世田谷区立図書館 ブックボックス梅丘
世田谷区立図書館 ブックボックス梅丘 訪問記
世田谷区立図書館では、宅配ロッカーのような仕組みで予約本を受け取ることができる「ブックボックス」を設置しています。2024年4月に下北沢だけで始まったのが、今では4箇所に増えています。今回、2026年4月に開設されたブックボックス梅丘で予約受取をしてみました。
予約時に受取希望館としてブックボックスを指定
図書館ならふらっと行ってもいろいろできますが、受け取るためのロッカーにただ行ってもしようがない。まずは、世田谷区立図書館ウェブサイトで本を予約し、受取希望館にブックボックス梅丘を指定します。世田谷区立図書館の場合、在庫中の本を図書館やカウンター施設を受取館にして日中に予約すると、受取館とは違う図書館で在庫している本でも翌日には予約確保メールが届き、この点はブックボックスでも同じです。
ブックボックスで受け取れるのは図書・雑誌のみで、CDや紙芝居はブックボックスを受取館にすることはできません。また、幅24.5cm×奥行41.5cm×高さ11.5cmにおさまらない本・雑誌も、ブックボックスでは受け取りません。
そこからの流れが図書館・カウンター施設とブックボックスで違いがあります。図書館・カウンター施設では、予約確保メールが来た日の8日後まで予約取置状態となり、受取に行った日から貸出が始まる。一方、ブックボックスでは実際にいつ取りに行ったのかに関わらず、システム上では予約確保メールが届いた次の日に貸し出しされます。ブックボックスと図書館システムが繋がっておらず、一律でメール送信の翌日に貸出したことにしてしまう仕組みというわけです。言い方を変えると、図書館システムに接続するネットワーク設備を用意することなく、利用者の利便性の高い場所に設置できる仕組みとも言えます。
ブックボックスでの保管期間はメールを送信した日から4日後の午後まで。4日後の14時頃から16時頃までの間にブックボックスを管理している図書館、ブックボックス梅丘の場合は梅丘図書館が引き取り、そこから返却期限日まで保管します。
現時点では図書館システムがブックボックスの仕組みに対応しきれておらず、ブックボックスを受取館にしたときの予約確保メールの文言がおかしいことになっています。上記のように予約確保してからの流れがブックボックスとそれ以外では違うのに、図書館やカウンター施設を受取館としたときのような8日後の予約取置期限が記された文言になっている。なので、初めてブックボックスを利用するときには、世田谷区立図書館のブックボックスの説明と予約確保メールの内容が合わないことに戸惑うかもしれません。ブックボックスを使う際には、予約確保メール上の取置期限は無視して、ブックボックス用のルールが適用されると思って利用してください。
他より背が高いブックボックス
私にもブックボックス梅丘を受取館にした予約確保メールが届き、梅丘へ向かいました。梅が丘駅北口を出て、高架下の壁沿いを新宿方向に進むと、壁が途切れて高架下に店舗が並ぶ区画が現れます。その区画に入ってすぐのところに、クリーム色の地に本棚のような絵が描かれた宅配ボックスのようなものが設置されている、それがブックボックス梅丘です。屋外ながらも屋根があるところに設置されているので、雨の日にも本を濡らさずに取り出せますし、24時間受け取りに行けます。
現在設置されているブックボックスのうち、下北沢・烏山・経堂は大人の胸下くらいの高さなのですが、梅丘は163cmの私が見上げるほどの高さがあります。私はブックボックス梅丘より先にブックボックス玉川総合支所を使ってみたのですが、こちらはLINEを使った民間サービスの仕組みを実証実験しているところで、梅丘と同じくらいの高いのブックボックスについて「取り出しやすい中段に入れる」というオプションを設定することができます(設定にはLINEでの登録が必要)。ブックボックス玉川総合支所のことを知らなければ特に何も感じなかったと思うのですが、ブックボックス玉川総合支所でオプション設定ができることを知った後に見ると、こちらでも子どもや車椅子の人などのために設定ができればいいように思います。それ以前に、上の段まで使うほど利用されていないかもしれませんが。
