を1~5階に拡張するため、5階にあった一般書架が7階へと移動しました。中央区の各歳別男女別人口をもとに、中央区の年齢別人口推移を表にしてみたところ、2011年頃から小学生にあたる人口が増えていて、かつ、小学生未満の人口も増えていることから、今後も小学生人口が増えることが見込まれます。小学校の拡張が必要なのも納得です。

6,7階の配置は、6階にこどもしつ、読書室、イベントなどを行う視聴覚室があり、それ以外の一般書架や新聞・雑誌、CDなどは全て5階です。カウンターや自動貸出機・自動返却機は6,7階それぞれにありますが、予約した資料は7階にありますし、6階の読書室を使いたい場合は、7階にある座席確保端末を使って席を取る必要があります。

§ 6階の様子

6階は、エレベーターホールから図書館エリアに入った手前側一帯がこどもしつで、その先に6,7階を結ぶ階段があり、階段の右奥にある通路を進むと、左に読書室があり、右に視聴覚室があります。こどもしつは、京橋図書館より広く、月島図書館より利用者が少なく、一般書架とフロアが別なため、多少こどもが静かにできなくても迷惑になる度合いが低いので、中央区立図書館の中で一番居心地がいいように思います。

絵本は、日本人作家の作品も外国人作家の作品も一緒にして、絵を描いた人の姓名五十音順ですが、クリスマスやひなまつり、こどもの日など、年中行事に関する絵本や、戦争に関する絵本は、絵を描いた人の姓名五十音順になっている棚とは離れた場所(絵本の棚から紙芝居の棚を見た向きで左側の壁沿いにある棚)にあるので、それらの絵本を探すときには注意してください。検索機で調べても、年中行事の絵本は配置場所が「児童室」、戦争に関する本は配置場所が「児童全集」としか出ず、どこの棚のことだかわからないので、検索機の表示や本棚の表示を工夫して欲しいところ。これらの絵本に限らず、日本橋図書館にあるはずなのにどの棚にあるかわからない本があったら、遠慮なく職員さんに聞きましょう。

絵本や児童書が揃う児童フロアですが、大人が読む本のうち、子育てに関する本も、児童フロアにあるので、読みたい方はご注意ください。エレベーターロビー向かって右の壁沿いが「子育てコーナーになっていて、ジャンルでいうと、絵本ガイド、名前事典、こどもの教育、医学書のなかの小児科、妊娠・出産、育児、また、洋裁・手芸の本でも、子供服や通園バックの作り方の本もこちらにあります。検索機で本を探している場合は、「C3799」「C4939」のように、分類記号の頭文字が「C」になっている本は6階の子育てコーナーになります。

§ 7階の様子

上で書いたように、5階にあった一般書架が現在の7階に移動してきたのですが、おそらくわかりやすさを狙ったのでしょう、カウンター、文庫、外国語図書以外は、ほぼ5階時代と同じ位置にあります。私は7階に移動してから初めて行ったとき、配置や椅子(丸や長い角丸の木製の椅子)が5階のままだったので、「新しくできたフロアに来たのに、何か知っている場所に来た」ような不思議な気分になりました。5階の頃を知っている皆さん、そんな気分になりませんでしたか?

そんなデジャブ感のある7階の配置はというと、エレベーターホールから図書館エリアに入って左に、ティーンズコーナー、家事関連本、新聞・雑誌コーナー。右側にはCDコーナー、右手前には文庫の部屋があり、右先にカウンター、予約棚、自動貸出機、検索機などがあります。その奥一帯が一般書架で本棚がずらっと並んでいますが、その手前にも辞典類を集めた部屋「調べものコーナー」、壁沿いの棚にテーマに沿った本を集めた「ビジネスコーナー」「日本橋コーナー」があります。

Teensコーナーは、児童向けと一般向けの中間にあたるような中高生向けの本を集めたコーナーですが、雑誌コーナーのそばなので、ここで雑誌を読んでいる大人も多いです。本棚の中身が中高生向けというだけで、座席としては年齢にかかわらず皆が利用している状態です。

調べ物コーナーの部屋の手前にあるビジネスコーナーは、帝国データバンク、会社職員録のようなデータ資料から、法律関係、契約書の書き方、総務関係の本など実務的な本が集まっています。図書館のビジネスコーナーは、ビジネス全般で使えるツール(マインドマップなど)に関するものや、起業したい人が入門的に読むようなもの、ビジネス人生訓などが並ぶことが多いのですが、日本橋図書館は会社に1冊あるといいような実務的な本が多く、さすが大小の事務所がある地域にある図書館は、実際に使える本が多く並んでいるものだと思います。レファレンス(調べもの相談)も実務的なものが多いのかもしれません。

