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文京区立小石川図書館

文京区立小石川図書館 訪問記

last visit:2014/09/22

文京区立小石川図書館は、茗荷谷駅の東にある図書館で、レコードの多さは都内でもダントツ!というか、日本一かも?音楽雑誌や図書も充実しています。石川啄木終焉の地のそばであることから、石川啄木コーナーも設置されています。

§ 図書館の場所

小石川図書館の最寄り駅である茗荷谷駅周辺には、お茶の水女子大学、拓殖大学、筑波大学附属中学・高校など学校が集まっていますが、小石川図書館はその学校集中地帯から少し東にいった辺りにあります。

駅から小石川図書館への方向を更に進むと小石川植物園があります。私は昔、小石川後楽園と小石川植物園を間違えて行ってしまったことがありますが(笑)、植物園の方は東京大学の植物学研究の施設だけあって、実にさまざまな植物がある空間。奥にある東京大学総合研究博物館小石川分館の周辺は素敵な庭園にもなっていて、ワイルドな植物園と美しい庭園の両方が楽しめます。

桜の季節に小石川図書館から小石川植物園へ向かうなら、図書館から植物園に直行せずに一度春日通りに戻り、「小石川五丁目」交差点で左折して播磨坂を下るのがお薦め。この播磨坂が見事な桜並木になっているんです。河津桜も混ざっているので、染井吉野の季節より早い時期でも何本か咲いているので、春に小石川図書館を利用するなら、ぜひこちらへ寄り道してください。

文京区は坂が多いことで有名ですが、小石川図書館の前を通る坂にも「団平坂」という名前がついています。通りにある説明板によると、団平坂の名前の由来は、団平という米つき屋さんのお名前を取ったのだとか。庶民の名前のついた珍しい坂だそうです。

§ 図書館内の様子

さて、前置きが長くなりました。小石川図書館は地下1階から4階までの白い建物です。地下1階がおはなしの部屋及びバックヤード、1階が児童コーナー、日本の小説・随筆、新聞・雑誌コーナー、家事関連本、地域資料。2階がレコード・CDなどの視聴覚資料と参考図書。3階が中高生コーナー、外国の小説、文学に閲覧席。4階が視聴覚ホールという配置です。カウンターは1階と2階にあり、書籍などは1階カウンターで、CD・レコードは2階のカウンターで貸出・返却します。

そして、これらのフロアとは別に、1階から2階にかけて3層からなる積層書庫があります。古い図書館によくある、もともと閉架書庫として設計されたエリアを、開架として開放した書架です。狭いスペースに本をできるだけ多く保管することが目的のエリアなので、棚の間は狭く、天井も低いです。自分が見たい棚に別の利用者がいると少し待ったりしないといけませんが、「本に囲まれている」感が好きな人なら楽しくなります。

§ 児童コーナー、新聞・雑誌、小説・随筆の1階

1階は入口を入った左先にカウンター、カウンター向かって右に日本の小説・随筆、左手前に児童エリアがあります。また、左奥の部屋の新聞・雑誌、家事関連本、地域資料があり、児童コーナーと新聞・雑誌等の部屋の間に積層書庫があります。

日本の小説とエッセイは一緒にして、著者姓名五十音順に並んでいます。同じ棚に著者でまとめているなかでも、小説は分類記号ラベルなし、エッセイは「914」というラベルがついているので、小説もエッセイも出している作家の本のうちどちらかが読みたいときにはラベルを参考に本選びができます。また、アンソロジーなど複数著者による小説・随筆集は、「合集」として、小説の並びの先頭にまとめて置いてあります。外国小説は、3階になりますが、「中国文学」「英米文学」「ドイツ文学」等の国・地域別に分類された上で、著者姓名五十音順に並んでいます。

児童コーナーは、比較的狭い区画にいろいろな資料がぎっしり詰まっているという印象です。現在の小石川図書館が建てられたのは1966(昭和41)年と古く、児童コーナーに限らず1階全体がちょこちょこと区画分けされていて、本棚の配置も大変そう。

絵本は、日本人作家の作品も外国人作家の作品も一緒にして、出版社の五十音順に並んでいます。同じ出版社の中では、概ねタイトルの五十音順になっています。児童コーナー入って左の靴脱ぎスペースには布絵本もたくさんあり、そのうち半分くらいが貸出可能です。靴脱ぎスペース向かって左の棚下の外国語絵本の並びが少し変わっていて、大抵の図書館では外国語絵本を並べる際には作家名のアルファベット順に並んでいるのですが、小石川図書館は作家名の五十音順に並べています。日本人が外国語絵本を探す分には便利かもしれませんが、外国人の住民が本を探しに来たらびっくりするかも(笑)。

児童向け読み物は、日本人作家の作品も外国人作家の作品も一緒にして、タイトルの五十音順に並んでいます。この棚にはシリーズ名での見出しがたくさんついており、本選びの参考になります。更に、このシリーズもの見出しには、そのシリーズのタイトル一覧も書かれているので、シリーズを読破したいときにも便利。図書館では誰かが借りているときには棚にその本がないので、シリーズものの順序がわかりにくいですが、見出しのタイトル一覧を参考にすれば、順序通りに読むことができます。

