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品川区立品川図書館

品川区立品川図書館 訪問記

last visit:2012/07/13

品川区立品川図書館は、京浜本線の新馬場駅の近くにある、品川区立図書館の中央館。1845年に南品川宿で始められた救貧事業を行う団体が作った文庫が、東京市に寄贈され、そこから更に品川区へと委譲されたという、歴史のある図書館です。

§ 図書館の場所

品川図書館は京急本線新馬場駅北口から徒歩3分ほど。出口の目の前にある第一京浜を南(青物横丁)方向へ進み、すぐ現れる「北品川二丁目」交差点で横断歩道を渡ってから左折します。100mも行かないうちに右側に見える幅広の建物が、品川図書館です。

図書館の入口そばの看板によると、この品川図書館がある場所は、旧日向佐土原藩島津家抱屋敷跡なのだそうです。この屋敷、門は目黒川を挟んだ向こう側にあったそうで、かなり広かったようです。そんな広い屋敷に住んでみたいものですね(笑)。

また、品川図書館の建物裏側には稼穡稲荷という社があるんです。自転車置き場が建物の裏にあるので、自転車で行ったときに気付きました。社の隣には品川区指定天然記念物でもあるイチョウの木。23メートルの高さで、推定樹齢500~600年だそうです。説明板には区のイチョウの中でも屈指の巨木とありますが、確かに幹が太い!品川図書館にお越しの際は、ぜひ神社と大イチョウを拝んでくださいませ。

§ 図書館内の様子

品川図書館は建物の2階から4階。建物1階から地下にかけては六行会ホールで、建物正面中央に行くと、右側が六行会ホールの入口、左側が品川図書館の入口です。図書館側の各階の配置は、2階がカセット・CD・ビデオ・DVD、児童コーナー、文学・スポーツ・芸術などの棚。3階が社会科学・自然科学を中心とした書架と地域資料・参考資料。新聞は3階にあり、雑誌はジャンルによって2,3階に分かれています。カウンターは2,3階両方にありますが、品川図書館を受取館に指定した予約は2階カウンターにあります。4階は、視覚障害者用の資料、視聴覚ホール、休憩室。休憩室には、自販機とベンチ、テーブルがあり、こちらに飲食物を持ち込んでお昼やおやつを食べることもできます。

階段が入退館ゲートの外にあるので、各階ごとに貸出手続きをしないといけないのが少し面倒ですが、各階のゲートを入った正面に検索機、その隣にカウンターがあり、左右に書架が広がっているという配置は、利用しやすいです。

§ 2階の書架

2階は、入って左手前に旅行ガイドや家事関連本があり、左奥が児童コーナー・中高生コーナーです。右側は、手前に雑誌とカセット・CD・ビデオ・DVD、奥が文学・スポーツ・芸術などの棚です。CD・ビデオ・DVDの試聴機やパソコン優先席もあり、6つある視聴機は平日も利用率が高いです。

一般的に、図書館のビデオ・DVDは、美術や自然科学など一般公開映画以外のものが多いのですが、品川図書館は一般公開映画のビデオ・DVDもわりと揃っています(もちろん、レンタル店などに比べたら、全然少ないですが)。DVDの映画の棚は「日本映画」「アジア映画」「アメリカ・イギリス映画」「ドイツ映画」…といった具合に、製作国ごとに分かれています。

視聴覚資料の隣にあるパソコン優先席は24席あり、ここも人気の席です。各駅しか止まらない駅のそばでよかった、といったらおかしいかもしれませんが、これでもっとアクセスのいい場所にあったら、もっと席の競争率が高くなっただろうと思います。

その先の文学・スポーツ・芸術などの書架は、品川区の中央館だけあって冊数が多い!日本人の書いた読みものは、小説も随筆も一緒にして、著者姓名の五十音順に並んでいます。但し、アンソロジーなど複数の著者による小説・随筆は、タイトル名をとって五十音順の並びに入っています。例えば、柳美里(ユウ ミリ)が書いたの本の隣に、5人の作家による『誘拐』(ユウカイ)という本が並び、その隣に結城恭介(ユウキ キョウスケ)が書いた本がある、といった具合になります。外国人の書いた小説は、「東洋文学」「英米文学」「ドイツ文学」等の国・地域別に分類された上で、著者姓名の五十音順に並んでいます。

外国文学の棚は、壁沿いにずらっと並んでいるので圧巻です。書架エリアの中央付近には「戻す場合がわからなくなった資料を置く棚」があるのですが、これだけ本がずらっと並んでいたら、どこから取ってきた本なのかわからなくなることも多いと思います。わからなくなったら、適当な場所に戻したりせず、この棚を利用しましょう。

