あきる野市中央図書館
あきる野市中央図書館 訪問記
あきる野市中央図書館は、秋川駅近くにある大きな図書館。広い敷地に市のホールと並んで立つ姿が荘厳です。資料も設備も充実しており、それでいて棚の間隔がゆったりして見やすく、とても居心地よく読書が楽しめます。
あきる野市中央図書館は、JR五日市線の秋川駅の近くです。北東方向に400mほど進むと広い敷地に立派な建物が2つ建っており、向かって右側があきる野市中央図書館、左側が秋川キララホールという市のホールです。この敷地に限らず秋川駅周辺全体が、ごみごみした都心ではできないような贅沢な空間の使い方で、とっても開放的。奥多摩に近いので心なしか空気もきれいですし、私、この土地がすっかり気に入ってしまいました。都心から電車で気軽に行ける範囲にこんな気持ちのいい場所があるなんて、つくづく東京は多様性のあるところだと感じます。
図書館は2階建て。といってもワンフロアの面積が広いので、都心の狭い敷地に建てられた2階建て図書館を思い浮かべて行ったら、その差に驚くと思います。フロア構成は、1階面積の半分弱がエントランスホールで、展示なども行う空間に読書や友達との話ができるテーブルがたくさん置いてあります。もう半分には児童エリアとDVD資料がありますが、それとは別に入口入った正面に総合カウンターがあり、予約資料の受取や返却はそちらでできます。
2階は一般書架、新聞・雑誌、ティーンズコーナーなど。こちらも図書館エリアとは別にラウンジスペースがあり、飲み物を飲んだり友達と少し話したりできるテーブルがあります。1,2階ともに建物正面側が全面ガラスになっており、広々とした印象を与えてくれます。ガラス窓から見える景色からして、都心みたいにごみごみした風景ではないのがいい。秋川の空の広さを感じられる建物です。
1階入口からみて、左半分がエントランスホール、右半分が児童エリア・DVDです。右の図書館エリアに入ると、左手前にずらっとDVDがあり、棚の先頭にはあきる野映画祭のDVDがあります。調べてみると、「映画館のない町に映画文化を!」をスローガンにはじまった映画祭だそうで、2014年で30回にもなるんですね。図書館資料として所蔵しているDVDは、西多摩地域にゆかりのある作品や、ゆかりのある人たちが撮った作品を収録しているようで、知っている人や知っている場所が出てくる可能性大。私自身はこの周辺に馴染みがないので見ても気づきませんが、地元住民の方にとってはストーリーだけではない面白さが楽しめそうです。
児童フロアも広々としていて、かつ温かみがある、居心地のいい空間。机席も多くて、ちょっとした読書にも調べ学習にも便利だし、左奥のおはなしのへやも大きい。布絵本(館内閲覧用と貸出用あり)や外国語絵本など、一味違う資料もいろいろあります。
絵本は、日本人作家の作品も外国人作家の作品も一緒にして、題名の五十音順に並んでいます。ただ、赤ちゃん向け絵本は、日本人作家・外国人作家一緒にしているのは一緒ですが、並び方が絵を描いた人の五十音順です。児童向け読みものは、日本人作家と外国人作家を分けて、それぞれ著者姓名五十音順に並んでいます。
ありそうだけど、よくよく記憶を掘り起こすと意外にも他の図書館では見ないと思ったのが、児童エリア奥の壁際の机に1人分ずつ設置されたデスクライト。一般用の席では一人ずつデスクライトが設置されているのはさほど珍しくないのですが、200以上の図書館を回っている私でも、児童エリアに一人ずつデスクライトが設置されているのはあまり見たことがありません。私自身も目が悪いのでデスクライトはとても助かるのですが、考えてみれば大人に限定するような設備ではない。当たり前のことが他の図書館では意外と疎かにされていることに気づかされました。
一般書架は、高い天井からぽつりぽつりと円柱のライトがぶら下がるなかに書架が広がっている素敵な空間。私は、秋川駅に降りたときからこの土地が気に入ったので贔屓が入っておりますが、あきる野市中央図書館は都内でも最も居心地いい図書館の一つです。お隣の秋川キララホールも含めた敷地全体からして空間の使い方が贅沢なのですが、図書館のなかもそうで、通路も広くて、書棚がたくさんあるのに圧迫感はないし、とてもリラックスして本が読める空間なのです。
一般書架の並び方でユニークなのは、小説以外の文庫本の配置です。他の図書館では、文庫本はジャンルに関わらず文庫本でまとめて同じ棚に置くことが圧倒的に多く、そうでない場合は、サイズは無視して単行本と一緒に請求記号にしたがって所定の場所に置かれています。そこを、あきる野市中央図書館では、0類(3桁の請求記号の先頭が0)の文庫本は0類の棚の先頭から最上段に置く、1類の文庫本は1類の棚の先頭から最上段に置く…というように、10か所に分散しておいています。
