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中央区立月島図書館

中央区立月島図書館 訪問記

last visit:2014/05/03

中央区立月島図書館は、月島駅そばの月島区民センターの3階にある中規模の図書館。月島・築地・佃などの地域資料も充実しています。フィクションの世界では、石田衣良の直木賞受賞作『4TEEN』にも登場した図書館です。

§ 図書館の場所

月島図書館が入っている月島区民センターは、場所としては月島駅と勝どき駅のちょうど真ん中辺り。ただ、月島駅から月島区民センターのすぐそばまで長い地下道が続いているので、雨の日などは月島駅から行ったほうが濡れずにすみます。一方、勝どき駅からの道のりでは、途中で渡る月島橋が屋形船の発着所になっており、見ているだけで屋形船の風情を楽しみたい気持ちが湧いてきます。

月島といえば真っ先に頭に浮かぶのはもんじゃ焼きではないでしょうか。もんじゃ焼き屋さんの並ぶ月島西仲通り商店街は月島区民センターから見て、清澄通りを挟んだ反対側。あまりのもんじゃ焼き屋さん率の高さに、商店街としては不自然ささえ感じます(笑)。商店街を少し外れたところを歩くと、思いがけぬところに立ち飲みバーがあったりして、周囲を散策するのも楽しいです。夏に月島図書館に行ったときはちょうどお祭りの日で、はっぴ姿の人もたくさん見かけました。

また、この辺りはここ最近マンションの新設も多い場所です。加えて、南東の隣接地域である晴海が2020年の東京オリンピック選手村予定地に決まり、選手の宿泊施設がそのままマンションに転用される予定であることから、地域住民の分布や構成が今後大幅に変化することが予想されます。街の様子も変わるかもしれないと思うと、今の姿を目に焼き付けておきたいとやたらにキョロキョロしてしまう私です(笑)。

§ 図書館内の様子

区民センターの3階全体が月島図書館になっていて、エレベーター・階段から3階に入ると正面にカウンターがあり、向かって左が児童コーナー、右が一般エリアと分かれています。カウンター向かって右には、利用者自ら予約資料をとって貸出手続きをする予約資料コーナーもあります。一般エリアは、入ってすぐがCD・ビデオコーナー、その左に地域資料・参考資料(事典類)コーナーがあり、奥一帯が一般書架です。雑誌コーナーは右先の窓際にあり、奥側にはティーンズコーナーもあります。雑誌コーナーの窓際は学習コーナーになっており、図書館カードを使って座席を確保して利用するシステムになっています。

検索機が児童コーナー側の壁際にまとめて並んでいるのがやや難点で、一般書架にいるときに「こんな本も探したいな」と思いついたら、わざわざ児童コーナー側まで行かないといけません。探したい本がいろいろあるときには、まとめて検索しておくのがいいですね。一般書架から検索機へ行くのにカウンターの前を通ることになるので、何度も検索機を使いに行くと効率の悪さを職員さんに見られているような気がしてしまいます(笑)。

§ 児童コーナー

児童コーナーは、手前側に絵本があり、奥のほうに大きい子どものための読み物やちしきの本が並ぶというかたちです。絵本の棚は波のようにうねったかたちで何だか楽しいです。リラックスして絵本を読んだりできる靴脱ぎコーナーはなく、週1回のおはなし会も月島図書館の会議室で行うこともあれば、月島区民センター5階の託児室で開催することもあるので、参加したい方は場所の確認をお忘れなく。

絵本は日本のおはなしも外国のおはなしも一緒にして、おはなしの作者の姓名の五十音順。児童読みものは、日本人作家のおはなしと外国人作家のおはなしを別にして、著者姓名の五十音順に並んでいます。

絵本コーナーとちしきの本の境の棚には、小中学校の教科書が並んでいます。中央区の公立小中学校で採用しているものだけでなく、他の出版社の教科書も数多く並んでいるので、自分の持っているものとは違う教科書がどんな感じなのか見るのも面白そう。

§ 一般書架

一般書架は、棚と棚の間が広くて見やすいし、区画としても長方形のシンプルなかたちで、何がどこにあるかを把握しやすいです。座席は、地域資料・参考資料コーナーに4人ないし6人で使う大きな机が並ぶほか、学習コーナーに窓に向かうかたちで申込制の席が並んでいます。学習コーナーの席は一人ずつ仕切られていて集中しやすいものの、座席数が12席と少なく、うち7席はかなり幅が狭いです。一方、地域資料・参考資料コーナーは、棚が低いせいで圧迫感がなく、ゆったりした気分で本と向き合うことができます。好みや気分に応じて上手に座席を利用したいところです。