新聞・雑誌、家事関連本、地域資料の部屋は、周囲の壁に棚が並んでおり、中央に座席があるという配置です。今日の新聞はこの部屋にありますが、過去の新聞は2階の参考図書エリアにあるので、利用する際には要注意です。地域資料の棚を見ると「ソトコト」「POPEYE」といった雑誌もあり、何だろうと思ってみてみると小石川図書館が掲載されている号とのこと。冒頭に書いたように、小石川図書館はレコードが多数所蔵していることで有名で、メディアでときどき紹介されています。小石川図書館がどんな風に紹介されているのか、ぜひご覧ください(プロのカメラマンさんが撮ると、実際より格好よく写っているように感じるのは私だけでしょうか 笑)。

1階から2階にかけて3層にわたっている積層書架は、狭い中に棚がぎっしり並ぶのを補うようにカラフルな見出しが充実していて、本が探しやすいです。医学など、気の利いた図書館なら見出しを充実させてくれているジャンルはもちろん、多くの図書館ではなかなか細かい見出しをつけてくれない社会科学なども見出しが充実しており、普段は読まないジャンルも目に入っていろいろ読みたくなってきます。

§ レコード室が圧巻の2階

2階はCD・レコード・DVDと音楽雑誌・音楽図書が大部分を占める音楽のフロア。奥には辞典類やレファレンスカウンターもあるので調べもののフロアともいえるし、ネット閲覧PCとパソコン優先席があるのでパソコン利用フロアともいえる。いろんな要素の詰まったフロアです。

小石川図書館の特徴といったら、何といってもレコードの所蔵数の多さ。2階のレコード室は、クラシック、ロック、ポップス、ジャズはもちろん落語に至るまで、様々なレコードで満たされています。そもそも、レコードで1室を成してしまうということからして、行ったことがない方にも所蔵数の多さが想像できるのでは。19,769点(2011年4月1日)という所蔵数は、東京都内公立図書館 レコード所蔵数ランキングでも圧倒的差をつけてトップですし、おそらく全国的にもトップではないかと思わせる点数です。しかもそれが、開架で棚に並んでいるのを見られるのが素晴らしい。

レコードの多さにともなってCDの所蔵数も多く、更に音楽に関する図書も充実しています。音楽資料の窓際の棚には、楽譜がずらり。楽譜は必ずしも各図書館で所蔵数を公表しているわけではないので、正確なところはわかりませんが、東京で最も楽譜を多く所蔵している図書館の一つだろうと思います。楽譜はクラシックが大半を占め、そのほとんどが日本国内で発行された楽譜ではなく、海外で発行されたものを図書館で製本しなおしたものと思われます。私は中学3年で合唱コンクールの伴奏をして以来ピアノを弾いていませんが(しかも本番途中で止まってしまった)、楽譜を手に取ってページをめくっているとちょっとした音楽家気分です(笑)。

音楽雑誌も、『音楽の友』『ROCKIN'ON JAPAN』『邦楽ジャーナル』『CD Journal』『ジャズ批評』『JaZZ JAPAN』『 Sound & Recording Magazine』などなど種類が多い上に、保管期間も比較的長いです。単行本も冊数が多く、クラシックの音楽家に関する本は、大規模図書館程度の冊数があるように思います。音楽CDとその音楽に関する本を借りて、音楽そのものと音楽知識の両方を一緒に楽しめますよ。DVDもオペラ関連のものを所蔵しているので、映像も合わせて楽しんでください。

ちなみに、レコードからCDへの過渡期に発売されたアルバムの中には、レコードとCDの両方を所蔵しているものもあります。これらレコードも貸出できるので、ご自宅にレコードプレーヤーがある方は家でじっくり聴くことができますし、プレーヤーを持っていないけど聴きたいレコードがある人は、館内のプレーヤーで視聴することができます。館内視聴は、1回につき5点までで1時間、申込用紙に視聴したい資料の番号など記入してカウンターに持っていけば、ヘッドフォンを渡されて視聴ができるようになっています。

§ 3階の様子

3階は閲覧席が大部分を占めるフロアで、隅の一画に中高生コーナー、少し離れた一画に外国文学や外国語に関する本の棚があるという配置です。

小石川図書館の閲覧席は机の配置が独特で、長方形の机を2~3つくっつけて、それを四方から囲むように座席を並べているんです。3階の広い閲覧席エリアはもちろん、1階の新聞・雑誌コーナーや2階のパソコン利用可能席もそのスタイル。図書館の机って、長机がたくさんある場合なら皆が同じ方向を向いて座るように並べたり、正方形や長方形の大きい机だったら向かい合った二辺に椅子を並べて向かい合って座るのが一般的ですが、小石川図書館の机は頑張れば向かい合って両側に座れそうな奥行きの広い机を、くっつけて大テーブル状態にしてその四方に席を配置しています。この配置は人によって好き嫌いありそうですが、知らない人とグループ勉強しているみたいでちょっと面白いです。

