水道端図書館
文京区立水道端図書館 訪問記
文京区立水道端図書館は、江戸川橋駅の北東にある図書館。お寺が多く、落ち着いた町にあるせいか、館内もひっそりとした印象。児童コーナーでは外国語絵本の多さ、一般書架ではハヤカワ文庫が全点揃っているのが特徴です。
水道端図書館は江戸川橋駅から歩いて8分。江戸川橋の4番出口を出て、右に進み、歩道橋がある交差点で左折して、そのまま古川橋を渡って神田川を越えます。橋を渡って二つ目の交差点で右折し、しばらく道なりに進んで行くと、道の右側に水道端図書館が現れます。
水道端図書館のある通りはお寺が多く、しっとりと落ち着いた雰囲気。そのせい、というわけでもないでしょうが、水道端図書館の建物も結構地味で、向かいにある善仁寺の門構えの方が目立つくらいです。初めて行く方は通り過ぎてしまわないようご注意を。
水道端図書館は4階建ての建物です。普段利用者の入れるのは3階までで、読書会などがあるときには、4階の会議室を使うようです。1階が児童コーナー、新聞・雑誌コーナー、地域資料、家事関連本。2階が一般書架、3階が閲覧室。閉架の本をお願いしたら、職員さんが地下に取りに行くと言っていたので、地下が閉架になっているのですね。
1階はフロア全体の8割近くが児童コーナーで、奥の一角に新聞・雑誌コーナー、地域資料、家事関連本が集まっています。建物全体の中での比率を考えても、平均的な図書館より児童コーナーの面積比率が高いと思います。
建物正面にあたる窓には、絵本「かいじゅうたちのいるところ」のイラストが大きく飾られています。絵本の挿絵を大きく展示しているのは、図書館の児童コーナーのお楽しみの一つですが、かいじゅうたちに囲まれている水道端図書館の児童コーナーは一味違った雰囲気でいいですね。この窓に面して広い読み聞かせコーナーがあるので、かいじゅうたちに囲まれて絵本読みを楽しめます。
読み聞かせコーナー脇には、布絵本もたくさんあります。確認してはいませんが、文京区立図書館で一番布絵本の所蔵数が多いかもしれません(ちなみに、23区内で一番布絵本を所蔵しているのは、たぶん練馬区立関町図書館です)。水道端図書館の布絵本の棚は、布絵本だけでなく、絵合わせや釣りあそびなどの布おもちゃに近いものもあるんです。貸出もできるので、言葉を覚えている段階のお子さんなどは、ぜひ布絵本を利用してみてくださいね。
児童コーナー内は、ざっくりと言って、手前が小さい子向けの絵本、奥が大きい子向けの児童書になっているのですが、奥の棚の側面にも物語を描いたタペストリーが飾られていて、全体的に布の手触りに溢れる児童コーナーです。タペストリーには特に説明はありませんが、ブレーメンの音楽隊や虎の屏風を前にした一休さんなど、誰もが知る物語が描かれています。お子さんは、ぜひ物語当てクイズとしてチャレンジしてみてください!
ここまで書いた内容でも十分個性的な児童コーナーですが、水道端図書館の児童コーナーでも一番特徴的なのは、外国語絵本の多さでしょうか。ちょうどカウンターの対面にあたる棚に、ずらっと外国語絵本が並んでいます。大部分は英語ですが、その他にもフランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ロシア語などなど、文京区立図書館公式ホームページ内の水道端図書館のページによると40種類近くの言語の絵本を所蔵しているのだそうです。
この外国語絵本の棚は並べ方も珍しく、言語別に分類しているのですが、一番数の多い英語の絵本は、タイトルを邦題に訳し、邦題の五十音順に並べているのです。邦題が本の背に貼ってわかるようになっているので、日本語訳された絵本と一緒に借りて読み比べたくなりますね。
ちなみに、文京区立図書館では、児童向けの読みものもタイトルの五十音順に並んでいるのです。一般的には、児童向けの読みものは著者名の五十音順に並べられていることが多く、23区でも21区で著者名の五十音順。タイトルの五十音順で整理しているのは、文京区と目黒区だけです。
一般書架の小説の棚は23区全てで著者名による分類なので、児童向けも同様にするのが自然だと思うのですが、タイトル五十音順の棚を実際に眺めると結構面白いんです。実際の水道端図書館の棚を見ると、「あ」「い」「う」…という分類に応じた機能的な見出しに加えて、「さ」の中の小見出しとして「さようなら」があったり、「ふ」の中の小見出しとして「ふしぎな」があるんですね。「ふしぎな」で始まる本が集まっている、ってちょっと読みたくなりません?