奥の一般書架の棚には、棚板の手前側に白いテープが貼ってあります。これは、キハラ株式会社の安全安心テープで、地震のときに本の落下を防ぐもの。こうした地震対策は、必要ではあるもののコストもかかるので、本棚の上から2段目くらいまで導入する図書館が多いのですが(23区の図書館の地震対策導入状況はこちら)、日本橋図書館は下から数えて3段目以上の段には全部貼っているうえに、あまり地震対策グッズが使われない壁沿いの棚にも使われています。大きな地震はもう起きて欲しくありませんが、万が一のときの対策ができていると、使っていても安心です。

細かい本の並べ方に注目すると、日本の小説は概ね著者姓名の五十音順です。「概ね」というのを説明しますと、まず頭文字が「あ」である主要な著者について見出しを付けて五十音順に並べており、その後に見出しのない著者を「その他 ア」にまとめてその中で五十音順に並べています。これを繰り返して、「い」で始まる主要小説家→「い」で始まるその他小説家→「う」で始まる主要小説家…と続いていきます。例えば、頭文字が「む」の作家だと、向田邦子、村上春樹、村上龍、村田喜代子、村山由佳、群ようこは見出しがあり、それ以外の作家は全て「その他のム」に並んでいます。複数の著者による小説集の場合は、タイトルの頭文字をとって「その他」の最後に入っています。日本橋図書館に限らず、中央区立図書館は全館でこのような方式です。

つまり、ある小説家の本を探している場合、まずは五十音順に並んだ見出しの中から作家名を探し、もしなければ該当する頭文字の「その他」の中から探すという手順になります。五十音順の並びが二重になっているので、探すのに少しとはいえ手間がかかりますし、自分の好きな作家が「その他」扱いだと残念な気分になるので、個人的にはあまり好きではありません。この方式より、単純に全体で五十音順にする方がわかりやすいと思うのですが、日本橋図書館をご利用の皆さん、いかがでしょうか。

§ いろいろな手続きを利用者が自ら行うシステム

6階にある読書室は指定席制で、2人ずつ向かい合って4人で座るタイプの大きな机が9卓並んでいます。横の人との間には仕切りがありませんが、対面の人との間には仕切りがあるので、幾分か集中しやすいです。また、7階の窓際には、持参したノートPCやタブレットを使える学習コーナー席が11席あります。これらの座席を使うには座席確保システムでの手続きが必要で、7階カウンター前の座席確保端末を操作します。座席確保できるのは9:00~10:00、10:00~11:00といった00分区切りの1時間のコマ単位です。

座席確保の手順を説明しますと、座席確保端末で図書館カードのIDと登録したパスワードを入力して[確保]ボタンをクリックします。すると、現在時刻以降の時間枠に関して、あと何席空いているかが表示されます。確保したいコマを選んで[確保票発行]ボタンをクリックし、確認画面が出たらもう一度[確保票発行]ボタンをクリック、すると確保票が印刷されて手続き終了です。現在のコマを確保したならそのまま座席を使えばいいし、それ以降の時間帯を確保したならその時間になってから座席を使用します。

座席だけでなく、学習端末席(インターネット・データベース閲覧PC)を使いたいときにも、同様の手続きが必要です。コマを選択する画面の上部に、学習コーナー、読書室、学習端末席という選択ボタンが並んでおり、利用したいものを選択すると、それに関する座席確保ができるようになっています。

私がある日18:00~19:00のコマを利用していて、19時直前にもう1時間使いたいと思って座席確保しにいったところ、同じ席で19:00~20:00のコマが取れました。また、私が13:00~14:00のコマを利用していて、既にその席の14:00~15:00を別の人が予約している状態で(なぜ他の人の予約状況を知っていたかというと、14時から予約をしている人が14時になる前からその席に座っていたから。もちろん、どいてもらいましたが)、14時直前に14時台の座席確保をしたときは、当然別の席が取れました。おそらく、時間帯を続けて利用する際は、前の時間帯で使っている座席に次の予約が入っていなければ自動的に同じ席が、別の人の予約が入っていれば別の席が割り振られるようです。

また、コマの終了時間を待たずに席を使い終わった場合は、自分で取消手続きをする必要があります。手順としては、確保するときと同様に、図書館カードのIDと登録したパスワードを入力して[確保]ボタンをクリックします。すると、現在確保中の席・時間枠が表示され、右端に[取消]というボタンが表示されます。そのボタンをクリックすると確保が取り消され、別の利用者が確保できるようになります。

また、貸出も自動貸出機を使って利用者自ら行う仕組みです。図書館カードのバーコードを詠み込ませた後に、貸出手続きしたい本やCDを置いて、今回貸出手続きする資料数を入力、ICタグから読み取られた貸出資料のタイトルが表示されるので[確認]をクリックすると、貸出票が印刷されて手続き終了です。図書だけでなく、CDも自動貸出機で借りられます。

