ガチャ本(ポン)で出合う運命の一冊
visit:2017/10/27
毎年10月27日から11月9日までの読書週間は、各図書館が読書を楽しむためにいろいろな企画を実施してくれます。そんな企画の一つ、江戸川区立篠崎図書館の「ガチャ本(ポン)で出合う運命の一冊」に行ってきました。ガチャポン、ガチャガチャなど、呼び方はいろいろありますが、コインを入れてダイヤルを回すとカプセルが出てくるアレで本との出会いを楽しむ企画です。
篠崎図書館を入ると右にL字型のカウンターがあり、その「L」の角の部分に小さなカプセルトイ(普通名詞としてはこう呼ぶようです)が置いてあります。ダイヤルを回すのに入れるコインは、本物のお金ではなく、このカプセルトイ専用のコインで、もちろん無料で回せます。コインはカウンター内にあるので、やってみたい方はガチャポンをやりたいと職員さんに言いましょう。
私も職員さんにお願いしてコインを入れ…ようとしたら、うまく入らず。ダイヤルが縦にまっすぐ(時計の6時状態)になっていないとコインは入らないようなので、これからやってみる人はご注意ください。ダイヤル位置を直してコインを入れて回すと、予想以上にダイヤルが回る音が大きく、静かな館内にガリガリと音が響くのが少し恥ずかしい(笑)。
ぐるりと回して出てきたカプセルの中身がこちらの写真。

そういえば、読書週間では毎回標語を決めていて、2017年の読書週間の標語は「本に恋する季節です!」。カプセルの中身もそれに絡めてハート型のカードにその本のときめきポイントを書いているようです。「驚き」が「おどりき」になっているのは、愛嬌なのか誤植なのか?笑
このカードを職員さんに渡すと、カードが示している本をカウンターの裏から持ってきてくれます。このカードが示す本はこちら、『日本最初の盲導犬』でした。私が読んだことがない本で、この企画で出会えなかったら、今もこの本の存在さえ知らなかったと思います。

後日読んでみたら、埋もれていた歴史を丁寧に調べて本で、この企画で巡り合って本当によかったです。日本の盲導犬のはじまりは、兵役で失明した兵士の社会復帰のためであったこと。それにも関わらず、陸軍病院のなかでは盲導犬に反対する意見が主流になってしまったため、民間のシェパード犬協会が盲導犬の輸入代金を賄ったこと。戦地で視力を失った人にとって、盲導犬は単に道を導くだけでなく、心の支えになったこと。盲導犬が空襲のなか主人を安全な場所へと導いたこと。空襲の被害から逃れても、多くの盲導犬が餓死や病死で戦争中に死んだこと。どれも知られるべき史実だと思うので、興味を惹かれた人がいたらぜひ読んで欲しいです。
ちなみに、カードが示している本を職員さんが持ってきてくれるときには、「借りますか、館内で読みますか」と聞いてくれるので、館内で読んでみた結果、自分には合わないと思ったら借りなくても構いません。ただ、せっかくならこれも縁だと思って読みたいところ。図書館ってあらゆるジャンルの本がある空間なのに、ほとんどの人はそのうちの一部のジャンルの本しか読んでいないでしょう。ガチャ本という、自分の意図を働かせられない仕掛けで本を選ぶというのは、そうしたジャンルを越えた読書ができる企画です。
読書週間は11月9日までですが、このガチャ本企画は2017年11月26日まで実施しています。最近同じタイプの本ばかり読んでいるという人、未知の本・ジャンルと出会いたい人などは、ぜひガチャ本を楽しんでください。