普段、著者名の五十音順の棚で児童読みものを利用している方も、並びが違う棚を見ると、いつもは見逃している本に気付けるかも。文京区も目黒区も利用登録に在住地等の制限がないので、ぜひ足を伸ばしてみてください。
児童コーナーの話が長くなってしまいましたが(笑)、1階の奥へと進んでいくと、一番奥に新聞・雑誌コーナーがあり、周囲の壁沿いの棚に地域資料、家事関連本、女性・家族関係の本が並んでいます。小さい空間に利用率の高い資料が集まっているわりには、座席数がテーブル席が6席、椅子が8席と少ないので、休日などは満席率が高いです。
ちょっとよく見てくる時間がなかったのですが、この区画に神田川か何かの地域のことを書いた説明があったんです。紙に書いて貼ってあるとかではなく、ちゃんと発注して作ったような標示板。古い公共施設にありそうなモノで、水道端図書館の建物自体ともあいまって、レトロな雰囲気を醸し出しています。次に行ったときは、中身もじっくり読んできたいと思います。
2階にあがると、階段近くの掲示板に新刊の帯がたくさん貼ってあります。帯を新刊紹介に利用しているのですね。図書のほかにCDも2階にあるのですが、CD棚近くの柱にCDジャケットのタイトル部分をずらっと貼って、これも新しく入ったCDの紹介として利用しています。
階段・エレベーターから書架エリアへ入ると、すぐ右にカウンターがあり、それを取り囲むように「コ」の字に書架が並んでいます。カウンターの真正面あたりはCDコーナーで、試聴機も1台あります。カウンターより右に回りこんだところには、検索機に並んでネット閲覧PCも2台あります。
書架の側面には主要新聞各紙の書評欄のコピーが貼ってあります。単に書評欄を切り抜くだけでなく、記事上にある全ての書籍に関して、文京区立図書館での問合せ番号や、所蔵館の頭文字がメモしてあります。最新の書評だけでなく、過去数週間分の書評を貼ってくれています。
ちょっと気になるのは、180cmほどありそうな棚の上にブックエンドを置いて、棚上にも本を置いていること。増えた資料を格納するための苦肉の策なのでしょうが、地震が起きたら上から本が落ちてくるかもしれません。水道端図書館の2階書架にいるときに地震が起きたら、棚か離れた場所に移動した方がいいかも。
また、この棚上の本は、比較的利用の少なそうな本やシリーズものをまとめて棚上に移動しているようで、棚上も含めて分類番号順通りになっているわけではないので、要注意です。分類番号で本を探してもみつからなかったときは、棚上も確認してみてくださいね。
一般書架で特徴的なのは、階段・エレベーターから書架に入って右に回り込んだところにあるハヤカワ文庫の棚。SF、NV、FT、NF、HM、JA各シリーズの第一巻から揃っているのだそうです。冊数が多いので、通常の文庫本とは別にハヤカワ文庫用の棚があります。だから、最初から「ハヤカワ文庫を探している」とわかっている場合は大丈夫ですが、「読みたい本が、たまたまハヤカワ文庫だった」という場合、間違えて通常の文庫コーナーで探さないように注意してください。
ハヤカワ文庫コーナー内は、並び順も文庫コーナーでの標準の著者名五十音ではなく、ハヤカワ文庫の番号順になっています。番号がわからない場合は、館内の検索機で著者名やタイトルで検索すると、ハヤカワ文庫の番号を使った請求番号が出てきます。同じ本でも、水道端図書館以外の文京区立図書館では著者名を使った請求番号なのですが、水道端図書館所蔵のハヤカワ文庫はハヤカワ文庫での通し番号を使っているのです。
ハヤカワ文庫番号順に慣れているSF好きの方やミステリ好きの方には、便利な並び順ですね。それに、本棚って同じ本が入っていても、並び方が違っていると普段は見逃している本に出会えたりしますよね。著者名順に慣れている人も、このハヤカワ文庫の棚を見ると、いつもとは違う本に出会えるかもしれませんよ。
3階はフロア全体が閲覧室です。大部分が2人ずつ向かい合って座るタイプの4人掛けの机で、壁際に1人で使うタイプの机が11席あります。1人タイプの机のうち、4席はパソコン優先席です。4人掛けタイプの机も、1人分のスペースは広めだし、机同士の間隔も空いています。結構ゆったりと閲覧できますよ。
水道端図書館は、建物が古く、場所も大通りから外れたところなので、一見地味な図書館です。でも、児童コーナーの外国語絵本や、一般書架のハヤカワ文庫など、書架に特徴がある。また、書庫では、大正12年11 月から平成13年10月までの朝日グラフを所蔵しているのだそうです。
図書館って、設備の新しさやきれいさも重要でしょうが、やっぱり基本は資料そのものですよね。普通の地域図書館に入ってみたら、個性的な本棚がある。これって嬉しい驚きではないでしょうか。
普段、水道端図書館以外の文京区立図書館をご利用の人や、外国語絵本好きの人、布絵本好きの人、ハヤカワ文庫ファンの人などには、遠くからでも足を運んでみて欲しい図書館です。