返却の際も、職員さんに渡さずに6,7階カウンター脇にある返却機に投函すればいいだけ。CD・DVDを返却する際には、本より壊れやすいので、7階の返却機手前にある水色の視聴覚資料返却用の袋に入れてから投函します。従来の職員さんに返す仕組みだと、本の中にメモなどを入れたまま返却しても職員さんがチェックして気付いてくれましたが、利用者が自分で投函する仕組みだと発見されたときには誰のものかわからないので、返却前にそうしたものがないか利用者側が気を付ける必要がありますね。

予約資料についても、利用者が棚から自分で探して貸出手続きします。予約資料が届いたという連絡が来てから、予約資料コーナー手前のバーコード読取機で図書館カードを読み込ませると、「B-2」のようにアルファベット1文字+数字1桁が印刷されたレシートが来ています。これが貸出資料のある位置を示しており、「B-2」なら「棚Bの上から2段目」を意味しています。予約資料コーナーへ入ると、左からA、B、C…と棚が並んでいるので、自分の予約した本を探して予約資料コーナー内の自動貸出機で貸出手続きします。

これまで、「図書館カードを読み込ませ」と書いてきましたが、Felicaを図書館システムに登録することで中央区立図書館カード代わりに使うこともできます。FelicaはSuica・PASMOなどの交通用ICカードやおサイフケータイに搭載されており、自分の手持ちのこうしたものを登録しておけば、図書館カードを持たずに貸出や座席予約ができるます。

登録方法は簡単で、館内の検索機で利用者メニューへログインし、左サイドメニューの「FeliCa ID 登録」をクリックしてから、検索機に接続されているFeliCaリーダーにPASMOなどを載せるだけ。登録後は、図書館内で「図書館カードのバーコードをスキャン」あるいは「利用者IDを入力」という場面の際、それらの代わりに「Suica・PASMOをタッチ」で処理できるようになります。FeliCa IDを利用者IDに紐付けするだけで、図書館システムからFeliCaへのデータ書き出しはしていません。利用者ID入力画面でよく入力ミスする人や図書館カードを忘れやすい人は、手持ちのFeliCaを登録しておくと便利です。

§ さまざまな人が集まる図書館

図書館巡りではその地域にいる人がどんな人が見えてくる楽しさがあり、オフィス街の中にある図書館は社会人の利用が多く、住宅街にある図書館は地元に住んでいる人の利用が多いのですが、日本橋図書館は住民もいれば、近くで働いている人もいて、職住混在の地域という雰囲気。この地域の面白さが、利用者層にも表れていると思います。

図書館の中も、上記のように新しい技術を取り入れていますが、地域資料の中には古い中央区の様子がわかる資料もあり、温故知新(古きを温ねて新しきを知る)の逆とでもいうか、新しい技術により古い資料に辿りつける面があるように思います。時代を越えて、場所を越えて、いろいろな情報に触れることができるのが本です。図書館を通じて、知識を広げる楽しさを堪能したいです。

中央区立日本橋図書館 データ

住所東京都中央区日本橋人形町1-1-17 日本橋小学校等複合施設6,7階 →Google Mapで見る
Tel03-3669-6207
開館時間
月~土曜9:00~21:00
日曜・祝日9:00~17:00
定休日第4木曜
12月31日~1月2日
最寄駅 東京メトロ日比谷線都営浅草線 人形町駅から徒歩3分
東京メトロ半蔵門線 水天宮前駅から徒歩6分
東京メトロ日比谷線東西線 茅場町駅から徒歩11分
都営新宿線 浜町駅から徒歩11分
東京メトロ日比谷線 小伝馬町駅から徒歩13分
都営浅草線 日本橋駅から徒歩13分
東京メトロ銀座線半蔵門線 三越前駅から徒歩14分
東京メトロ銀座線東西線 日本橋駅から徒歩15分
駐輪場建物入口向かって手前左に駐輪場あり。但し、利用者の多い複合施設にしては、駐輪場がとても小さく、なるべく公共交通機関などをご利用くださいとのことです。
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数103,681冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
ありなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物入口向かって左に回り込んだ壁面(小学校正門向かって右)にブックポストあり。開館中の返却も可能。
自動貸出機ICタグ式自動貸出機が5台(5階4台、6階1台)あり
自動返却機6階カウンター向かって右と、7階カウンター向かって左に、自動返却機あり
セルフ予約受取7階カウンター向かって右に予約棚コーナーあり
図書の除菌7階入口に図書除菌機あり
音声試聴設備CD試聴機1台あり
映像視聴設備なし
ネット閲覧PC5階カウンター前にネット閲覧PC1台あり。利用は9:00~10:00、10:00~11:00といった00分区切りの1時間のコマ単位で、1人1日2コマまで利用可能。
持参PC利用5階カウンター前のOA席(2席)で持参PCの利用可能。電源あり。座席利用は9:00~10:00、10:00~11:00といった00分区切りの1時間のコマ単位で、1人1日3コマまで利用可能。
LAN接続OA席(3席)に「FREESPOT」のアクセスポイントあり
飲食設備等蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)の飲料に限り、閲覧席での摂取可能。但し、飲むとき以外は鞄にしまってくださいとのこと。