つながる読書

―2014年10月28日から11月30日までの企画
visit:2014/10/29

江戸川区立篠崎図書館は、読書週間の時期に毎年ユニークな企画を実施しており、私も毎年楽しみにしています。2014年の読書週間の企画は「つながる読書」。一体どんな企画なんだろうと足を運んでみました。

入口入った先にある自動貸出機の左にミニ展示コーナーがあり、そこへ行くとつながる読書オリジナルの帯を巻いた本が並んでいます。これらは職員さんお薦めの本なのですが、それで終わりではなく、「さらにもう1冊!」と書かれた帯にその本の紹介文ではなさそうな文言が書かれています。どういうことかというと、帯文が「その本の次に読んで欲しい本」の紹介文になっており、気になる本をカウンターに持っていくと、その本の次に読むといい本を案内してくれるのだそう。ある本から次の本へと「つなげる」というわけです。

例えばどんな本が次に待っているのか、わかりやすい例を挙げてみましょう。探検家の高野秀行さんが書いた『巨流アマゾンを遡れ』という本にかかっていた帯文はこういう内容です。

「探検家・高野秀行がアマゾン河を旅する。『深夜特急』の沢木耕太郎が同じ場所を訪れると……?同じ「アマゾン河」でもその描写は作家によってずいぶん異なるもの。その違いをお楽しみください。

この本と次の本を一緒に借りたら、帯文に書いてあるように同じ作家の感じ方・描き方の違いが楽しめそう。ほかには、『世界のベスト・バリュー・ワイン』という本の帯に「おつまみとセットでどうぞ」とあるのは、おつまみの作り方の本なのかな。米原万理が1960年のプラハを描いた『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』の帯に「時代背景を知りたいなら」とあるのは、当時の様子を詳しく書いた東欧現代史の本かも。そうだとしたら、次に読む本というより、読みながらわからないことがあったときに参照する本として使えそうです。

このように次の本についての情報がわかりやすいものだけでなく、もっと漠然と書かれているものもあります。島田荘司『斜め屋敷の犯罪』には「建物の構造を、もう少し詳しく知るには・・・」という帯文があったのですが、ユニークな構造のお屋敷で起こる犯罪小説だからといって建築の本に結び付けるのは無理がある気がするし、一体どんな本と繋げているのか気になります。

また、梨木香歩の『村田エフェンディ滞土録』の帯の「最後に出てくる人、気になる?」などは、最後の人のことが気になる前に、そもそも誰が「最後の人」なのかが気になります(笑)。この小説は1899年のトルコを訪れた村田を主人公とする小説のようですが、この小説の続編があるのでなければ、実在の人物が小説に登場してその人を指しているのかも。『村田~』の最後の節だけざっと読んでみたのですが、それだけでは「最後の人」がわからず、とっても気になっております。

小説だけでなく、『重曹のある暮らし』という本に「ナチュラルな家事を実践したら、手軽の楽しめる香りの世界にもチャレンジしてみては」という帯があったり、『論文捏造』という新書に「まずは疑うことからはじめましょう」という帯がかかっていたりと、実用書や自然科学の本もあります。職員さんに聞いたところ、次の本を教えてもらったら必ずその2冊を借りないといけないわけではなく、1冊だけ借りてもいいそう。本から別の本へとつなげる読書をぜひ楽しんでください。