§ 階段踊り場もお見逃しなく

積層書庫もある小石川図書館をフロア別にご紹介してきましたが、フロアの途中にある階段踊り場もぜひ立ち止まってみて欲しいところ。小石川図書館は古くに建てられたのでエレベーターがなく、バリアフリー面では劣るのですが、その弱点を活かすかたちで踊り場の壁を使った展示をしています。

1階と2階の間の踊り場では、朝日・読売・日経・毎日・産経・東京の各新聞の書評欄のコピーを掲示しています。単に書評をコピーして貼っているだけでなく、文中に登場する書籍全てについて、ISBNコード、図書館での請求記号、文京区立図書館での所蔵館を記入してくれているので、その本を図書館で利用するのに便利。文京区立図書館にない場合も、単にないのか、発注中なのかまで書いてくれるという丁寧さです。壁に貼られているのは直近の書評欄で、過去の書評欄は2階の参考資料の棚にファイリングしているので(青いファイル)、ぜひ活用してください。

また、2階と3階の間の踊り場では、「石川啄木コーナー」と題して、石川啄木と小石川のつながりを紹介したり、ゆかりの地の写真を解説付きで紹介してくれたりしています。啄木の終焉の地は、当時の小石川久堅町、現在の小石川5丁目だそうで、小石川図書館(小石川5-9-20)のすぐそばなんですね。

石川啄木コーナーのなかで図書館好きなら注目したいのが、3階近くにある「石川啄木と図書館」コーナー。東京市に市立図書館ができる前に出版社の博文館が設立した「大橋図書館」や、東京市立小石川図書館が紹介されています。そう、この小石川図書館は、1910(明治43)年に設立された東京市立小石川簡易図書館を起源とする、文京区内で一番歴史のある図書館なのです。小石川で終焉を迎えた啄木も小石川図書館を使ったかも…と言いたいところですが、啄木が小石川に移ってきたのが1911年8月、そして翌年4月に結核で死去、そもそも小石川に移ったのも病気療養のためだったので、図書館は行けなかったのではないでしょうか。

そんな啄木のことをより詳しく知りたい場合は、3階階段そばに石川啄木関連本が集まっているので、そちらをぜひ。また、文学散歩を楽しみたい人には、「文京区 啄木の足跡をたどる」というマップを配布しています。この手描きマップ、「©R.K」としか入っていないので、職員さんの手描きかと思うのですが、飾りたくなるようないいマップで、石川啄木の似顔絵も実物より端正に見えます(笑)。啄木ゆかりのスポットはもちろん、寄り道したい肉屋さん(コロッケがおいしいのだそう)も紹介されています。

§ 見どころがたくさんありながら、のどかな雰囲気も

ついつい訪問記が長くなってしまいましたが、それくらい見どころがたくさんあるのが小石川図書館。でも、学校が多い落ち着いた雰囲気の町にある図書館だからなのか、のんびりした様子で静かに読書が楽しめます。今は削除されてしまったのですが、文京区立図書館公式サイトの小石川図書館の説明には以前、「竹早テニスコートのボールの音が聞こえてきます」という記述があり、春や秋など窓を開けている季節に行くと、確かにテニスボールを打つ、ポーンという音が聞こえてきます。まるで、高原の中で読書をしているよう…というのは言い過ぎでしょうか(笑)。

音楽好き、啄木好き、いや何より、図書館好きが楽しめる、歴史のある小石川図書館。周辺散歩も兼ねて、いろんな季節に利用したい図書館です。

文京区立小石川図書館 データ

住所東京都文京区小石川5-9-20 →Google Mapで見る
Tel03-3814-6745
開館時間
月~土曜9:00~21:00
日曜・祝日、12月29日9:00~19:00
定休日第3月曜(祝日の場合は開館し、翌日を休館)
12月30日~1月4日
最寄駅 東京メトロ丸ノ内線 茗荷谷駅から徒歩6分
駐輪場建物入口手前右に駐輪場あり
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数168,156冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
ありあり(閉架)あり

映像資料
DVDビデオLD
ありなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物入口向かって左の壁面にブックポストあり
自動貸出機なし
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備CD試聴機3台、レコード試聴機1台あり。試聴は1度に5点まで、1時間。次に待っている人がいなければ30分延長可能。カウンターに申し込むとヘッドフォンを渡してくれて試聴できます。
映像視聴設備なし
ネット閲覧PC2階参考図書コーナーにネット閲覧PC2台あり。利用は1回1時間、次に待っている人がいなければ30分のみ延長可能。
持参PC利用2階パソコン利用可能席(8席)にて持参PCの利用可能。電源あり。
LAN接続
  • 文京区公衆無線LAN「Bunkyo_Library_Free_Wi-Fi」の利用可能。利用は1回2時間、開館時間内は何回でも利用可能。利用の際は、メールまたはSNSアカウント(Google、Facebook、LINEのいずれか)での認証が必要。利用方法の詳細はこちらをどうぞ。
  • 館内2階に「docomo wifi」「ソフトバンクwifi」「au wifi」のアクセスポイントあり。
飲食設備等着席時の蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)からの飲料摂取はOK。飲むとき以外は、机の上に置かず、鞄の中へしまってください。