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江東区立江東図書館

江東区立江東図書館 訪問記

last visit:2014/10/16

江東区立江東図書館は、南砂駅近くのトピレックプラザの隣にある図書館。1986年10月に東京都から江東区に移管された、赤レンガの重厚な雰囲気漂う建物です。

§ 図書館の場所

江東区立図書館の中央館である江東図書館は、東西線南砂駅から少し歩いたところにあります。イオンやドイトなどあるショッピングモール「トピレックプラザ」のそばというとわかりやすいでしょうか。同じ南砂町のショッピングモールでもSUNAMOではなく、もっと前からある方です。

歴史をさかのぼれば大部分が埋め立て地である江東区のうち、北の方が住宅地で、南に行けばいくほど工場・倉庫や人工公園・運動場が並ぶ地区になりますが、この南砂はちょうど住宅地と倉庫・人工公園などの境目付近。裏を返せば、地権などのしがらみがなく都立図書館を建てることができた土地だったということなのかもしれません。それが、1986(昭和61)年に東京都から江東区に移管され、現在の江東区立江東図書館となっています。

§ 図書館内の様子

図書館は4階建てで、レンガの壁とコンクリートの柱からなる重厚な造りの建物。東西に細長い長方形の建物なのですが、2階は南北に段差があり、段差の境目にカウンター席があったりして、デザイン的にも面白い建物です。

フロア構成としては、1階に新聞・雑誌コーナー、こどもしつ、ティーンズコーナー、CD・DVD、漫画・家事関連本。2階が一般書架で、3階は展示室など、4階は対面朗読室や事務室となっています。貸出返却カウンターは1階入って右とこどもしつ内にありますが、自動貸出機・自動返却機・予約資料コーナーなどの設備があるので、カウンターにはあまり人はおらず、自動貸出機付近にフォロー要員の職員さんがいる程度です。

予約資料コーナーと自動返却機は1階にしかありませんが、自動貸出機は1階一般・こどもしつ・2階のそれぞれにあるので、借りたいものを見つけた場所で貸出手続きすることができます。江東図書館の隣のトピレックプラザでもかなり前からセルフレジが導入されていますが、図書館の自動貸出機はセルフレジより簡単かもしれません。というのも、セルフレジが商品バーコードを読み込ませないといけないのに対し、江東図書館の自動貸出機はICタグを使っているので、台に置くだけでそこにある本・CD・DVDなど全ての資料を読み取ってくれます。予約受取の場合も、予約資料コーナー手前の予約ナビ機に図書館カードをかざして、指定された棚から自分の予約本を探し、予約資料コーナー内で貸出手続きすればOKです。

本を返すときには、自動返却機の投入口に入れるだけでOK。CDやDVDなどの壊れやすいものを返却する場合は、自動返却機右脇にある黒いクッション素材の袋に入れてから投入してください。カウンターに返却していたときは、中に何かが挟まっていないか職員さんが確認してくれましたが、自動返却機の場合は自分で確認しないといけません。自動返却機そばにも注意書きがありますが、中にはうっかり紙幣を入れて返却してしまう人もいるそうですので、くれぐれもご注意ください。

§ 1階の様子

先に、セルフ化設備のことを説明してしまいましたが、それらの場所も含めて1階の配置を説明しますと、1階入口入った正面に自動貸出機や自動返却機があり、向かって右へとみていくと、カウンターを挟んで、予約資料コーナーがあります。また、入口入って右に進むと棚も並んでおり、手前から順に、CD・DVD、家子と関連本、漫画、新聞・雑誌があり、その奥に別室のような形でティーンズコーナーがあります。また、1階入口入って左には後述するこどもしつがあります。

1階は、こどもしつとティーンズコーナーは比較的ゆったりしていますが、その間にあるエリアはいろんな種類の資料をぎゅっと集めた空間です。CD・DVDコーナーの角にはDVD・ビデオの視聴ブースもあるし、中央にはネット閲覧PCも2台あるので、図書閲覧以外の図書館利用ができるエリアともいえそうです。長時間の調べものなどに疲れたら、このエリアで気分転換するのもいいですね。

ティーンズコーナーは、面白いかたちの椅子があったり、付近の中学校の生徒からのお薦め本掲示があったりして、どちらかというと10代前半向けの空間という雰囲気です。ティーン向けの資料を揃えているというだけで、背伸びしたい小学生や童心に帰れる本が読みたい大人も、ここにある本を読むことができます。

§ こどもしつ

1階入口を入って左の通路を進んだ突きあたりがこどもしつ。入ってすぐ右にカウンターがあり、正面奥がちしきの本、その右に児童向け読みもがあり、更に右に絵本棚や靴を脱いであがれる「あかちゃんコーナー」があります。絵本コーナーから中2階にあがる階段があり、あがった先にはおはなしのへやがあるところなどは、建て替えるまえの白河こどもとしょかんを思わせるような造りです。

