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講演会「インドを知る一日」

―2008年5月25日のイベント
visit:2008/05/25

西葛西図書館には3階に大きいギャラリーがあり、そこでたまに講演会を開催しています。2008年5月25日には「インドを知る一日」という講演会が開催され、私もインドに興味があったので行って来ました。

講演会自体は14:30から、入れるのは先着40名で会場受付が14:20からだったのですが、早めに行って雑誌コーナーで雑誌を読んでいたところ、一組のご夫婦の「上はもうすごく沢山の人が並んでいるわよ」「おぉ、そうか」という会話が耳に入り、あまりのんびりできないぞと急いで雑誌を読み終えて3階へ。

3階に着くと、既に階段の際まで行列が来ていて、どうみても40人以上並んでいます!一部の広報で会場受付を13:50からと書いてしまったそうで、そのため早くから並んでいた人がいたというのもあるけど、それよりこのテーマに関心のある人が多いことが大きな要因でしょう。とにかく人気があって、最終的には会場に椅子を増設して、ざっと数えたところ100人以上の方が参加していました。

職員さんの司会で始まり、西葛西図書館館長さんの挨拶の後、講演をしたのは西葛西在住で江戸川インド人会副会長のインディラ・バットさん。講演の内容は、インド文化の話から江戸川インド人会の話まで、ばっちり構成された講演会ではなく、ある程度用意してきた項目を友達に話すような、なごやかな雰囲気の講演会でした。

インドでは、結婚の大部分がお見合い結婚と聞いて、会場中が「へぇ~」と反応。また、教育面、つまり学校の中では、カーストによる格差もないし、生徒・学生達同士も相手のカーストを知らないし、気にもしないんだけど、結婚ということになるとカーストを気にするのだそうです。インドの娯楽映画なんかを観ていると、全然そういう面は感じませんが、映画は映画、現実は別物ということなんですね、きっと。

あと、面白いなと思ったのが、インドでは大部分の方がヒンズー教ですが、キリスト教やイスラム教の方も少なからずいて、バットさんはヒンズー教徒なんですけど、他の宗教の友達がその宗教に基づいてパーティーをやるときには遠慮なく参加しちゃうのだそうです。こういうのって、日本もそうですけど、多神教の思想が主たる文化のところというのは、そういう柔軟さを持っているということなのかもしれませんね。

また、ヒンズー教以外の宗教を挙げたとき、バットさんは仏教を挙げなかったんですけど、なぜかというとバットさんの解釈では仏教もヒンズー教の一つなんですね。これは厳密に分類すると違うのかもしれませんが、少なくともヒンズー教徒(バットさんはヒンズー教徒なんです)の方にそういう解釈をしている方がいらっしゃるというのは、私には興味深い発見でした。

そうそう、バットさんの「私は今まで一度も肉と魚を食べたことがない」という言葉にも会場中が「へぇ~」と合唱していました。昔は卵も食べてなかったそうですが、日本に来てから卵は食べるようになったとのこと。食べ物については、最後の質問コーナーでベジタリアンの方から、「自分もベジタリアンですが、そうでない友達と外食するときに、食べるものにいつも困る。そういうときはどうしていますか。」という質問があって、「天ぷらとかなら肉・魚以外のものがたくさんあるし、素材として肉・魚が入ってしまうものは、肉・魚なしで作れないか聞いてみる」との回答。お好み焼きなどもタコや肉を抜いてもらうのだそうです。食生活の違う方との食事は気を配る必要があるけど、だからって「あれもダメ、これもダメ」というわけではないんですね。ただ、外食のラーメンはだしに肉も魚も使ってないというのはなかなかないので、ラーメンは自宅で昆布だしで作るとおっしゃていました。

などなど、短い時間(90分)ながらもインドのいろいろな話を聞けて、楽しい講演会でした。江戸川区は都内で一番在日インド人が多いところ、特に西葛西は多いので、また同じテーマで講演会をやっても大勢の方が参加しそうですね。

でも、その事実を踏まえて西葛西図書館の蔵書を考えると、外国語図書がないというのはちょっと地域のニーズに応えていないようにも思います。例えば、日暮里図書館にはハングルの本が多かったり、ある国の在住者が多い地域の図書館にはその国の蔵書をたくさん置いてあることも多いので、西葛西図書館もそうなっていい。インドの雑誌を購読してくれれば、在日インド人もインドに興味がある日本人も今のインドの様子を知ることができますしね。その点では、今後の西葛西図書館に期待です!