中段左に操作パネルがあり、タッチすると図書館カードを読み込ませるよう促されます。うろ覚えですが、ブックボックス烏山を使ったときには読み込ませるよう表示されるだけだった気がするところ、梅丘は音声ガイダンスも流れます。読み込ませると自分が予約した本が入っているボックスが自動的に開くので、本を取り出して受取が完了です。
利用のメリット・デメリット
このブックボックスの仕組みを考えると、大きなメリットは夜中でも早朝でも受け取れることです。ここから数分歩いたところにある梅丘図書館も、火曜から土曜は21時まで、日・月曜と祝休日は20時までと比較的遅くまで開館していますが、ブックボックスなら年末年始以外は24時間無休で利用できます。
そして、デメリットは、実際に受け取る前にシステム上貸し出されてしまうこと。世田谷区立図書館は貸出期間が2週間ですが、ブックボックスに届いてからすぐに取りにいけない場合は、その分だけ貸出期間が無駄に消費されてしまいます。ブックボックス梅丘を利用する人なら、行動範囲の面では梅丘図書館も利用できるはずなので、自分がその本を読むのにどれくらいかかるか、予約を待っている人がいる本かどうか(いなければ読み切れなくても貸出延長できる)、梅丘図書館が開いている時間にどうしても取りに行けないか、などを考えて、受取館をどちらにするのがいいか決めた方がいいと思います。
人手が足りない時代の図書館サービスへの模索
冒頭に書いたように、ブックボックスは2024年度から始まって今は4箇所に増えています。最初の下北沢だけだったときに気が付きませんでしたが、2025年11月から烏山、2026年4月から経堂・梅丘と増えていくと、管理館は全て指定管理者が運営している図書館、または、民間に業務委託している図書館カウンターであり、世田谷区が直接運営している図書館ではブックボックスを運営していないことがわかります。何だか、利用者にとって便利だけど職員にとっては少し面倒なサービスを、区が直接せずに民間にやらせているように見えてしまいます。
予約確保メールの文言からも今の世田谷区立図書館システムはブックボックスの仕組みには対応しきれていないことがわかりますが、実際にブックボックスで本を受け取ると更に気付くことがあります。ブックボックス梅丘で受け取った本には、貸出日と返却期限日のハンコが押された昔懐かしい感じの貸出票が挟まっています。システム的にはブックボックスに本を入れる日の翌日に貸出したことにするので、入れる時点では貸出されていない、だからシステムが発行する貸出票を挟むことができない、だからこのようなアナログ貸出票をその都度押印して挟んでいるのでしょう。
ブックボックスの管理館となっている図書館では、おそらく始業前頃に前日ブックボックスに入れた分の貸出手続きをして、毎日15時前後に届いた本を梅丘図書館から200m弱離れたブックボックスまで行って入れて、ブックボックスでの保管期限が切れた本を回収して…というブックボックスに絡む作業を毎日しているはずです。区の直営館はこの作業をしないけど、民間にはさせている。
この先設置を増やしていくなら区の直営館が管理館となるブックボックスも設置すればいいようにも思いますが、おそらく現在直営館である館が指定管理になる勢いの方が上回るでしょう。今後も管理館を引き受ける指定管理館が増えるというかたちでブックボックスが増えていくかもしれません。余計な作業や問い合わせ対応を減らせるように、図書館システムが早くブックボックスに対応したものに更新されるよう願います。
そんななか、2026年6月24日からギグワーカーが配送する新しい仕組みの実証実験をするブックボックス玉川総合支所が登場しました。こちらは管理館がブックボックスを管理するのではなく、1件100円(2026年7月1日時点)でギグワーカーがブックボックスへの配送を請け負う仕組みです。現在はどこも人手不足で、図書館サービスも少ない人手でサービスを下げずにどう運営するかが問われている。ブックボックスを通じて、そういったことへの模索が透けてみえるように思います。
詳細データ
アクセス
| 住所 | 東京都世田谷区梅丘1-31-36 梅ヶ丘駅北側高架下 |
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| 最寄駅 |