§ 児童エリア

2階の半分弱を占める児童エリアもとても充実しています。フロア中央から児童エリアを見る向きでいうと、左に絵本があり、右に中高生コーナー、真ん中に児童向け読み物やちしきの本があるという配置です。また、突き当りの棚には、児童文学研究の本などもあります。漫画は絵本がある辺りとは反対側の一画にあって、テーブルについてゆっくり読むことができます。奥の方には、児童書研究本など大人向けの資料もあります。

絵本は大きな窓のそばにあり、開放的な気分で絵本が読めます。絵本の棚は、日本のおはなしも外国のおはなしも一緒にして、おはなしの作者の姓名五十音順に並んでいます。靴を脱いであがれるおはなしの部屋も、おはなし会がないときには開放しているので、こちらに絵本を持ち込んでゆっくり読むこともできます。

おはなしの部屋の入口右方には「てっちゃん文庫」という大型絵本コーナーがあります。このコーナーは、三和テッキ株式会社さんからの寄付によるコーナーだそうで、会社名と電車線金具の開発・製造・販売を行っている会社であることから「てっちゃん文庫」という名前なのでしょう。絵本の内容は、鉄道関連のストーリーというわけではなく、いろんな絵本がありますよ。こちらの会社のホームページを見ると、鉄道錦絵を200種弱ほど所蔵していたり、伊勢物語に関する写本や版本を収集したコレクションを所蔵していたり、文化活動をいろいろなさっている会社のようです。「てっちゃん文庫」は大崎図書館にもあるので、大型絵本とたくさん見てみたい品川区の子どもは、品川図書館か大崎図書館のうち行きやすい方に行ってみましょう!

かわいらしい児童文学の本が好きな方には、児童コーナー奥から一つ手前の棚や、小中学生用読書室の外側壁沿いににある児童文学復刻本がお薦め。武井武雄さんの画本など、見ていると知らずに笑みがこぼれてくるくらい可愛い!しかも、これらの本も借りられるんです。箱に入っているナカニシヤ発行の『日本一ノ画噺』なども開架に並んでいるので、ぜひぜひ手に取って見てくださいね。

中高生向け図書も充実しているし、漫画コーナーなどは大人も子どもも夢中になって読んでいます。漫画棚のそばのテーブルに「読んだらもとの場所にもどしましょう!」というメッセージカードがあるのも、利用者が多い証拠でしょうね。雑誌の中でも、『SEVENTEEN』『蛍雪時代』といった中高生向けの雑誌は、普通の雑誌コーナーではなく中高生コーナーの方にあります。それに加えて、『鉄道ファン』『月刊バレーボール』といった、必ずしも中高生だけが読むとは言えない雑誌も中高生コーナーにあるので、雑誌をお探しの方はご注意ください。

中高生コーナーでもう一つお薦めなのは、窓際の中高生専用席。ここは図書館裏にある稼穡稲荷が見下ろせる位置 なんです。神聖な神社を見下ろすのは不敬にあたるかもしれませんが、集中力が落ちてきたときに神社や大銀杏に願いを込めれば、集中力が取り戻すせるかも。中高生ではない人も、休憩の際に図書館の外に出てお参りするのもいいですよね。

§ 3階の書架

3階は、入って左側が社会科学・自然科学と外国語図書。右側が、新聞・雑誌コーナーと地域資料・参考資料です。地域資料手前には、ネット閲覧PCもあります。

3階の各棚中央館に相応しく充実した書架となっています。例えば「007 コンピュータ」の棚は、「WINDOWS OS」「MacOS」「Excel」「Word」といったジャンル分けはもちろん、「Delphi」「Visual Basic」「C言語」「C++」「Java」「Perl」等プログラム言語に関する資料もたくさん。ただ、こうした技術的な資料は、新しいものは貸出中のことが多く、棚に残っているのは比較的古い資料なので、それを踏まえた上で利用するのがいいです。

外国語図書も、英語・中国語・ハングルとそれぞれ冊数を揃えています。中国語・ハングルの本は状態がいいものも多いです。品川区立図書館は誰でも登録できるので、中国語やハングルの勉強をしている方や中国・韓国の方などには、品川図書館はいい穴場なのではないでしょうか。

3階の入口左側の奥には平和コーナーがあり、平和に関する資料が絵本・漫画・児童書も含めていろいろ揃っているだけでなく、以前「図書館平和フェア」で作られた千羽鶴も飾ってあります。また、棚の上に「岩波フォト・ドキュメンタリー 世界の戦場から」というシリーズの本のケースが並べてあります。このケースに戦場の写真が掲載されているので、ちょっとした写真展示のようになっています。

参考図書・地域資料のほうも、わりと古い資料が開架で置いてあり、あてなく棚を見ていても面白いのですよ。23区に関する昔の本もたくさんあって、例えば「東京風土図」(産経新聞社会部編)という昭和36年の本なんかはイラスト入りで当時の都内のいろんな町の風景が書いてありました。私は昭和46年生まれで、私の記憶の中でも『この街は変わったなぁ』というものが既にあるわけですが、その更に前を『いやいや、昔はもっと違ってこんなだったんだよ』ってのを本で読めるのはいいですね。