文庫は文庫でまとめてしまう場合、移動中の読書用の本を探しているなどでジャンルにこだわらず文庫本で面白いものをと探している人には便利、同じ高さの本を揃えることで収納が上がるなどのメリットがある一方で、サイズにこだわらず目的の本を探している人には文庫別置きだと見逃されがちというデメリットがあります。だからといって、単行本と一緒にしてしまうと、大きい本に紛れて文庫本が隠れてしまうなどのデメリットもある。その点、文庫本を大きく10分類して一般書架のそれぞれのジャンルに置くという、あきる野市中央図書館の方式は、とにかく文庫本から何か読みたいという人にも、サイズに関係なくそのジャンルの本を探しているという人にも便利だと思います。
日本の小説・エッセイは一緒にして、著者姓名の五十音順に並んでいます。但し、アンソロジーなど複数の著者による小説・随筆はタイトル名で五十音順の並びに入ります。例えば、鏑木蓮(カブラギ レン)が書いたの本の隣に、複数作家による『蝦蟇倉市事件』(ガマクラシジケン)という本が並び、その隣に鎌田實(カマタ ミノル) が書いた本がある、といったかたちになります。外国人の書いた小説は、「中国文学」「東洋文学」「英米文学」「ドイツ文学」といったように国・地域別に分類したうえで、著者姓名の五十音順に並んでいます。
あきる野市中央図書館にはまだ1回しか行っておらず、現時点で書けるのはこんなところ。あきる野市ならではの地域資料・デジタルアーカイブや社会人閲覧室などの設備はきちんと見ることができていないので、また行って加筆しようと思います。というか、何より居心地がよく、訪問記が完成した後も何度も行きたい図書館。はっきりいって、私かなり気に入ってしまいました。
ここにしかない何か特別なものがあるわけではないのですが、私にとっての魅力は「ちょうどよさ」「しっくりくる」という雰囲気。例えば、私の記憶による未確認情報では日本のワンフロア図書館で最も面積が広いはずの葛飾区中央図書館は、確かに広くていいのですが、あそこまで広いと目的の本棚の場所や滞在時間によっては歩き疲れてしまうこともある。その点、あきる野市中央図書館は、少なくとも私の感覚ではちょうどよく快適な広さなんです。
立地からしてわざわざ席を求めて他自治体から来る人も少ないだろうから、座席も比較的空いている。何か特別なサービスをしているなどではないのに、いろんなことがちょうどよくてとても居心地がいい。私、現実的には諸問題がありますが、それを片付けられたら秋川に住んでみたいとまで思っています。いや、ホント。これからも何度もお邪魔して、この居心地いい空間でいろんな本に出会おうと思います。
あきる野市中央図書館 特集・行事・図書館だより感想記
あきる野市中央図書館 データ
住所 | 東京都あきる野市秋川1-16-2 →Google Mapで見る | ||||||
Tel | 042-558-1108 | ||||||
開館時間 |
| ||||||
定休日 | 金曜 第3火曜(祝日の場合は開館) 12月29日~1月3日 | ||||||
最寄駅 |
JR五日市線 秋川駅から徒歩6分
| ||||||
駐輪場 | 建物地下に自転車駐輪場あり。駐輪場入口は建物南西側。 建物入口向かって左に、地下駐輪場のスロープを下るのが困難な人用の自転車駐輪場あり 北側駐車場内にバイク用駐輪場あり | ||||||
駐車場 | 建物北側に駐車場あり | ||||||
所蔵資料 | |||||||
図書所蔵数 | 270,345冊 2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』 | ||||||
音声資料 |
| ||||||
映像資料 |
DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
| ||||||
設備 | |||||||
ブックポスト | 建物入口向かって右の壁面にブックポストあり | ||||||
自動貸出機 | なし | ||||||
自動返却機 | なし | ||||||
セルフ予約受取 | なし | ||||||
音声試聴設備 | なし | ||||||
映像視聴設備 | 1階にDVD視聴機2台あり | ||||||
ネット閲覧PC | 1階にこども用ネット閲覧PC2台あり。利用は18時までで、1回1時間、次に待っている人がいなければ1回だけ延長可能。 2階にネット閲覧PC8台あり。中学生以上で、あきる野市図書館利用者カードを持っている人が利用可能。利用は1回1時間、次に待っている人がいなければ2回まで延長可能。 | ||||||
持参PC利用 | 館内閲覧席で持参PCの使用可能。2階閲覧席のうち、28席にパソコン用電源あり(充電目的の使用は不可) | ||||||
LAN接続 | なし | ||||||
飲食設備等 |
| ||||||
その他設備 | 2階奥に携帯電話ブースあり |
2014年秋にあきる野市図書館で実施された「ティーンズ福袋」は、テーマでピックアップした数冊の本を袋につめて貸し出す企画です。市内4館で行われており、私は中央図書館に行ってみました。