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ぶんきょうの町名由来

文京区教育委員会 著

そもそも「文京」という区名はどのような経緯で決まったかはご存知ですか?

文京区教育委員会が発行している『ぶんきょうの町名由来』によると、戦後小石川区と本郷区が統合される際に東京新聞社の行った一般からの募集の結果などを参考に審議され、小石川区役所の職員が応募した「文京」という名が親しみやすく、区の性格をよく表しているということで昭和22年2月に正式に決定したんですって。

既に「文京」という名を掲げて半世紀以上も歩んできたからかもしれないけれど、確かにこの「文京」と言う名は文京区の雰囲気にぴったりしていますよね。

さて、この本の内容ですが、現在の区画名だけでなく、いやむしろ昔の町名を中心にその由来をまとめています。

今の『東京都文京区○○X丁目』という住所は○○の範囲が比較的広く、それをいくつかに区切ってX丁目と表していますが、昔はそのX丁目ぐらいの広さの区画に『△△町』といった名前がついている感じなんですね(もちろん全てがそうというわけでもないのですが)。その○○と△△の由来が一つ一つ掲載されています。

私はこれを読むまで知らなかったのですが、「本駒込」って「本郷の駒込」という意味なんですね。「本~」って『こちらが本家』の意味という印象を受けてしまいますが、いやいや意外。

真砂中央図書館の「真砂」も昔の町名ですが、これは『浜の真砂が限りないのと同様に町が限りなく繁栄しますように』との願いから命名されたのだとか。昔の町名といってもこのように施設名などに残っていたりするので、全く馴染みがないわけでもないんですよね。

また、先ほど『昔はそれぞれの区画に△△町という名前がついている』と書きましたが、もちろん昔の町名で△△X丁目というものもあります。その際、X丁目の数えは江戸城側を起点に数えていくのが一般的なのですが、音羽町は異例なことに護国寺側を基点として番号が振られていたのだとか。綱吉が護国寺を大切にしていたことがわかるエピソードとして紹介されています。

この本も、「ぶんきょうの坂道」と同様、東京の地域資料として他区でも所蔵しているところは多く、23区で蔵書検索してみたところ、渋谷区・墨田区を除く21区で所蔵していました。

こうして一つ一つ由来を読んでいると現在の『○○X丁目』というのが無粋にも感じてしまうのですが、実際のところ『○○X丁目』と整理してくれるとわかりやすいんですよね。

私は文京区あたりだと自転車で行きますが、地図を忘れてしまうという失態も実は少なくなく(笑)、そんなときは路上の案内と勘を頼りにどうにかするわけです。そのときには町名が細かくいろいろあるより、大きい区画に町名をつけて後はX丁目Y番Z号と整理してくれている方が断然わかりやすい。まあ最初から地図を忘れなければいいのですが。

そんなわけで、現在の区画割りに感謝しつつ、文献にて昔の町名に思いを馳せるのでありました。