§ 疲れたら休憩しましょう

資料が充実している品川図書館、読書や調べものにのめり込んで疲れてきたら休憩しましょう。食べ物や飲み物を持ってきたときは4階奥の休憩室へどうぞ。椅子もテーブルも少ししかありませんが、違うフロアまで移動すると体も動かすことになるので、肩凝り防止などにもいいですうよね。

もう一ヶ所、1階図書館入口向かって右にあるカフェ「ピッコロ」もお薦め。トースト&カフェが500円、ケーキ&カフェが600円、スープ付きのホットドッグ・サンドイッチが500円、ブレンドコーヒー400円、紅茶450円といった値段で、がっつり食べたい男性などには足りないかもしれませんが、軽食としてちょうどいい量です。私からのお薦めは、自家製ピクルスがついてくるメニュー(スープ付きのホットドッグ・サンドイッチなど)。酸っぱさと甘さのバランスがちょうどよく、漬け具合(固さ)もちょうどよくて、おいしいです!

§ 歴史のある図書館

さて、この図書館、併設のホールが「六行会ホール」、図書館内も1階から2階へ上がる階段の壁に六行会(りっこうかい)の説明があります。六行会とは何か、以前3階に掲示されていた説明がわかりやすいのでそれを引用しますと、

1845年に南品川宿で始められた救貧事業のための積立金が六行会の始まり。その六行会が1923年に荏川町倶楽部という集会所の中に荏川町文庫を開設し、昭和3年には独立館を設けて文庫を移転して六行会経営の品川図書館を作ります。それがのちに東京市(当時)に寄贈され、都から区への委譲と二度の改築を経て今の品川図書館に至る。

とのこと。現在1階から2階への階段の壁にある説明でも、六行会のことを「日本で一番古いNPOの一つ」と説明しているので、図書館史からみても社会史からみても歴史のある団体なんですね。六行会は今も財団法人として教育と文化の支援をしているそうです。階段の説明のそばには、荏川町倶楽部の写真や昔の品川図書館の写真も掲載されています。

今はなくなってしまったようですが、昔は六行会文庫なるものもありました。地域資料の棚に古い資料が充実しているのも、こうした長い歴史の反映なのでしょう。図書館を出て山手通りを右に行くと旧東海道が通っているので、図書館の帰りに旧東海道を歩きながら六行会が開設された頃の品川に思いを馳せるのもいいですね。図書館でも新旧の資料を楽しんでください!

品川区立品川図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  「品川区60年の歴史」
―2007年3月の展示

品川区立品川図書館 データ

住所東京都品川区北品川2-32-3 2~4階 →Google Mapで見る
Tel03-3471-4667
開館時間
月~土曜9:00~20:00
日曜・祝日9:00~19:00
12月29・30日9:00~17:00
定休日第4月曜(祝休日の場合も休館)
12月31日~1月3日
最寄駅 京急本線 新馬場駅から徒歩3分
京急本線 北品川駅から徒歩11分
駐輪場建物の裏側(南側。山手通りに面していない方)に駐輪場あり
駐車場建物正面向かって右寄りに一般用駐車場への入口あり。9:00~21:00。最初の1時間は300円、以後30分毎に150円。
建物裏側(南東の端)に障害者用駐車場1台分あり。
所蔵資料
図書所蔵数419,460冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
ありありなし

映像資料
DVDビデオLD
ありありなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物の図書館側入口向かって右にブックポストあり
自動貸出機なし
音声試聴設備CD・ビデオ・DVDが試聴できるブースが6台あり。CDは1回1時間まで。
映像視聴設備CD・ビデオ・DVDが試聴できるブースが6台あり。うち1台は3人までのグループ利用が可能。ビデオ・DVDは1作品まで。
ネット閲覧PCネット閲覧PC5台あり。利用は1人1時間まで。
持参PC利用2階パソコン優先席(24席)で持参PCの利用可能。電源あり。

3階の北東側の席(26席)で持参PCの利用可能。NTT東日本のフレッツ・スポットに加入している方はフレッツ・スポット利用可能、NTTコミュニケーションズのホットスポットに加入している方はホットスポット利用可能。
LAN接続館内用無線LAN「しながわFree Wi-Fi」の利用可能
飲食設備等
  • 建物1階と4階に飲料自販機1台あり
  • 4階の休憩室で持ち込み飲食可能
  • 蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)の飲料に限り、館内での摂取可能。但し、飲むとき以外は鞄にしまってくださいとのこと。
その他設備2,3階の検索機の裏にコインロッカーが10個ずつあり