トップ図書館訪問記渋谷区 > 渋谷区立本町図書館

渋谷区立本町図書館

渋谷区立本町図書館 訪問記

last visit:2014/11/15

渋谷区立本町図書館は、初台駅近くの閑静な町並みの中にある図書館です。

§ 図書館の場所

渋谷区立本町図書館は京王新線の初台駅と幡ヶ谷駅の中間よりやや初台寄りの辺りにあります。初台のオペラシティを東に構えた閑静な住宅街の中にあり、こんなところに図書館があろうとはあらかじめ知っていなければ思えないくらいです。

図書館の手前はちょっとした公園にもなっており、ペットの散歩の休憩場所にもなっていそう。図書館の児童エリアで「この木なんの木」という図書館周辺にある植物をどこに何があるとマッピングしたものを配布していて、それを見ると、ハナミズキ、ヤマモミジ、ネズミモチ、ジンチョウゲ、ヒサカキ、ナンテンなど実にいろいろな植物が植えられているのが分かります。図書館で本を読んで目が疲れてきたら、外へ出て図書館の周囲の緑を楽しむのもいいですね。

ちなみに「本町」は「ほんちょう」ではなく「ほんまち」と読みます。かくいう私も、本町図書館内で「ほんまち」と書いてあるのを見て初めて知りました。

§ 図書館内の様子

本町図書館は3階建て。1階がカウンター、児童コーナー、新聞コーナー、雑誌の一部、小説、家事関連本。2階が文学・家事関連本以外の一般書架で、3階が雑誌コーナー、閲覧席、映画会などを行う視聴覚室です。

※1階にあったAVブースは、2020年3月から新型コロナウイルス感染拡大防止のため休止したのち、2022年6月23日に渋谷区立図書館ウェブサイトに終了の告知がされ、現在は存在しません。

図書館というのはどこでも新聞・雑誌コーナーの利用が多いものですが、本町図書館は新聞が1階、雑誌が3階と分かれていて、新聞コーナーがいつ行っても人気なのに対して、雑誌コーナーはわりと空いているんですよね。皆3階まで上がるのが面倒なのでしょうか(笑)。位置としても鉄道駅の中間にあたる場所で、図書館周辺に住んでいる人以外の人にとってはわざわざ来ないといけない、なので比較的空いていることの多い穴場的図書館です。

§ 児童コーナー

1階入口入って右の児童コーナーは、図書館入口からみて手前が絵本、奥が児童読み物やちしきの本という配置。手前の窓際には靴を脱いであがれるコーナーもあります。絵本は、日本のおはなしも外国のおはなしも一緒にして、おはなしの作者の五十音順で並んでいます。児童読みものは日本人作家のおはなしと外国人作家のおはなしを別にして、著者姓名の五十音順に並んでいます。

児童コーナーの棚の奥側の側面には、児童読みものを表紙の様子とあらすじ文などで紹介するポスターが貼られています。このポスター、表紙のコピーなどではなく、紙の光沢などからみて表紙そのものを貼っているように見えるのですが、どうやっているんだろう。図書館資料の表紙を切り取っているとは思えないので、本を購入するときに表紙だけ追加でもらったりしているのでしょうか(表紙だけ傷つくこともあるので、出版社の方でも表紙の予備などはきっと用意してありますよね)。上手に切り貼りしてあらすじ文まわりに登場人物が舞っていたりして、読みたい気分を盛り上げてくれます。

ちなみに、このポスターは過去の分もファイリングしてあるんです。靴脱ぎスペースの窓際の棚の一番右にある「このほんよんでみない?」「どのほんよもうかな」といったファイルがそれです。新しい本だけでなく古い本の中にも面白い本はたくさんありますし、図書館のいいところはそうした昔出版された本もきちんと所蔵していることなので、ぜひこのファイルのなかからお気に入りの本を見つけてくださいね。

絵本の棚の左端には絵本作家のあきやまただしさんの色紙が飾られていて、その下の棚にあきやまさんの作品が並んでいます。説明によると2009年10月27日に本町図書館にいらしたそうです。実際の絵本のそばに作家さんの色紙があると、絵本への親近感もぐっと増しますね。

子どもさんが大きくなり、図書館の中で一人行動をするようになったり一人で図書館に来たりするようになったら、ぜひ親子で確認しておきたいのが、児童コーナー内にある緊急ボタン。児童コーナーはカウンターのすぐ左にあり、防犯ミラーもついていますが、奥の靴脱ぎスペースの方まではカウンターにいる職員さんからも見えません。そこで、靴脱ぎスペースに一番近い棚の側面に緑色の緊急ボタンがついています。残念ながら、図書館で不審者が子どもに対していたずらをするような事件も起きているので、「何かあったら職員さんのところまで行くか、緊急ボタンを押す」ということを確認しておきましょう。

§ 一般書架

一般書架は、小説、家事関連本、文庫本、大活字本が1階、その他が2階と分かれています。利用の多い本が1階に集中していますが、座席は1階が椅子席のみ、2階に机席があり、3階には事実上閲覧室となっている会議室があり、上に行くほど机席が増えるかたちになっています。

1階にある料理本は、赤丸シールが家庭料理、青丸シールが洋食、茶丸シールがアジア料理…と色別シールで分類しています。以前は、「料理本」でひとくくりにして著者名頭文字五十音順に並んでいたのですが、料理の内容で分類している今の方が断然探しやすい。図書館巡りをしていて、こういう変化があるのは嬉しいです。もう一つ欲を言うと、現在「手芸本」でひとくくりにして著者名頭文字五十音順に並んでいるのも、内容(編物・パッチワーク・刺繍など)で分類してくれると本が探しやすいのですが、本町図書館さん、ぜひご検討ください。