上で、江東図書館は重厚な雰囲気の造りと書きましたが、児童エリアも同じ調子で飾りなども少ないです。もうちょっと親しみやすい雰囲気であってもいい気がしますが、昔から装飾などが少なく、質実剛健という雰囲気。中央館だけあって児童図書数も多いので、「資料数で勝負」というところでしょうか。

奥の壁際に並ぶ赤ちゃん絵本は、出版社の五十音順。それ以外の絵本は、日本人作家の作品も外国人作家の作品も一緒にして、絵を描いている人の姓名の五十音順に並んでいます。また、「あらしのよるに」「ピーターラビット」「ねずみくん」などの主要なシリーズ絵本は、あかちゃんコーナー向かって左に棚にまとめてあります。そうと知らずに絵を描いた人の姓名で探そうとしたときにも、それが入っているべき場所に「○○シリーズはシリーズ本コーナーに置いてあります」と書いてあるので、わかるようになっています。

児童読み物のほうはというと、日本人作家が書いた作品は、小さい子向けと小学校高学年向けに分けたうえで、著者姓名五十音順に並んでいます。外国人作家の作品は、対象年齢で分けずに、「中国・アジアの読み物」「アメリカ・イギリスの読み物」「ドイツの読み物」というように言語別に分けたうえで、著者姓名五十音順に並んでいます。

こどもしつカウンター内というべきか、カウンター脇に棚があり、布絵本、点字絵本、仕掛け絵本なども数点ずつ所蔵しています。マジックテープやボタンなどを使って、仕掛けのようになっている布絵本はお薦め。小さいお子さんをお連れの方は、あかちゃんコーナーにあがって布絵本で遊ぶのもいいと思います。

ちなみに、このこどもしつ、以前は17時で閉まっていたのですが、2019年4月から図書館全体と同じ時間まで開いています。図書館を巡っているとわかりますが、児童エリアは子どもだけが来るところではなく、お子さんに読むための絵本を探している保護者や、児童に関わる仕事をする人なども仕事帰りに利用する場所。子どもの利用だけを考えて利用を制限するのは、こうした利用を阻む仕組みです。このように児童エリアの利用時間を広げるのはいい動きで、まだ児童エリアを早く閉めている図書館には、ぜひ江東図書館のように変わっていって欲しいと思います。

§ 一般書架

2階は、南半分より北半分の方が0.5階分高くなっているユニークな作りです。北側も南側も中央に近いところに書棚が並び、窓際に机がずらっと並んでいます。南側の閲覧席のうち、西端がビジネスコーナー(32席)、東端がPCコーナー(20席)となっており、どちらも持参PCを使用することができます。全体の閲覧席数も多く、閲覧席における1人分のスペースも広くて、さすが中央館というところです。

机席で面白いのが、南側と北側の段差に作られた塀のそばに椅子を置いて、カウンター席のようにしているところ。半階低いところを見下ろしながら本を読むかたちになるので、屋内テラスにいるかのような、面白い眺めです。

その塀沿いの棚の左端には、小学・中学・高校の各教科の様々な出版社の教科書が揃っています。その地域で採用している教科書を揃えている図書館はよくありますが、こうしていろんな出版社の教科書が揃っていると他との比較ができて面白い。自分の利用しているもの以外の教科書が見てみたい人や、塾の先生などで複数の教科書を見たい人などはぜひ活用してください。

日本の小説は著者姓名の五十音順に並んでおり、複数の著者による作品集は「ン」という分類で、五十音順の並びの最後にまとめて置いてあります。外国小説は、「中国小説」「朝鮮小説」「英米小説」「ドイツ小説」といったように、言語別に分類したうえで、著者姓名五十音順に並んでいます。

ちなみに、外国小説は、2012(平成24)年に改修工事による長期休館に入る前は面白い分類をしていて、「東洋文学」「英米文学」という分類の中で更に「1997年3月以前に発行されたもの」と「1997年4月以降に発行されたもの」に分かれていたんです。なぜその年月で分けているのか謎だったのですが、謎が解けないまま改修工事後は年月で分けることなく著者姓名五十音順になっています。江東区立図書館の年表を見ると、館内検索機が導入されて目録カードが廃止されたのが1997年5月なので、それが何か関係あるのかななどと推理していたのですが、謎が解けないうちに謎自体が消えてしまいました(笑)。

2階で面白い、というより、中途半端な気がしてならないのが、南側(低いフロア側)の窓際中央の「ミニ展示コーナー」。耐震補強された×状の柱を挟むように日本の文庫本小説の棚があり、その間を抜けると、面陳棚を挟むように机があります。この机は4人掛けの机なのですが、展示用の机らしく椅子はそれぞれ1つしか置いてありません。その割には展示資料が少なくて、展示コーナーというより、文庫棚に隠された謎の空間のようになってしまっています。江東図書館さん、せっかくコーナーを作ったのですから、しっかり活用してください(笑)!