日本の小説の棚は、著者五十音順の並びが、向かい合った隣の棚ではなく、通路を挟んだ向こう側の棚に続いていくので、最初は少し戸惑うかもしれません。並び順は概ね著者姓名の五十音順で、「概ね」というのを説明しますと、まず頭文字が「あ」である主要な著者について見出しを付けて五十音順に並べており、その後に見出しのない著者を「あ その他」にまとめてその中で五十音順に並べるということを繰り返して、「い」で始まる主要小説家→「い」で始まるその他小説家→「う」で始まる主要小説家…と続いていきます。つまり、ある小説家の本を探している場合、まずは五十音順に並んだ見出しの中から作家名を探し、もしなければ該当する頭文字の「その他」の中から探すという手順になります。著者が複数いる作品集の場合は、タイトルの頭文字をとって「その他」の最後に入っています。外国の小説は、「中国文学」「英米文学」といったように国・地域別に分類したうえで、著者姓名の五十音順に並んでいます。

学習コーナーが申込制と書きましたが、図書館カードのIDを入力して利用者が自ら座席を確保するシステムになっています。座席確保できるのは9:00~10:00、10:00~11:00といった00分区切りの1時間のコマ単位で、1日4コマまでの利用が可能です。手順を説明しますと、学習コーナー入口脇にある端末で、図書館カードのIDと登録したパスワードを入力して[確保]ボタンをクリックします。すると、現在の時間枠と次の時間枠(9時に操作したら、9:00~10:00と10:00~11:00の2コマ)に関して、あと何席空いているかが表示されます。座席は、幅が狭い席(座席番号1~7)と広い席(同8~12)があり、空席状況表上部の選択ボタンで選ぶことができます。空いている席の種類・時間帯の中から確保したいコマを選び、[確保票発行]ボタンをクリックすると確認画面が出るので、もう一度[確保票発行]ボタンをクリックすると確保票が印刷されて手続き終了。現在のコマを確保したならそのまま座席を使えばいいし、次の時間帯を確保したならその時間になってから座席を使用します。

私が同じ中央区の日本橋図書館で座席システムを使った際の体験ですが、18:00~19:00のコマを利用していて、19時直前にもう1時間使いたいと思って座席確保しにいったところ、同じ席で19:00~20:00のコマが取れました。おそらく、時間帯を続けて利用する際に、前の時間帯で使っていいる座席に次の予約が入っていなければ、自動的に同じ席にしてくれるようです。

また、コマの終了時間を待たずに席を使い終わった場合は、自分で取消手続きをする必要があります。手順としては、確保するときと同様に、図書館カードのIDと登録したパスワードを入力して[確保]ボタンをクリックします。すると、現在確保しているコマに「確保中」という表示が出ていて、その隣に[取消]というボタンがあります。そのボタンをクリックすると確保が取り消され、別の利用者が確保できるようになります。

場所としては児童エリアにありますが、館内のインターネット・データベース閲覧PCを利用する際も、座席と同様に手続きします。席の種類・コマを選択する画面で、座席の選択肢の一番右に学習端末席(だったかな、うろ覚えです)という選択肢があるので、それを選択すればネット・DB閲覧PCの確保ができます。

座席の確保以外にも、職員さんの手を介さず利用者が自ら手続きするセルフ化が導入されています。自動貸出機は児童エリア・一般エリア両方にあり、図書館カードを読み込ませてから、借りる点数を入力、本に内蔵されたICタグを読み取って貸出手続き終了というシステムで、既に23区の半分以上の区で導入されています。

返却の際も、カウンター向かって右にある返却BOXに投函すればいいだけ。CDを返却する際には、本より壊れやすいので、返却BOXの左脇にある青い袋に入れてから投函します。従来の職員さんに返す仕組みだと、本の中にメモなどを入れたまま返却しても職員さんがチェックして気付いてくれましたが、利用者が自分で投函する仕組みだと発見されたときには誰のものかわからないので、返却前にそうしたものがないか利用者側が気を付ける必要がありますね。

予約資料についても、利用者が棚から自分で探して貸出手続きします。予約資料が届いたという連絡が来てから、予約資料コーナー手前右のバーコード読取機で図書館カードを読み込ませると、「B-2」のようにアルファベット1文字+数字1桁が印刷されたレシートが来ています。これが貸出資料のある位置を示しており、「B-2」なら「棚Bの上から2段目」を意味しています。予約資料コーナーへ入ると、左からA、B、C…と棚が並んでいるので、自分の予約した本を探して予約資料コーナー内の自動貸出機で貸出手続きします。

更に、2014年3月からは、Felicaを図書館システムに登録することで中央区立図書館カード代わりに使うことができるようになりました。FelicaはSuica・PASMOなどの交通用ICカードやおサイフケータイに搭載されており、自分の手持ちのこうしたものを登録しておけば、図書館カードを持たずに貸出や座席予約ができるのです。