日本の小説はエッセイと一緒になって、著者名の五十音順に並んでいます。但し、複数の著者による作品集は、タイトル名を元に、五十音順の並びに入れられています。例えば、北山猛邦(キタヤマ タケクニ)が書いたの本の隣に、11人の作家による『鬼譚』(キタン)という本が並び、その隣に橘川幸夫(キツカワ ユキオ)が書いた本がある、といった具合になります。外国の小説は、国や地域で分類することなく、外国の小説でひとまとまりにしたうえで、著者姓名の五十音順に並んでいます。

2階の書架も見出しなどが目立たず、地味な印象。小さな特集コーナーがありますが、全体的にさっぱりしている印象です。階段の壁を隔てたすぐ隣の棚が中高生コーナーなのですが、多くの図書館では中高生に読書を薦めるPOP等が多いところ、本町図書館の中高生コーナーは本当に本が並んでいるだけで見出しさえない。そもそも中高生コーナーであること自体、左の柱に「ヤング」という地味な掲示がある程度なので気付きにくい。棚の中を見ても図書分類を知らない中高生にはかなり探しにくい棚だと思います。これはさすがに、もう少し見出し等をつけるべきだと思います。

図書館の本棚では限られたスペースを有効活用するために、基本的には内容で分類して本を並べているものの、大きい本は一番下の段にまとめて置くということをしていますが、本町図書館ではムック本程度の大きさのものは下に置かずに単行本と一緒に棚に置かれています。下置きにすると目に入りづらくなるので、私は下置きにしない方が好きです。他の図書館では目に入らない本が目に入る機会も増えると思うので、ぜひその点を活用してください。

2階でご紹介したいのが、検索機ブース裏に掲示してある渋谷区の歴史。2012年の区制施行80周年記念に区の広報に掲載された「渋谷区80年のあゆみ」や、『渋谷の記憶』という地域資料に載っている昔の渋谷の写真があるのですが、これがなかなか面白い。例えば、渋谷駅近くに空中ケーブルカーがあったのをご存知ですか?。当時の東横百貨店と玉電ビルの屋上同士をつなぐケーブルカーで、何となく「ケーブルカー=山にあるもの」というイメージを持っている私には、写真を見ても信じられないような不思議な光景です。

また、「渋谷区80年のあゆみ」にある昭和7年当時の渋谷町役場を見ると、味わいがある建物で今の区役所よりよく見えたりして。いや、現在の渋谷区役所も緩やかに弧を描いているデザインが面白いですが。また、今はなき東急文化会館の写真なども懐かしく、ついつい細かいところまで見てしまいます。ちょうど検索機ブース裏の前に椅子があるので、ぜひ座ってじっくり見てください。

§ 3階の様子

3階はいたってシンプルで、階段をあがった正面奥が雑誌コーナー、左に視聴覚室、右に会議室となっています。会議室といっても机席が並んでいて常に開放されているので、実質的には閲覧室です。この実質閲覧室にはコインロッカーもあるので、荷物の多い人はどうぞご利用ください。

雑誌コーナーもやけに広々としている中にソファが9つしかなく、もっとソファを置いてもいいのではと思うくらいですが、少なくとも私が行った限りではいつも空いているので確かに今の数でいいのかも。雑誌コーナーの難点は、最新号の一部が1階のカウンター取置になっていること。切り取りなどが多い雑誌をカウンター取り置きにして汚損を防ぎたいということなのでしょうが、「この雑誌を読もう」と思って3階に行ったら1階カウンターにあると知りまた1階に戻るという動線は無駄に歩かされている気がしてしまいます。

会議室の席は、3人が横に並んで座る長机を向い合せて6人席にしているかたちで、その6人机が6つあります。机の幅は3つの椅子がぴったり並ぶくらいしかないので、実際に隣にだれかが座ったら窮屈かも。36席ある会議室の席のうち、一番奥の12席では持参PCが使用できます。

§ 住宅地の中の穴場図書館

本町図書館は、ここに図書館があると知っている人しか来ないような住宅地の中にあり、場所もひっそりと、運営も地味に、という感じですね(笑)。アクセスがそれほどよくないので自習したいだけの利用者が来にくく、図書館の資料を閲覧しに来た人が席を確保しやすい点もあると思います。空いている図書館の方が好みの私としては、居心地のいい図書館です。

渋谷区立本町図書館 データ

住所東京都渋谷区本町1-33-5 →Google Mapで見る
Tel03-5371-4833
開館時間
火~土曜9:00~19:00
日・月曜、祝日9:00~17:00
定休日第2,4月曜・第1,3月曜の翌火曜・第2木曜(祝休日にあたる場合は開館し、直後の平日を休館)
12月29日~1月3日
最寄駅 京王新線 初台駅から徒歩9分
京王新線 幡ヶ谷駅から徒歩11分
駐輪場建物の裏(北)側に駐輪場あり
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数158,109冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
なしなしなし

映像資料
DVDビデオLD
ありなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物入口向かって左の壁面にブックポストあり。開館中の使用は不可。
自動貸出機1階にICタグ式自動貸出機1台あり
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用3階会議室奥の12席で持参PC使用可能。電源なし
LAN接続なし
飲食設備等着席時の蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)からの飲料摂取はOK、それ以外の飲食は不可
その他設備コインロッカーが3階に16個あり(2012年12月6日現在、うち2個は使用不可)。使用には100円玉が必要で、使用後戻ってきます。