§ 3階もデッドスペースが多くてもったいない!

3階は照明も消してあるので、入ってみる利用者はほとんどいないと思うのですが、学童集団疎開資料室という部屋があり、自由入ることができます。当時の深川区・城東区から疎開した子どもたちの写真、転出証明書、家族から疎開先の子どもへの手紙など、いろいろなものが展示されており、特に手紙は行間に込められた思いなども感じてしまいます。

ですが、この部屋、ほとんど入る人がいないために実質上資料室というより保管室になっているような気もします。疎開資料室の隣のスペースも普段はからっぽですし、せっかくの空間がもったいない。空きスペースでも展示するとか、展示を設置するのが面倒ならここも書架にしてしまうなどして、空きスペースに人が来るようにすれば、隣の疎開資料室も見る人が増えるのではないかと思ってしまいます。

§ 古い資料もいろいろと

以上、こうしたらいいのにという願いをいろいろ書いてしまいましたが、江東区民なので他の自治体より厳しい目で見ていることをお許しください(笑)。そんな中、江東図書館の面白さを挙げますと、古い資料がたくさんあるところでしょうか。開架では少ししか見かけませんが、江東図書館の所蔵資料の中には、椅子のイラストの「都立江東図書館」シールが貼られたものがあり、私は古い本を予約受取したときなどにときどき見かけました。江東図書館は、1976(昭和51)年6月22日に都立図書館として設立され、1986(昭和61)年10月1日に江東区へ移管したので、その間に発行された本だと「都立江東図書館」シールに出会える可能性が高いと思います。

新しい資料から古い資料まで、多くの資料を見ることができるのは図書館の楽しみの一つ。古い資料もいろいろ検索してみて、都立図書館から受けついた資料も楽しんでください。

江東区立江東図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  「こうとう区報」いまむかし-区報にみる“学び”の歴史-
―2008年10月4日から12月27日までの展示

江東区立江東図書館 データ

住所東京都江東区南砂6-7-52 →Google Mapで見る
Tel03-3640-3151
開館時間
月~土曜9:00~20:00
日曜・祝日・12月28日9:00~19:00
定休日第3金曜(祝日の場合は開館し、第3木曜を休館)
12月29日~1月4日
最寄駅 東京メトロ東西線 南砂町駅から徒歩8分
駐輪場建物入口向かって左に駐輪場あり
駐車場一般用駐車場なし。駐輪場の中に、障害者用駐車場1台分あり。
SNS等
所蔵資料
図書所蔵数339,830冊(2023/03/31現在、出典『令和4年度 江東区のとしょかん』)
CD所蔵数4,983点(2023/03/31現在、出典『令和4年度 江東区のとしょかん』)
カセット所蔵数310点(2023/03/31現在、出典『令和4年度 江東区のとしょかん』)
DVD所蔵数2,028点(2023/03/31現在、出典『令和4年度 江東区のとしょかん』)
ビデオ所蔵数1,976点(2023/03/31現在、出典『令和4年度 江東区のとしょかん』)
設備
ブックポスト建物入口向かって左の壁面にブックポストあり。開館中の使用は不可。
自動貸出機ICタグ式自動貸出機が7台(1階5台、2階2台)あり
自動返却機1階入口入った正面に、自動返却機あり
セルフ予約受取1階入口入って右先に、予約資料コーナーあり
図書の除菌2階調べもの相談カウンター向かって右に、図書除菌機「和みの館」1台あり
音声試聴設備なし
映像視聴設備1階CD・DVDコーナーに、DVD・ビデオ視聴ブース2つあり。利用は1回60分。
ネット閲覧PC1階に、ネット閲覧兼オンラインデータベース閲覧PC2台、オンラインデータベース閲覧専用PC1台あり。利用は1回30分、待っている人がいなければ1回だけ延長可能。
持参PC利用2階PCコーナー(20席)とビジネスコーナー(32席)にて持参PCの使用可能。電源あり。
LAN接続
  • 館内で、江東区公衆無線LANサービス「Koto_City_Free_Wi-Fi」(暗号化なし)の利用可能
  • 館内で、江東区立小学校・中学校・義務教育学校の生徒に配布されるChromebook専用の「KOTO_Education_LIbrary_Wi-Fi」の利用可能
飲食設備等閲覧席等での蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)からの飲料摂取はOK