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ミステリークエスト(2016年)

―2016年9月16日から30日までのイベント
visit:2016/09/17
§ 去年の人気企画が帰ってきた!

立川市上砂図書館では、2015年の「たちかわ読書ウィーク」イベントの1つとして「ミステリークエスト」という謎解きゲームを実施していました。その際は私も参加して、その様子をこちらに書いたのですが、ある日立川市図書館のHPを見ていたところ、その好評企画が帰ってきたとの情報を発見。2016年9月16日から30日までという会期の2日目に、さっそく足を運んでみました。

去年と同様、普段から図書館にあるものや、このイベントのために図書館内に隠されたものを手掛かりに、謎を解いていく企画で、今回は立川市図書館のキャラクター・たまちゃん(立川市図書館HPで左上から顔を覗かせている猫ちゃん)がいなくなってしまったのを探すという設定のもとに謎解きをします。問題は小学生用と中高生用の2つがありますが、年齢に限らず誰でも挑戦可能。大人の私も2つの問題を解いてきましたし、私とほぼ同時に挑戦した小学生たちも、小学生用をクリアした後に「漢字がたくさんあるから大変かも」という職員さんの忠言をもろともせず中高生用問題にも挑戦していました。

§ 謎解きが書架案内になっている

最初に挑戦した小学生向けは、5問の問題を解いていくなかで集めたシールと言葉をつなげると1つの文になり、それをもとにたまちゃんを探しにいくというもの。小学生向けなので、難易度としては指定された場所に行ったり指定された本を読めばわかる程度ですが、そこには遊びを通して上砂図書館を知ってもらいたいという思いが詰まっています。

例えば、もんだい4「ことばのえほんのたなにある、「ぶたたぬききつねねこ」の本をみてこたえてね。「しちめんちょう」のあとにでてくるものは なあに?」という問題。立川市図書館では、創作絵本以外のちしき絵本を「社会」「理科」「食べ物」「乗り物」「遊び」「ことば・数」「詩」と7つに分類しているのですが、棚の配置・収容量などの都合で前の5つと後の2つが少し離れた場所になってしまっています。なので、検索機などで読みたい絵本が「ことば・数」の棚にあるとわかったとしても、「で、その棚はどこにあるの?」となりやすい。でも、こうして謎解きのなかで棚を探すことで上砂図書館の配置がわかるし、普段この棚を見ない人には「こんな本がここにあるんだ」という発見にもなります。

そうやって謎を解き、たまちゃんを発見して居場所を職員さんに告げると、見事正解!正解するとちょっとしたプレゼントをいただけるのに加えて、カウンターの下に正解者として名前をいて貼りだしてもらえるのですが、職員さんによるとこの正解者リストが子どもたちのチャレンジ心をくすぐるそう。上砂図書館は団地の中にあり、小学校もすぐそばなので、子どもの間での口コミが広がりやすいという側面もあるかもしれません。

§ ステージを経て謎を解く中高生向け

小学生向けの問題は、最初に渡される問題用紙がお題の全てですが、中高生向けの方は、最初の問題を解いてカウンターへ持っていき、正解していれば次の問題用紙を渡され…という方式の、ステージがいくつかある謎解きゲームです。小学生向け問題が児童エリアで謎を解くのと同様に、中高生向けもYAコーナーだけを見れば解けるかと思い込むと解けない問題もあるので要注意。こちらも、謎解きの中で立川市が登場する物語が紹介されたり、こんな分類があるんだという立川市図書館の独自分類(立川市図書館では、児童分類YA分類が必ずしも日本十進分類法通りでなく、独自の方式なのです)を知ることができます。

個人的には、立川市図書館に精通していればわかるステージ2を、手掛かりを見なければ解けなかったのが残念。9館ある立川市図書館のうち、まだ4館しか行ってないし、訪問記は中央図書館しか書いていないし…。東京図書館制覇!という名前でサイトを運営している以上、立川市もいつかは全館制覇したいなあ。

こちらも全ての謎を解いてカウンターに答えを告げたら、見事正解!中高生向けのほうでは、ちょっとしたプレゼントに加えて、お薦め本の書かれたおみくじもついてきました。何かいい本ないかなあと思っている方は、おみくじお薦め本との出会いもお楽しみに挑戦してください。

§ 書架巡りをする面白さ、分類を学べるメリット

図書館での謎解きゲームに参加するたびに思うのですが、こうしたゲームを図書館で楽しむことの大きな効果の一つは「書架を巡らされること」だと思います。図書館をよく利用する人でも、いやむしろ、図書館をよく使う人こそ、既に棚の場所を知っているがために、寄り道せず目的の棚に直行直帰してしまう傾向もあるでしょう。謎解きを通じて、普段はあまり見ない棚を見たり、存在さえ知らなかった本を探すことで、図書館のどこに何があるかがわかるようになる。

このミステリークエストは実施期間中にカウンターに行けば問題用紙をもらえて、参加する人は好きなときに好きなペースで挑戦することができます。更に、今回のミステリークエストでは、2015年のときと違って所要時間を競う要素がなくなっていたのですが、書架を巡る面白さでいえばその方がいいと私は思います。むしろ、時間をかけて書架を回って、たくさんの棚や本の中で寄り道する仕掛けとなることこそ、この種のゲームを図書館で行う意義の一つではないかと。

また、もう一つ、今回は私がカウンターに参加を申し出た直前に小学生のグループが参加を申し込んでいたことで、見えてきたものがあります。私の動きが小学生たちのヒントになってはいけないと思って、ずっと小学生たちを追い越さないように謎を解いていたのですが、彼女たちの謎解きの様子を見ていると図書館の棚や分類をどこまでわかっているかがわかるんです。その点では親子などでの挑戦もお薦め。お子さんが謎を解く様子を見守り、わからない部分については今回の謎解きに限らず図書館の仕組みを教えるようにすれば、お子さんが図書館をより使いこなせるようになると思います。

今回のミステリークエストは「図書館を巡る」という要素が強くて、推理力は2015年の回ほど必要ではないのですが、それが物足りない方は、上砂図書館へ通じる建物入口1階で配布しているイベント告知チラシをどうぞ。チラシ裏面に暗号文があり、これが上砂図書館からの挑戦状になっています(2015年の中高生向けが解けた人にはすぐ解けてしまう問題ではありますが)。

謎解きを楽しみながら、図書館をより知ることができるイベント。2016年9月30日まで実施しているので、ご興味ある方はぜひ挑戦してみてください。