登録方法は簡単で、館内の検索機で利用者メニューへログインし、左サイドメニューの「FeliCa ID 登録」をクリックしてから、検索機に接続されているFeliCaリーダーにPASMOなどを載せるだけ。登録後は、図書館内で「図書館カードのバーコードをスキャン」あるいは「利用者IDを入力」という場面のさい、その代わりに「Suica・PASMOをタッチ」で処理できるようになります。FeliCa IDを利用者IDに紐付けするだけで、図書館システムからFeliCaへのデータ書き出しはしていません。利用者ID入力画面でよく入力ミスする人(私はよくやります 笑)や図書館カードを忘れやすい人は、手持ちのFeliCaを登録しておくと便利です。

§ 月島や佃などの地域に関する本がいろいろ

中規模図書館としてどのジャンルも充実している月島図書館ですが、やはりお薦めは月島ならではの地域資料。「地域資料」なんていうと堅苦しく感じるかもしれませんが、例えば榮倉奈々さん主演で佃・月島が舞台となった2008年上半期のNHK連続テレビ小説『瞳』を覚えている人も多いですよね。あのドラマのノベライズ本なども月島図書館の地域資料になります。築地のガイド本などもあるし、IHI(現在は豊洲に本社がありますが、旧石川島重工業の創業は佃)のOB会の会誌である「佃島物語」もある。昔からの町なので、図書館が収集に力を入れているだけでなく、関連資料そのものの点数が多いのだろうと思います。

月島・佃のことを知りたい方には、地域資料の棚だけでなく、低い方のCD棚の上にファイリングされている月島図書館の図書館だより「MONJA」もお薦めです。この「MONJA」は図書館だよりとしては珍しく不定期発行で、2,3ヶ月に1度くらいの頻度で発行している時期がある一方、3年以上も間が空いていたりするのですが、定期的に出すことを重視するより書くことがあるときに発行しているようで、読み物として面白いんです。

バックナンバーを見ると、月島ゆかりの著名人、たとえば、四方田犬彦、出久根達郎、南伸坊、吉本隆明、水木しげるなどの月島との関係を記事にしていたり、月島という街に関する読み物があったりして読み応えあるんですよね。私は2004年9月1日発行の「MONJA」第33号で知ったのですが、石田衣良の直木賞受賞作『4TEEN』は月島が舞台で、この月島図書館も登場するんですね。読んでみたら、仲間のナオトくんの病気についての調べものを月島図書館でしたり、おしゃべりしたいときには月島区民センター1階のロビーを利用したり、彼ら中学生の登場人物はかなり月島図書館と月島区民センターを使いこなしています(笑)。月島図書館も舞台になったというころで石田衣良さんからのメッセージと直筆サインをいただいたそうですよ。

また、資料ではありませんが、雑誌コーナーに飾られているダイナミックな絵画も「佃祭」というタイトルなんです。舞う獅子を描いた、暗い色調の中に金色が渋く散っている絵で、私はかなり好きです。

月島に住んでいる人も、町歩きを楽しみに来た人も、月島図書館で月島や佃に関する本を読めば、月島がもっと好きになるのではないかと思います。読んだうえで町を歩けば想像も更に膨らみますね。暮らしのなかや散歩の立ち寄り先にぜひ図書館へ。

中央区立月島図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  勝どき橋と月島地域の橋
―2014年3月18日から24日までの展示
月島図書館会議室で行っていた、勝どき橋を中心にした橋の展示です。勝どき橋建造過程の写真、橋脚見学ツアーのレポ、DVD上映など、勝どき橋の魅力たっぷりの展示でした。

中央区立月島図書館 データ

住所東京都中央区月島4-1-1 月島区民センター3階 →Google Mapで見る
Tel03-3532-4391
開館時間
月~土曜9:00~21:00
日曜・祝日9:00~17:00
定休日第4木曜
12月31日~1月2日
最寄駅 東京メトロ有楽町線都営大江戸線 月島駅から徒歩5分
都営大江戸線 勝どき駅から徒歩5分
駐輪場建物入口手前右に駐輪場あり
駐車場建物入口手前右に一般用駐車場7台分、障害者用駐車場1台分あり
また、月島区民センター地下に有料の一般駐車場あり。時間駐車は平日7:00~22:00、土日7:00~23:00で、30分毎に150円。1泊駐車は19:00~9:00で1200円。
所蔵資料
図書所蔵数151,282冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
ありなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしあり(閉架)なし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物入口向かって左の壁面にブックポストあり。開館中の使用も可能。
自動貸出機ICタグ式自動貸出機が5台あり
自動返却機カウンター向かって右に返却機あり
セルフ予約受取カウンター向かって右に予約資料コーナーあり
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PC階段・エレベーターから見て左にネット閲覧PC1台あり。利用は9:00~10:00、10:00~11:00といった00分区切りの1時間のコマ単位。
持参PC利用学習コーナー(12席)で持参PCの使用可能。電源あり。座席利用は9:00~10:00、10:00~11:00といった00分区切りの1時間のコマ単位で、1人1日4コマまで。
LAN接続学習コーナー(12席)に「FREESPOT」のアクセスポイントあり
飲食設備等蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)からの飲料摂取はOK。飲むとき以外は、机の上に置かず、鞄の中へしまってください。